30代・未経験のUSCPA取得者は転職市場でもまだ若手

未経験の30代でも、USCPAを取得して転職を目指すことは決して遅すぎるわけではありません。30代はまだ若手として扱われることが多く、会計のキャリアが長期的な視点で評価されるほか、会計知識と英語力を兼ね備えた人材として高い評価を受けることができます。

20代から30代にかけては新たな挑戦や学びの機会が豊富な時期で、経験と若さのバランスが取れた年代といえます。ある程度の社会経験を積みながらも、新しい環境に適応する柔軟性を持ち合わせているため、転職市場において魅力的です。なお、USCPAの基本や受験に関する情報は、下記ページをご覧ください。

USCPA需要の高まりが後押しになる

USCPAの需要が高まっていることも、30代・未経験からの転職を後押しになります。主に以下の2つの要因により、USCPAの需要は今後さらに高まると予想されるためです。

• 日本企業の海外展開が進む中、国際的に通用する会計知識を持つ人材の高い需要がある
• IFRS(国際財務報告基準)を導入する企業が増加している

未経験であっても、会計の専門知識と英語力を兼ね備えた人材として、多くの企業から注目を集めることができます。むしろ、長期的なキャリア形成の観点から見れば、良いタイミングといえるでしょう。

マイナビ会計士では、専任のキャリアアドバイザーがあなたの強みを活かした転職戦略を一緒に考えていきます。USCPAの資格がなくても目指せるキャリアもありますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

30代・未経験でUSCPAを取得して転職する4つのメリット

30代で未経験からUSCPAを取得して転職を目指す場合、以下のメリットがあります。

• 会計知識・英語力をアピールポイントできる
• 多様なバックグラウンドによる付加価値がある
• グローバル企業への転職を目指せる
• 年収アップを目指せる

会計知識・英語力をアピールポイントできる

USCPAの取得は、会計と英語の両面でのポテンシャルを示すアピールポイントとなり、転職市場での競争力を高めることができます。30代で未経験から取得することで、学習能力の高さと向上心を示すことができるため、企業から高く評価される傾向にあるためです。

•    国際会計基準や米国会計基準への精通
•    一定以上の英語力の証明

上記のスキルは、グローバル展開を進める日本企業にとって特に価値があるものです。会計知識と英語力の両方を証明する方法として、資格の取得は1つの手段となります。

多様なバックグラウンドによる付加価値がある

30代で未経験からUSCPAを取得する場合、これまでのキャリアや経験が大きな付加価値となります。以下のような多様な経歴は、業界においても新しい視点をもたらす可能性があるためです。

こうした過去の経験と新たに得た会計知識を組み合わせることで、独自の価値を転職の際にアピールすることも可能です。これまでのキャリアを無駄にすることなく、むしろ強みとして活かせる機会となるでしょう。

グローバル企業への転職を目指せる

USCPAは国際的に認知度の高い会計資格であり、多くのグローバル企業で高く評価されています。オーストラリア、カナダ、香港など8か国・地域とMutual Recognition Agreement(相互認証契約)を締結していることからも明らかです。

日本国内でも、外資系企業や海外展開を進める日本企業において、国際会計基準や米国会計基準に精通した人材の需要は高まっています。また、別の観点で見れば、締結済みの国での就職を視野に入れることも可能です。30代・未経験であっても、USCPAの取得は国内外のグローバル企業への転職の可能性を大きく広げ、国際的なキャリアを築く足がかりとなるのです。

年収アップを目指せる

USCPAの取得は、短期的な年収アップだけでなく、長期的なキャリアパスにおいても高い収入を目指せる可能性を広げることができるのもメリットです。会計・財務の領域において高度な専門性を証明する資格であり、それに見合った年収や資格手当を受け取れるためです。特に、以下の分野では、USCPAホルダーの年収が一般的に高水準となっている可能性があります。

• 監査法人
• 大手企業の経理部門
• コンサルティングファーム

また、未経験からのスタートでもUSCPAの資格があれば、より高い初任給や早期の昇給・昇進の可能性を高めることも可能です。場合によっては、財務アナリストやコンサルタントなどのより高収入が期待できる職種に転職したり、経験を積んでいくにつれてCFOなどの上級管理職を目指したりすることもできます。

30代・未経験でUSCPAを取得して転職を目指すデメリット

30代・未経験でUSCPAを取得して転職を目指す場合、実務経験の不足で即戦力としてのアピールが不足する可能性がデメリットとして挙げられます。30代半ばになると、経験豊富な同年代との競争が激しくなることも想定されます。とはいえ、あくまでも一般的な傾向であり、個人の能力や意欲次第で克服できる課題でもあります。

