監査法人における仕事の可能性と「監査」の魅力
公認会計士試験合格者の多くは監査法人に就職してキャリアをスタートさせます。そこで、私たち公認会計士が監査法人でどのような仕事をしているのか、監査法人における公認会計士の仕事についてご紹介し、監査法人における公認会計士の将来の展望についてもお伝えしていきたいと思います。
マイナビ会計士編集部
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プロフィール
Zさん 男性会計士 30代大手監査法人勤務 シニアマネージャー
旧2次試験に合格後、大手監査法人に入所。建設業、鉄道業、食品製造業等の監査業務に携わり、現在は総合商社の監査を担当している。一方でIPO監査にも精通し、尖ったゼネラリストを目指して日々邁進中。若者の公認会計士への興味を高めるため、日本公認会計士協会の活動も行っている。自由に働くことが信条。趣味の飲み歩きから最近卒業し、時間があればゴルフで汗を流している。監査法人で仕事をすることの魅力
私は大学卒業後、公認会計士試験に合格して大手監査法人に就職しました。監査法人に就職するとすぐに監査チームに配属されて、インチャージ(主査、監査現場のリーダーとなる公認会計士)の指示に従って勘定科目や業務プロセスの監査を実施することになります。このように、公認会計士試験に合格してすぐに会計・監査のプロフェッショナルとして監査現場に出ることができ、実務経験を積むことができるということは監査法人で働くことの魅力の1つでしょう。
「クライアントの方々から見れば、たとえ新人スタッフだったとしても、監査法人の一員として仕事をしている以上、会計・監査のプロの一人として見られています」という当時の上司の言葉を胸に秘めて、日々、実務で遭遇する会計処理の内容や担当する監査手続の意味を自分なりに考え、時には上司に相談しながら監査調書を作成していました。
監査手続が完了して監査調書が出来上がると、上司によるレビューを受けることになりますが、「しっかりと検討されていて、良くまとまっていますね」と褒められることが新人時代の一番の楽しみでした。
どのようなクライアントに監査に行くことになるかは、所属する監査チームによって異なり、どの監査部門に配属されるかによって決まります。
大手監査法人は、「監査第1部」「監査第2部」などの部署に分かれており、近年は、業種やセクターごとに部門が分かれています。このような体制を業種制やセクター制と呼ぶこともありますが、それぞれの監査部門にその部門が担当している特定の業種やセクターのクライアントが集中しているわけです。
私たち公認会計士は、監査部門に配属され、各監査部門が担当しているクライアントごとにチームが組まれるというわけです。たとえば、大手製造業を担当している監査第3部に配属され、その中で、株式会社〇〇と××株式会社の監査チームに所属する、といった具合に。
どの監査部門に配属になるかは、配属されるまでわからないのですが、「こんな会社の監査をしてみたい!」という希望があれば、就職面接の際に伝えておくと希望が通る可能性もあります。
なお、金融やパブリック(公会計)については専門性が高い分野になりますので、通常の監査部門とは別の部門として独立しているケースが多いと思います。「金融やパブリックの監査をしたい!」という強い希望があれば、希望を伝えることによって金融部門やパブリック部門への配属が叶うかもしれません。
また、近年はクライアントのグローバル化の進展やIPO(株式公開、株式上場)市場の活況に伴い、グローバル企業になることやIPOを目指すクライアントが増加しています。そのため、従来はグローバル企業やIPOを専門に取り扱う監査部門がありましたが、現在は各監査部門でグローバル企業やIPOのクライアントも抱えるようになっています。つまり、監査法人で監査をするとなれば、通常の国内法定監査はもちろん、グローバル企業の監査やIPO監査を担当できる機会が身近にあるということです。
「監査」という仕事の魅力
各監査部門ではそれぞれたくさんのクライアントを担当しており、クライアントごとに1つの監査チームが組成されています。監査チームは監査責任者であるパートナー、チームを統括するマネージャー、現場担当のインチャージ(主査)、指示に基づいて作業を行うスタッフで構成されます。
監査法人内では、公認会計士は一般的に「スタッフ」としてスタートし、数年経験して「シニア」というポジションに昇格し、さらにマネージャー、シニアマネージャー、パートナーとなっていきます。通常、スタッフの時は監査チーム内でもスタッフとして働き、シニアになると、監査チーム内でインチャージとしての役割を任されるようになります。
インチャージとなって現場を任されるようになると、クライアントの担当者と会計処理や開示、内部統制等について様々な議論をすることになります。そのため、幅広い知識やコミュニケーション能力が求められます。
