監査法人で働くにしても、転職するにしても、大切なのは「自分のバリュー」
監査法人で働き続けるか、監査法人の外に飛び出すか。
公認会計士の多くが、一度は悩む問題だと思います。
何を判断基準として決断すれば良いのか。
監査法人系FAS(Financial Advisory Services)会社で、公認会計士を採用する側にいる公認会計士がそのヒントをくれました。
マイナビ会計士編集部
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プロフィール
40代 男性会計士
大手監査法人にて監査業務を経験した後、監査法人系列のファイナンシャルアドバイザリー(FAS)会社に参画。M&A実行に関わる各種アドバイス業務を中心に取り扱う他、関連各分野の専門家と協働しながらパッケージでのソリューション提供を行っている。同業者や異業種の交流も推進しており執筆・講演なども多くこなすかたわら、勤務地にとらわれない働き方改革を模索している。自分はどんなバリューを出せるのか
私自身は、大学在学中に公認会計士試験に合格し、大学卒業後、監査法人に入って会計監査を数年経験し、通り一遍は監査業務に触れたかなと思った頃、次の仕事について考えるようになりました。実はその際、次の仕事を明確にイメージできていたわけではありませんでした。
それから時は流れて今現在、監査法人系FAS会社と呼ばれる組織でM&Aに携わる要員を採用する側に回っています。そこで、自分自身の仕事選びの経験や会計士の方を数多く面接してきた経験を踏まえつつ、進路を考える上で何が重要か、採用側の観点からお伝えできることをまとめてみたいと思います。
採用面接をしていると、若手の公認会計士が、とある重要な視点をあまり持っていないことに気づきます。それは、「自分はどんなバリューを出せる人間なのか」という視点です。
自分はどんなバリューを出せる人間なのか、つまり、自分は組織の中で何ができるのか。
その視点が乏しいのです。
もちろん、具体的に明確に語れる必要はありません。極端な話、「こんなことができるのではないか?」という思い込みでもよいのです。採用面接の段階で、仕事の内容をすべて理解しているはずもありませんから、そこで具体的にどんなバリューを出せるのかを語るのはどのみち難しいものです。ただ、面接において形式的な経歴や自分の興味を語るだけの人よりも、自分がやれると思っていることやなぜ自分がその会社にフィットすると思うかを主観的に語る人の方が採用側の印象に残るのは間違いありません。
単に採用側の印象に残るから、というだけではなく、組織で仕事をするということは、そこで役立つ何かをするということですから、その視点は必須なのです。
先日、こんなことがありました。ある人が面接に来たのですが、当社と別のもう一社の間でどうしようか悩んでいるというのです。その人は、転職した先でどんな上司の下でどんなことを学べるのか、どんな仕事を任せてもらえてどんな経験が出来るのかをリサーチしているようでした。知り合いなど、色々な人に聞いて回って情報収集していたようなのです。当社ではないもう一社に行けば、立派な経歴の方がいて、そこで色々教えてもらえる感じがする、であるとか、海外案件含め様々な案件を任せると言われたのでやってみたい、などということをお考えのようでした。
その発想自体が悪いとは思いませんが、誰に教えてもらえるかということや何の仕事を任せてもらえるかというような環境に期待するよりも、自分のバリューは何でどんな貢献が出来るかを考えたうえで、そうした業務経験から何を得て成長していきたいのか、転職先の職場環境はそれに適しているのか、という順番で考えるほうが良いと思います。
そもそも職位がいくつか上の人が直接指導してくれることは期待しないほうがよいですし、その目当ての人が会社からいなくなる可能性も十分にあります。また、仕事を任せてもらえるといっても、任された仕事を自分がきちんとやり遂げられるかどうかは別の問題です。スキルが無いのに任されても苦労するのは自分ですし、会社に迷惑がかかります。「任せてもらえる」のではなく、人材不足で担当者に仕事を丸投げせざるを得ないという状況だってあり得ます。与えられることを期待していると、与えられなかったときに不満が募りかねません。
自分が所属しようとする組織で、何ができるのか。
「自分はどんなバリューを出せる人間なのか」という視点こそ、どんな時にも重要な判断基準となるのではないでしょうか。
監査法人でもクライアントと深く関われる
監査法人で働き続けるかどうかを考える際でも同じこと。
「監査法人は働きやすいですか?」
「監査法人の未来は先細りでは?」
