CFOという立場の難しさ
公認会計士のキャリアがますます多様になる中で、いわゆる組織内会計士の求人も多くなってきた。中でも事業会社のCFOという立場は、公認会計士としての花形的なポジションになりつつある。しかし、ひとことにCFOといってもその仕事の中身は千差万別であるし、しかもその仕事は資金調達、決算体制の構築、証券会社や監査法人の対応、場合によっては不採算部門の引受先探しなどと、会社のステージによってコロコロ変わるものだ。今回は、某社でCFOという立場にいる古田さんと、その難しさと面白さについて語り合っている。
プロフィール
古田 一哉(仮名)30代男性 公認会計士
2009年に公認会計士試験に合格し、大手監査法人のIPO部門にて、監査業務、決算体制構築支援業務等に携わる。2017年より現職。ベンチャー企業のCFOとして、経営計画の策定、内部統制の構築、資本政策など、IPOに向けた業務に日々悪戦苦闘を繰り返している。
社長の覚悟を促すことが、最初の仕事
眞山:私も2021年から株式会社のCFOという立場を拝命していますが、古田さんはいつごろからCFOの仕事をされているのですか?
古田:2017年からです。2009年に公認会計士試験に合格して、大手のIPO部門にいました。今日は赤裸々な話をしたいので詳しくは話せませんが、当時ちょっとした縁がありまして、ベンチャー企業のCFOというポジションを紹介してもらっています。現在IPOに向けた準備中です。
眞山:IPOに向けた準備に入っているということは、会社も順調に成長を遂げているわけですね。そんな中で、CFOとしてどんなお仕事をされてきたか、ざっくり教えてください。
古田: おっしゃる通り、自分のミッションは今の会社をIPOさせること、だと社長には言われていました。まず自分がやったのは、社長に対してIPOへの道のりを理解してもらうことです。IPOを達成するには、業績面や体制面でどういった要件を満たさなければならないのか、そのために今やるべきことは何か、といったことを話して、社長に本当の意味での覚悟を持ってもらうことです。
眞山:IPOというと、社長たちが思い描くイグジットの最も典型的なイメージだろうと思いますが、実際にそこにたどり着くためには大変な苦労を必要としますからね。
古田:はい。私もIPO部門でいろいろな会社を見てきて、一番多かったのが、IPO担当者を一人だけポンと置いていろいろなタスクを任せるパターンで、その担当者が身を粉にして働いて、場合によっては心身を病んでしまって結局IPO自体が棚上げになってしまう、というものでした。そうならないようにするためには、社長にまず覚悟を決めてもらって、必要なリソースをしっかりと確保することだと思っていたのです。
眞山:CFOになられたころから、現在までに株式市場はいろいろな変化を遂げていますが、例えばプロマーケット市場とかへの上場も視野にいれたりはしていましたか?
古田:いちおうオプションとしては考えていましたが、弊社は割とB2C寄りのビジネスをしているので、せっかくだから広く一般の方にも投資してもらえるような会社になりたいと思っていたので、東証への上場を目指すことにしました。2022年から市場再編が行われたので、いわゆるグロース市場への上場を目指しているところです。
ベンチャー企業のCFOは、究極の便利屋かもしれない
眞山:会社の業績的には、心配はなかったですか?
古田:確かに、周りの会社はコロナ禍の影響などをもろに受けて大変な思いをしていますが、弊社はもともとオンライン系のサービスを提供していることもあり、そこまでの逆風はありませんでした。むしろ忙しさを増していく中で離職者が増えてしまったりして、そのせいで計画を見直さなければならない時期もありました。
眞山:成長過程の会社は、内部統制の対応もかなり大変ですよね。
古田:そうですね。いわゆるJ-SOXのための体制が十分に整わないのがつらかった。というか、成長の真っただ中にある会社ではそもそも業務フロー自体がコロコロ変わるので、文書化したころにはそのフローが陳腐化している、ということも普通にあります。そうすると監査上の対応も複雑になってくるし、何度も心が折れそうになりました(笑)。
眞山:古田さんはCFOとしてそういった業務を一手に引き受けておられたのですか。
古田:もちろん従業員の力を借りてはいましたが、最終的に責任を取るのは自分という気持ちでやっていましたし、結局自分が手を動かす局面もたくさんあります。ベンチャーのCFOって、究極の便利屋だと思うんですよね。いざとなればお金を引っ張ったり、人をつれてきたり、それでもどうにもならないときは自分で何とかする。
IPOはゴールではない
眞山:しかし、そういった苦労もIPOが成功すれば報われるのかもしれませんね。まだまだ不確定な部分は多いのだろうと思いますが、例えば今の会社のIPOが無事達成できたとして、その後の古田さんのキャリアプランややってみたいことがあれば教えてください。
古田:正直、今は目の前のことで精いっぱいではあるのですが、IPOを目指すこれまでの過程で、この会社に対する強い愛着が芽生えてきているのを自分で感じているので、IPO以降もこの会社を成長させるお手伝いができたらいいな、と思っています。社長が僕をどう必要としてくれるか、正直分かりませんが、一般的に社長目線ではIPOはゴールに見えていても、実際はスタートっていう面もあるじゃないですか。
眞山:よくわかります。イグジットとしてのIPOは、オーナーが出資した金額をある程度取り戻すという意味ではゴールですが、これまで以上にステイクホルダーが増えて、地に足を付けた経営をしていくべき時点という意味では、むしろスタートラインと言って良いと思います。
古田:ですよね。弊社はまだまだ、業績を伸ばしていけるし、いろいろなことにトライできる土壌を持っているので、これから先もっともっと成長できるように力を尽くしたいです。
眞山:CFOとして必要なスキルやマインドも、IPOを境に変わってきそうですよね。
古田:あー、それは間違いないですね。IPOをやり遂げたからと言って慢心せずに、自分自身を高めないといけないと思います。IRも必要になるし、株主説明会とかで登壇することも増えるでしょうから、プレゼンとかもしっかり勉強したいと思っています。まぁ、すべてはIPOをやり遂げてから、ですけどね(笑)
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