会計士の市場価値を高めるIFRSの重要性

経済活動のクロスボーダー化や複雑化が進むなかで、公認会計士の業務フィールドも多様化しています。これからの時代に活躍できるのはどんな会計士なのか。トップ会計士はどう自らのキャリアを切り拓いてきたのか。早稲田大学大学院会計研究科の実務家教員インタビューの2回目では、財務会計やIFRSなどの専門家として教壇に立つ秋葉賢一教授に話を伺いました。

監修
マイナビ会計士編集部
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プロフィール

秋葉 賢一氏早稲田大学大学院会計研究科教授
横浜国立大学経営学部卒業。1986年英和監査法人(現・有限責任あずさ監査法人)入所。1989年公認会計士登録。1998年同法人社員、2007年同法人代表社員。この間、2001年から2009年まで企業会計基準委員会(ASBJ)へ専門研究員(2007年から主席研究員)として出向。2009年より現職。これまで、日本銀行金融研究所客員研究員(1997年から1999年。2018年から現在)、金融庁企業会計審議会幹事(1999年から2003年)、公認会計士試験委員(2009年‐2015年)、日本証券アナリスト協会試験委員(2005年-2018年)、金融庁企業会計審議会企画調整部会専門委員(2013年‐2014年)などを務める。自分の「市場価値」を高めよう
企業活動の広がりやビジネスの複雑化に伴い、公認会計士が活躍できるフィールドは広がっています。監査法人である程度経験を積んだ後に、それまでとは違う業界や領域で働く人も多くいます。最近はM&A絡みの仕事が多いようですね。合併の相手企業の状態を事前に調べたり、買収先ともっとシナジーを働かせるために一体化の方法をコンサルテーションしたりといった仕事です。また、不正会計がないかをIT知識も使って分析する仕事もニーズがあります。ちょっとおもしろい仕事がしたい、金銭的な意味だけでなく生き方をリッチにしたいと思う人は、いろいろチャレンジできる時代ではないでしょうか。
一方で会計士の資格がなくてもいい仕事、会計の知識も生かして働くというスタイルが増えていますから、公認会計士という資格によりかかりすぎず、「自分の市場価値を高める」ということが必要になってきます。
私の場合は、大学卒業後に入所した大手監査法人に約23年在籍していました。20代後半でオーストラリア赴任も経験。帰国後は、デリバティブ取引や証券化の会計アドバイスを行っていた時期もあります。その後日本銀行金融研究所客員研究員や企業会計基準委員会(ASBJ)主席研究員などを務め、2009年から早稲田大学会計大学院の教授を務めています。一般的とはいえませんが、私のように会計の専門性を突き詰めていく道もあります。
会計の知識にプラスして「IT能力」や「数理的能力」、「ビジネス知識」を
公認会計士が自分の市場価値を高めるためにも持っておくといいのが、IT能力や数理的能力などのスキルです。専門家レベルの知識までとは言いません。そういう分野の能力を持つ人と対等に話ができ、その分野の人材をうまく活用したり、一緒にチームを組んだりできる程度の最低限のリテラシー持っておくということです。こうしたスキルは監査法人あるいは事業会社などでマネージメントをする場合にも必要となってきます。
ビジネスに関する知識や理解力もしっかり持つべきでしょう。会計士は企業の経営陣とコミュニケーションする能力や実務が求められますから、相手のビジネスについて十分理解しておく必要があります。監査はオーディット(audit)であり、オーディオやオーディエンスという言葉からもわかるように「聴く」ことがとても重要であり、そこから相手の考えを理解する力が求められます。この能力は主に実務の中で積み上げられていくので、目の前の仕事にしっかり向き合い、毎日を有意義に過ごすことを繰り返していけば、身につくものだと思います。
英語もできないよりできたほうがもちろんいい。とはいえ、苦手な人がいきなり流暢に話すことを目指すのは無理があります。うまくは話せないが読み書きができるとか、会計業務で基本となる単語を知っているとか、それだけでも対応できることはあるはずです。
「IFRS」を理解するべき理由とは!?

日本の企業会計を取り囲む状況もどんどん変わっています。たとえばIFRS(国際会計基準)の導入企業が増えていることがあるでしょう。日本には上場企業が約3600社ありますが、そのうちIFRSを導入している企業は200社程度で、10%足らずです。それでもIFRSに注目が集まっているのは、その10%をみると大企業が多いからであり、その時価総額は、全体の3割強を占めています。
そう考えると大きな企業に関わっていくなら、IFRSは理解しておくと有利でしょう。中堅の企業をベースにしているからIFRSは知らなくてもいいかといえば、そうとも言い切れません。なぜなら、IFRSとの整合性をとるために日本基準も改正する動きがあるからです。その典型が売上の基準です。ASBJが2018年3月に収益認識基準(企業会計基準第29号)を公表しました。今後はこれが適用されていくことになりますが、中身はIFRSのものと同じです。日本基準を理解するためにも、IFRSを知っておくことには意味があります。
私が担当する授業では、日本基準はIFRSとどこが違い、その違いにはどんないい点悪い点があるのかを考えることで、日本基準又はIFRSを相対化しています。どういう経緯で開発されたかを知り、将来を見越して先取りして理解しておくことで、自分の市場価値を高めることにも繋がるのではないでしょうか。
若手の公認会計士のみなさんの中には、公認会計士としての自分の将来像が見えないことに不安を感じている人もいると思います。だからといって一足飛びに何かができるものではありません。目の前の仕事、日々やらなければならないことをしっかりやっていくという積み重ねが3年後、5年後にそれをやっていない人との差として出てきます。今やるべきことを怠らないでほしいですね。幅広い知識を持ちアンテナを張っているうちに、こういうのが合っているとか、こういう分野がおもしろいとか、そういうものは出てくるはずです。
◆早稲田大学大学院会計研究科の魅力は
プラスワンを広げる
早稲田大学会計研究科のキャッチフレーズは「会計+1(プラスワン)」です。「会計中心にやりますが、プラスワンとしてどういう強みがありますか。ここを広げたらいいんじゃないですか」というコンセプトを掲げています。具体的にいえば、会計監査の隣接領域をカリキュラムの中で用意しています。もちろん会計を極めるというのもいいし、それへの対応はもちろんですが、将来の独立も視野に税務的な知識を増やしていこうとか、ITとかコンサル、あるいはプロフェッショナルコミュニケーションとして英語を含めたビジネスコミュニケーションを学ぶ授業なども展開しています。最近は、アクチュアリーの分野にも力をいれています。20代前半の学生が多いですが、4分の1は社会人経験者であり、官庁や企業から国内留学される方もいて、刺激に満ちた環境だと思います。
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