「公認会計士試験の勉強」と「監査法人での仕事」、両立をするコツ
監査法人や会計事務所で仕事をしながら、勉強を両立するのは「大変そうだ……」と思ったことはありませんか?勉強時間の確保、体力・精神的な負担、プライベート時間の減少など、乗り越えるべき課題はたくさんあります。
そこで今回は、「公認会計士試験の勉強」と「監査法人での仕事」を両立するメリット・デメリットから勉強法、成功のポイントまで紹介します。
マイナビ会計士では、両立を目指す方にマッチした求人をご提案いたします。少しでも興味がありましたら、ぜひアドバイザーへご相談ください。

マイナビ会計士編集部
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目次
公認会計士試験の勉強と監査法人勤務の両立は本当に可能か
結論からいえば、公認会計士試験の勉強と監査法人勤務の両立は可能です。
実務経験として認められる従事先であれば、資格の取得の延長線上に位置し、あなたが学んでいる内容も実務を通して定着できます。一部の監査法人では、「監査トレーニー制度」と呼ばれる公認会計士試験の受験・合格を目指す人を支援する制度を設けているところもあるほどです。
もちろん、「仕事で精いっぱい」、「勉強で仕事に支障が出る」などの悩みを抱える人もいます。とはいえ、監査法人の実務経験が試験勉強に活きることも多く、理論と実践を同時に学べるメリットの存在は非常に大きいです。
本当に自らに合った選択肢なのかを判断するためにも、両立するメリットから順を追って確認しましょう。
公認会計士試験の勉強と監査法人での仕事を両立するメリット
公認会計士試験の勉強と、監査法人での仕事を両立するメリットは、以下の5つです。
- 実務経験を積みながら学べる
- 実務で使える知識が身につく
- 監査法人の支援制度を活用できる
- 試験合格後の就職活動が不要になる
- キャリアの選択肢が広がる
実務経験を積みながら学べる
監査法人で実際に仕事をしながら勉強できれば、教科書だけでは得られない実践的な知識が身につきます。例えば、財務諸表監査で実際の会計処理を目の当たりにした際には、会計基準がどのように使われているのか、実務ではどのような判断が必要なのかを体で理解できるといった具合です。
どれだけ試験勉強で知識をインプットできても、アウトプットはそう簡単にできません。そう考えれば、実務でのアウトプットは非常に貴重な機会ですし、監査法人で働く先輩たちの経験談や助言が、試験勉強の効率を高めるきっかけにもなります。
実務で使える知識が身につく
公認会計士試験に向けて勉強した内容を実務で活かしつつ、実務で学んだ知識を試験勉強に役立てれば効率の良い学習の好循環を生み出せるのもメリットです。なかでも、試験科目の「監査論」で学ぶ監査手続きや監査証拠の考え方は、日々の監査業務そのものです。
ただし、すべてが実務につながるわけではありません。会社法の細かい条文、特定の基準の暗記などは、実務では「必要なときに調べれば良い」というケースもありますので、過度な期待はNGです。
監査法人の支援制度を活用できる
監査法人には、公認会計士試験を目指す社員のために支援制度を用意しています。時短勤務制度、試験直前の特別休暇、受験料の補助などは求人でもよく見かける代表例です。こうした支援制度のなかでも、勉強と仕事の両立を目指す方に注目してほしいのが「監査トレーニー」という制度です。
監査トレーニー制度を実施している監査法人では、業務量を調整して勉強時間を確保しやすい環境で働けますし、試験前には残業免除や特別休暇が取れる場合もあります。この制度を上手に活用できれば、限られた時間のなかでも効率よく試験勉強に打ち込めます。
