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公認会計士とは? 仕事内容・年収・試験・キャリアをまとめて解説

公認会計士とは? 仕事内容・年収・試験・キャリアをまとめて解説

「公認会計士になりたい!」と思ったら、公認会計士の仕事内容、年収、将来のキャリアについて知っておくことをおすすめします。公認会計士としての将来をイメージすることが、公認会計士試験を乗り越えるモチベーションにもつながります。

ここでは、公認会計士の仕事内容、年収、将来のキャリア、公認会計士試験について解説します。

マイナビ会計士編集部

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公認会計士とは?

公認会計士とは

公認会計士は日本固有の職種ではありません。世界約120ヵ国(約160団体)で、約250万人の公認会計士が財務情報を検証し、その正しさを保証しています。現在の日本における公認会計士の人数は約3万人ですが、外国にはその80倍以上の会計士が存在しています。

今回は日本の公認会計士に焦点をあてて解説します。公認会計士の“原点”は「会計士」ではなく、1927年(昭和2)の「計理士法」に基づく「計理士」と呼ばれる人たちでした。それから21年後の1948年(昭和23)、証券取引法が導入されたことに伴い、計理士法が廃止され、新たに「公認会計士法」が制定されました。翌年の1949年(昭和24)、東京や大阪など8ヵ所に証券取引所が開設。1951年(昭和27)にはじめての公認会計士監査が開始されました。これが「公認会計士」のはじまりです。

公認会計士の「使命」は「公認会計士法第1条」に明記されています。

「公認会計士は、監査及び会計の専門家として、独立した立場において、財務書類その他の財務に関する情報の信頼性を確保することにより、会社等の公正な事業活動、投資者及び債権者の保護等を図り、もつて国民経済の健全な発展に寄与することを使命とする」

公認会計士は、被監査会社だけでなく、誰からも、どの企業や組織からも独立した立場で業務を行うことにより、公正性と信頼性を確保する存在です。公共性の非常に高い監査証明という業務を行う公認会計士は、最終的には国民経済全体の健全な発展に貢献する存在としても位置付けられているのです。

公認会計士の仕事内容

公認会計士の主な仕事は、監査業務、税務業務、コンサルティング業務です。これらの業務をサービスとして提供するのが、監査法人や税理士法人・会計事務所、コンサルティングファームなどです。

また、事業会社などがインハウスの公認会計士を採用するケースも増えています。インハウス会計士は、自社および関連会社の財務会計業務や内部監査などの業務のほか、会社によってはIPOやM&A、投資などに携わる場合もあります。

・監査業務
企業・団体などの法人に対して、監査意見を表明し、財務情報の信頼性を担保します。法定監査は主に監査法人、金融機関やコンサルティングファームではデューデリジェンスなどの業務があります。

・税務業務
公認会計士ではなく、税理士としての仕事になりますが、税務業務に携わる公認会計士は多いです。会計事務所のクライアントは中小企業が中心です。そのニーズに応えるため、独立して会計事務所を立ち上げる際に、税理士登録するのが一般的です。

・コンサルティング業務
公認会計士の財務会計や経営、内部統制などの知見は、コンサルティングに活かせます。監査法人のコンサルティング部門やコンサルティングファーム、金融機関など、コンサルティング業務に携わる場は幅広くあります。

公認会計士の年収

2018年の賃金構造基本統計調査(厚生労働省)によると、公認会計士の平均年収はおよそ892万円です。ただし、これは職業区分の関係で公認会計士と税理士をあわせた統計になっています。勤続年数38年間と仮定して単純計算すると、生涯賃金は3億3,896万円となります。やはり、かなりの高収入といえます。しかし、公認会計士試験合格後に就職するため、就職時期はまちまちで勤続年数にも差異があります。

一般の会社員などと比較すると高収入ですが、勤務先によって、公認会計士の間でも収入の差異があります。BIG4などの企業規模1,000人以上の監査法人と100人未満の監査法人の平均年収には200万円以上の差があります。

監査法人以外の事業会社やコンサルティングファームでは、業種や会社ごとに給与水準や給与体系が大きく異なります。たとえば、事業会社は、監査法人やコンサルティングファームと比較すると、年収が低めといわれていますが、そのぶん、残業が少なく、福利厚生が充実していて、ワークライフバランスがよいともいわれています。一概に平均年収だけで判断するのは難しいでしょう。

<ココまでのまとめ>

・公認会計士の原点は1927年に誕生した「計理士」。
・公認会計士のはじまりは、公認会計士監査がスタートした1951年。
・公認会計士のおもな仕事は、監査業務、税務業務、コンサルティング。
・一般の会社員などと比較すると高収入だが、会計士の間でも勤務先による差異がある。

