内部監査の平均年収は?高年収を目指す方法とポイント
内部監査の仕事は、企業のリスク管理やガバナンスの強化、業務の効率化など、企業経営において重要な役割を担います。そのため、関連するスキルや経験は高く評価され、それに伴い年収も比較的高水準に設定されていることが多いです。
しかし、具体的にどの程度の年収を期待できるのか、また、どのようにして年収をさらにアップさせることができるのかは、なかなか情報が得られにくいものです。そこで、この記事では、内部監査の平均年収と、その年収をさらに高める方法について、具体的な数字や事例を交えながら解説します。
求人情報から見えてくる業界別の年収の違い、年代別の平均年収、さらには監査法人や公認会計士との比較にも触れるため、ぜひ最後までご覧ください。
マイナビ会計士編集部
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目次
内部監査の求人から見る年収
内部監査の求人から見る年収は、おおよそ500から1,000万円の範囲です。ただし、この年収はその人のキャリアや専門性、担当する業務の範囲、さらには業界の特性によって大きく左右されるため、一概には言えません。
例として、5つの業界別に内部監査における年収の目安を下表にまとめました。
業界 | 年収範囲 |
---|---|
総合商社 | 662〜820万円 |
金融機関 | 750〜890万円 |
IT/通信 | 500〜800万円 |
医薬品・医療機器 | 500〜900万円 |
メーカー(マネージャー) | 800〜1,050万円 |
内部監査の職においては、経験年数が長ければ長いほど、また、資格や専門的なスキルを有している場合には高い年収が設定される傾向にあります。そのため、マネージャーや部長クラスになると年収は1,000万円を超えることも珍しくありません。
そもそも内部監査はどのような仕事なのかが気になる方は、ぜひ下記ページをご覧ください。
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監査の基本!内部監査の基礎知識
もし、そのほかにも求人における年収を確認したいとお考えでしたら、下記ページから実際に検索してみましょう。
高い?内部監査の平均年収
内部監査の平均年収は、おおよそ637万円です。また、年代別、男女別の平均年収を、下表にまとめました。
項目 | 20代 | 30代 |
---|---|---|
平均年収 | 353万円 | 535万円 |
男性平均年収 | 348万円 | 607万円 |
女性平均年収 | 362万円 | 434万円 |
このデータから、年代が上がるにつれて平均年収も増加しています。特に、30代における男女間での年収差が顕著に表れており、男性は607万円、女性は434万円です。40代および50代においては、調査結果にないものの、後述する公認会計士を参考にすると700〜900万円の水準となるでしょう。
そして、令和4年分民間給与実態統計調査(国税庁)によると、一般労働者の平均年収が平均給与は458万円です。このことから、内部監査は比較的高い職種に位置づけられ、年齢が上がるにつれて年収も上昇する傾向にあると言えます。
監査法人との比較
内部監査の平均年収である637万円と、監査法人の年収である597万円を比較すると、内部監査の方が40万円ほど高くなります。しかし、年代別および男女別に見てみると、監査法人の方が年収は高くなります。監査法人における年代別の平均年収は、以下のとおりです。
項目 | 20代 | 30代 |
---|---|---|
平均年収 | 522万円 | 657万円 |
男性平均年収 | 567万円 | 713万円 |
女性平均年収 | 413万円 | 526万円 |
実際に計算して、平均年収の差額をまとめています。内部監査は、若手で比較すると20代・30代のどちらも監査法人よりも低いです。
年代・性別 | 内部監査 | 監査法人 | 平均年収差額 |
---|---|---|---|
平均年収 | 637万円 | 597万円 | +40万円 |
20代男性 | 348万円 | 567万円 | -219万円 |
20代女性 | 362万円 | 413万円 | -51万円 |
30代男性 | 607万円 | 713万円 | -106万円 |
30代女性 | 434万円 | 526万円 | -92万円 |
監査法人は、年代に関係なく多くの企業に対して外部監査を提供するため、高い需要があります。また、国際的な業務を担うことも多く、その専門性とスケールの大きさが高い報酬につながりやすいです。そして、内部監査は資格を必要としないのに対して、監査法人では公認会計士などの資格が必要です。
