公認会計士は副業できる?スキルを活かして働くメリット・注意点
公認会計士の知識・スキルを活かした副業は、勤務先が許可している場合に限り可能です。例えば、社外CFO(最高財務責任者)や専門学校や大学の講師などが挙げられます。
しかし、公認会計士の副業はだれでもできるわけでなく、「勤務先が許可しているか」「本業に支障が出ないか」を確認する必要があります。また、副業が許可されている場合においても、監査とコンサルティングを同時提供や利害関係者と競合などに注意が必要です。
本記事では、公認会計士で副業する場合の確認方法やおすすめの業種を詳しく解説します。また、メリットや注意点にも触れますので、知識やスキルを活かした働き方を見つける参考としてぜひ最後までご一読ください。
マイナビ会計士編集部
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公認会計士の副業は禁止されていないか確認
公認会計士や税理士の副業は可能ですが、本業の雇用主が副業を許可している場合に限ります。そのため、まずは本業の会社や事務所の就業規則を確認することが大切です。
一般的に就業規則の確認方法は、入社が決まった際に渡される書類を見るか、上司や人事部に相談して教えてもらいます。
副業によって本業だけでは得られないスキルや経験が得られるため、結果的に現在の仕事にも還元してくれることが期待できます。
また、企業のイメージアップや優秀な人材の確保といった理由に加えて、働き方改革の面から副業を推奨する企業も増えているのが実情です。ただし、本業の業務に支障が出る場合や、競合する業務を行う場合は、副業を禁止する企業もあります。
会計士が副業をする目的
副業を行う目的は人それぞれですが、最も多いのは収入を増やすためではないでしょうか。
公認会計士の場合、多くの企業の決算が済んだ4~5月は監査業務が集中するため繁忙期にあたりますが、6月や8月は閑散期といわれています。そのような時期に、副業の収入を家計の足しにするという方もいるでしょう。
また、人脈を広げるために副業を行うというケースもあります。特に、いずれ独立しようと考えている公認会計士なら、さまざまな業界との人脈が必要となるでしょう。
副業で会計の専門的なスキルや知識を活かして、パイプづくりをする会計士もいるのです。
公認会計士の年収例
公認会計士の平均年収は627万円で、生涯年収(生涯賃金)は2億3,826万円となっています。具体的な数値は以下の通りで、25歳〜29歳頃から業務経験を積んでいくと、年収の増加トレンドに入る傾向がみられます。
年齢 | 男女平均年収 |
---|---|
全年齢の平均 | 627万円 |
20~24歳 | 297万円 |
25~29歳 | 507万円 |
30~34歳 | 650万円 |
35~39歳 | 687万円 |
40~44歳 | 645万円 |
45~49歳 | 801万円 |
50~54歳 | 729万円 |
55~59歳 | 913万円 |
60~64歳 | 604万円 |
65~69歳 | 434万円 |
ただし、「公認会計士と税理士を合わせた平均年収」であり、公認会計士単体ではもう少し高い平均年収になると見込まれます。年収を向上させたい場合は、現在のキャリアからどのような分野で活躍したいのかを考えて、明確なプランを立てる必要があるでしょう。
会計士が副業をするメリット
公認会計士の副業には、資格や本業の専門的な知識・スキルを活かせるものが多くあります。資格やスキルを活かしながら、新しい挑戦に取り組むことで、自己成長や収入アップなど、様々なメリットが得られるでしょう。
ここでは、公認会計士が副業をするメリットを以下に分けて解説します。
・土日を活用できる
・社会に人脈を得られる
・転職や独立の糧になる
土日を活用できる
公認会計士が副業をするメリットの一つは、土日だけでも働くことができれば、収入を増やせることです。また、普段の仕事とは違う業務に携わることができるため、新しいスキルや知識を身につけられます。
