公認会計士が地方へ転職するメリットは?都市部との仕事内容を比較!

「どのような場所で働くか」は、転職先を考える上で重要なポイントです。
最近では業種を問わず、地方へのIターン・Uターンを希望する人も増えていますが、豊かな自然や環境ストレスの少なさに魅力を感じつつも、「公認会計士の求人はないだろう」とあきらめている人もいるのではないでしょうか。
ここでは、地方での公認会計士の求人状況から都市部との仕事内容の違い、公認会計士がIターン・Uターンする方法、地方で働くメリット・デメリットなどについて、まとめてご紹介します。

監修
マイナビ会計士編集部
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公認会計士は首都圏一極集中
日本公認会計士協会の「会員数等調」によると、2018年10月時点での公認会計士数(外国公認会計士を除く)は31,142人。そのうち、東京地域会に所属する人は18,331人で、全体の6割近くを占めます。埼玉・千葉・東京・神奈川の1都3県を合わせると21,283人で、全体の7割近くを占め、極端な首都圏一極集中となっているのが現状です。
「会員数等調」によると、2018年10月時点での監査法人数は231社で、そのうち東京の監査法人は142社で6割強を占めます。また、総務省の「平成26年経済センサス-基礎調査」によると、全国で11,110社ある大企業のうち、東京にある企業は4,538社であり、全体の約4割を占めています 。
公認会計士が首都圏に集中する理由はさまざまですが、このように多くの大企業や法人が東京に本社を構えていること、大手監査法人も東京に集まっていることが最も大きな要因でしょう。
地方に公認会計士の需要はあるのか?
それでは、地方には公認会計士の需要がないのでしょうか?実は、そういうわけでもありません。
公認会計士のおもな仕事は、監査と税務(税理士登録をした場合)とコンサルティング。その顧客となるのは、企業や法人が大半です。
群馬県に本社を置く株式会社ヤマダ電機や、京都府の任天堂株式会社、山口県の株式会社ファーストリテイリング、岡山県の株式会社ベネッセコーポレーションなど、地方に本社を置く大企業もありますし、地方には多数の中小企業もあります。このような企業では、当然ながら公認会計士を必要としています。
地方企業の海外進出が進んだこともあり、高度な財務・経理スキルを備えた人材はもちろん、管理部門のマネージャーを任せることのできる人材や、財務全般に精通した会計コンサルタントとして企業内会計士を必要としている企業も増えています。
マイナビ会計士で、保有資格「公認会計士」で検索すると、約3割の求人が「関東・甲信越地方以外」である(2018年11月8日現在)ことも、地方での会計士需要があることを示しているといえるでしょう。
地方に転職する方法
公認会計士が地方に転職する方法としては、次のようなものが挙げられます。
地方の会計事務所や税理士法人に勤める
地方の会計事務所・税理士法人の求人は、数は多くありませんが、いくつか求人が出ています。おもな仕事内容は監査と税務ですが、事務所によってはコンサルティングを行うところもあります。
大手監査法人に勤務する場合と異なり、顧客は地方の中小企業が中心。事務所内の会計士の人数も少なく、早いうちから主任など責任あるポジションを任されたり、幅広い業務を経験できたりすることがメリットです。
執行官の求人状況
執行官の採用選考試験は毎年行われるとは限らず、募集が行われる場合は、裁判所のウェブサイトに情報が掲示されます。受験申込み期間は7月中旬~8月上旬頃であり、採用は翌年4月1日付が原則です。
コンサルティングファームに勤務する
会計士としての経験を活かして、企業のマーケティング戦略の立案や新規事業の立ち上げ、海外進出のプラン策定などで企業の経営支援を行うのがコンサルティングファームの仕事であり、会計士の転職先として近年人気が高まっています。
監査法人勤務と同じように、地方に支店を持つ大手コンサルティングファームで働く道と、地方で営業するコンサルティングファームに転職する道があります。大手コンサルティングファームの中には海外に支店を持つところも多く、将来的に海外転勤が発生する場合もあります。
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業務&業界特化系コンサルティング
一般企業の財務・経理部門や管理部門に勤務する
企業に求められる会計処理の高度化や、海外進出、M&A(合併・買収)、内部監査の重要性の高まりなどによって、地方でも会計士を求める企業は増加傾向にあります。
特にベンチャー企業などでは、財務・会計だけでなく、経営管理全般に携わることのできる人材が求められているのが特徴です。
地方で開業する
地方で働くために、自分で会計事務所・税理士事務所を立ち上げる方法もあります。もちろん、縁のない土地にいきなり開業するのは無謀ですが、生まれ育った地域や支店勤めをしていた地域で開業する人は珍しくありません。
地元企業を助け、地域に貢献できるのはもちろんのこと、自身の手腕次第で事務所を大きくし、勤め人では達成できない収入を得られる可能性があるのが、何よりの魅力といえるでしょう。
仕事内容の違いは?
