公認会計士の独立準備って何するの?開業に必要なものや後悔しないための要点まとめ
独立している公認会計士の人は、どのようなことを考え、どのような準備をして独立をしたのでしょうか?独立に対してどれだけ事前に準備できるかによって、独立開業後の人生は変わってきます。ここでは独立後のキャリアプランを考えつつ、独立を成功させるために事前にやるべきことや身に付けること、独立に向けての心構えなどをご紹介します。

岩波 竜太郎
公認会計士
2000年、公認会計士2次試験合格。2004年公認会計士登録。
大手監査法人ではマネージャー・シニアマネージャーとして、主として世界有数のグローバル企業の会計監査に従事。その後ベンチャー企業へ転職し、執行役員・管理本部長として人事や労務なども含めた管理業務全般を幅広く経験。
2015年5月に岩波公認会計士事務所を設立し独立。2016年10月にはアイプラスアドバイザリー株式会社を設立。決算支援や管理会計構築をはじめとする財務会計・管理会計のアドバイザリー業務に従事する傍ら、上場会社の社外役員としても活躍。
目次
公認会計士が独立する前に検討しておくこと
公認会計士が独立する前にまず考えるべきことは、独立のタイミングと独立に向いているかどうかです。公認会計士の資格取得には公認会計士試験に合格して3年以上の実務経験、および実務補修の修了が必要で、監査法人での勤務から最短3年で独立可能です。
ただし、若くして独立しても実績が伴わないと失敗するリスクが高まります。若いうちに独立するのか、企業からの信頼や肩書きを持ってからにするのか、業務に直結するネットワークの開拓が十分に行われてからにするのか、タイミングを見極めることが大切です。
また、独立に向いているタイプの人には、以下のような特徴があります。
- 営業力がある
- ネットワークがある
- バックグラウンドがある
- 努力家である
これらの特徴を踏まえたうえで、自分は独立しても大丈夫だと思える場合は、独立を前向きに検討してみてもよいでしょう。不安要素がある場合は、今は別の選択をするというのも1つです。別の選択に関する具体的な内容については、後述します。
公認会計士が独立すると決めたら最初に行う準備

公認会計士は、開業届を提出すれば簡単に開業できます。しかし、事業を軌道に乗せて長く継続させるためには、独立までの準備が大切です。独立すると決めたらまず何をすべきなのか、準備すべきことを6つにまとめてご紹介します。
キャリアプランを考え、独立の目的を明確にする
会計士として独立をするなら、まずは自分のキャリアプランを考えることが大切です。高い年収を目指せる「独立」は、公認会計士のキャリアプランにおいて最終ゴールだと認識する人もいます。ですが、会計士は独立後も会計士としての本業である財務会計・管理会計関連の仕事以外に、非常勤監査役や税務顧問、FASなどさまざまな領域に広がっており、昨今では特に働き方が多様化しています。
つまり、独立は新たなキャリアのスタートラインと考えるべきです。独立を考え始めたタイミングで、将来的に何をしたいのかを改めて熟考してみるとよいでしょう。1つレベルを上げたキャリアプランを練ることは、ライフプランにもかかわる重要な準備といえます。
資金を準備しておく
会計士として独立するにあたって、ある程度まとまった資金を準備することも大切です。独立当初は思ったように仕事が取れず、資金が減少していくのを見て、焦りが出てしまうこともあるかと思います。その結果、自分のポリシーに反するような仕事も取らざるを得なくなってしまい、当初の理想と現実が乖離する恐れがあります。まとまった資金を準備すれば、独立後も心に余裕が持てます。具体的には、手元に半年から1年分の資金を準備しておくことで、スムーズに独立を進められるでしょう。
サービスラインを決める
会計士が独立して成功するためには、自分の強みを生かせる分野で戦う必要があります。これまで自分が取り組んできた経験や身に付けたノウハウを業務に結び付ければ、効率的に業務を進めることが可能です。これまでの経験などを棚卸しし、独立してから自分の軸となるサービスラインを決めましょう。また、サービスラインを決めたうえで足りない知識や経験があるなら、できるだけ独立までの期間で身に付け、経験しておくのがおすすめです。そうすれば、提供する業務の質も上がります。
