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公認会計士の短答式試験とは?合格率からボーダーや推移まで詳しく解説

公認会計士の短答式試験とは?合格率からボーダーや推移まで詳しく解説

短答式試験とは、公認会計士に必要な基本知識を体系的に理解しているかを判定する試験のことです。合格するためには年間の受験者数や試験の難易度によって変動するボーダーラインをクリアする必要があり、しっかりとした対策が求められます。

今回は、公認会計士の短答式試験の基本から合格率、ボーダーの推移や勉強方法まで詳しく解説します。これから公認会計士試験に挑戦する方や、すでに勉強をはじめている方はぜひ最後までお読みください。

マイナビ会計士では、公認会計士を目指す方のキャリアサポートを行っています。実務経験を積める環境や、試験勉強と両立できる職場をお探しの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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公認会計士試験の短答式試験とは

公認会計士の短答式試験とは、公認会計士になるために必要な基本的な知識を測るマークシート方式の試験のことです。年に2回のスケジュールとなっており、財務会計論・管理会計論・監査論・企業法の4科目があります。

項目 内容
試験形式 マークシート方式(5肢択一)
試験時間 5時間(財務会計論120分、その他各60分)
受験料 19,500円
合格基準 総点数の70%を基準とした相対評価

短答式試験に合格すると、論文式試験の受験資格を得られます。また、一度合格すれば合格発表日から2年間は短答式試験を免除できます。

各年度における公認会計士試験の詳細については、以下の公式サイトでも最新情報をご確認ください。

参照:日本公認会計士協会
参照:公認会計士・監査審査会(金融庁)

公認会計士の短答式試験の内容

ここからは、公認会計士の短答式試験の具体的な内容について、以下の4つにわけて紹介します。

  • 日程・時間割
  • 科目・配点
  • 科目免除制度
  • 難易度

日程・時間割

公認会計士の短答式試験は、例年12月(第I回)と5月(第II回)の年2回の実施です。インターネット出願(オンライン出願)を基本とし、令和7年試験からは完全にオンライン出願のみに変更となっています。

例えば、令和6年(2024年)の試験日程は12月8日(日)、令和7年(2025年)では5月25日(日)でした。時間割はどちらも以下のとおりです。

科目 時間
企業法 9:30~10:30
管理会計論 11:30~12:30
監査論 14:00~15:00
財務会計論 16:00~18:00

最新の試験日程については、常に以下のページで最新情報を公開しています。間違えないように、公認会計士・監査審査会の公式サイトでご確認ください。

参照:公認会計士試験 試験実施情報(お知らせ・スケジュール)|公認会計士・監査審査会(金融庁)

科目・配点

公認会計士の短答式試験は以下の4科目で、財務会計論の配点だけほかの科目と比べて2倍となっています

科目 配点 試験時間 問題数
財務会計論 200点 120分 最大40
管理会計論 100点 60分 最大20
監査論 100点 60分 最大20
企業法 100点 60分 最大20

財務会計論は、配点が200点と全体の40%を占める重要科目です。一方、ほかの3科目はそれぞれ100点ずつの配点です。各科目の詳細や傾向については、以下のページにまとめています。

科目免除制度

公認会計士の短答式試験には、一定の条件を満たした方に対する科目免除制度があります。合格発表日から2年間、合格していた場合の短答式試験の受験はすべて免除です。

また、学歴や資格、実務経験などによる短答式試験そのものを免除できる制度もあります。

対象者 免除科目(短答式)
商学の教授・准教授/商学博士 全科目免除
法律学の教授・准教授/法律学博士 全科目免除
司法修習資格取得者・司法試験合格者(※2022930日以前の免除交付者) 全科目免除
旧司法試験第2次試験合格者 全科目免除
税理士有資格者 財務会計論のみ免除
税理士試験で「簿記論」+「財務諸表論」合格者 財務会計論のみ免除
会計専門職大学院 修了(または修了見込)者 財務会計論、管理会計論、監査論の3科目免除
上場会社等で会計事務に7年以上従事 財務会計論のみ免除
高等試験(旧司法試験)本試験合格者 全科目免除
参照:免除申請の手続について|公認会計士・監査審査会(金融庁)