試験合格後の就職活動が不要になる
公認会計士試験に合格したあとは通常、就職活動がはじまりますが、すでに働いている監査法人にそのまま登用してもらえる可能性があります。
新たに就職活動をしなくても、そのまま採用してもらえれば、試験合格後も就活のストレスや時間を省けます。実務経験によって「即戦力」として評価されやすいのは、両立していた期間があるからこそのメリットです。
キャリアの選択肢が広がる
監査法人で働きながら公認会計士試験に合格できれば、将来のキャリアの幅を広げることにもつながります。両立の期間中に実務要件を満たしやすく、その後の就活ですぐに以下のようなキャリアを選ぶといった選択も可能だからです。
- 事業会社
- コンサルティングファーム
- アドバイザリー
- コンサルティング
監査法人での実務経験と公認会計士資格の組み合わせは、会計・財務分野でのキャリアの基礎となります。仕事と勉強の両立は大変ですが、その先にある可能性を考えれば、努力する価値は十分にあります。
公認会計士試験の勉強と監査法人での仕事を両立するデメリット
公認会計士試験の勉強と、監査法人での仕事を両立するデメリットは以下の3つです。
- 勉強時間に制約を受ける
- プライベートの時間が減少する
- 体力・精神的な負担がかかる
勉強時間に制約を受ける
監査法人で働きながら勉強すると、どうしても勉強に使える時間が限られてしまいます。なかでも監査法人の繁忙期(通常1月から4月頃)は忙しく、残業が増えたり週末も出勤したりする結果、両立が難しくなります。
公認会計士試験の勉強には、約2,000〜5,000時間、またはそれ以上の時間が必要です。フルタイムで働きながら、勉強に充てる時間を確保するのは簡単ではありません。突然の残業を踏まえ、計画していた勉強スケジュールに柔軟性を持たせ、モチベーションの低下や学習の中断といったリスクを事前に下げましょう。
プライベートの時間が減少する
公認会計士試験の勉強と、監査法人での勤務を両立する間、余暇に使える自由な時間は必然的に少なくなります。友達と遊ぶ時間、趣味の時間、ただゆっくりリラックスする時間など、生活の質を高めていた要因が「勉強に置き換えられてなくなる」わけです。
場合によっては、家族や友人に理解してもらえず、関係が悪くなったり、孤独を感じたりするかもしれません。休日も勉強に使えば、なおさらです。疲れがたまったり、燃え尽き症候群のようにやる気を失ったりしない工夫が必要となります。
体力・精神的な負担がかかる
長時間のデスクワークや集中力を使う仕事の後に勉強を続けるのは、想像以上に体力を使います。そのうえ、監査法人では質の高い仕事が求められ、試験勉強では合格レベルの学力が必要です。この2つのプレッシャーは、精神的な負担は想像以上に大きいものです。
無理に両立を目指して体調を崩せば、仕事にも、そして勉強にも支障が出てしまいます。健康管理と定期的な休息の時間の確保は、長期戦を乗り切るためには欠かせません。
公認会計士試験の勉強と監査法人での仕事を両立するポイント
「仕事で精いっぱい」「勉強で仕事に支障が出る」となってしまっては、共倒れになってしまいます。監査法人での仕事と公認会計士試験の勉強を両立するためには、以下のポイントを押さえましょう。
- 明確な目標設定をする
- 空き時間を勉強に置き換える
- 朝型勉強法を実践する
- 柔軟な学習計画を立てる
- 周囲のサポートを得る
- 監査トレーニー制度を利用する
明確な目標設定をする
まず、公認会計士試験合格という目標を、より小さな目標にわけて日々の勉強がしやすい状態を作ります。
- 3か月後までに短答式試験の範囲を一通り学ぶ
