【子育てと会計士の仕事】残業が少ない?事業会社の内部監査部
私は監査法人で13年勤務した後、事業会社へ転職しました。経理部採用となりましたが、「子育て中なので、長時間残業や出張は難しい」という事情を配慮していただいた結果、残業時間が経理部よりも少ない内部監査部への配属となりました。
マイナビ会計士編集部
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プロフィール
40代 女性会計士事業会社内部監査部勤務
会計士を志した当初から「監査法人での経験を、事業会社で活かしたい」という想いがありながら、2人の子育てがあり、監査法人勤務の環境を変えられずにいた。 しかし、監査法人で退職者が増え始めると、業務を引き継ぐことが多くなり、残業時間が増えたため、子育てに支障が出始めた。また、年齢的にも事業会社への転職が厳しくなるため、30代後半で事業会社へ転職した。 監査法人での経験が活かせる、内部監査部で勤務している。内部監査部の業務
内部監査は会社法や金融商品取引法といった法令上の規制等は特にないので、内部監査部の業務内容は会社によって違います。弊社の内部監査部は、主に2つの業務を行っています。1つは拠点(事業部、グループ会社等)を対象とした監査で、もう1つはモニタリングです。
拠点(事業部、グループ会社等)を対象とした内部監査業務は、金融商品取引法監査(財務諸表監査+J-SOX監査)に近いイメージですが、金融商品取引法監査との大きな違いとして①下請法、労働基準法、建設業法等の会計や税務、会社法以外の法令の適法性も監査対象②人事勤労、総務安全、品質等の会計に直接影響しない内部統制も監査対象③指摘事項の改善が完了するまで監査を継続する、といった点が挙げられます。
モニタリングとは、リスク情報を適時に把握し、機動的に拠点を対象とする内部監査を行うため、事業部やグループ会社を日常的にモニタリングする業務です。
この業務では、事業部やグループ会社の思決定会議や業績報告会への陪席・資料の閲覧、プロジェクトの進捗状況の確認等を行い、モニタリング結果を毎月レポートします。
監査法人勤務の経験で役に立っていること
内部監査部の業務において、監査法人勤務で身に付けたスキル全てが役に立っていると言っても過言ではありません。ここではその中から3つのスキルを取り上げてみます。
1つ目は分析スキルです。
財務諸表監査における審査資料には、財務分析結果を記載する資料があります。主査をしていれば必ず作成する資料なので、自然に財務分析スキルが身に付きます。
内部監査では監査対象項目を選定する際や、事業概況及び内部監査結果を内部監査結果報告書に記載する際に、財務分析を行います。
私は5ヶ年程度の金額や比率の推移分析等の簡便的な財務分析を行っていますが、会計士ではない方、特に経理出身以外の方には難しいようです。
個別の勘定科目に対する分析も同様です。
内部監査でも会計監査をするので、監査法人監査と同様に、勘定科目に対して分析を行います。
内部監査の中で、長期にわたって在庫が移動していない滞留資産の評価減の必要性について、被監査部門(内部監査を受けている部門のこと)が納得してくれずに苦労したことがありました。そこで、滞留資産の年度別の累積払出率をグラフ化し、滞留している事実を説明しました。グラフ化すると、滞留している事実が客観的になり、反証することは難しくなります。やっと被監査部門が納得し、被監査部門は滞留資産の評価減を行いました。この時「数値・グラフの説得力は凄い!」と感動しましたが、これも監査法人監査をしていたからこそのスキルです。
2つ目は文書作成スキルです。
財務諸表監査では、監査意見に重要な影響を与える案件について個別に審査を受けます。
この際、事案の概要や関連する会計基準、クライアントの見解、監査チームとしての見解をまとめた審査資料を作成します。
監査チームからは独立した審査担当社員に、審査資料だけで審査案件を理解していただき、監査チームの見解に合意してもらう必要があるので、審査資料は論理的かつコンパクトに作成する必要があります。