条件こそ厳しいですが、短答式試験の免除を受けられれば論文式試験の対策のみに集中できます。免除制度の詳細やメリットについて詳しくは、以下のページで解説しています。

難易度

公認会計士の短答式試験はマークシート方式によって知識を問う形式を採用しており、論述を基軸とした論文式試験と比較すると難易度は低いです。ただし、合格には約1,000〜2,000時間の勉強時間を要します。

また、近年は受験者数の増加により、以前に比べて難易度が高まっている傾向にあります。合格の基準は相対評価(偏差値)による合否判定のため、ほかの受験生との競争に勝つ必要があるからです。

1科目でも満点の40%に満たない場合、答案提出者の下位からさかのぼって「33%の人数に当たる方と同一の得点比率」の場合は不合格となる可能性があります。苦手科目を作らない対策を求められ、難易度は人数の増加に応じて高まる見込みです。

公認会計士の短答式試験の合格率

公認会計士の短答式試験の合格率は、近年10%前後で推移しており、厳しい競争となっています。第I回・第II回の過去5年における合格率は、以下のとおりです。

【第I回短答式試験の合格率】
年度 受験者数 合格者数 合格率 (%)
令和32021)年 9,524 2,060 21.6
令和42022)年 9,949 1,199 12.0
令和52023)年 11,401 1,182 10.3
令和62024)年 12,100 1,304 10.7
令和72025)年 12,336 1,383 11.2
※合格率は小数第2位を切り捨て
【第II回短答式試験の合格率】
年度 受験者数 合格者数 合格率 (%)
令和22020)年 5,616 722 12.8
令和42022)年 9,870 780 7.9
令和52023)年 10,430 921 8.8
令和62024)年 11,003 1,041 9.4
令和72025)年 11,127 1,026 9.2
※合格率は小数第2位を切り捨て

第I回と第II回の試験において、難易度の違いは設けられていません。ただし、受験者の傾向や試験問題の内容によって合格率に差が生じます。詳細な合格率の分析については以下の記事をご覧ください。

短答式のボーダーの推移

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※令和3(2021)年の第Ⅱ回短答式試験は未実施

公認会計士の短答式試験のボーダーライン(合格ライン)は、約63~73%で推移しており、「70%クリア」がひとつの目安となっています。ただし、年度ごとの振れ幅を考慮し、「最終的に80%近い得点を狙う」くらいのマインドで学習計画を立てると、年度・回によるボーダーの上下動にも安心して対応できます。

模試や過去問演習では必ず得点率を出し、自らの進捗が「想定ボーダー+安全マージン」に届いているかを定期的に確認してください。なお、第I回・第II回ともに難しい・易しい年は存在しますが、平均的には±2〜3ポイントの範囲に収まっており、「どちらが極端に有利/不利」という傾向は見られません。

公認会計士の短答式試験に必要な勉強時間の目安

公認会計士の短答式試験に合格するには、一般的に2〜4年、合計3,000〜6,000時間以上の勉強を要します。短答式試験には約1,000〜2,000時間、残りは論文式試験に充てるのが一般的な配分です。

短答式は全体の約1/3程度の時間で抑えられますが、相応の学力は必要です。また、勉強時間は受験回数や学習スタイル(専念型・兼業型・支援型)によって変わるほか、会計・簿記の事前知識があるかも影響します。より詳しくは、以下のページにまとめたのでご覧ください。

科目別の時間配分

短答式試験の勉強時間を科目別に配分すると、以下のようになります。全体の割合と難易度から見ると、財務会計論をメインに監査か企業法あたりに力を入れるのがベターです。

科目 配点比率 配分の目安 備考
財務会計論 40% 400〜800時間 計算・理論両方の対策が必要。出題範囲も広く、最重視。
管理会計論 20% 200〜400時間 計算メイン。パターン学習が有効
監査論 20% 200〜400時間 理論中心。過去問の回転重視
企業法 20% 200〜400時間 条文知識+判例中心。暗記系だが深さあり。

