育ててもらいながら、育てる

公認会計士に限らず、専門性の高い職業の若手人材の立場というのは非常に繊細なものである。自分の未熟さを自覚しつつ、それでもクライアントから「先生」と呼ばれ続ける…そんな板挟みの心理状態は、若手士業独特のものなのかもしれない。自分なりの価値の出し方を必死に模索する彼の心意気は、そんな板挟みに負けないたくましさと、どこか飄々としたしなやかさを感じさせるものだった。
プロフィール
20代後半 男性 公認会計士
2014年に公認会計士試験に合格し、大手監査法人の東京事務所に就職。現在、国内監査業務やIPO支援業務を行う部署に配属され、主にIT関連企業の監査やコンサルティング業務に携わる。
カッコいい仕事をしたかったのに
人よりもデキる男になりたくて
自分でも自覚がありますが、私は目立ちたがりであり、人から賞賛のまなざしを贈られたいと日々思っているほうです。学生時代からリーダーシップを発揮するような立場が大好きで、サッカー部ではキャプテンになり、大学のゼミでもゼミ長をやらせてもらっていました。
そんな「デキる」自分が、普通の会社に就職するなんてありえない…そんな思いで、自分が通っていたのが商学部であったこともあり、資格を取って華々しく仕事をしようと考えるようになりました。今思えば本当に浅はかな動機で公認会計士を目指したわけですが、結果としてとても良い成長の機会を得られたとも思います。
しかし現実は想像以上に泥臭かった
公認会計士試験に合格した後、大手監査法人に入所します。そこでも「普通の監査」をしたくなくて、IPO支援やコンサルティングを行うことができる部署を希望し、無事そこに配属されたのですが、そこで与えられた仕事は想像以上に泥臭いものでした。
IPO支援のプロジェクトで担当したクライアントはアプリ開発の会社で、IT系の企業に興味のあった私は最初はとても喜んでいたわけですが、クライアントのビジネスが華やかであっても、会計的な面から見たプロセスはとても地味なものでした。アプリ開発で言えば、誰それが何時間どのアプリの開発に従事したかをどのように集計しているのか、といったことを会計士としてヒアリングしたり、実際の就業管理システムを見せてもらったりして確認するわけです。
もちろん真面目に作業はしていましたが、内心「あまり面白くないな」と思っていました。表舞台で活躍することが大好きだった自分にとって、こういった作業はいかにも裏方的で、性に合っていないな、と思ったものです。
あの人は何で輝いているの?
すぐそばにいた先輩のカッコよさ
それでも自分がそういった地味な仕事を辛抱して続けていたのは、一緒にそのクライアントを担当していた先輩の存在があるからです。自分より2年先に入社しただけのその先輩は、立ち居振る舞いもカッコよく、クライアントからも全幅の信頼を得ているように見えました。
ある日、作業部屋に経理の人が入ってきて「〇〇先生(先輩の名前)はいますか?」と訊かれ、「今日は来ないんです」と答えると、「…じゃあ、あなたで良いので教えてください」と、仕方なさそうに自分に相談事を持ち掛けられたことがありました。そのこと自体もとても悔しかったし、その質問に即答できなかった自分にも怒りを覚えました。
結局私は先輩に電話をして質問内容を伝え、すぐに回答をもらって経理の人に伝える、という伝言ゲームをすることしかできませんでした。あの時の怒りと悔しさが入り混じった気持ちは、ずっと忘れることは無いと思います。
育ててもらいながら、育てる
その日、事務所に帰ると、その先輩が声をかけてくれました。その時いただいた言葉がタイトルにもした「育ててもらいながら、育てる」でした。
会計監査六法を引けば載っているようなことは、クライアントも調べればわかると思っている。そこに載っていないようなことを聞かれて、自分なりに考えたり、色々な人と相談したりしながら答えを見つけ出すことで、クライアントは新しい知見を得るし、僕たちもプロとしての経験値が積みあがっていくんだ、という先輩の話を聞いて、キラキラしているその先輩が、見えないところでいかに努力をしているのかを思い知らされる気持ちでした。
カッコいい仕事とはなんだ
泥にまみれるつもりで
思えば、学生時代のキャプテンやゼミ長という立場は、本当のリーダーではなくて、多数決という簡単なプロセスで決められ、先生方などに見守られながら、安全地帯でリーダー面するだけの立場だったのだな、と思います。
本当に信頼されるリーダーなりプロフェッショナルになりたいと思った時、泥臭い作業にしっかりと向き合って仕事を進めることや、自分の足りないところも自覚して、時には助けを借りながらもクライアントのために力を尽くすことなど、“カッコ悪い”部分がどうしても欠かせないんだな、と今となって思います。
むしろ、今のうちからそうやって積極的に泥にまみれて働くことこそが、先輩のようなカッコいいプロフェッショナルへの唯一の道なのかもしれません。みんなの前で華々しく活躍することはいったん忘れて、誰も見ていないところでの努力を、積み重ねてみたいと思います。
※記事内容などは取材時のものになります。
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