公認会計士と会計士の違い

公認会計士と会計士の違い

「会計士」は、公認を省略した公認会計士の略称です。会計士の補佐的な資格と勘違いするかもしれませんが、そうではありません。単なる呼び方の違いです。

2005年の法改正までは、公認会計士試験の2次試験合格者に「会計士補」という資格が与えられていました。現在の試験制度では廃止されていますが、2005年より前に会計士補に登録した人がいるため、混同される場合があるようです。

公認会計士と税理士の違い

税理士と公認会計士は、それぞれに資格を有する人だけが業務を行うことが許される独占業務があります。まずは独占業務の観点から、公認会計士と税理士の違いについて検証していきましょう。

税理士は、おもに企業や個人事業主の税務処理や納税・節税に関するアドバイスなど、税務を行う役割を担っています。税理士の独占業務は、税理士法により、税務代理、税務書類の作成、税務相談の3つと規定されています。

・税務代理
税務代理とは、納税者の代わりに税務署等への申告・申請を行ったり、税務調査に立ち会い、納税者の代わりに税務調査の対応を行ったりする業務です。

・税務書類の作成
税務署に提出する届出書を納税者に代わって作成したり、提出したりする業務です。申告書の作成などが代表的な業務です。

・税務相談
税金の計算や必要な手続きといった、税務の相談に応じる業務です。

公認会計士の独占業務は、公認会計士法により監査業務と定められています。監査業務とは、企業が作成した財務諸表が適正であるかどうかを、第三者の立場から評価する業務を指します。

公認会計士は、大きく分けて、財務諸表監査・内部統制監査・コンサルティング(MAS)・IFRS(国際財務報告基準)関連業務を担っています。

税理士のおもな業務である税務業務については、税金を納める必要のある法人・個人すべてが対象となります。そのため、税理士のクライアントは大企業だけではなく、中小企業や個人までがその対象になります。

一方、公認会計士のおもな業務である監査は、最終事業年度の貸借対照表に資本金として計上した額が5億円以上、または最終事業年度の貸借対照表の負債の部に計上した額の合計が200億円以上の株式会社に義務付けられているものです。そのため、監査法人のクライアントは、おもに大手企業となります。

<ココまでのまとめ>

・会計士は、公認会計士の略称。
・会計士の独占業務は監査業務、税理士は税務業務。
・クライアント層の違いがある。税理士は中小企業、会計士は上場企業が中心。

公認会計士になるには

公認会計士になるまでの流れ

ご存じのとおり、公認会計士になるには、まずは公認会計士試験に合格しなければなりません。その後、実務補習所の修了と2年以上の実務経験を経て、ようやく公認会計士として登録できるようになります。実務補習所は3年間とされていますが、実務経験がある場合は期間を短縮できます。

公認会計士試験は、短答式試験と論文式試験の二段階になっています。年2回の短答式試験のどちらかで合格すれば論文式試験に進めます、短答式試験に合格すると、合格発表日から2年間は試験免除されます。

・短答式試験(マークシート方式)  毎年5月、12月
財務管理論、管理会計論、監査論、企業法の4科目

・論文式試験(計算問題と記述の論文式) 毎年8月
必須科目:会計学(財務会計論、管理会計論)、監査論、企業法、租税法
選択科目:経営学、経済学、民放、統計学(4科目から1つを選択)

公認会計士に向いている人

クライアントの財務情報の公正性を証明し、社会に対して担保する監査業務は、クライアントのメリットではなく、客観的な正しさを追求する仕事です。報酬をもらうクライアントに対する義理や共感に流されず、正しくあることを最優先できる、正義感をもった人が向いています。

また、財務諸表や膨大な資料の整合性を確認する監査や会計・税務の業務は、細かな作業の積み重ねです。情報の整合性を追及する粘り強さやチェックを続ける根気も大切です。

公認会計士には学習意欲の高い人が向いています。クライアントの業種業態への理解やビジネスのトレンド、法改正などの最新の情報を収集し、それに対応できる知識が求められます。公認会計士にはCPE制度(継続的専門研修制度)があり、会計士として働くためには勉強を続けなければなりません。

<ココまでのまとめ>

・公認会計士になるには、試験合格後、実務補習修了と2年以上の実務経験が必要。
・正義感、粘り強さや根気、高い学習意欲を維持できる人が向いている。

公認会計士試験とは

難易度・合格率

短答式試験は、4科目の総合得点で合否判定します。全科目の総点数の 70%が合格基準ですが、40%に満たない科目が1つでもあると不合格になります。

合格者の得点比率は、公認会計士・監査審査会が毎回の試験ごとに定めます。実質的には、70%の合格基準を満たしたうえで、上位層から合格者が決まる相対評価となり、確実に合格できるというラインはありません。それが公認会計士試験の難しさのひとつといえるでしょう。

そのため、合格率は年によってかなり変動があります。また、試験の難易度もその回により差異がありますが、合格する得点比率が変動するため、試験の難易度が高い回の合格率が必ず低くなるということはありません。