地方でも首都圏でも、会計士が行う仕事は基本的には同じです。ただし、顧客や環境が変わるため、実際の業務内容には次のような違いがあります。
地方には専門特化の仕事は少ない
監査法人の地方支店や地方の会計事務所は、小規模なところが多いため「国際監査部門」「金融部門」「IPO部門」など、専門に関係なく、幅広い案件を手掛けなければならない傾向があります。そのため、特定の分野のスペシャリストとして経験を積むには向いていません。
どちらかといえば、業種を越えて幅広い業務を担当したい人や、ゼネラリストになりたい人向きといえます。また、大手に比べて人が少ない分、チームリーダーなど責任のあるポジションに就くことのできる機会も多いため、早く力をつけたい人にも向いているといえます。
監査の顧客は中小企業が中心
地方に本社のある企業でも、東京の監査法人や会計事務所が監査を担当していることは少なくありません。特に大手企業の監査は、ほぼ大手監査法人が担当するため、監査法人の地方支店や地方の会計事務所の顧客は、地域の中小企業が中心です。
地方では業種を越えた幅広い業務が経験できるとはいえ、業界のトップ企業の監査に関わったり、数十人から数百人規模のプロジェクトに関わったりすることはほぼなく、ベンチャー企業のIPO支援や内部統制構築・最適化支援といった監査以外の業務もあまり多くはありません。
人間関係は密になる傾向あり
大手監査法人には数百人のスタッフが在籍し、案件ごとにチームを組んで仕事をするのが一般的です。そのため、考え方の合わない同僚がいても、比較的短期間の付き合いで済みます。
しかし、地方支店や地方の会計事務所は、そもそも在籍しているスタッフの数が少ないため、同じメンバーでチームを組む機会が多くなります。そのため、事務所内にどうしても反りが合わない人がいると、負担を感じることもあるでしょう。
ただし、人間関係が密になる分、東京の大手監査法人より人間的な温かみを感じられたり、和気あいあいとした雰囲気の中で仕事ができたりする可能性も高いといえます。
企業勤務の場合、違いはそれほど大きくない
一般企業に勤める場合、その業務内容は東京の企業に勤める場合とほぼ同じです。コンサルティングファームに勤める場合は、M&Aや事業再生、事業承継、IPO支援などの業務経験が求められることが多く、チームの一員として、おもに中小企業の経営コンサルティングに携わることになります。
働き方の違い
地方と首都圏の監査法人や会計事務所を比べると、業務内容以外の部分ではどのような違いがあるのでしょうか。
ここでは、「収入」「生活環境」「仕事環境」の違いについて見ていきましょう。
地方と首都圏の収入差
どの業界においても、大手企業に勤めたほうが、中小企業より高い年収を得られる傾向があります。それは、監査法人や会計事務所でも同じです。地方の会計事務所と首都圏の大手会計事務所では、年収にして100万~200万円ほどの差が出る場合があります。
大手会計事務所の地方支店に勤めた場合、ベースの年収は首都圏勤務者と変わりませんが、地域手当や残業の有無などにより、やはり本社より年収が低くなる傾向があります。
企業やコンサルティングファーム勤務の場合も同じような傾向がありますが、人材獲得のために地方の標準より高めの年収を設定する企業もありますので、企業によってかなりばらつきがあるのが現状です。
家賃や物価が安い
首都圏に比べて物価が安く、環境ストレスも少ないのは、地方に暮らす一番のメリットです。首都圏と同じ家賃を払った場合、地方ではより広い家に住むことができますし、東京のように満員電車に悩まされることもありません。
地方では、首都圏勤務に比べて残業が少ないことも多いため、ワークライフバランスをとりやすく、趣味の時間や家族との時間をゆっくり楽しむことができます。生活にかかるお金も少ないので、たとえ収入が下がっても、結果として手元に残るお金が増えることは珍しくありません。
仕事環境
地方の会計事務所では、一事務所に所属するスタッフの人数が少ないため、首都圏に比べてアットホームな雰囲気の事務所が多いといえます。また、地元の経営者との交流を通じ、地域経済や街づくりに関わっていけるのも、地方ならではの魅力のひとつです。
地方で働くことも選択肢のひとつ
会計士の地方での働き方には、大手監査法人の地方支店や地方の会計事務所で監査・コンサルティングを担当するだけではなく、地方の事業会社に勤務する、コンサルティングファームに入って地域の企業支援を行う、開業するなどさまざまあります。
首都圏の大手監査法人にしかできないことがあるように、地方には地方の魅力があります。地方での勤務に興味があれば、選択肢のひとつとして検討してみましょう。
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転職された方の声
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