~「CPA TALKs 2019」 イベントレポート~ 会計士の多様性【前編】

日本公認会計士協会東京会若手公認会計士特別委員会(通称:青年部)が主催するプレゼンテーションイベント「CPA TALKs」。毎年、さまざまなフィールドで活躍する公認会計士がプレゼンターとなって、仕事観や人生観を語られます。
2019年3月21日、「CPA TALKs 2019」が開催され、今回も多数の公認会計士や学生が来場。テーマは「会計士の多様性」です。マイナビ会計士では、同イベントの模様を計三回にわたってお届けします。第一回は、プレゼンターの梅木 典子さん、柚木 庸輔さんの講演をご紹介します。

監修
マイナビ会計士編集部
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人生100年時代を生きる~しなやかなキャリアの作り方

梅木 典子さん(Noriko Umeki)
外資系企業や金融機関の会計監査、アドバイザリー業務に20年超にわたり従事。現在は、PwCあらた有限責任監査法人パートナーとして、クライアント業務のほか、PwC Japan Groupのダイバーシティ推進リーダーを務める。社外では総務省官民競争入札等監理委員会委員、如水会監事等を務める。プライベートでは二児の母。「自分らしくキャリアをしなやかに築く」を実践中。
私の公認会計士としてのキャリアは、25年になります。その間、ビジネス環境は大きく様変わりしました。日本は少子高齢化まっしぐら。平均寿命が延び続け、人生100年時代が到来すると言われています。これは、70代、80代まで仕事を続けて稼がないといけない時代がやってくることを意味します。
『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)―100年時代の人生戦略』には、人生100年を生き抜くために必要な資産として「生産性資産」「活力資産」「変身資産」が必要になると書かれています。
これら3つの資産の中でも「変身資産」を軸にお話ししたいと思います。私のキャリアを振り返りながら、どのような点を大事に考えてきたのか。また、これから先の人生をどのように考え、生きていこうと思っているのかをご紹介します。
私のモチベーション曲線は大きな波を打っています。これは、人生のさまざまなイベントを、悩みながら乗り越えてきたからです。大学4年の時に公認会計士試験に合格。卒業後、監査法人の国際部に配属になりました。最初の5年間は仕事に恵まれず、キャリアとしてカウントできないほどでした。
今、当時の自分を分析すると、「コミュニケーション力」の不足が原因だと感じています。先輩にお酒を誘われても行かない、お昼休みの雑談にも加わらない。さぞかし、面白みのない人間だったでしょう。仕事のチャンスが来なかったのもうなずけます。
社会人になって1年経った頃に結婚。5年目に第一子を出産しました。そして、職場に復帰した時、大きな転機が訪れました。大型の金融機関の監査業務を受注し、当時、シニア・スタッフだった私が配属されたのです。
小さな子どもを抱えながら仕事をするのは、とても大変でした。しかし、やりがいのあるクライアント業務の担当にようやくなれた私は、仕事にのめり込んでいきました。幸いなことに、両親と夫が育児をサポートしてくれました。
仕事では上司に恵まれました。子どもの熱で仕事を早退する時、「君は好きな時間に来て、好きな時に帰って良いよ」と言ってくれました。二人目を妊娠後、シニアマネージャーに推薦してくれた時、「自信がない。自分には無理」と断った時も、上司は「自信があるかを聞いているんじゃない。やりたいかを聞いているんだ。やりたいならやってみなさい。サポートするから。」と背中を押してくれました。
パートナーに昇格してから、新しい取り組みに挑戦しました。当時の女性スタッフを集めて、ネットワーキング活動をスタートしたのです。この取り組みが評価され、「ファーム全体の活動としてやってみたら」と勧めてもらい、ダイバーシティ活動が始まりました。
2年後、グローバルでダイバーシティを推進していくことになり、私はダイバーシティ推進リーダーに就任しました。今では、ダイバーシティというと、多くの方が「梅木が担当」と思ってくれるように。こうして、私はようやく自分の居場所を見つけたのです。
実はパートナーに就任した時、モチベーショングンが下がっています。どんなリーダーを目指すか、模索していたからです。不安で仕方なく、悩んでばかり。そのような中、ダイバーシティという自分が打ち込めるものを見つけたのです。ダイバーシティは、私のパーソナルブランドの大事な1つの要素となりました。
私がこれまでのキャリアで大切にしてきたのは「続けること」です。では、続ける力を持つには? 私は以下の3つが大切だと感じています。
・自分の強みを持つ
・周囲との信頼を築く
・変化への対応能力
変化の早い時代に成長し続けるには、変身資産が必要です。変身資産は、準備ができていない激しい変化のプロセスを助けるものです。
最後に、これからの時代、しなやかにキャリアを築くためのポイントをご紹介します。
・キャリア構築における自分の軸を持つ。
・業務を通じて成長できる環境を選ぶ。
・人間力を磨いてネットワークを拡げる。
・機会が与えられたらやってみる。大事なのは一歩前に踏み出す勇気!
・人生のパートナーの理解を得る。
・多少遠回りしても、やりたいこと・なりたいものを求め続ける。
・人生にはユーモアが必要! 辛い時こそ、顔を上げて笑い飛ばす。
「Be yourself. Be different.」――私の好きな言葉であり、私が所属するPwC Japan Groupのダイバーシティ・スローガンです。あなたらしくあれ。なんと温かく、インクルーシブな言葉でしょう。
リーダーが10人いたら、10通りのリーダーシップのスタイルがあります。自分の評価は他人が決めるものではなく、自分がハッピーならそれでいいのです。
仮想通貨と公認会計士の過去、今、未来