引き受ける案件の判断基準を決めておく
公認会計士の独立準備では、引き受ける仕事の量・質について、明確に線引きすることも必要です。独立しても案件が少ないと不安になってしまい、いろいろな案件を引き受けたくなるかもしれません。しかし、何でも引き受けてしまうと、当初の目的から離れてしまう可能性があります。そのため、事前にある程度受けるべき案件の判断基準を決めておき、それに反するものはなるべく受けないことが重要です。
ただし、絞り過ぎてしまうと案件がなくなってしまいます。そのため、ベース業務を決めたうえでプラスアルファの範囲を決めておくのがよいでしょう。
ネットワークを広げておく
公認会計士が独立する場合、どう仕事を確保するかが重要です。仕事を確保するためには、提供できる業務の質や範囲など求められますが、業務に関連するネットワークの確保も欠かせません。独立が決まったら、これまでお世話になった方にきちんとご挨拶・ご報告をするようにしましょう。自分の力量をよく理解している方からのお話が一番仕事になりやすいのではないかと思います。場合によっては、異業種交流会に参加したり同業の人と交流したりするのもよいかもしれません。案件が減少したときに仕事を紹介してもらう、あるいは手伝えるような関係を築いておけば、独立後に困ったときの助けとなります。
ただし、紹介や手助けだけで安定した経営を続けるのは容易ではありません。自らの付加価値を常に磨き続け、ネットワークを維持・拡大するための営業コストや時間も考慮しておく必要があります。
集客のやり方を考えておく
会計士が独立して仕事を確保し続けるためには、ネットワークだけでなく自分で集客できるようにしておくことも重要です。独立後は、自らを売り込むマーケターとしての役割も求められます。ホームページやSNSなどをうまく活用できるよう、事前に集客の方法を考えておくことで独立後の苦労を軽減できるかもしれません。
公認会計士の独立準備の流れ
公認会計士が独立して会計事務所を開業する場合、以下のような流れで準備が進められます。
- 銀行口座・クレジットカード・自宅の賃貸契約などを済ませておく
- 税理士登録をする
- 事務所を契約する
- 開業届などの提出の準備をする
- オフィス機器を用意する
5つのSTEPに分けて解説します。
1.銀行口座・クレジットカード・自宅の賃貸契約などを済ませておく
独立を決めたら、まずは金融機関や自宅の賃貸、クレジットカードなど契約関連の手続きを進めておきましょう。独立すると収入が減り、審査等が通りにくくなります。独立までに準備しておくことが回避策につながります。
2.税理士登録をする
会計士が独立する際には、税理士登録をする人がほとんどです。しかし、登録までに時間がかかるため、独立までの期間で申請を進めていくとよいでしょう。事前に税理士登録を終わらせ、スムーズに独立できるように備えましょう。
3.事務所を契約する
自宅の賃貸契約と同様、契約関係は事前に終わらせることが必要です。しかし、その観点とは別に、自宅で開業すると自宅の情報が開示されます。開示しないという方法もゼロではありませんが、事務所がないことで信頼性が下がる可能性があるでしょう。上述の点は考慮しながら、必要であれば早い段階でシェアオフィスや事務所の契約を進めてください。
4.開業届などの提出の準備をする
独立すると、開業届や青色申告届などを提出する必要があります。独立までに準備を進め、独立するタイミングですぐに出せるようにしておきましょう。独立したら実務に集中できるよう、こうした単純な手続きはすぐに終わらせておくことが大切です。
5.オフィス機器を用意する
独立したその日からスムーズに稼働できるように、必要となるオフィス機器を整えておきましょう。PCや会計ソフト、税務申告ソフトなどは、事前に調べて使いやすいものを見つけておくことが重要です。
公認会計士は独立したら何するの?