ただ、内部監査を担うには相応の経験が求められ、新卒での採用は多くありません。加えて、厚生労働省のjob tagでも平均年齢は43.7歳と高いこと、30代以降での給与水準も総じて上昇しやすいことを踏まえると、監査法人より平均年収は高くなりやすいでしょう。
監査法人の年収について詳しくは、下記ページをご覧ください。
参照:内部監査人|厚生労働省
公認会計士との比較
内部監査の平均年収は637万円に対し、公認会計士の年収は627万円と約10万円の差があります。ただし、公認会計士の年収は厚生労働省の賃金構造基本統計調査から導き出しており、税理士を含めています。そのため、全体の年収としてはもう少し高くなる見込みです。
まず、公認会計士における年代別・男女別の年収は、以下のとおりです。
年齢 | 男性平均年収 | 女性平均年収 |
---|---|---|
全年齢の平均 | 677万円 | 458万円 |
20~24歳 | 341万円 | 283万円 |
25~29歳 | 537万円 | 341万円 |
30~34歳 | 675万円 | 537万円 |
35~39歳 | 751万円 | 440万円 |
次に、男性と女性の年代において平均値を求めて、内部監査と比較した結果を下表にまとめました。年代別、男女別に見ても全体として内部監査の方が年収は低い結果です。
年代・性別 | 内部監査 | 公認会計士 | 平均年収差額 |
---|---|---|---|
平均年収 | 637万円 | 627万円 | +10万円 |
20代男性 | 348万円 | 567万円 | -219万円 |
20代女性 | 362万円 | 413万円 | -51万円 |
30代男性 | 607万円 | 713万円 | -106万円 |
30代女性 | 434万円 | 526万円 | -92万円 |
※20代 (20~24歳と25~29歳の平均)、30代 (30~34歳と35~39歳の平均)を算出して計算
公認会計士においては、監査法人(BIG4)での平均年収が785万円(大規模)、835万円(中規模)となっており、一般事業会社でのCFOなど上層部の役職になると1,500万円以上も可能です。そのため、従事先によっても年収は大きく変化します。
一方で、内部監査は資格を必要としないこと、豊富な業務経験を求められることから若手はポテンシャル採用となって年収も低くなりやすいことから低くなっていると考えられます。このことから、公認会計士と比較するとやや低めですが、資格取得や経験の積み重ねによって、年収を高めることが可能です。
なお、公認会計士の年収・給与については、下記ページをご覧ください。
内部監査の年収を高める4つの方法
ここまで触れたように、内部監査の年収は監査法人や公認会計士と比較して平均は高いものの、若手ではやや低い傾向にあります。では、どのようにして年収を高めると良いのでしょうか。ここからは、内部監査の年収を高める方法を、以下の4つに分けて解説します。
- 昇進を目指す
- 関連する資格を取得する
- 会話レベルの英語力を身につける
- 転職で年収アップを目指す
昇進を目指す
まず、内部監査の年収を高める方法として挙げられるのが、昇進を目指すことです。通常、内部監査のキャリアパスには、スタッフ、マネージャー、ディレクター、シニアマネージャー、そしてCAE(Chief Audit Executive)といった役職があります。
そのため、相応の経験を積み、着実に実力を伸ばしてそれぞれの役職に昇進することで自然と年収も上がっていきます。特に、CAEは企業の内部監査部門のトップであり、戦略的な意思決定にも関わることができ、それに伴い年収も大幅なアップが期待できるでしょう。
現在、働いている企業で昇進の実績がなく、今後も見込めない場合には、それぞれの役職を狙った転職も選択肢の1つです。この転職での年収アップについては、後ほど詳述します。
関連する資格を取得する
次に、内部監査の専門性を証明し、キャリアアップを目指すためには、関連する資格の取得が非常に有効です。資格を取得することで自らのスキルを証明してキャリアアップを目指したり、資格手当によって間接的に年収を高めたりできるからです。
内部監査に求められる仕事内容やスキルを踏まえると、資格には以下が挙げられます。
- 公認内部監査人(CIA)
- 公認不正検査士(CFE)
- 公認リスク管理監査人(CRMA)
- 内部監査士(QIA)
- 公認情報システム監査人(CISA)
- ISO内部監査員資格
- IPO内部統制実務士
先に触れたように、内部監査の部長やマネージャーなどの昇進を目指す場合、資格の取得は良いアプローチとなり得ます。ただ、働くだけであれば資格は不要であるため、あくまでもより自らの市場価値を高める方法としての位置付けです。
