会計士が独立に向けてのやるべき準備とは?
独立している会計士の人は、どのようなことを考え、どのような準備をして独立をしているのでしょうか。独立に対してどれだけ事前に準備できるかによって、独立開業後の人生が変わってきます。ここでは独立後のキャリアプランを考えつつ、独立を成功させるために事前にやるべきこと、身につけること、独立に向けての心構えなどをご紹介します。
マイナビ会計士編集部
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独立すると決めたらやるべきこと
会計士は、開業届を提出すれば簡単に開業できます。しかし、独立までには準備が大切です。独立すると決めたら、まず何をすべきなのか。6つの準備すべきことをご紹介します。
キャリアプランを考える
会計士として独立をするなら、自分のキャリアプランを考えましょう。たとえ独立しなくても、将来的に何をしたいのか考えることで、やるべきことが明確になります。独立してどのような人生にしたいのかを考え、準備を進めてください。
資金を準備しておく
まとまった資金を準備しておくことで、独立後も心の余裕を持つことができます。独立して仕事が取れず資金が減少すると、焦りが出てしまうものです。その結果、自分の描いたキャリアプランとは異なる仕事も取ってしまい、目的と乖離する可能性があります。手元に、半年から1年分の資金を準備しておくことで、スムーズに独立を進められるでしょう。
業務範囲を決める
独立するには、自分の強みを活かせる分野で戦っていく必要があります。これまで自分が取り組んできた経験や身につけたノウハウを業務に結びつけることで、効率的に業務を進めることが可能です。これまでの経験などを棚卸し、独立してから自分の軸となる業務範囲を決めましょう。
また、業務範囲を決めた上で足りない知識などがあるなら、できるだけ独立までの期間で身につけておきましょう。そうすれば、提供する業務の質も上がります。
やること・やらないことを決めておく
独立しても案件が少ないと不安になってしまい、色々な案件を引き受けたくなるかもしれません。しかし、やりたくない案件も引き受けてしまうと、当初の目的から離れてしまう可能性があります。そのため、事前にやる業務を決めておき、決めたもの以上の業務を受けないことが重要です。
ただし、絞りすぎてしまうと案件がなくなってしまいます。そのため、ベース業務を決めた上で、プラスアルファの範囲を決めておくのが良いでしょう。
人脈を広げておく
独立したら、どう仕事を確保するかが重要です。仕事を確保するためには、提供できる業務の質や範囲など求められますが、人脈の確保も欠かせません。
独立するまでに、例えば異文化交流会に参加したり同業の人と交流したりするなどして、人脈を広げておきましょう。案件が減少したときに仕事を紹介してもらう、あるいは手伝えるような関係を築いておけば、独立後、困ったときの助けとなります。
集客のやり方を考えておく
仕事を確保し続けるためには、人脈だけでなく自分で集客できるようにしておくことも重要です。会計士として仕事を行ってきた人は、プロダクトアウトになりがちで集客に苦労してしまうかもしれません。ホームページやSNSなどを上手く活用できるよう、事前に集客の方法を考えておくことで独立後に苦労しにくくなります。
独立後の会計士の仕事内容
会計士が独立後、提供できる業務について見ていきましょう。範囲を広げれば数多くありますが、その中でも関連が強い4つについてご紹介します。
税務代行(記帳代行、税務申告など)
会計士は、税理士としても登録することが可能です。そのため、独立する際に税理士登録も行い、税務代行などの税理士業務を提供する人も少なくありません。個人の顧客も多く、顧客を獲得しやすいことがメリットですが、逆に一般的な税務では単価が低いことがデメリットとなります。税務書類の作成、税務申告などの税理士の独占業務に加え、それに付随する記帳代行で顧客を獲得し、次の業務に繋げていくことで業務を広げていけるでしょう。
M&AなどのFAS業務
会計士との関連が強い業務として、FAS業務があります。会計士であれば財務DDや株式価値算定、または内部統制構築支援などが業務に当てはまるでしょう。これらのうち、M&Aに関連する財務DDや株式価値算定は特殊性があり、競合が少なく単価も他の業務よりも高い業務です。ただし、案件数が少なという難点があるため、金融機関など紹介してもらえる先を確保することが重要になります。
融資支援、補助金代行など
会計士が関連する業務として、融資支援や補助金代行もあります。事業計画の策定は、数字周りが得意な会計士の守備範囲です。会計士が作成した事業計画は金融機関から信頼されやすく、融資も受けやすくなります。これは、補助金代行に関しても同様に、事業計画の作成支援などができる会計士の対応可能な業務です。
非常勤での監査業務
