事業会社で働く公認会計士が陥りがちな課題とは


監修
マイナビ会計士編集部
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プロフィール
30代 男性 会計士事業会社勤務
2005年に公認会計士試験に合格し、大手監査法人に入所。10年程度国内監査部門において、監査業務に従事。その後、事業会社に転職する。転職した理由は、監査法人で一通り業務を経験してしまったことと、興味がある事業をやっている会社で、一社をより深く理解して業務をやりたいと考えたため。なお、監査法人時代はハードワークだったが、そのころよりは、ワークライフバランスのとれた毎日を送っている。予算の裏にある情報まで把握する
監査法人から転職して約4年になります。入社してから、連結決算、開示、監査法人対応、連結見込・予算、税金、単体決算等を担当しました。
その中でも、連結決算、開示、監査法人対応は前職の経験が直接役に立つ業務であり、連結システムの使い方などを覚えてしまえばすんなりと業務に入ることができました。
一方、連結の業績見込・予算は、監査をやっている中で作成過程までは確認したりしませんし、ルールもありませんので、慣れるための時間が必要でした。しかし、会社の中では、経営判断に直結する重要な情報でもあるため、経営層から注目されており、弊社では決算よりも一層重視される傾向にあります。集計を行っている側からしても、経営層への報告資料になり、それが会社の具体的な動きにつながっていくため、非常に興味深い仕事です。
具体的には、各子会社から見込・予算数値を集め、連結の処理をして、連結全体の見込・予算を作成します。グループ会社全体の見込・予算数値を集計して、経営層に見せる資料を作成するのが仕事です。これは、単なる集計・資料作成としてとらえてしまえばそれまでですが、主体的に取り組むととても面白いものです。
というのも、作成に当たって使用する各社の見込・予算数値も、各社の経営判断があった上での数字になっていますので、その裏に様々な事情があるからです。
例えば、「実績から判断すると本当はこのくらいの数値になりそうだけど、今は予算前の時期だから、翌期の予算を高い目標にされないようにあえて低めに出そう」とか、「業績が上振れそうだけど、上方修正後に下振れすると印象も良くないし、上方修正はせずにこのまま行こう」とか、出してきた数値の裏に、様々な事情と各社の経営者の判断が含まれていたりするのです。
私は、見込を集計するに当たって、各社のキーマンと連絡をとり、そのような裏事情も含めて、この先どうなるのかというところを把握できるように、きちんと話を聞くようにしていました。そうした事情は、必ずしも数値に影響するわけではないかもしれませんが、そのような情報を把握することも今後を判断するためには重要なのではないかと思っているからです。
監査法人時代はそのような予算の裏にある情報にあまり気を配ってきませんでしたが、会社の次のアクションにつながっていくことですから、重要だったかもしれないなと、今更ですが考えることがあります。
そしてそのためにも、経理部以外の他の部署や子会社の担当者等と人付き合いを良くして、きちんとコミュニケーションをとれるようにしておく、というのが重要だと思っています。経理の常識が他の部署や子会社の常識と同じでないことも多いですし、経理にアレルギーのようなものを持っている人もいますから、コミュニケーションを面倒くさがって、おざなりな対応をしたりすると思わぬ反応がでてきて、他の人に迷惑になったり、必要な情報を得られない、といったことが出てくることもあるのではないかと思います。
公認会計士の事業会社における可能性
私の周りでは会計士は以下のような業務にかかわっており、会計士は事業会社においても大きな可能性を持っていると思います。
例えば、会社が様々なビジネスを行っている中で、適切な会計処理を現場にアドバイスする。最近の会計基準は高度化して難しくなっているうえ、事業会社では、各部門の立場や予算も考慮に入れる必要があります。早めの対応をすること、硬直的な対応にならないようにする必要があります。最近では、収益認識基準の適用の準備もしており、大きな課題となっていますから、ますます力を発揮できる場面が増えるのではないでしょうか。
また、経理部門から見ると簡単な伝票処理でも、事業部門の担当者からすると伝票1つ起票するのも忙しい合間にするわけですし、簿記会計の知識がある人ばかりではありませんので、大きな負担になるかと思います。そのような人の近くで、適切な伝票処理をフォローする、というような、より現場に近い役回りもあります。
連結関係の業務では、開示や連結決算をするだけではなく、グループ会社の経理担当者に対して会計上のトピックや決算方針の説明をしたり、新規連結の際には経理業務の統合に関与したりもします。
経理部門以外にも、様々な業務があります。コーポレートガバナンスコードの対応で、会社の資本コストの決定に関与したり、新しい役員報酬制度の会計・税務の影響を試算したりすることもあるでしょう。内部統制部門と連携して課題に対応することもあります。戦略系の部署に対しては、M&Aの影響を算出することもあります。IR部門の人に投資家からの質問の回答をアドバイスしたりもします。また、現場部門で使いやすい会計システムの仕様を検討することもあります。
このような様々な業務に、会計士の知識は役に立つと思いますし、事業会社の人たちも専門的な立場からのアドバイスを求めています。
ところで、余談ではありますが、弊社ではイベントを主催したりもしており、自社イベントの手伝いに行ったりもします。正直私は経理ばかりでは息が詰まってしまうので、たまにそのような業務をやることも気分転換になったりします。
事業会社で働く会計士の課題と今後
事業会社で働くために、会計士が取り組むべき課題の1つは、立場の違う他部署や子会社の人たちともお互いの立場を理解してきちんと向き合うことだと思います。会計士の人はきちんと勉強してきているので、会計まわりで合理的に考えることは得意ですが、必ずしも、カウンターとなっている他部署の人たちにとっても合理的であると納得してもらえるとは限りません。
仕事をしていると相手に助けてもらうこともありますので、事業会社で長く働くのであれば、コミュニケーションを面倒くさがらずに、丁寧に対応できる人のほうが良いかなと思っています。
なお、事業会社で働こうとする場合には、そこで何をしたいのか、を考えることがとても重要だと思います。先の項目で書いた通り、事業会社において会計士ができることはたくさんあります。転職する業種もそうですが、転職先の会社でも様々な業務がありますので、やりたいことを意識することで、仕事の満足度が高まるのではないかと考えています。
また、未来においては、AIやロボットが単純作業をやってくれるようなことが言われたりしますが、そうなったときに、事業会社にいる会計士としての判断業務ができるよう、勉強を続けることはすごく重要だと思っています。私自身も、将来のいろいろな機会にきちんと力を発揮できるよう、勉強して準備をしておきたいと思います。
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