- 半年後に模擬試験で70点以上取る
など、具体的かつ、数値で測れる目標を設定しましょう。計画的に勉強を進め、「いつまでに何をするか」を明確にできれば、日々の勉強にも方向性が生まれます。
立てた目標は忘れないように紙に書いて、見える場所に貼っておく方法もやる気の維持に有効です。達成感を味わいながら、少しずつ前進している自覚を持つ意識が両立を無理なく続ける気持ちの支えとなります。
空き時間を勉強に置き換える
監査法人で仕事が忙しく、公認会計士試験に向けた勉強の時間を確保できないのであれば、1日を見直してください。1日のなかには、意外にちょっとした「隙間時間」があります。通勤中、昼休み、会議の合間の待ち時間など、短い時間でも置き換えるだけで、勉強時間を増やすことができます。
5分、10分だとしても、両立している方にとっては価値のある時間です。たった10分でも365日で約60.83時間(約2.53日分)、1時間なら365時間(約15.21日分)の成果につながります。「隙間時間用の学習教材」として、頻出する用語や内容をまとめたノートや、小さな問題集などを用意して活用しましょう。
朝型勉強法を実践する
朝の時間を使った勉強法は、監査法人での仕事と試験勉強の両立にぜひ取り入れたい方法です。朝は高い集中力を維持しやすい状態にあるため、効率よく学習を進めることができます。いきなり2時間早く起きるのではなく、15分ずつ早めていくなど、体に負担をかけない方法で習慣化を目指してください。
普段の起きる時間より1〜2時間早く起き、その時間を勉強に使う方法であれば、365〜730時間(約15.21〜30.42日分)の勉強時間を確保できます。朝の時間帯であれば、残業や急な予定変更に左右されにくいのもメリットです。
柔軟な学習計画を立てる
監査法人の業務は繁忙期以外にも、予定外の対応に追われるケースは十分に想定できます。両立する際には事前に余裕を設け、状況に応じて調整できる勉強計画に仕上げてください。忙しい時期と比較的余裕がある時期を考慮し、仕事の量に応じて勉強量を変更できる状態がベストです。
難しく考えなくても、以下の2つをわけるだけでかまいません。
- 「絶対に守るべき最低限の勉強時間」
- 「余裕があれば増やせる追加の勉強時間」
例えば、平日は最低30分、可能なら1時間といった具合です。完璧を求めすぎず、現実的な計画を立てるだけでも継続力は変わります。
周囲のサポートを得る
公認会計士試験の勉強と、監査法人の仕事の両立は、家族や友人、職場の同僚など、周りの人に自らの目標を伝え、理解とサポートを求めるのもポイントの1つです。一緒に住んでいる家族には、勉強時間の確保や家事の分担などで協力してもらえると心強いでしょう。
一方で、同じく試験を目指している仲間や、すでに合格した先輩とのつながりであれば、情報交換や励まし合いがモチベーションを保つ助けにもなります。約1〜4年、またはそれ以上の期間を勉強に充てる生活は、精神的な支えの有無で「辛さ」が変わります。
監査トレーニー制度を利用する
両立のメリットで先述しましたが、働きながら試験合格を目指せる監査トレーニー制度を利用するのも一案です。通常、監査法人で働くには公認会計士試験への合格が条件ですが、この制度なら試験合格前から実務経験を積むことができます。
支援採用の監査法人に入社する → 勉強できる環境をつくる → キャリアも同時に積む → 受験・合格、という道筋もあるとわかると、少しワクワクしてきませんか?気になった方は、ぜひ下記ページをご覧ください。
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監査トレーニーとは?