内部監査では、改善が必要な課題を発見したけれども、被監査部門が改善対応してくれない場合、その上位組織、例えばその被監査部門を管理している親会社等に改善を促します。上位組織には、被監査部門の課題の概要及び改善の必要性を理解していただき、被監査部門が改善するよう、上位組織から被監査部門へ働きかけてもらう必要があります。
しかし、上位組織からすれば内部監査の対象ではないのに、突然、内部監査部から被監査部門の改善依頼を受けることになるとになり、難色を示される場合もあります。
このような場合には、論理的かつコンパクトな文書で、被監査部門の上位組織にファースト・コンタクトすることは効果的です。この際に、個別案件の審査資料作成スキルが役に立ちます。
3つ目は説明スキルです。
監査法人監査で、重要な事象(減損や税効果の会社区分の変更)が発生したけれども、クライアントが対応してくれない場合、納得していただけるように説明する必要があります。もちろん「対応していただけなければ、監査意見を表明しません」という切り札はありますが、クライアントとの関係を悪くしないために、この切り札を使うことなく、粘り強く説明していました。
内部監査の中で、被監査部門が改善すべき課題について納得してくれずに困ったことがありました。
被監査部門から「あなたも同じ社内の人間なのに、何故そんなことを言うのか」と辛辣なことも言われました。とうとう「会計士として説明してください」と言われたので、会計基準の内容や一般的な会計処理、わかりやすい事例を挙げて説明しました。
監査法人時代にクライアントとの修羅場を経験していなかったら、この場を凌ぐのは厳しかったかもしれません。
事業会社に転職して感じること
監査法人から事業会社への転職は、環境を大きく変えることになるので不安はありましたが、監査法人時代のスキルを思っていた以上に活かすことができたので、業務には早く馴染め、不安はすぐに解消されました。事業会社に転職して良かったと感じることは、以下の2点です。
第1に仕事のやり甲斐。
監査法人時代、財務諸表監査は重要性の基準値が優先され、小さなエラーは軽視されていると感じていました。また、あくまでも外部の監査であるため、指導的機能(経営者に対するアドバイスを行う機能のこと)が十分に発揮できないこともあり、業務に不満を感じることもありました。
内部監査ではプロセスの有効性をアシュアランスするので「金額的重要性が無いから問題なし」とすることはありません。監査における指導的機能を発揮したかった私にとって、内部監査は向いているように思います。
また、内部監査部において会計士としての見解を求められることや、会計士として被監査部門に説明することもあります。
そのため、監査法人時代よりも、会計士であることの社会的責任を強く感じますし、仕事に対するやり甲斐も、転職後の今の方があります。
第2に働きやすさと報酬。
転職活動中は「報酬は下がっても、子育ての時間が欲しい」と思っていました。
事業会社に転職してみて、労働時間は監査法人時代より大幅に減少しました。フレックスや在宅勤務といった制度も充実していますし、自分のスキルを活かせる業務内容ということもあり、労働時間の調整がしやすいです。「子育て時間を確保したい」という転職目的は、今のところ達成できています。
報酬ですが、入社当初は監査法人時代より、若干減少しました。しかし、入社後少しして昇格したので、今は監査法人時代よりも報酬が増えました。通常は昇格まで倍の期間が必要だと聞きましたが、昇格スピードが早く、自分でも驚いています。
今後について
人事ローテーションがあるので、通常は5年程度で内部監査部から異動になりますが、希望すれば内部監査部に所属し続けることもできます。勉強のために経理の現場に行ってみたい気持ちもありますが、子育てに時間が必要な間は、内部監査部にいたいと思っています。
55歳で役職定年があります。現行の人事制度のままなら、役職定年で報酬が大幅に下がります。私が役職定年を迎える頃には、子育てもひと段落しているので、この頃には次のキャリアを考える予定です。
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