公認会計士が独立した後の主な業務は、財務会計・管理会計に関する各種業務、税務代行、FAS業務、融資支援、補助金代行、非常勤での監査業務などです。
財務関係に関する業務としては、決算支援や新しい会計基準の導入支援、管理会計に関する業務については予算策定支援・管理会社に関する各種レポート作成支援などがあります。これらの業務では、会計士としてのスキルを直接生かしやすいといえるでしょう。
独立後は、税理士登録を行って税務代行や記帳代行を請け負うケースもあり、これは顧客獲得のしやすさから経営の土台となり得ます。次に、財務調査(DD)やバリュエーションといったM&A・FAS業務があります。高単価ですが案件獲得にはネットワークが重要なため、金融機関等との連携が鍵です。
また、数字の裏付けがある事業計画書を作成できる強みを生かし、融資支援や補助金の申請代行でも重宝されることがあります。これらに加え、収入の安定化を図るために非常勤での監査業務を組み込むのも一般的です。非常勤監査は時給単価が高く魅力的なセーフティネットになります。しかし、依存し過ぎると自身の事業拡大を妨げるリスクもあるため、本来やりたい業務とのバランスを考慮することが大切です。
会計士が独立するのに必要な知識
会計士が独立を成功させるためには、やりたいことを整理して、必要に応じた知識を身に付けることが大切です。
独立後は、税務に関する業務ができると仕事の幅が広がります。そのため、税務関連の知識や経験を身に付けるのもおすすめです。独立前に税理士法人でキャリアを積み、現場での実務経験を重ねるのも1つの方法でしょう。また、M&Aの知識が必要となるケースもあるため、FASやコンサルファームでの実務経験を通じた本質的な理解が求められるケースもあります。
クライアントの経営を支える融資や補助金の知識も大切です。これらは比較的学びやすく、独立後の武器になります。専門とする会社で経験するほか、副業などで身に付けるのもおすすめです。
会計士が独立準備中に知っておくべきメリットとデメリット

会計士の独立準備を進めるうえで、独立におけるメリットとデメリットをご紹介します。
独立すると、仕事や収入、時間の全てを自分の裁量でコントロールできるのがメリットです。自分の得意分野を生かし、成果をダイレクトに報酬に反映させることができます。また、自分の時間を優先したワークライフバランスを築ける可能性があるため、趣味に没頭したり、新しいことに挑戦したりする時間も作れるでしょう。
その一方、全ての責任を自分で負うため、相応のリスクが伴う点がデメリットといえるでしょう。独立して思うように仕事が獲得できないケースや、収入のために何でも案件を受けなければならないケースもあります。また、全ての責任の所在は自分にあるため、業務上のミスはもちろん、自身のケガや病気も収入減と信用の失墜に直結する可能性があります。これらのメリットやデメリットを十分に把握したうえで、必要な独立のための準備を怠らないことが大切です。
会計士は独立するべきか、後悔しないためのキャリア選択
会計士として働くうえで、独立するだけがゴールではありません。独立のタイミングが今ではない場合もありますし、そもそも独立に向いていない人もいます。そのため、自分のキャリアにおける目的を明確にしたうえで、最適な選択をすることが大切です。
たとえば、裁量権のある働き方や専門性の追求、年収アップが目的の場合、ベンチャーのCFO候補や特定の専門領域に特化した企業、コンサルティングファームなど、その希望をかなえられる環境があるかもしれません。独立準備を進めるうえで、自身の強みを棚卸しして、不足しているスキルを自覚している会計士は、転職市場において非常に高い評価を受けられます。後悔のない選択をするために、まずは自分の可能性が転職市場でどう評価されるのか、客観的な視点を取り入れてみるのもおすすめです。
まとめ
会計士が独立までにすべき準備をご紹介しました。事前に準備をしなくても、独立すること自体は可能です。しかし、成功する確率をより高めるには、顧客および潜在顧客の獲得、開業届や青色申告届などの提出や税理士の登録といった手続き、知識やノウハウの習得、やるべきことやキャリアプランの整理といった入念な準備が欠かせません。独立には大きな魅力がある一方、相応のリスクも伴います。本記事の内容を参考に、スムーズに独立できるよう早い段階から準備を進めてください。もしキャリアプランを検討するうえで不安を感じた場合、ぜひマイナビ転職 会計士の無料相談をご利用ください。
マイナビ転職 会計士を利用して
転職された方の声
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進路について適切なアドバイスをしてもらえました!自分の進路について明確な答えが出せていなかったものの、どの業種に進んだら良いかなど適切にアドバイスをしてもらえました。どういったキャリアを積んでいけばより市場価値を高められるのか、候補の会社がどう違うのかを具体的に説明していただけました。(30代/会計士) -
求人の提案力と面接のフィードバックが良かった!タイムリーな求人の紹介とフィードバックの提供が良かったです。面接前の情報提供では、自分のアピールしたい強みが、面接先企業のどこに符号しており、今後の展開をどう捉えているかの思考の整理をする際に役立ち、安心して面接を迎えることが出来ました。(30代/会計士)
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