例えば、専門学校や大学などでの受験指導や執筆業、知識をそのまま活かしたバックオフィスサポートや開示書類のチェック業務が挙げられます。ほかにも、社外CFO(最高財務責任者)といった選択肢もあるでしょう。
これらの業務に携わることでスキルや知識をさらに深めたり、新しい分野に挑戦したりできるのもメリットです。
社会に人脈を得られる
公認会計士の副業では、社会に人脈を得られることもメリットに挙げられます。例えば、新しい分野での仕事をすることで、新たなビジネスパートナーやクライアントと出会えます。その中で専門分野やスキルを活かせる仕事や、関連プロジェクトに参加する機会が生まれるかもしれません。
また人脈を広げることで、将来的に自分が目指すキャリアや業界での情報収集やアドバイスを受けられることもあります。同業・異業種の人との交流を通じて得られる知識や経験は、将来的に独立や転職を考える際にも役立つでしょう。
転職や独立の糧になる
公認会計士が土日を活用したり、新たな人脈を形成したりすることによって、転職や独立の糧になることもメリットです。「土日で新たなキャリアを身につける」「新たな人脈で関連プロジェクトに参加できる」などは、これからのキャリア形成を考える上で役立つためです。
公認会計士は会計監査だけに限らず、会計知識やスキルを活かせる事業会社やコンサルティング会社へ転職したり、独立開業したりするケースも増えつつあります。また、監査法人からほかの業界へ転職する方法も一つの選択肢ですし、社外CFO(最高財務責任者)であれば業界に縛られることもありません。
これらの選択肢は公認会計士の資格を活かせるため、いずれにおいても高い将来性が見込まれるでしょう。
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公認会計士が自らにあった副業を探す方法
公認会計士が自らにあった副業を探す代表的な方法は、以下が挙げられます。
・クラウドソーシングサイト
・求人サイト
・友人・知人からの紹介
クラウドソーシングサイト
自らにあった副業を探す方法の一つとして、様々な業務を外部の人材に委託できるプラットフォームのクラウドソーシングサイトがあります。公認会計士の場合、会計や税務関連の業務を受注できるでしょう。
業務内容や報酬額、期間などが明確に記載されているため、自分が保有するスキルや活用できる時間に合った案件を選びやすく、自宅や外出先からでも受注できます。
ただし、一般的にクラウドソーシングサイトでの副業には手軽さというメリットがある一方で、報酬が低いというデメリットもあります。そのため、自分のスキルや経験を活かし、高額な報酬を得られる案件を探すことが重要です。
なお、公認会計士であれば、税務に関する知識も豊富にあるため、副業において必要となる確定申告に関する手続きもスムーズに行えるのも利点です。
求人サイト
公認会計士は、求人サイトで副業求人を探して案件を見つける方法も有効です。主に、会計事務所や企業の財務部門などでの業務を求められるでしょう。
興味のある業種を検索することで、特定の業界においての知識・スキルを獲得できるのもメリットです。例えば、会計士向けのWebメディアコンテンツを作成したり、内部統制に必要な資料を作成したりするなどが具体的な仕事としてあげられます。
また、求人サイトでは自分が得意とする分野や、これまでに手がけた実績を登録しておくだけで、スカウトを受けることもできるでしょう。
友人・知人からの紹介
公認会計士として培ってきた人脈を活用し、友人や知人から紹介してもらう方法もあります。自分が知っている人からの紹介なら、働きやすさを確保しやすくなりますし、経営者や監査法人などの知り合いから経由であればその後のキャリア形成にも役立つこともあります。
ただし、現在の業界とは異なる分野で探す場合、自己啓発やマーケティングにも取り組み、幅広い顧客層にアプローチすることも大切です。
現在では多くのチャネルから紹介を受けられるため、SNSやWebサイトなどの活用によって情報を発信し、人脈を広げつつ仕事を見つけるといったことも実現できるでしょう。公認会計士にあった案件を見つけるためには、様々な方法を試してみることが大切です。
会計士におすすめの副業とは?
