会計士が独立開業することで「選べる」ようになること
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独立開業することで初めて得られる、「自分で選ぶ」「自分で決める」といった裁量の大きさ。実はその範囲は、仕事だけにとどまらない。仕事のスタンス、私生活とのバランス、そして、新たに開かれた、仕事でも私生活でもない新しいフィールド。独立会計士ならではの、柔軟で幅広い生き方を、後藤さんに語っていただいた。
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プロフィール
後藤英彦 公認会計士・税理士
慶應義塾大学卒業後、繊維系メーカーに営業職として勤務。その後、一念発起して公認会計士を目指し退職。2005年、公認会計士試験合格後は新日本監査法人(現 EY新日本有限責任監査法人)に勤務。法定監査、内部統制監査などに従事。2010年、独立。2014年、一番町共同会計事務所を設立。
特定非営利活動法人きざし代表。NPO法人キッズドア基金、一般社団法人コペルニク・ジャパン理事など非営利団体の活動にも積極的に関わっている。
独立して変わった「仕事」のこと
不安の中で始まった、独立生活
公認会計士といえども、監査法人を辞めて、独立して自分で事業を始めることはとても不安です。監査法人時代は、なんと言っても法人のブランドで仕事があるわけで、自分の力量で仕事をとれているわけではないことはわかっているからです。独立して、仕事があるか、不安は当然といえます。
私自身、独立前の不安は同様にありました。ただ、監査法人に勤めている最中に、数人の独立会計士の先輩方のお話をいろいろとうかがっていると、そのすべての方が、「なんとかなるよ」というお答えでした。みんながそう言うならば、そうなんだろうという楽観主義のもと、何の伝手もない中で、監査法人を辞めて独立することとしました。
よろず屋というスタンスで生きていく
独立している公認会計士でも、会計監査を中心にやる人、コンサルティング業務が多い人、税務中心の人など、人によって行っている業務は多種多様です。私自身は、ご縁があった仕事の多くにチャレンジしていくようにしており、まさによろず屋状態です。このようなスタンスでいることで、私自身のスキルアップにつなげることができ、また仕事の楽しさにつながっています。
お客様は公認会計士に、様々なことを求めてきます。会計監査のお客様であって税務の相談、会社法の相談、一般的なビジネスのこと。それらのことにお応えできれば、より仕事が楽しくなり、お客様との信頼関係も深まります。後藤に相談すれば、何かしらの回答が得られる。もしくは何かしらわかる手立てをアドバイスしてもらえると思ってもらえれば、そこからいろんな仕事にもまた繋がります。
一つのことの専門性を高めることもとても大事です。一方で、多くの分野で知見を持つことも、中小企業相手の仕事が多い独立会計士としては大事だと感じています。多くの分野で活躍できるのも公認会計士だと思います。
サービスの種類×お客様の種類=仕事の種類
お客様の業界も様々です。飲食、医療、美容、各種メーカー、専門商社。法人の形も、株式会社だけでなく、医療法人、学校法人、一般社団法人、NPO法人、様々な法人形態のお客様からご依頼いただきます。法人の違いから生じる問題を理解して解決していかなければ行けないため、依頼される業務の種類は自然と多くなります。
お客様の種類も多ければ、法人形態も様々。そして私が関わる業務も会計監査や税務、コンサルティングと異なった立場で関わります。医療法人一つとっても会計監査で関わる法人もあれば、税務で関わる法人もあります。様々な立場、業務で様々なお客様と関わることが多いので、仕事に飽きることなく過ごしています。
独立して変わった「私生活」のこと
独立したからこそ実現できる、超朝型生活
私生活も独立したあとでは大きく変わりました。監査法人時代はどうしても夜型になります。監査法人やクライアントの業務に合わせる必要があります。自分だけのペースではないため仕方がありません。
独立後は、お客さんのアポイントにもよりますが、基本的には自分で生活のリズムを決めることができます。私の場合、子どもがまだ小さいため、子育てに合わせています。夫婦共働きですので、私も子どもたちと一緒に21時ごろに就寝、朝は4時頃に起床します。そこから6時ごろまでは仕事。昼間は通常の仕事ですが、保育園の送り迎えも行うことができます。子供との時間を増やすことができるのも独立した醍醐味かもしれません。その結果、妻も働くことができ、夫婦関係も良好です。
独立して変わった「もう一つ」のこと
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仕事ではない活動が加わった