独立してから、監査業務は関係ないと考える人がいるかもしれません。しかし、案件がないときには、非常勤での監査業務が助けになります。通常の業務と比べて単価も高く、選択肢としては良いでしょう。ただし、単価の高さによって、非常勤の監査業務から抜け出せなくなるというリスクもあります。独立してやりたい業務を優先し、業務がないときのサポートと考えるのが良いでしょう。
独立までに身につけるべきこと
独立してやりたいことが整理できれば、それまでに必要に応じて知識を身につけましょう。独立後に役立つ知識として、主に3つをご紹介します。
税理士法人などで税務の知識を身につける
細かな税務の知識を身につけることは難しいですが、独立後、多くの人は税務の知識が必要と痛感するでしょう。独立するまでに税理士法人など税務関係に携わり、税務の知識を身につけることをおすすめします。独立することが早くから決まっているなら、早めに税理士法人で働くなどのキャリアプランを考えておき、独立までの過程に入れておくと良いでしょう。
M&Aの知識を身につける
M&Aの知識は、FASなどのコンサルファームを挟まないと、なかなか実務の知識を習得するのは難しいものです。そのため、独立までにM&A業務を経験して知識を身につけておく必要があります。
DDなどは監査の延長線上と思われがちですが、イコールではありません。監査経験が役立ちますが、なぜDDを行うかなどを理解しておかなければ、独立した後に苦労してしまう可能性があります。
融資や補助金の知識を勉強する
融資や補助金の知識は、会計士の業務だけだとなかなか身につきません。一方、これまで見てきた税務やM&Aの知識と比較すれば、学びやすい知識となります。補助金は実際に何度か申請すると、制度の内容などの構造が理解でき、通りやすい事業計画の作成の方法などがわかるようになるでしょう。また、融資に関しても何度か作成すると、必要な情報や金融機関が気にしているポイントなどを理解できます。これらの業務は、専門とする会社で経験するほか、副業などで身につけるのも一つの選択肢です。
独立直前にやっておくこと
独立直前にやるべき準備について、ここで主な内容を5つご紹介します。
銀行口座・クレジットカード・自宅の賃貸契約などを済ませておく
独立を決めたら、まずは金融機関や自宅の賃貸、クレジットカードなど契約関連の手続きを進めておきましょう。独立すると収入が減り、審査等が通りにくくなります。独立までに準備することで、問題なく終わらせることができるはずです。
税理士登録
会計士が独立する際には、税理士登録する人がほとんどです。しかし、登録までに時間がかかるため、独立までの期間で申請を進めてくと良いでしょう。事前に税理士登録を終わらせておくことで、スムーズに独立できるよう備えておいてください。
事務所を契約する
自宅の賃貸契約と同様、契約関係は事前に終わらせることが必要です。しかし、その観点とは別に、自宅で開業すると自宅の情報が開示されます。開示しないという方法もゼロではありませんが、事務所がないことで信頼性が下がる可能性があるでしょう。上述の点は考慮しながら、必要であれば早い段階で事務所の契約を進めてください。
開業届の提出の準備をする
独立すると、開業届を提出する必要があります。独立までに準備を進め、独立するタイミングですぐに出せるようにしておきましょう。独立したら実務に集中できるよう、こうした単純な手続きはすぐに終わらせられるよう進めることが大切です。
オフィス機器を用意する
独立したその日から稼働でき、スムーズに仕事ができるよう、オフィス機器を整えておきましょう。PCや会計ソフト、税務申告ソフトなどは、事前に調べて使いやすいのを見つけておくことが重要です。
独立にあたっての心構え
独立するにあたって、必要な心構えをご紹介します。
独立する目的を意識す
独立する目的を意識しましょう。当然ながら人それぞれ異なりますが、目的を明確にしておかないと挫折したときにモチベーションが上がりません。前向きに進むことができず、なかなか良い結果を得られなくなってしまいます。
自分で仕事を選択することを意識する
独立後は、自分で仕事を確保していかなければいけません。ただし、仕事がないからといって、やりたくない仕事まで取るとモチベーションが下がります。自分で決めたルールに基づき、自らが仕事を選択すること。そのうえで目的達成に向けて取り組めば、望む結果へと近づいていけるはずです。
まとめ
会計士が独立までにすべき準備をご紹介しました。事前に準備しなくても、独立すること自体は可能です。しかし、成功する確率をより高めるには、やはり準備が欠かせません。具体的には開業届の提出や税理士の登録といった手続き、知識やノウハウの習得、やるべきことやキャリアプランの整理などがあります。本記事の内容を参考に、スムーズに独立できるよう早い段階から準備を進めてください。
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