繰り返しとなりますが、いずれかに特化しても合格はできません。

  • 1科目でも満点の40%に満たない
  • 答案提出者の下位からさかのぼって「33%の人数に当たる方と同一の得点比率」

上記に該当した場合は、不合格となる可能性があるからです。苦手の克服にも時間を充てて、総合点を高める意識を持ってください。

公認会計士の短答式試験の勉強方法

公認会計士の短答式試験の代表的な勉強方法には、以下が挙げられます。

  • 「何が問われるか?」から逆算してテキストを読む
  • 「テキストは使うもの」と割り切る
  • 財務・管理会計は"スピードの壁"を最初から意識する
  • 理論科目は「自分の言葉に変換する」
  • 100%理解しようとしない

「何が問われるか?」から逆算してテキストを読む

まず、短答式試験の過去問を1年分ざっと見て、「この科目ってこういう聞き方されるのか」を知るのがスタート地点です。小さな「傾向の気づき」を踏まえると、テキストでは何を重視すべきかが見えてくるからです。

例えば企業法なら「この文の語尾変え問題が多い」といった気づきがあるはずです。実際に手元に過去問があるなら1科目だけ、過去問を10問見て「どう問われているか」をメモしてください。テキストを読む際の意識が変わり、学習の質を高められます。

「テキストは使うもの」と割り切る

公認会計士の短答式試験に使うテキストは、ただ読み物として使っても効果を得られません。「あ、この知識、ここで使ったな」といった具合に、知識を照らし合わせるように使って記憶への定着を促してください

つい、理解できるまで熟読してしまいやすいですが、この方法であれば最初から完璧に読む必要はありません。問題を解いてはじめて「なるほど」となる工程を繰り返した先に記憶の定着があります。

より効果を高めたい方は、問題を解いたあとにテキストの該当箇所に対して、「自らの言葉」で1か所だけメモを書き足してください。「自らの言葉で説明する力」を身につけられ、インプットの質も高くなります。

財務・管理会計は"スピードの壁"を最初から意識する

短答式試験はマークシート方式で知識を問う試験であり、「解ける」のは大前提のスタートラインです。どの科目を受験するにしても1問に使える最大時間は「約3分」ですので、「速く・正しく解ける」というスピード感を意識した学習を心がけてください

最初は「正しく解けるまで時間無制限」でも良いですが、2周目からはストップウォッチを必須で挑んでください。実際の試験で慌てないメンタルを鍛えられるほか、1問だけでも時間を測って解いてみると、解くまでに時間がかかっている苦手分野の発見も可能です。

理論科目は「自分の言葉に変換する」

短答式試験はマークシート方式だとしても、理論科目(監査・企業法)は丸暗記ではなく、「自らの言葉で説明できるか」を重要視してください。実際の問題では、「一見正しそうに見えるけど実は誤り」というひっかけを狙うような記述も散見します。

この記述を見破るには、「条文や基準の文言を単に記憶している」だけでは得点できません。対策としては、普段の勉強から解説やテキストを1~2行で自らの言葉で言い直してみるのが有効です。

企業法なら「株主総会=会社の持ち主が最終的に決める会議」みたいな感じでざっくりとしていても良いです。気になった理論用語を、「自らの言葉」で残し続ければ説明できるほどの理解を積み上げられます。

100%理解しようとしない

公認会計士の短答式試験の合格を目指すのであれば、だれもが100%を目指すはずです。ただ、合格ラインは約80点であり、100点を目指す完璧主義は進捗を遅らせる原因にもなります。わからない問題には「△」だけつけて、進める勇気を持ってください。

全体の科目の得点力を見て、平均点での不合格という仕様がある以上、"幅広く・浅く・取りこぼし少なく"が命です。3〜5日前に△をつけた問題を復習し、〇にできるよう取り組みながら「全体の進捗と苦手の克服」を心がけてください。

公認会計士の短答式試験を終えたら論文式の対策へ

短答式試験に合格したら、次は論文式試験の対策が待っています。論文式試験は応用能力を問う記述式の試験で、必須科目5科目(財務会計論、管理会計論、監査論、企業法、租税法)と選択科目1科目の計6科目を受験します