私が監査法人を辞めたのが2010年。その翌年に東日本大震災がありました。震災をきっかけに多くの非営利団体が設立されました。私も仲間数名と一緒にNPO法人を立ち上げ、福島の児童養護施設の子どもたちを支援する活動をはじめました。
NPO法人は行政の許認可が必要であるため、株式会社と異なる面が多々あります。しかし、まさにこのようなとき、公認会計士は運営の実務的な面では、役に立つことができると思っています。実際、管理部門の実務を得意とする人が仲間にいないこともあり、私自身が会計、税務、法務などに関してNPO法人に関するものを調べながら運営することができました。
NPOの活動が開いた新たな扉
このような活動は、私にまた新しい扉を開かせてくれました。ランドセルを児童養護施設に送るという支援がなされるとニュースで流れることがあります。従来、児童養護施設に対しては、その程度の知識しかもっていませんでした。今までなんとなくしか知らなかった児童養護施設。その存在を私がはっきり認識したのは、まさに3.11以降のNPO法人での活動をはじめてからです。
子供に対する虐待、ネグレクトなどが社会問題として取り上げられる昨今。児童養護施設で生活している子どもたちが、どのような境遇で、どのような支援を必要としているか、まだまだ社会には伝わっていないと感じています。子どもたちの実際の境遇をもっと社会に知っていただき、本当に子どもたちに必要な支援がなんなのか考えていきたいと思っています。
「もう一つ」ができるのも、独立しているから
NPO法人の活動は、震災以降今でも継続しています。今では自ら代表となる「NPO法人きざし」という新しい法人をたちあげ、児童養護施設の子どもたちの支援を行っています。私も仕事を持ち、家族もいる普通の社会人です。そのため、大きなことはできませんが、普通の社会人だからこそできる支援があると思っています。どちらかというと閉ざされた世界で生活している児童養護施設の子どもたちと社会とをつなぐ活動を行っています。
このようないわゆる“仕事”以外のことができるのも独立しているからこその面が強いと感じています。本業以外のもう一つの肩書、いわば『2枚目の名刺』を持つべきだ、ということを言う方がいます。私の場合も、いろんな仕事を行っている関係で、名刺そのものは何種類か持っていますが、いわゆる“仕事“以外の名刺も持っています。このNPO活動はまさに仕事以外の面で、公認会計士の業務を活かすことができるものです。社会に役立つことが実感できる名刺の持ち方だと思っています。
「もう一つ」の活動は、仕事にもプラス効果が大きい
このようなきっかけがあったため、NPO法人設立から運営に関する実務を自ら経験することができました。公認会計士は法律を読むこと、行政手続きなどに抵抗は少ないと思います。NPO法人に関する会計や税務だけでなく、手続き全般に関して自分で学んで運営していくことで多くのことを経験できました。そのご縁で、他のNPO法人や一般社団法人に関する設立や運営に関するご相談をいただくことになりました。仕事の幅がここでも大きくなっています。
一番大事なものは、信頼のおけるネットワーク
今、私は事務所を同じ公認会計士と共同で構えています。完全に個人一人で仕事を行う良さもある一方で、公認会計士が複数集まることでの良さもあります。お互いの仕事を補い、情報交換をすることができます。経費も負担し合うことで助かる面もあります。ただ、お互いに独立しているので、お財布は別にしています。あくまでも経済的には独立して、それぞれが仕事を取ってきて、助け合う形を取っています。
また、会計監査の仕事では、以前勤めていた新日本有限責任監査法人の同期の公認会計士と一緒に業務を行っています。監査法人を退職したあとも、同期の者と同じ仕事ができることもまた公認会計士として独立しているからこそと感じます。
どんな仕事も同じかもしれませんが、独立して感じることは、ネットワーク、人脈の大切さです。公認会計士の仕事は人からご紹介をいただいて受注する場合がとても多いです。人からの紹介ですので、その人から、後藤に頼みたい、後藤に頼めばなんとかしてくれると思っていただかなければいけません。そういった信頼関係をたくさん築くことがとても大切だと感じています。
また、受注した仕事を、実際行う段階でも、同様です。さきほど書きましたとおり会計監査は複数の公認会計士で実施します。そのような場合に、一緒に仕事をしたいと思っていただける仲間が必要となります。
信頼関係を結ぶことができるネットワークを築くことが、独立会計士に一番求められる能力ではないかと感じています。
※記事内容などは取材時のものになります。
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