公認会計士試験の勉強をより効率よく進める3つの方法
監査法人での勤務と勉強を両立し、より効率よく勉強したい方は、以下に挙げた3つの方法を検討しましょう。一見すると独学は効率が悪く見えますが、方法次第で効率を高められる学び方です。
- 通学講座を活用する
- 通信講座を利用する
- 独学で自由に学ぶ
通学講座を活用する
会計士試験対策を実施する大原やTACといった専門学校などに「通学」し、プロの講師から直接指導を受ける勉強法です。最大のメリットは、目の前にプロの講師がいるので、わからない点をその場で解決できることでしょう。また、ライバルが隣にいることでモチベーションを保ちやすいという利点もあります。
デメリットは、講座の日時が指定されているので、そのときに時間を空けて専門学校へ行かなければならない点です。そのため、監査法人での仕事と両立する場合は、週末や夜間に開かれている社会人向けのコースを選ぶと良いでしょう。平日は通信講座、週末は通学というハイブリッド型のコースも増えて、選びやすくなっています。
通信講座を利用する
資料のDVDやオンライン配信などの教材を使って、自宅で自らのペースで勉強する方法が「通信講座」です。メリットは、自分の好きなペースで勉強できる、通学にかかる時間を勉強にまわせる、スケジュールを柔軟に変更できるなどがあります。
ただ、自分で主体的に勉強ができない方には向いていませんが、深夜や早朝、週末など、自らの都合の良い時間に勉強できるのは両立という観点でみると優秀です。スマホやタブレットで視聴できるものもあり、通勤時間などの隙間時間も有効活用できるのも魅力です。
独学で自由に学ぶ
文字通り、市販の参考書や過去問題集などを使うなどして、自分独自の方法で勉強するのが「独学」です。メリットは、利用する参考書や資料も勉強する時間もすべて決められる「自由」がある、専門学校や通信講座と比較して費用を抑えられるなどです。
デメリットは、疑問が生じたときです。教えてくれる人がいないので、自分で1つずつ調べていかなければいけません。そのことをどう考えるかが独学の成否をわけます。高い自己管理能力と学習意欲を持ち、自らのペースで効率よく勉強を進めたい方は、ぜひ下記ページをご覧ください。
よくある質問(FAQ)
さいごに、公認会計士試験の勉強と、監査法人での仕事の両立を目指す方からよく寄せられる質問へ回答します。
働きながら公認会計士試験に合格するまで平均何年かかりますか?
一般的に、働きながら公認会計士試験に合格するには、平均して3〜5年程度かかります。フルタイムでの勉強に比べると、両立によって勉強時間が限られるからです。
個人差も大きく、すでに簿記などの知識がある方や、勉強法を実践できる方は、より短期間で合格できるケースもあります。より詳しくは、下記ページをぜひご覧ください。
公認会計士のママでも仕事と家計の両立はできますか?
公認会計士のママでも、工夫次第で仕事と家庭の両立は十分可能です。監査法人や会計事務所で、育児休暇や時短勤務、テレワークなどの制度が整ってきているからです。
実際に、結婚・出産を経験しながらキャリアを続けている女性会計士は少なくありません。出産・育児の経験が、時間の使い方や人との接し方など、職場に戻った後にも役立ちます。
社会人が公認会計士を目指すのは無謀ですか?
社会人が公認会計士を目指すのは、決して無謀ではありません。社会人(会社員・公務員など)の合格率は約4〜5%ですが、合格している方がおられるのは事実です。
社会人の場合、勉強時間の確保が課題ですが、通信講座やオンライン学習の活用、隙間時間の有効利用など、工夫次第で乗り越えられます。ぜひ、下記ページも一緒にご覧ください。
まとめ
公認会計士試験の勉強と監査法人での仕事の両立は、確かに簡単ではありません。勉強時間の確保、体力・精神的な負担、プライベート時間の減少など、乗り越えるべき課題はたくさんあります。
しかし、実務経験を積みながら学べる、試験合格後の就職活動が不要、キャリアの幅を広げられるなどのメリットがあるのもまた事実です。「公認会計士試験の勉強」と「監査法人での仕事」の両立は大変ですが、計画的に取り組み続ければ必ず実現できます。
マイナビ会計士では、両立を目指したい方にマッチした求人をご提案しています。興味がある方から本気で目指したい方まで、まずはぜひご相談ください。
<ココまでのまとめ>
・ポジティブな精神状態をつくるためには「事前の情報収集」が不可欠。
・どのルートが正解かは人それぞれ。両立に悩む人は徹底した情報収集とスケジューリングをする。
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転職された方の声
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進路について適切なアドバイスをしてもらえました!自分の進路について明確な答えが出せていなかったものの、どの業種に進んだら良いかなど適切にアドバイスをしてもらえました。どういったキャリアを積んでいけばより市場価値を高められるのか、候補の会社がどう違うのかを具体的に説明していただけました。(30代/会計士) -
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