柚木 庸輔さん(Yosuke Yunoki)
2004年監査法人入所。その後、外資系事務所、税理士法人、コンサルティング事務所等を渡り歩き、独立。独立後は税務会計領域よりも、バリューを生み出すものは最先端の事業だと信じ、事業会社の起業を模索する。最先端の事業として、ブロックチェーンビジネスに魅了され、日本仮想通貨交換業協会にて、業界の発展のために奮闘している。
私は現在、仮想通貨業界に身を置いています。仮想通貨の歴史は、今から10年程前の2008年、ビットコインの誕生に端を発します。2010年、あるプログラマーがピザ2枚を1万BTC(ビットコイン)で交換しました。当時のレートは、1BTC0.25円。それが2017~18年には、1BTC=235万円に。1000万倍にも跳ね上がりました。
私は、仮想通貨が創り出す新しい世界や新しい価値観に魅力を感じています。ブロックチェーンやトークンエコノミーがどのような世界を作るのだろう。そう考えるだけでワクワクします。
公認会計士の私が仮想通貨業界で何をしているのか。仮想通貨交換業の土台であるルールを作る仕事に携わっています。所属している日本仮想通貨交換業協会は、仮想通貨交換業の自主規制団体です。
2018年、大規模なハッキング事件が起きたことから、発足しました。仮想通貨交換業はスタート地点に立ったばかりで、私が入った時、メンバーはわずか4名でした。
では、なぜ私は仮想通貨業界に身を置くようになったのでしょうか。 私は2004年に公認会計士試験に合格し、大手監査法人に就職しました。そして、15年に独立しています。その間、10年間、4回の転職をしています。
転職をする時、私はいつも言い訳をしていました。「海外勤務がしたかったが、今まで勤務していた監査法人ではできなかった」「監査でなく、クライアントに近い立場でコンサルティングを行いたい」など。私は新しい職場から“何か”を受け取るために転職していました。しかしそれでは、受動的な姿勢になってしまいます。
もっと自分を信じて、職場から何かを受け取るのではなく、何か残すために転職すべきでした。そこに集中すれば、新しい職場で新しいものを創造できたかもしれません。しかし、このことに気付いたのは、独立した後でした。
「何か残すこと」を気付かせてくれたのは、ある絵本がきっかけです。長女が3歳になったころ、読み聞かせ用に荒井良二さんの『なんていいんだぼくのせかい』という絵本を購入しました。
表紙の帯に「300年後の子どもたちへ。」という言葉が記されており、このフレーズが目に入った瞬間から、私は300年後の子供たちを意識するように。独立して自分の名刺を作った時も、名刺のキャッチフレーズにこの言葉をつけました。「300年後の子供たちのために。」と。
独立後、私は2つのことに気付きました。1つは、環境が大きく変わったこと。目の前に仕事はありません。自分で仕事を探しに行かなければなりません。仲間もいません。仲間がいなければ、仕事の楽しみも半減してしまいます。
私は仕事を探しに行き、同時に仲間を探しに行きました。素晴らしい公認会計士に恵まれて、仕事もいただけるようになり、何とか軌道に乗りました。
独立すると、公認会計士の枠を超えて仕事をすることができます。公認会計士以外の人に会う機会も増えます。私は技術者との出会いが多く、それがきっかけで仮想通貨と出会いました。
気付いたことの2つ目は、仕事の種類です。私が知り合った技術者は常に最新テクノロジーを用いて、世の中にはない仕事を創っていました。そこから私は「仕事は2種類ある」ことに気付いたのです。
1つ目は、すでにあるパイを取り合う仕事。もう1つは、何もないところにパイを作って新しい仕事を創造する仕事。仮想通貨は後者です。新しいパイを作る仕事です。新しいパイを作り、300年後の子どもたちのために何かを残したい――私はそう決意しました。
2018年、日本仮想通貨交換業協会に入社。しかし、仮想通貨には会計のルールがないばかりでなく、あらゆるルールがまだありません。つい先日、金融庁が金融商品取引法の改正を提案しましたが、仮想通貨業界はこれからどんどん動いていくことでしょう。
何もないからこそ新しいパイを作って、新しい仕事を作っていく。「300年後の子どもたちのために“何か”を残すことができる」という実感を、私はすでに得ています。
以上、私のキャリアをご紹介しました。最後に、本日、会場に起こし下さっている皆さんに向けてメッセージを。公認会計士として仕事を探るときのアイデアとして、参考になれば幸いです。
・明日から、仕事を創り出してみよう。
・公認会計士の枠を超えて、最新のテクノロジーに触れよう。
・迷ったときには「300年後のためになっているか」という視点で選択しよう。
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