会計士におすすめの副業は、以下の5つが挙げられます。
・専門学校や大学などでの受験指導
・執筆業
・バックオフィスサポート
・開示書類のチェック業務
・社外CFO(最高財務責任者)
専門学校や大学等での受験指導
専門学校や大学などで、公認会計士試験の受験指導や講座を行うという副業があります。この場合のおもな業務は、講師や採点業務です。場合によっては教材作成に携わることもあるでしょう。
公認会計士資格の試験勉強経験や、就職後の実務経験を活かして、受験生や大学生のサポートできます。
執筆業
会計分野の専門的な知識を活かして、会計関連の専門書やビジネス書籍を執筆したり、雑誌やウェブサイトなどのコラム原稿を請け負ったりする仕事も会計士の副業として人気です。
いきなり書籍の出版は難しいため、まずはブログやSNSを通して有用性の高い情報を発信してみることから始めるのもおすすめです。執筆業では、読み手にとってわかりやすい文章を書くスキルや、興味を惹くような企画力・発信力が求められるため、数をこなして磨きましょう。
公認会計士の資格取得のための学習テクニックに関するブログを投稿し続けていたところ、出版社から声がかかり専門雑誌のコラムを依頼されたという事例もあるようです。
バックオフィスサポート
小規模企業や個人事業主のバックオフィスサポート業務も、副業として選べます。
経営者によっては人手が足りず、営業も事務も一人または少人数で対応しなくてはならないというケースも少なくありません。そのような経営者に対して、副業会計士がバックオフィスをサポートしたり、業務効率化のためのコンサルティングを行ったりするというものです。
監査業務経験のある公認会計士であれば、経営において求められる内部統制や業務の効率化の知識を備えているため、経営者の抱える課題に対してさまざまなアドバイスを行いながら、経営をサポートできるでしょう。
開示書類のチェック業務
企業内で、計算書類をはじめとする開示書類の作成業務について人手不足に陥っている場合、そのチェック業務をアウトソーシングすることがあります。
アウトソーシングされた公認会計士は、開示書類の網羅性や正確性を確認し、修正点などについてフィードバックを行います。
開示書類のチェック業務は、書類を受け取り、指定の期限までにフィードバックするというケースが多いため、場所や時間を選ばずに取り組めるでしょう。ニーズさえあれば、本業とのバランスを調整しながら進めやすい副業といえそうです。
社外CFO(最高財務責任者)
公認会計士におすすめの副業として、ベンチャー企業の社外CFO(最高財務責任者)も挙げられます。必要なタイミングで業務委託契約を結び、会計士の専門知識を活かして企業の財務面を支援できるため、副業として適しています。
社外CFOでは、企業の財務戦略を策定し、財務面での問題を解決することが主な業務内容です。また、資金調達や投資家との交渉など、経営戦略に関するアドバイスを行うということもあるでしょう。
またベンチャー企業は急速に成長する可能性があるため、社外CFOとしての仕事はやりがいを感じられることもあるはずです。
ただし、企業との契約内容や秘密保持契約など法的な問題にも精通しておき、企業の財務状況を正確に把握するために内部情報へ触れる抵抗を減らしておくことをおすすめします。
公認会計士が副業をする際の注意点
公認会計士が副業をする際の注意点としては、以下が挙げられます。
・本業に支障を出さない
・監査とコンサルティングを同時提供しない
・利害関係者と競合しない
・副業関連のセミナーやイベントに参加する
あくまでも本業に影響を与えない範囲での活動が必要であり、利害関係の整理や顧客情報の秘匿性を守ることが大切です。
本業に支障が出ないよう注意する
副業を行うにあたっては、「あくまでも副業」ということを忘れないよう注意しましょう。副業が軌道にのり始めると、忙しくて疲労が溜まり、本業に支障が出てしまったり、想定外のところで本業の秘密情報をもらしてしまったりするリスクも考えられます。
副業を優先させた結果生じてしまうさまざまなデメリットもあるため、無理なく続けられるよう、本業とのバランスを調整しながら取り組むことが大切です。
監査とコンサルティングを同時提供しない
公認会計士が監査とコンサルティングを同時提供することは、独立性の観点から禁止されています。なぜなら、監査とコンサルティングは異なる目的や利益を持っており、同時に提供することで利益相反の問題が生じる可能性があるためです。
監査が企業の財務諸表の正確性や信頼性を確保する一方で、コンサルティングは企業の業務改善や戦略策定など、経営上の課題の解決を目的とします。
監査人がコンサルタントとしてのアドバイスを行うと企業の利益を追求する立場になりますし、コンサルティングの成果によって監査報酬が増加する仕組みになるとそれに依存する立場としてみられてしまうでしょう。
その結果、本来監査人が行う監査の客観性や独立性が損なわれてしまいますから、副業であっても監査とコンサルティングは同時に提供できないことを覚えておきましょう。
利害関係者と競合しない
公認会計士の副業は、利害関係者と競合しないことを前提として探しましょう。副業が許可されている場合においても、監査人の独立性を確保するため、就業規則に「競合する業務を禁止とする旨」が記載されていることがあります。
監査人が行う監査の客観性や独立性は業務に必要不可欠であり、企業側としても信頼性を担保する項目として挙げられている可能性があります。利害関係者との競合によって本業に支障が出るリスクを抑えるためにも、副業においては避けておくべき事柄です。