論文式試験は8月中旬に3日間にわたって実施され、合格発表は11月中旬の予定です。短答式試験とは出題形式や求められる能力が異なるため、しっかりとした対策が必要です。論文式試験の詳細については、以下の記事をご覧ください。

試験対策と同時に積みたい実務経験

論文式試験の勉強に加えて、合格後の登録に必要な「実務補習+実務経験(3年)+修了考査」の3点セットも待っています。なかでも実務経験は3年と長く、働きながら学ぶか、試験後すぐに働きはじめるのがおすすめです

公認会計士試験合格者が実務経験を積むには、監査法人での業務補助や一般事業会社での実務従事がありますが、実際には監査法人に就職するケースがほとんどです。監査法人であれば通常の業務をこなすだけで実務要件を満たせるためです。

マイナビ会計士では、監査法人以外にも公認会計士試験の合格者向けの求人を多数取り扱っています。実務経験を積みながらキャリアを築きたい方は、ぜひご相談ください。

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公認会計士の短答式試験に関するよくある質問(FAQ)

最後に、公認会計士の短答式試験について、受験生からよく寄せられる質問にお答えします。

公認会計士試験の短答と論文どっちが難しい?

公認会計士試験は、一般的にマークシート式よりも記述をメインとする論文式試験のほうが難しいです。2015年~2024年のデータから算出した平均合格率は、短答式は15.5%、論文式は35.7%と、難易度は一見すると後者のほうが高く見えます。

しかし、論文式は短答式をクリアした受験者が母集団となっているほか、論文式は論述力と答案構成力が問う形式で求められる能力も異なります。単純な合格率の比較以上に、ご自身の得意・不得意や学習に使える時間の配分、試験形式への適性も加味して難易度を判断してください。

公認会計士の短答式試験の過去問はどこにある?

公認会計士の短答式試験の過去問は、「過去の試験結果等(公認会計士・監査審査会)」で閲覧できます。具体的には、各年数のページの下部に論文式試験をまとめており、「試験問題および答案用紙について」から無料で利用できます。興味がある方は、以下の公式ページからご覧ください。

参照:過去の試験結果等|公認会計士・監査審査会(金融庁)

会計士試験の短答式のボーダーラインは?

会計士試験の短答式のボーダーラインは概ね63~73%で推移しています。ギリギリであれば「70%クリア」がひとつの目安です。ただし、年度ごとの振れ幅を考慮し、「最終的に80%近い得点を狙う」くらいであれば、年度・回によるボーダーの上下動にも安心して対応できます。

会計士試験の一発合格率は?

公認会計士試験の一発合格率は、短答式・論文式に同年で挑戦した場合だと約5~6%です

年度 短答式合格率(% 論文式合格率(% 一発合格率(%
2015 15.9 34.1 5.4
2016 15.8 35.3 5.6
2017 19.8 37.2 7.4
2018 16.6 35.5 5.9
2019 16.6 35.3 5.9
2020 15.7 35.8 5.6
2021 21.6 34.0 7.3
2022 12.0 35.8 4.3
2023 10.4 36.8 3.8
2024 10.8 36.8 4.0

毎年のデータには、既に何度か短答に合格して免除期限内で論文を受ける「繰り上がり組」や、論文で不合格になったリピーターも含まれます。個人の学習状況や年度の難易度変動を加味したうえで、自分なりに安全マージンを持った目標設定を推奨します。

まとめ

公認会計士の短答式試験は、年2回の実施機会があり、マークシート方式で基本的な知識を幅広く問う試験です。合格率は約10%前後と厳しく、ボーダーラインは70%前後で推移していますが、確実な合格を目指すなら80%近い得点力が必要となります。

また短答式試験の合格前後には、論文式試験対策、実務経験を積むためのキャリア準備も進めていかなくてはなりません。自らが使える勉強時間や、ゴールまでに定めた期間から逆算して計画的な勉強を進めてください。

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