などと聞かれることがあります。
監査法人は言うまでもなく、経済社会のインフラの一端として重要な役割を担っています。だからこそ、安定した立場や報酬がある程度約束されているわけです。忙しい時期はあるものの、福利厚生制度も充実しており、働く環境としては整っている組織だと思います。
でも、大切なのは、監査法人が自分にどんな環境を与えてくれるかどうかではなく、監査法人の中で自分がどのようにバリューを出すことができるのか、という視点だと思うのです。
自分はどういうバリューを出せるか、それは自分が目指す自分であるか。
そういう視点を持ってみてはいかがでしょうか。
監査法人を出て転職したいということで面接を受けに来られる若手会計士の方々は、もっとクライアントと関わりたい、監査業務だとそれが出来ないといった発言をすることがとても多いです。言わんとすることはよく理解できるのですが、本当にそうでしょうか。
監査の現場にいれば、若いうちからクライアントの経営者レベルの方々と直接話をする機会がたくさんあります。それにもかかわらず「コンサル会社だったらもっと関われるのに」と思ってしまうのであれば、それは勘違いと言わざるを得ません。
クライアントと深く関わって一緒に仕事をするためには自分のバリューをクライアントにわかってもらわなければなりません。監査法人でもコンサル会社でも同じです。
むしろ、監査法人で働き続ければ、出世するにつれ、クライアントとさらに深く関われる可能性だってあります。インチャージ(現場責任者)になれば、クライアントの業務内容について色々な議論をするようになりますし、クライアントからの信頼を得られれば重要な相談をされるようにもなります。
監査責任者になれば、クライアントの将来を左右するような問題点について踏み込んで考えなくてはならないこともあります。
監査業務は、単に数字の整合性をチェックする仕事ではなく、その裏にあるクライアントの取引や経営判断について理解し、適切な情報が社会に開示されるようにする仕事なのですから。
クライアントと関われるかは、公認会計士側の心がけ次第だというわけです。
あなたは農耕民族系?それとも狩猟民族系?
ところで、自分のバリューを考えると同時に、自分自身の特性と向き合うことももちろん大切だと思います。
私が採用面接で会った公認会計士や自分のチームメンバーを見てきた中では、専門領域を突き詰めたい農耕民族系の人か、あるいはお客さんの中に分け入りながら新しいことにチャレンジしていきたい狩猟民族系の人か、といった大きなタイプ分けができるように感じています。
前者のタイプは一定の領域の仕事を完璧にこなすことでクライアントの期待に応えることを求めていて、安定志向なところがあります。このタイプの人は監査法人での監査や、事業会社での専門職ポジション、FAS会社での調査・分析やバリュエーションの業務を行うことが向いていると思います。会計士として培った会計知識や計数分析のスキルが活かしやすい領域です。
後者の狩猟民族系の方は、コンサル会社に入ったり、証券会社やFAS会社などでM&Aアドバイザリーの仕事をしたりすることが向いていると思います。これらの仕事では会計士としての資格や監査の経験が直接業務につながるわけではないものの、ロジカルに数字を分解して分析できたり、会社の仕組みを知っていたりするという、会計士ではない方とは異なる強みになります。
自分に向いている仕事、好きな仕事。儲かる仕事。人の役に立つ仕事。何となくのイメージはあったとしても、具体的に自分がなにか他の仕事に就いているイメージを持てる人はそれほど多くないのではないでしょうか。監査法人で会計・監査を極めていく道の他に、事業会社で経理の専門職やCFOを目指す、計数分析能力を活かしてコンサル会社や証券会社やFAS会社で働く、独立する、・・・。どれが自分に合っていると思えるのか、決めかねるのが普通だと思います。
採用側は、しっかりとした会計士としての知識と実務経験を持っているかどうかということに加えて、チームワークが出来る人かどうか、クライアントと良好な関係を築くことができそうな人かどうか、そして本人のやりたいことを自分の言葉で語れているかどうかといったことを面接で確かめながら、採用後にチームにフィットして活躍してもらえるかどうかを考えます。繰り返しになりますが、要するに、どんなバリューを出してくれる人なのかを見ています。
どのような環境が与えられるかではなく、自分は何ができるのか。それが、進路を考える上で重要な視点だと思います。
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