転職市場では、希望職種に近い業務や接点となる経験が評価されることが多いため、USCPAの知識を活かせる関連業務の経験を整理して伝えることが重要です。また、USCPAの資格を持っていることで、ポテンシャルの高さをアピールできる点も大きな強みとなります。

一時的な年収ダウンも視野に入れておく

30代・未経験でUSCPAを取得して転職する際、一時的な年収ダウンも考慮しておきましょう。キャリアチェンジに伴う一般的な現象であり、USCPAホルダーだからといって例外ではありません。とはいえ、一時的な年収ダウンは将来のキャリアアップへの投資と捉えることもできます。

通常、未経験分野への転職では、実務経験の不足を補うために、初期段階では平均よりもやや低い年収からスタートするケースがほとんどです。そのため、実務経験を積むにつれて急速に年収が上昇するといった働き方になります。これを踏まえ、短期的には年収ダウンを覚悟しつつも、長期的なキャリア形成と年収アップの可能性を見据えた転職を検討することが重要です。

30代・未経験からUSCPAを取得して転職を目指す際のポイント

30代・未経験からUSCPAを取得して転職を目指す際のポイントは、以下の4つです。

• 関連資格の取得を目指す
• USCPAの取得を目指した理由を整理する
• 会計関連のキャリアを目指す理由を明確にする
• 監査トレーニーの活用も検討する

関連資格の取得を目指す

USCPAの取得は素晴らしい成果ですが、日本企業での就職を考える場合、日本の会計基準に関する知識も求められます。そこで、日本の会計基準や実務に即した知識を身につけるため、日商簿記2級などの関連資格の取得を目指すことも一案です。

たとえ取得途中であっても、学習過程自体が日本の会計実務への適応能力と熱意を示すことになります。企業側からすれば、USCPAと日本の会計知識の両方を持つ人材は魅力的に映るでしょう。こうしたUSCPAと日本のその他会計資格の組み合わせは、グローバルと国内の両方の視点を持つ人材として、市場価値を高める武器ともなります。

USCPAの取得を目指した理由を整理する

USCPAの取得を目指した理由は、専門知識、忍耐力、そして責任感を示す証明となることから、面接官にとって重要な情報源となります。単に「資格を取得したかった」という表面的な理由ではなく、より深い動機や将来のビジョンを明確に説明できるように整理しましょう。

例えば、「グローバルな会計基準に精通し、日本企業の海外展開をサポートしたい」や「国際的な視点から日本の会計実務を改善したい」といった具体的で意味のある理由であることが重要です。熱意や将来性を示すだけでなく、企業にとってもあなたがどのように貢献できるか、正当性があるかを理解してもらえるようにしておくことが大切です。

会計関連のキャリアを目指す理由を明確にする

企業は人材を採用する際、その人が長期的にどのように組織に貢献できるかを重視します。特に、30代での未経験からの転職の場合、なぜ今会計関連のキャリアを目指すのかという点が注目されます。そのため、求められるのは単に「興味がある」という表面的な理由ではなく、自身のバックグラウンドや経験がどのように会計キャリアに活かせるか、そして長期的にどのような価値を提供できるかを明確に説明することです。

「前職での経験を活かしつつ、USCPAの知識を組み合わせることで、より戦略的な財務管理に貢献したい」といった具体的なビジョンを持ちましょう。明確な理由と長期的なビジョンは、企業側の「育てた人材が早期に退職するのではないか」という懸念を払拭し、あなたを長期的な戦力として評価してもらいやすくなります。

監査トレーニーの活用も検討する

30代で未経験の場合は、監査法人がUSCPA受験生を採用して受験勉強をサポートしながら実務経験を積ませる「監査トレーニー制度」の活用も検討に値します。この制度の大きなメリットは、USCPA合格前から実務経験を積めることです。

主に、資格取得後のスムーズな転職や、監査法人におけるより高いポジションでの就職を視野に入れられます。また、トレーニーを活用した場合であっても、監査法人での経験は将来的に事業会社や他の会計関連職への転職の際にも大きな強みとなります。

マイナビ会計士では、専任のキャリアアドバイザーがあなたの強みを活かした転職戦略を一緒に考えていきます。年齢や経験に関する不安も含め、転職に関する疑問・相談に丁寧にお応えいたしますので、ぜひ、お気軽にお問い合わせください。

30代・未経験でUSCPAを取得した際の年収目安

30代・未経験でUSCPAを取得した場合の年収目安は、一般的に400万円から1,000万円程度と考えられます。USCPAの資格を高く評価する企業に就職できれば、経験不足を補って高い年収を得られる可能性もあります。ただし、この範囲は平均的な水準を示すものであり、実務経験の不足によって400万円から600万円のラインよりもやや低い年収からスタートすることもあります。