なお、公認会計士法第34条の14第1項(社員の競業の禁止)において以下の記載がありますが、あくまでも監査法人間の競業避止を定めているものですから、副業を禁止するものではありません。
監査法人の社員は、他の監査法人の社員となつてはならない。
また、よく挙げられる会社法第356条(競業及び利益相反取引の制限)では、取締役のみを対象とした競業避止義務を指しており、公認会計士の社員に向けたものではないため問題ないでしょう。
取締役は、次に掲げる場合には、株主総会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。
一 取締役が自己又は第三者のために株式会社の事業の部類に属する取引をしようとするとき。
二 取締役が自己又は第三者のために株式会社と取引をしようとするとき。
三 株式会社が取締役の債務を保証することその他取締役以外の者との間において株式会社と当該取締役との利益が相反する取引をしようとするとき。
あくまでも公認会計士の副業は禁止されていないものの、就業規則や独立性などの観点から適切な業務内容の依頼先を見つけて従事する必要があります。
副業関連のセミナーやイベントに参加する
本業に支障が出ない範囲で利害関係者と競合しない副業を探すためには、始め方や本業と並行して仕事を進めるノウハウ、確定申告の方法など様々な知識が必要です。しかし、企業側が副業を認めていたとしても、こうした知識を学べる場が不足しているというのが現状です。
こうした課題を受けて、副業関連のセミナーやイベントを開催する企業も登場しています。主催者の信頼性や経験・実績を確認し、目的に合ったものを選べると公認会計士の副業において不安を抱えることなくすすめられるはずです。
副業をしている人の経験談や具体的な業種の範囲を知ることができますし、より効率的かつ安全に副業を進めることができるため、副業をはじめる前には、セミナーやイベントに参加してみることをおすすめします。
公認会計士が副業以外で年収を高める方法
公認会計士が副業以外で年収を高める方法には、専門的な知識や能力の向上が挙げられます。例えば、税務や会計の最新動向について常に情報収集を行い、それを実務に反映させることで仕事の質や範囲を向上できます。
公認会計士としての経験を積むために、業種や業界を限定せず、様々なクライアントの案件に携わることも重要です。またキャリアアップの目的にあわせて、キャリアパスや働くべき職場を選択することも大切です。
給与水準の高い会社(大手監査法人、大手コンサルティングファーム、上場企業など)への転職で年収アップが期待できますし、自分のスキルや経験を生かして独立することも一つの選択肢として選べるでしょう。
公認会計士が副業以外で年収を高める方法は、専門的な知識や能力の向上、キャリアパスや働くべき職場の選択、副業の活用などがあります。自分の目的やライフスタイルに合わせて、適切な方法を選択することが大切です。
公認会計士と副業に関するFAQ
最後に、公認会計士と副業に関するFAQをまとめて紹介します。
・大手監査法人の会計士は副業できる?
・会計士で副業禁止のまま働くとバレる?
・USCPAにおすすめの副業は?
大手監査法人の会計士は副業できる?
大手監査法人では、副業は認められていない場合がほとんどです。これは、公認会計士としての信頼性や専門性を保つために、副業を禁止しているためです。認められていたとしても、申請が複雑で難しいことから現実的ではない可能性も挙げられます。
ただし、中小企業向けの会計事務所や税理士事務所などであれば副業を認めている場合があります。副業の可否については企業によって異なるため、副業をする場合は事前に所属する監査法人や税理士事務所に相談しましょう。
会計士で副業禁止のまま働くとバレる?
会計士で副業禁止のまま働くと、バレる可能性があります。住民税の特別徴収による計算では、会計士の収入が把握されるため、副業をしている場合は収入の増加によって発覚します。
また、社会保険料の計算においても、副業による収入がある場合はそれに応じた保険料が課せられますから、伝えていなくても自然にみつかるでしょう。
副業禁止の違反には、公認会計士法に基づいて懲戒処分が科せられます。会計士が副業を行う際は、所属する企業からの承諾を得てからをおすすめします。
USCPAにおすすめの副業は?
USCPAにおすすめの副業については、基本的に会計士と同じです。
・専門学校や大学などでの受験指導
・執筆業
・バックオフィスサポート
・開示書類のチェック業務
・社外CFO(最高財務責任者)
主に、これまでの経験を活かせる副業がおすすめです。会計士と関連する職種であれば、スキルアップにもつながりますし、新たなキャリアを見つけるきっかけにもなります。
まとめ
公認会計士の副業には、資格や本業の専門的な知識・スキルを活かせるものが多くあります。資格やスキルを活かしながら、新しい挑戦に取り組むことで、自己成長や収入アップなど様々なメリットが得られるでしょう。
ただし、副業を成功させるためには事前準備が重要ですから、副業の可否を確認し、本業への影響も考慮しながら取り組むことが大切です。
公認会計士のキャリアアップや収入向上を目指すなら、副業は非常に有効な手段と言えます。専門性を生かした副業に取り組み、新たな一面を発揮する機会にしていきましょう。
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