また、資格取得には、試験の準備や受験料など、ある程度の時間とコストが必要ですが、長期的なキャリアアップと年収向上を考えると、投資する価値は十分にあるでしょう。
内部監査で取得したい資格について詳しくは、ぜひ下記ページもご覧ください。
会話レベルの英語力を身につける
3つ目の内部監査で年収を高める方法が、会話レベルの英語力を身につけることです。グローバル化が進む現代において、英語力は内部監査の職務を遂行する上でも求められます。事実、TOEIC700〜800点以上のスコアやビジネスレベルの英語力を持つことは、マイナビ会計士で掲載する求人でも見られ、年収も総じて高く設定されています。
例えば、2024年4月時点に掲載されていたものだと、「東京都新宿区での監査および内部統制評価」では、ビジネスレベルの英語力を持つことが求められ、年収は750万円〜890万円です。また、「東京都千代田区での内部監査業務」では、TOEIC730点以上の英語力が必要とされ、年収は800万円〜1500万円と非常に高額です。
このように英語力を高めることで年収の向上が期待でき、国際的なプロジェクトに参加する機会が増えて高度な経験も積むことができます。また、外資系企業やグローバルに展開する日本企業での就職・転職のチャンスも広がるでしょう。
転職で年収アップを目指す
最後に、内部監査の分野でキャリアを積んでいるものの、現在の職場では年収が頭打ちになっていると感じている方は少なくありません。そのようなとき、キャリアアップのための転職を検討することは、年収アップを実現する有効な手段の1つです。
転職では、その価値を正当に評価してもらえるチャンスを広げ、より高いポジションを目指すことができます。また、内部監査のスキルは、業界を問わず幅広く活用できるものです。そのため、より高い年収を提示している業界や企業への転職を検討することで、年収アップも目指すことができます。
内部監査の年収を高めるためには、現状に満足せず、常に自己成長を目指して市場価値を高める努力が必要です。転職はその1つの手段であり、自分自身のキャリアと年収を次のレベルへと押し上げる大きなチャンスとなり得るのです。
マイナビ会計士では、業界専門のキャリアアドバイザーが最適なキャリアプランをご提案いたします。少しでもお悩みでしたら、お気軽にお問い合わせください。
内部監査は将来性がありますか?
近年、ビジネス環境の変化に伴い、企業のリスク管理やコンプライアンスの重要性が高まっています。このような背景から、内部監査の役割が注目されて需要は増加の一途をたどり、将来性も高いです。
また、デジタル化の進展も内部監査に大きな影響を与えています。AIやデータ分析ツールの導入により、監査プロセスの効率化が進み、予測分析を活用して将来のリスクを事前に特定することで市場の変動やサイバーセキュリティの脅威への対応も可能となりました。
さらには、改正公益通報者保護法の施行など、法的要件の変化も内部監査の役割を拡大しています。このようなデジタル化を含めた役割の拡大は、内部監査の専門性をより一層高め、その価値も高めるものです。結果として、需要は大企業だけに限らず、中小企業からも高まることが見込め、将来性も高い職種であると言えます。
内部監査の将来性についてより詳しくは、ぜひ下記ページもご覧ください。
内部監査に向いている人は?
内部監査に向いているのは、以下の特徴を持っている人です。
- 経営に興味・関心がある人
- 優先順位をつけて働ける人
- コミュニケーションや連携が得意な人
- 論理的に物事を考えられる人
- 物事を俯瞰して見られる人
- 法律や規則を守る姿勢がある人
- 豊富な実務経験や経営者視点がある人
- 支援を得意とする人
- AIやデータアナリティクスに抵抗がない人
内部監査は、組織の健全性を保ち、成長を促すために不可欠な役割を担っています。そのため、上記の特性やスキルを持つ人は、内部監査の分野で大きな成果を上げることができるでしょう。内部監査に向いている人の特徴や、向いていない人については、下記ページも参考にしてください。
内部監査から目指せるキャリアパス
内部監査から目指せるキャリアパスには、以下が挙げられます。
- 内部監査部門の管理職
- 役員としての経営参画
- 経営コンサルタント
通常、内部監査部門でのキャリアは、監査スタッフから始まり、シニア監査スタッフ、監査マネージャー、そして監査ディレクターへと昇進していくことが一般的です。特に大手上場企業では、このような段階的なキャリアアップが可能であり、管理職まで安定したキャリアと昇進の機会を得られるでしょう。
また、内部監査で培った組織全体のリスク管理や内部統制の知識は、経営判断においても大きな強みとなり、経営幹部や役員へ昇格する道もあります。そして、内部プロセスに深い洞察を持つ内部監査のスキルは、経営課題の解決やビジネスプロセスの改善に直結するため、経営コンサルタントとしても活躍できます。