勉強時間・勉強方法

公認会計士試験に合格するためには、3000~4000時間以上の勉強時間が必要といわれています。年単位で考えれば、1日の勉強時間を5~6時間として、1年半から2年はかかります。科目免除や簿記や税法などの知識があれば、そのぶんは短縮できます。

公認会計士試験の受験者には、大学や会計大学院の在学者が多く、社会人を含む既卒者でも専門学校に通学する人が多いです。専門学校は、出題範囲をおさえたカリキュラムだけでなく、例年の出題傾向や試験の最新情報などが提供されます。また、効率の良い勉強方法などのノウハウもありますので、勉強の進め方などのサポートも期待できます。

独学で勉強する場合は、市販の参考書や問題集を使用することになりますが、最新の情報が網羅されているとは限りません。勉強する内容や方法、試験の情報なども自力で収集する必要があります。仕事の都合で専門学校に通うのが難しい場合は、短期講習や通信講座などを併用する方法もあります。

独学で合格できるのか

独学で、公認会計士試験に合格することは不可能ではありませんが、非常に難しいです。授業で教えられるより、自己学習が向いているという人もいますので、一概にはいえませんが、独学で結果を出せる人は限られていることを理解しておくべきでしょう。

独学で合格するには、合理的な目標設定と計画を立て、その計画を強い意志で実行しなければなりません。また、早い段階で自分にあった勉強方法を見つけることも重要です。独学で知識を吸収できる学習能力に加えて、自己管理とそれを支えるモチベーションを維持ができる人でないと難しいでしょう。

<ココまでのまとめ>

・合格基準を満たしたうえで、上位層から合格者が決まる相対評価。
・独学での合格は不可能ではないが、非常に難しい。

公認会計士のキャリア

公認会計士の活躍の場

公認会計士という職種の魅力は、活躍できる場が幅広いところでしょう。王道は独占業務である監査を行う監査法人で働くことですが、それだけが公認会計士の生きる道ではありません。

海外の監査法人で働く、一般企業の組織内会計士として働く、スタートアップ企業が上場するまでを支援する、会計専門のコンサルタントとして全国を飛び回る、独立して自分の会計事務所を構える――これらはほんの一例ですが、これだけ幅広いキャリアを描くことができるのが公認会計士なのです。

現代は、女性も活躍できる社会へと変化を遂げつつありますが、特に公認会計士は社会的に認められた公的資格を所持して働く職種のため、女性にも平等にチャンスがある世界です。日本公認会計士協会は女性会計士の活躍にも力を入れていて、「2048年度(公認会計士制度100周年)までに会員・準会員の女性比率を30%へ上昇させる」「2030年度までに公認会計士試験合格者の女性比率を30%へ上昇させる」というKPIを設定しています。

世界の各地で、あらゆる業界・領域で、男性も女性も活躍していくようになる。それが公認会計士という仕事の未来像といえるでしょう。

公認会計士の転職市場

公認会計士の転職市場では、一定の人材ニーズがありますが、年齢とキャリアのバランスによって、状況は変わってきます。

公認会計士の人手不足が続き、20代の公認会計士には売り手市場の傾向がありましたが、それに対応するように公認会計士試験の最終合格者数が増加しています。コロナ禍の影響で、転職市場も不透明さを増していますので、転職に有利な20代でも、売り手市場と安心せず、綿密に準備して転職活動にのぞむ必要があります。

30代は、公認会計士の転職市場ではもっとも価値が高いといわれています。しかし、年齢と経験やスキルのバランスが重視され、プラスアルファの強みを求められる傾向があります。キャリアの強みがあれば、年収1,000万円を超える好条件の求人もあります。

40代の公認会計士の求人は、20代、30代と比べると少なくなります。比較的多いのは事業会社の求人です。連結決算や海外拠点などの複雑な会計業務や内部統制の構築、内部監査などのニーズがあり、高度なスキルやマネジメント力が求められます。

<ココまでのまとめ>

・活躍の場が幅広いのも公認会計士の魅力。
・日本の公認会計士協会は女性の活躍も推進している。
・20代でも、売り手市場と安心せず、綿密に準備して転職活動にのぞむべき。
・30代は市場価値が高いといわれているが、監査以外の強みが求められる。
・40代では求人数は少なくなるが、事業会社ではニーズがある。

まとめ

現在、公認会計士をめざしている方が実際に働き始めたとき、もしかしたら、「思っていたのと違う」「向いていないかも」と感じる瞬間が訪れるかもしれません。公認会計士の仕事内容、年収について知っていれば、そういったリスクは減らせます。公認会計士試験合格はゴールではありません。公認会計士のキャリアパスは、自分のキャリアプランを考えるときの参考になるはずです。公認会計士をめざすなら、仕事内容、年収、将来のキャリアを知っておきましょう。

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