監査法人に就職して数年でそのような役割を任せられるわけですから、最初のうちは議論についていけないこともあるかもしれません。しかしここが踏ん張り時です。クライアントと議論を繰り返すことにより、クライアントのビジネスに関する理解が深まり、会計・監査上の課題への対応力が高くなり、クライアントからの信頼を獲得することができるでしょう。
監査はクライアントとの信頼関係がなければ行うことはできません。監査法人はクライアントから信頼されているからこそ、監査に必要な社外秘の情報を障壁なく提供してもらい、まだ社内でも公になっていないような重要な事業計画についても事前に相談を受けながら対応していくことができるのです。
監査は数字の照合やチェックという単純作業の繰り返しのイメージがあるかもしれませんが、インチャージとしてクライアントのビジネスを理解し、クライアントの信頼を得ながら様々な課題を解決して、最終的にクライアントの決算書を保証するという一連のプロジェクトを最前線で担当できるということは、私たち公認会計士だからこそできることであり、監査法人で仕事をすることの大きな魅力です。
監査法人における仕事の可能性
大手監査法人は海外のbig4と呼ばれるファームと提携しているために、同じファームの中に複数のサービスラインを持っています。監査はもちろんのこと、税務とアドバイザリー(会計、IT、不正、戦略、M&Aなど)でサービスラインは構成されています。
もともと持っている会計に関する知識に加え、監査の中で身に付けたビジネスを理解する力や、クライアントとの議論によって培われたコミュニケーション能力は、税務やアドバイザリーでも活かせる能力であり、こうした能力を身に付けると、監査を一定期間経験した後に、税務やアドバイザリーで活躍することもできます。特にアドバイザリーについては、会計分野はもちろん、M&AやIT分野でも「監査を経験してきた人材」が求められることが多々あるので、監査法人を経験した公認会計士のキャリアの選択肢の一つとなります。
また、大手監査法人で働く公認会計士には、事業会社や官公庁、提携ファームの海外拠点へ出向する機会もあります。監査で培ってきた能力を出向先で活かせることはもちろんのこと、監査以外の業務を経験することで、新しい視点や能力を身に付けることができます。
特に海外勤務については、近年、日本企業が世界各地に進出しているため、先進国だけではなく経済発展が著しいアジアや南米、東欧、アフリカ地域への出向機会が増えてきており、日本の公認会計士が活躍できるフィールドは世界中に急速に広まっています。グローバルに働きたいと考える公認会計士にとって、大手監査法人は充実した環境と体制が整っており、キャリアの選択肢の1つとして大きな魅力があると思います。
監査法人の将来の展望
順調にキャリアを重ねると、シニアとなって現場でインチャージを担当してから数年で、管理職のマネージャーに昇格し、そこから数年でシニアマネージャーへ昇格します。管理職として大きな監査現場や複数の監査現場を取りまとめつつ、人材育成や事業開発、監査法人運営のサポートなど、幅広い業務に携わることになります。
監査法人の公認会計士は監査だけを行っているのではないか、と思っていたら、それは誤解です。監査法人に所属する会計士として多様な業務に携わって経験を積み、自らのキャリアビジョンを明確にして、所属する監査法人を将来どうしていきたいかということをよく考えて、必要なキャリア開発を行っていくことが重要になります。
そしてそのような経験や視点を持った人材が、パートナーとして監査法人を運営することにより、市場の番人として日本経済を支えていくことができるのです。
最近の監査においてはAI(人工知能)による分析やロボティクスによる監査の自動化を推進しています。これは監査という仕事がAIや自動化の導入によってなくなるということを意味しているわけではなく、AIや自動化によって単純作業や膨大な照合作業などを削減しようということです。それによって作り出される時間を、クライアントのビジネスを理解しリスクを適切に識別して対応計画を立案するといった、本来公認会計士が実施すべき高度な領域にあてることで、より保証水準の高い監査を実現し、ひいては監査を通じて付加価値を社会に提供することが可能になると考えています。
監査法人の監査業務は、AIやロボティクスの活用により、人手による膨大な作業からの転換期をむかえています。監査の転換期に立会いながら、監査を通じての将来の日本経済の発展に寄与することができるという貴重な経験をすることができる場所が監査法人なのです。
また、当然のことながら、監査法人においてもいわゆる「働き方改革」が進んでおり、勤務時間の柔軟化、在宅勤務の導入、深夜残業の抑制など、専門職として柔軟な働き方が推奨されています。大手監査法人は、最新のビルに事務所を構え、充実した環境も提供しています。
最新のビルで柔軟に働きながら多様なキャリアを積み、結果的に監査を通じて日本経済の発展に寄与する、これが今の時代の監査法人のビジネスモデルだと言えるでしょう。
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