事業会社へ就職した20代会計士が語る会計士の強みとは


監修
マイナビ会計士編集部
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プロフィール
20代、男性会計士、事業会社経理部勤務
大学在学中に公認会計士試験に合格。その後、事業会社に就職し、経理業務のシェアードサービス化推進業務、税務業務を経験し、現在は連結決算業務に従事。税務調査対応業務が大好きで調査官と議論することにやりがいを感じ、日頃から調査対策を練ることに余念が無い。会計士として事業会社に就職!
私は大学在学中に公認会計士試験に合格した後、事業会社へ就職し、経理部に配属されました。今まで経験してきた主な業務は本社経理での税務業務、及び連結決算業務です。
このコラムでは私が事業会社の経理部で経験してきた業務のうち監査法人勤務の会計士では経験できないことを中心にコメントし、その中での会計士であることの強み、さらに、組織内会計士の今後についてお伝えできればと思います。
会計士である強みその1「税務調査対応」
会計士としての強みを感じる業務の1つは、税務調査対応です。監査法人勤務ではまず経験できない業務だと思います。私は今まで法人税、消費税、印紙税、事業税、住民税の税務調査対応を担当しました。そのうち、法人税、消費税の税務調査はとてもハードで、私の会社には2年に1度のペースで約半年間の調査が入ります。その税務調査において会計士として強みを発揮できたケースをご紹介します。
それは、ある年の法人税調査で調査官から有価証券の評価損について指摘を受けたときのこと。調査官曰く、会計上認識した評価損を税務上損金として認識するにはまだ早いのではないかというのです。
会社としては会計上の評価損を計上する段階でその銘柄についての財政状態評価は問題なくされており、税務上はそれをもとに保守的な評価をしたという主張をしましたが、議論は平行線の状態となってしまいました。もし調査官の指摘を認めてしまうと今までの税務上の評価に疑義が生じることになり、かつ現状の業務プロセスを大きく変える必要が出てくるため、会社としては絶対に譲れない場面でした。
ここで必要となるのが、会計と税務のバランスが取れた理論武装です。税務調査官が税金に強いことはわかっていますが、会計の知識、判断根拠を検討することに関しては、会計士に分があるはず、と思いました。
そこで、会計士にとってはお馴染みのとても分厚い本「会計監査六法」を持参し、それを調査官と一緒に読みながら、有価証券の評価損の会計上の適切性について基準に照らし合わせて説明し、それが税務上も問題ないことを改めて主張しました。結果的に調査官は私の主張を認めてくれて、追加の税金コストがかかるリスクを回避することができ、私は会社に貢献することができました。
勝因は会計面の説明を十分にできたことだと思います。会計士であるからこそ、会計基準の背景、趣旨を正しく説明でき、調査官を納得させることができました。「会計監査六法」を持っていったとき、調査官の表情がガラッと変わったことは今でも鮮明に覚えています。
会計士であることの強みその2「トップマネジメントフォロー業務」

経理の重要な仕事の1つとしてトップマネジメント層に対して経営判断に役立つ情報提供をするという業務があります。そしてその情報提供の性質は①経理から見た事業の将来(見込み)の説明と、②過去(実績)の説明に分けることができます。それぞれについて私の経験を踏まえながら、会計士としてどのような能力が生かせるのか説明したいと思います。
まず①将来(見込み)の説明について。
私は経理という仕事でこの将来(見込み)の説明が最も重要な業務であると考えています。なぜならば、トップマネジメントはその情報に対して最も興味があり、最大の価値を見出しているからです。経営者は会社の将来についてどのようなアウトラインやビジョンを描くべきなのか、それに多くの労力を費やし、格闘しながら会社の舵取りをしているのです。経理はそれをフォローする役割を担っています。経理は会社を取り巻く事業環境の予想される変化に対し神経を尖らせ、社内での情報収集や分析作業を積み重ね、精度の高い業績見込みを追求し、その結果を経営者に説明します。
私は税金を担当していましたので、税金費用について当期の四半期決算、年度末決算、さらに来年度以降の見込みをほぼ毎月算出し、CFOに報告していました。与党、各省庁、各団体の税制改正要望を確認し、また税金費用に大きなインパクトがある取引を社内で情報収集しながら、税金費用の見込みを算出します。
その結果をCFOに説明するのですが、ここが一番の難関です。私が様々な情報収集をして準備をする一方で、CFOにも多くの情報が頭に入っています。それに基づいたCFOが描く税金費用のイメージがあり、それと私が考える将来の税金費用のストーリーとの照らし合わせをするのです。
もしCFOのイメージとズレが生じた場合、なぜ違うのか説明を強く求められます。そこで、生半可な説明をしてしまうと全く理解してもらえません。会社にもよると思いますが、おそらくこの議論の熱さやベクトルは監査法人がクライアントの経理責任者とディスカッションするのとは全く別物になると思います。監査法人に見せるCFOの顔と社内で見せるCFOの顔は全く違いますから。このようにCFOと多くの議論をしながら将来の見込みは作り上げられ、それが中期経営計画等の数値へ落とし込まれていきます。
私はこの将来(見込み)の説明という点で、会計士としての強みを発揮できると思っています。まず将来の環境変化に対する情報収集ですが、監査法人出身の会計士であれば会計基準や法制の最新情報についてチェックする習慣は身についているでしょうし、そのような情報をどのように調べればよいかそのやり方のコツも理解していると思います。また将来の会計数値の見込みを作るうえでの数的センスは他の人よりも優れていることが多いと思いますので、事業会社でも必ず活躍できると思います。
次に②過去(実績)の説明について。
過去(実績)とはすでに締められた決算を指します。経営者は決算発表等を通じて投資家等に決算の内容を説明する責任がありますが、それを具体的にどのように説明するか経理でフォローする必要があります。
複雑な取引があった場合、これをどのように投資家や記者たちに説明するか、経理は頭を悩ませます。基準の引用や細かい仕訳を1つひとつ説明するのであれば簡単ですが、そのような方法はまったく求められていません。どんな複雑な取引でも一言で説明する能力、シンプルでわかりやすい資料に落とし込む能力が必要となってきます。
こういった場面でも会計士は強いと思います。複雑な取引に関係する基準等の背景、趣旨を的確に理解していないと要点のみが抽出されたシンプルな説明をすることはできません。会計士試験や監査法人での経験が必ず役に立つと思います。
組織内会計士の今後について
このコラムを読んでいる方の中には監査法人から事業会社へ転職を考えているが、周りに会計士ばかりいた環境からまったく異なる環境でチャレンジすることに躊躇している方もいると思います。そういった会計士のサポートとして日本公認会計士協会の中に組織内会計士協議会という組織があります。この組織は組織内会計士向けの交流会、研修等を多く開催しており、様々なフィールドで活躍している組織内会計士の方々と情報交換することができます。
私も組織内会計士協議会のおかげでたくさんの刺激を受け、今の仕事におけるモチベーションになっています。監査法人勤務の会計士でも組織内会計士協議会に登録することは可能ですので、ここから一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
組織内会計士の人数は年々増加傾向にあり、ユニークな仕事をする組織内会計士がこれからさらに増えていくと思います。社会のニーズとしても監査だけではなく多様な能力を持った会計士が求められていくと思いますし、そのような組織内会計士が増えることで、会計士業界のさらなる発展につながると思います。
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