早稲田大学大学院会計研究科実務家教員に伺う、公認会計士の魅力と可能性 第3回/金子 裕子教授/与えられたチャンスを最大限に活かすことが大切

経済活動のクロスボーダー化や複雑化が進むなかで、公認会計士の業務フィールドも多様化しています。これからの時代に活躍できるのはどんな会計士なのか。トップ会計士はどうキャリアを切り拓いてきたのか。
早稲田大学大学院会計研究科の実務家教員インタビューの第3回。大手監査法人勤務をベースに金融庁出向、ベンチャーやIPOサポート、大学院教授と、新しいキャリアの扉を果敢に開いてきた金子 裕子教授に話を伺いました。

監修
マイナビ会計士編集部
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プロフィール

金子 裕子氏早稲田大学大学院会計研究科教授(公認会計士)
九州大学文学部卒業。1989年太田昭和監査法人(現EY新日本有限責任監査法人)入所。2003年から2006年まで企業会計専門官として金融庁総務企画局企業開示課に出向。2006年から2014年まで日本公認会計士協会監査基準委員会委員、監査保証実務委員会委員。現在、公認会計士試験監査論試験委員、文部科学省地域科学技術イノベーション推進委員会委員、商工中金社外監査役等。TVアナウンサーから異色の転身
大学卒業後は北海道の放送局でアナウンサーをしていました。毎日新しいものを追いかけるのは刺激的で楽しい面はありましたが、次第に「ひとつのことを深くやりたい」という思いが強くなりました。
当時は20代後半での女性の就職は厳しい時代。何か資格を取るのが近道だと考え、ビジネスへの興味が強かったことから公認会計士に挑戦することにしました。会計の知識はまったくなく、簿記3級からのスタート。30歳のときに、2回目の試験で合格しました。
1989年に太田昭和監査法人(現 EY太田昭和監査法人)に入所して14年間は、製造業、航空運送業、不動産業、卸売業、金融業などの監査やアドバイザリー業務に携わりました。さまざまなタイプのビジネスモデル、仕事のやり方、システム、人材の活用法を知ることができ、充実した日々でした。
金融庁出向と国際会議への参加で視野が広がる
2003年から3年間、金融庁企業開示課に出向しました。企業会計審議会の事務局として監査基準や財務諸表の開示規則の改訂・設定などに携わり、ちょうど四半期報告制度や品質管理基準が導入された時期でしたので、そのドラフト作成に携わることができました。監査法人にいると会計基準・監査基準や開示に関する法令等は、既に存在し守るべきものだったのですが、ルールは変えられること、人間の作るものなので欠陥もあること、そして法令等が作られた背景を深く知ることができたのは貴重な経験でした。
金融庁時代には、証券監督者国際機構(IOSCO)の開示小委員会(ディスクロージャー・サブ・コミッティー)に日本代表として十数回参加し、国際開示原則の作成にも携わりました。日本と米国は開示ルールに共通部分が多いのですが、ヨーロッパとは制度や考え方に違いがあることを知ることができたのは、貴重な経験です。また、ディスクロージャー・サブ・コミッティーの参加メンバー十数人のうち8割は女性でしたので、一緒に買い物や食事をする中で、女性が直面するキャリアの課題が世界共通であることを知ったのも大きな収穫でした。
女性経営者やベンチャー企業を応援したい

監査法人復帰後は、監査業務だけではなく、監査チームからの会計に関する質問に対応する本部の部署に所属するほか。職員向け・クライアント向けの研修も担当し、理論派会計士のつもりでした。しかし、さらに転機が訪れました。ベンチャー経営者やIPO(新規株式公開)サポートの仕事です。
きっかけは、2012年に女性経営者と女性エグゼクティブのネットワークであるWinning Woman Network(WWN)を立ち上げたことです。女性経営者たちが経営に関する情報を入手し、ネットワークとロールモデルを見つけられる場を提供しようと、4年間に30回以上のイベントやセミナーを開催しました。ゼロから始めたWWNの活動は、1300人の登録メンバーを持つまでに発展しました。WWNの会員から選ばれたイノベーションにあふれた女性経営者を、モナコで開かれるEY Entrepreneur Of The Yearという起業家憧れの舞台にお連れしたことも忘れられない経験です。
日本の今後の経済や社会を考えるうえで、新しい事業に目を向け、ベンチャーを応援し、イノベーションを促進することは非常に重要なことであり、今後も続けていきたいと考えています。
与えられたチャンスを最大限に
監査法人のエリートというと、海外駐在をして大企業を担当するというイメージを持たれがちですが、私自身は家庭のこともあり海外駐在に踏み切れませんでした。それでも、与えられたチャンスを最大限に活かして頑張れば、結果は意外に悪くなかったと思っています。早稲田大学の会計研究科で実務家教員を務めているのも、金融庁での経験や行く先々で築いた人脈があってこそ。新しい世界にチャレンジし、そこで努力したことが今に繋がっていると思います。
目標を立て、その目標に向かって努力することは非常に大切なことですが、実際は思ったようには行かないことが多いのが現実です。自分のことは自分には見えないので、周りから勧められたことを素直にやってみることで、思いがけず道が開けることもあります。これまでを振り返ると、上手くいかない時に腐らず、次の機会を成功させる力をつけるようこころがけること、そして、与えられた仕事は全力でやり遂げることが重要なのだと思います。
◆早稲田大学大学院会計研究科の魅力は
実務家とアカデミックな研究者の双方から会計・監査を学べる
早稲田大学大学院会計研究科には、さまざまなバックグラウンドを持った教員がそろっています。学者として会計・監査を学術的に研究し実務を理論的に支えている方と、私たちのように理論を現実に当てはめて結論を出してきた実務家の双方から学ぶことができるのは非常に恵まれた環境だと思います。
私自身は、実務家としての経験を生かした授業を心がけています。監査論は経験したことがない人にはイメージがつきにくいので、授業ではなるべく監査実務を参考に理論の説明をするとともに、ワークショップでは、不適切会計の事例を題材に会計処理の問題点や監査対応の問題点等を議論しています。
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