一般的に、USCPAの資格は国際的に高く評価されており、グローバルな会計基準や監査基準に精通した専門家として認識されます。特に、日本企業の海外展開や国際会計基準への対応が求められる現在、USCPA保有者の需要は高まっていることも踏まえても高い水準となりやすいでしょう。年収についてより詳しくは、下記ページもご覧ください。

30代・未経験のUSCPAが目指せる転職先

30代、そして未経験であっても、USCPAの資格を取得した場合はグローバルな会計知識と英語力を証明できるため、以下のような転職先が考えられます。

• 監査法人
• 会計・税理士法人
• 事業会社・総合商社・外資系
• 海外の事業会社等
• コンサルファーム
• FAS
• 金融機関
• 独立開業

監査法人

監査法人は、専門性を高めながら幅広い経験を積むことができる転職先といえます。未経験者であっても、監査補助業務からキャリアをスタートさせる機会も得やすいです。

主に、クライアントの財務諸表の監査だけでなく、国際会計基準(IFRS)への対応支援や、海外子会社の監査などの業務において、USCPAの知識と英語力が高く評価されます。また、監査法人での経験は、将来的に事業会社やコンサルティングファームへの転職の際にも有利に働きます。

会計・税理士法人

会計・税理士法人では、海外進出を目指す日本企業や、日本に進出してくる外資系企業へのアドバイザリー業務が増加しており、USCPAの知識と英語力が大きな武器となります。特に、国際税務や移転価格税制などの分野では、USCPAの資格を持つ人材へのニーズが高まっています。

また、国際税務部門などでキャリアをスタートしたり、未経験からであっても将来的に事業会社の経理・財務部門や、コンサルティングファームへ転職したりするなども狙えるでしょう。

事業会社・総合商社・外資系

事業会社・総合商社・外資系企業は、30代・未経験のUSCPAホルダーが実務経験を積みながら、グローバルなビジネス環境で活躍できる転職先です。国際会計基準(IFRS)や米国会計基準(US GAAP)への対応が必要とされることが多く、USCPAの知識が直接活かせます。

未経験者の場合、最初は経理部門のスタッフとしてキャリアをスタートし、徐々に責任ある立場へと成長していくことが一般的です。将来的な管理職やCFOへのキャリアパスを考える上でも大きなアドバンテージとなります。

海外の事業会社等

海外の事業会社、例えば日系企業の現地法人や、現地企業の財務部門などもキャリアパスの1つです。アジア諸国や中東諸国など、急速に経済成長を遂げている地域では、国際的な会計基準に精通した人材へのニーズも高まりやすいです。

未経験者の場合であれば、最初は経理スタッフや財務アナリストとしてキャリアをスタートできるでしょう。また、海外での勤務経験は、グローバル人材としての価値をさらに高めることにもつながります。

コンサルファーム

コンサルティングファーム（コンサルファーム）では、財務・会計分野のコンサルティングにおいて、USCPAの知識が重宝されます。M&Aアドバイザリー、事業再生、財務デューデリジェンス、IFRS導入支援など、高度な専門知識を要する業務が多く存在します。

最初はジュニアコンサルタントとしてのスタートとなりますが、将来的に事業会社のCFOや独立コンサルタントを目指すことができます。海外の取引先の多い大手コンサルファームでは、より英語力を評価してもらえるはずです。

FAS

FAS（Financial Advisory Services）は、主に大手監査法人やコンサルティングファームに設置されている部門です。M&A支援、企業価値評価、事業再生、フォレンジック（不正調査）などで、USCPAの知識が役立ちます。

財務に関する高度なアドバイザリーサービスを手がけるため、分析力や問題解決能力も同時に求められます。とはいえ、投資銀行やプライベートエクイティファンドへのキャリアチェンジを目指せるなど、将来性も高い転職先です。

金融機関

金融機関は、国際業務を展開する銀行や証券会社、投資顧問会社などでは、USCPAの資格が高く評価されます。国際会計基準(IFRS)や米国会計基準(US GAAP)に基づく財務分析、リスク管理、コンプライアンス業務など、USCPAの知識が直接的に活かせる業務が多く存在するためです。

未経験からスタートしても、フィンテック企業やプライベートエクイティファンドへのキャリアチェンジなどを視野に入れつつ、金融ビジネスに携わりながら、専門性を高めていける魅力的な転職先となるでしょう。