そのほかにも、IPOの準備を進めている企業での内部監査や、より広範な業務に携わりたい場合には、グローバル展開する外資系企業も1つの選択肢です。このように、内部監査での経験は多様なキャリアパスへの扉を開く貴重な資産となります。
キャリアパスについて詳しくは、下記ページもご覧ください。
転職を目指す際のポイント
内部監査への転職を目指す際のポイントは、自身のスキルと経験を具体的に伝えることです。例えば、監査法人や他業界での経験を内部監査に活かせることを伝えたり、CIA資格取得や継続的学習意欲を通じて専門性を高めたりするなどです。また、特定の業界での経験を新たな職場で役立てられるようにアプローチするのも良いでしょう。
そのほか、内部監査における転職シナリオ別のアピールポイントを下表へまとめました。
転職のシナリオ | アピールポイント |
---|---|
未経験からの転職 | 既存スキルの活用、内部監査への理解 |
監査法人からの転身 | 分析能力、事業体理解の応用 |
公認内部監査人(CIA)としてのキャリアアップ | リスク管理経験、会計・財務分析の活用 |
上場前ベンチャー企業からの転職 | コミュニケーション能力、変化への対応力 |
経理・法務からの転職 | 業務知識、法務的視点、冷静な判断力 |
特定の業界からの転職 | 業界知識、経験の活用、リスクマネジメント強化 |
それぞれのポイントを自己PRに組み込むことで、内部監査への転職においての強みと転職への意欲が伝わります。また、年齢に関係なく、自らの経験がどれだけ親和性の高いものかを伝えられると、採用のチャンスを広げられるでしょう。内部監査の志望動機の書き方については、ぜひ下記ページもご覧ください。
内部監査と年収に関するFAQ
最後に、内部監査と年収に関する以下の質問へ回答します。
- 内部監査はきついですか?
- 内部監査の平均年齢は?
- 監査法人の年収は一年目でいくらくらいですか?
内部監査はきついですか?
内部監査の仕事が「きつい」と感じるかどうかは、個人の価値観やキャリアに対する姿勢に大きく依存します。仕事を楽しいと感じられる人もいる一方で、不正を防ぐために求められる精密さや厳正さに疲れてしまうことも少なくありません。
また、年収が高くなるにつれて、その責任も増えるため、仕事のプレッシャーを感じやすくなる傾向にあります。しかし、その責任感と業務内容がやりがいに感じられる場合には、魅力的なキャリアパスとなるでしょう。
内部監査の平均年齢は?
厚生労働省が運営するjob tagによると、内部監査人の平均年齢は42.7歳です。内部監査の仕事は、企業のリスク管理やコンプライアンスの確保、業務の効率化などを目的としており、そのためには多様な視点と経験が求められます。このため、若手からベテランまで様々な年齢層の監査人が活躍しているのです。
また、内部監査人は、一般的には社内異動に加えて中途採用するケースが多く、企業内での経験を積んだ者が多い傾向にあります。新卒で採用された場合でも、内部監査部門への配属を経て、実際に一人前の監査人として業務を行うまでには通常1~2年の期間が必要です。
監査法人の年収は一年目でいくらくらいですか?
内部監査の分野における一年目の平均年収は、厚生労働省が運営するjob tagによると約437.4万円です。ただし、この数値はあくまで平均値であり、実際の年収は所属する監査法人の規模や地域、さらには個人の資格やスキルによって大きく異なることがあります。
また、内部監査のキャリアを積むにつれて、年収も徐々に上昇します。例えば、マネージャーや部長といった上位の職位に就くことができれば、年収は500万円を超え、場合によっては1,000万円に達することもあります。専門資格の取得やスキルアップ、キャリアアップを通じて、より高い年収を目指していきましょう。
まとめ
内部監査は、企業のリスク管理やガバナンスの強化、業務の効率化のために重要な役割を担います。この職種の年収は、経験や役職、勤務する企業の規模によって異なりますが、求人をベースにすると一般的には500万円から1,000万円の範囲に収まることが多いです。年収をさらに高めるためにも、専門性の向上、業界知識の習得、コミュニケーション能力の向上を目指しましょう。
マイナビ会計士では、内部監査の専門性を活かしたキャリアアップを全力でサポートいたします。最適な求人情報の提供はもちろん、キャリアプランの策定や面接対策まで丁寧にアドバイスいたします。一緒に、あなたのスキルと経験を高く評価してくれる企業を見つけ、さらなる年収アップを実現しましょう。
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