家庭との両立、そして
公認会計士という資格の強みは多岐にわたる。会計・監査に関する高い専門性ゆえに、幅広い選択肢の中からキャリアを選択できることもその一つだ。そして、キャリアの選択にあたってライフワークバランスを意識する人も少なくない。今回は、東京で大手監査法人に就職しながら、地方事務所への転籍を経て最終的に独立に至った山路さんから、家庭とキャリアとの両立について話を伺った。
目次
家族がいてくれなければ仕事はできない
眞山:山路さんは大手監査法人の東京事務所、地方都市の事務所での勤務を経てつい最近独立して会計事務所を立ち上げられたわけですが、直接的な経緯を教えていただいても良いですか?
山路:端的に言うと家族のためです。もっと噛み砕いていうと、大手監査法人に就職して最初の転籍が妻のため、そして今回の独立は子どものためでした。
眞山:なるほど...山路さんにとっては、人生の意思決定における家庭のプライオリティがとても高いのですね。
山路:そうですね。少なくとも今はそうなっています。もともとは「自分が仕事をしなければ家族を養えない」と思っていましたが、実は逆で「家族が元気でいてくれなければ、自分は仕事に没頭できない」と考えるようになっています。
当たり前だと思っていた家族の健康
眞山:そういう気持ちに至ったのには、何かきっかけがあったのでしょうか。
山路:当初の僕は、バリバリのキャリア志向でしたし、IPOを手掛ける部署にいたこともあって仕事の量も質も非常にタフな環境でしたがそれを楽しむことができていました。仕事も順調で、そしてプライベートも充実していて、監査法人に入社して2年目でさっさと結婚することもでき、子どもにも恵まれて、何不自由なく生きているという実感があったのです。
眞山:なるほど...。
山路:ただ、その「何不自由なく」というのが、実は家族にいろいろな犠牲や我慢を強いた結果だったということに後から気づかされるんですよね。子どもが2歳になったころ、妻が当時の言葉で言うところの育児ノイローゼになってしまい、仕事はおろか家事もおぼつかない状況になってしまいました。それまでは身の回りの世話をしてくれるのが当たり前、どんなに帰りが遅くても待っていてくれるのが当たり前、という価値観で仕事に邁進していた僕にとって、価値観を大きく変えざるを得ない出来事でした。
眞山:それで、地方都市の事務所に転籍した。
山路:妻の実家のすぐ近くに引っ越すことで、妻の負担を減らすことにしました。大手監査法人の良い点でもありますが、地方に空いているポストがあれば、当時は手を上げれば比較的容易に転籍をさせてもらえましたし、あの頃はちょうど、管理職以上の人たちが出向や転籍を経験していることがさらなるキャリアアップの条件ともなっていたこともあり、組織としても自分が転籍しようという意思を示したことを好意的に受け止めてもらえたと思っています。
眞山:地方事務所ではどんな仕事をしていたのでしょうか?
山路:こちらの地域でもIPO案件はあったのでそれを引き続き担当しても良かったのですが、どうしても仕事の忙しさを軽減したいという思いがあり、無理を言って金融商品取引法監査のクライアントを担当させていただくことにしました。そうすることによって年間の忙しさをある程度把握でき、妻の負担を軽くできるだろうという思いからです。
眞山:事務所の皆さんの反応はどうでしたか?
山路:特に軋轢もなく、自分の働き方を受け容れてもらえたと思っています。ちょうど労基法の対応も厳しくなっていたので、昔のようにバリバリ働くことが難しくなっていたし、社会的背景が自分を後押ししてくれた面はあるかな...と思っています。
家族の幸せを追求した結果、独立という選択へ
眞山:ただ、山路さんはさらにキャリアチェンジをされましたよね。
山路:ええ。冒頭に申し上げた「子どものため」です。東京を離れて地方に来て、しかも親のすぐそばで暮らせるのだから十分にライフワークバランスを維持できているようにも見えるかもしれないのですが、自分は家族に支えられて仕事をするばかりではなくて、家族を幸せにする側にもっと回らなければいけないと思うようになったのです。育児や家事にも積極的に参画しようと思ったし、何より子供たちの成長をしっかりと見守るようにしたい、と考えて、独立を決意しました。
眞山:家庭のために独立という意思決定は非常に独特だなぁ...という気がします。リスキーじゃないですか?
山路:そういう見方もありますね(笑)でも公認会計士は独立してもいろいろな仕事をもらうことができるし、収入面での不安はあまり感じていませんでした。もちろん安定性という意味では監査法人には劣る部分もありますが、忙しさをコントロールして、稼げる範囲で家族を幸せにするという今の価値観には満足しています。どんなにボーナスをたくさんもらえても、家族が健康を害したり、存分に遊べなかったりするのは耐えられないので。
眞山:山路さんのように、家庭と仕事の両立に悩んでいる方に何かアドバイスできることはありますか?
山路:お金は減ってもどうにかなります。でも、お金で補えないものの多くは、後からでは取り返しのつかないものであることが多いんですよね。妻の体調はもうすっかり良くなりましたが、あの頃のつらい思いは消すことができないし、もしかしたら子どもたちにも我慢を強いていたかもしれない...いや、強いていたと思います。大事にすべきなのはそういう「失ったら取り返しがつかない」ものなんじゃないか。キャリアを追いかけるときに、少しでも頭の片隅にそのことを置いておいてほしいです。
プロフィール
山路和弘(仮名)40代男性 公認会計士
2005年に公認会計士第2次試験に合格。大手監査法人の東京事務所にてIPO支援業務やコンサルティング業務に従事したのち、家庭の事情で地方都市の事務所に転籍し、国内企業の監査業務を手掛ける。2022年に独立し、管理会計の導入やシステム導入の支援を強みにした会計士として日々奮闘中。
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