独立開業

最後に、国際的な会計・税務サービスを提供する会計事務所の開業や、フリーランスのコンサルタントとして活動する独立開業も1つの方法です。未経験者が直接独立開業することは難しく、まずは監査法人や会計事務所、コンサルティングファームなどで実務経験を積むことになります。

数年の経験を経て、顧客基盤やネットワークを構築した後に独立を考えるのが一般的です。長期的なキャリアゴールとして考え、自身の専門性を最大限に活かしながら自由度の高い働き方を実現したい方に向いているでしょう。

30代・未経験からUSCPAを取得した際のキャリアパス

USCPAを取得した30代の未経験者には、多様なキャリアパスが開かれています。

• 監査法人
• 会計事務所、税理士法人
• コンサルティングファーム
• 事業会社
• 海外勤務
• 独立起業

中でも一般的なのは、監査法人や会計事務所、税理士法人です。英語力と会計・財務の知識を活かしつつ、国内でも活躍できるように公認会計士や税理士の資格取得を目指せます。将来的には、独立も狙えるでしょう。一方で、コンサル・事業会社・海外勤務はより専門性を高めてさらなる飛躍を目指す際に検討したいキャリアパスです。

経理からキャリアアップを目指すことも可能

そのほかにも、経理職からUSCPAを取得してキャリアアップを目指すことも十分に可能です。例えば、マイナビ会計士ではメーカーの経理部門で働きながらUSCPAの勉強を始め、2年間で全科目に合格した29歳男性の事例があります。

経理職での経験とUSCPAの資格を組み合わせることで、監査業務だけでなく、将来的には海外拠点での活躍や日本企業の海外進出支援など、より広範囲なキャリアパスを描くことができます。また、経理職での実務経験は、監査法人や会計事務所への転職でも高く評価されるでしょう。なお、事例については下記ページで詳しく紹介しています。

30代・未経験でUSCPAを取得した転職に関するよくある質問(FAQ)

最後に、30代・未経験でUSCPAを取得した転職でよく寄せられる以下の質問へ回答します。

• 30代半ばからUSCPAの取得は厳しい？
• 30代でUSCPAに向いている人は？
• 30代でUSCPAを取得しても転職できない？

30代半ばからUSCPAの取得は厳しい？

30代半ばからUSCPAの取得を目指すことは、決して厳しいものではありません。むしろ、社会人経験を積んだ30代だからこそ、USCPAの学習内容をより深く理解できる可能性もあります。

ただし、転職のためだけにUSCPAを取得しようとする場合、相当な時間と労力が必要となるため、キャリアプランの中で資格がどのような役割を果たすのかを明確にしておくことが重要です。他の資格取得やキャリア形成と並行して、USCPAを目指すという選択肢も検討しましょう。

30代でUSCPAに向いている人は？

30代でUSCPAに向いている人には、以下の特徴があります。

• グローバルなビジネス環境で働くことに強い興味を持っている人
• 海外展開を行う企業や外資系企業での活躍を望む人
• 会計や財務に関する基礎知識をさらに深めたいと考えている人
• 将来のキャリアアップを見据えて計画的に取り組める人

この特徴を持つ人であれば、USCPAの取得を通じて大きなキャリアアップの機会を得られることが多いです。詳しくは、下記ページもご覧ください。

30代でUSCPAを取得しても転職できない？

30代でUSCPAを取得しても転職できないということはありません。ただし、より効果的に転職を成功させるためには、USCPAの資格に加えて「実務経験」というプラスアルファの要素が重要です。

USCPAの資格は、国際的な会計基準や財務報告の知識を証明するものですが、企業が求めているのは、実際のビジネス現場で知識を活用できる人材です。そのため、USCPAの資格と共に、これまでの職務経験をどのように活かせるかを明確にアピールしましょう。

まとめ

30代でUSCPAを取得し、未経験から転職を目指すことは、決して遅すぎるわけではありません。むしろ、日本企業の海外展開や国際会計基準への対応が求められる現在、USCPAホルダーの需要は高まっています。また、会計業界では30代はまだ若手として扱われ、長期的なキャリア形成が可能です。

ただし、実務経験の不足が一時的なデメリットとなる可能性もあるため、転職活動を始める前に現在の業務経験やスキルを丁寧に棚卸しすることが重要です。希望する職種で求められるスキルと照らし合わせることで、自身の強みと補強が必要な部分を明確にできます。

マイナビ会計士では、キャリアアドバイザーが、あなたの経験やスキルを丁寧に分析し、最適な転職戦略をご提案いたします。30代からのキャリアチェンジ実現に向けて、ぜひお気軽にお問い合わせください。