USCPAの試験科目は何がある?必須3科目と選択科目の特徴・選び方を徹底解説
USCPA(米国公認会計士)試験は、2024年1月以前まですべての受験者が同じ4科目(AUD・FAR・REG・BEC)を受験していました。新制度に変更となってからは、必須3科目(FAR・AUD・REG)+選択1科目(BAR・ISC・TCP)の計4科目での構成となっています。
今回は、2024年1月からの新制度に対応したUSCPAの試験科目や合格率、選択科目の選び方を詳しく解説します。今後、USCPAの受験を考えている方は、ぜひ最後までご一読ください。
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マイナビ会計士編集部
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目次
USCPA(米国公認会計士)の試験科目は6種類
USCPAの試験科目は、2024年1月から導入された新制度に対応して変更となりました。現在の制度では、以下の必須科目(FAR・AUD・REG)と選択科目(BAR・ISC・TCP)の組み合わせで計4科目の受験となります。
- FAR(財務会計)
- AUD(監査)
- REG(税務・ビジネス法)
- BAR(ビジネス分析)
- ISC(情報システム)
- TCP(税務実務)
ここからは、それぞれの科目がどのような領域なのかを、以下で詳しく解説します。なお、USCPAの基本的な概要や全体像は以下のページでお伝えしています。
FAR(財務会計)
FAR(Financial Accounting and Reporting)は、USCPAの必須科目のなかで基礎となる科目です。米国会計基準(US GAAP)に基づいた財務会計と報告に関する幅広い知識を問われます。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 試験時間 | 4時間 |
| 選択問題(MCQ) | 50問 |
| 総合問題(TBS) | 7問 |
| 必要学習時間 | 約300〜390時間 |
主な出題範囲は、財務諸表の作成と分析、収益認識、リース会計、減損会計、連結会計、政府会計、非営利組織会計などです。実際の試験では計算に追われやすいほか、意外に暗記も多めとなります。FARの科目についてより詳しくは、以下のページでまとめています。
AUD(監査)
AUD(Auditing and Attestation)は、監査と証明業務に関する実務的な知識とスキルを評価する必須科目です。監査のプロセスから監査報告書の作成まで、会計士の独占業務である監査業務の実務に密着した問題が基本となります。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 試験時間 | 4時間 |
| 選択問題(MCQ) | 78問 |
| 総合問題(TBS) | 7問 |
| 必要学習時間 | 約250〜300時間 |
AUDの特徴は、ほかの科目と異なり「評価(Evaluation)」という最高難度のスキルレベルを含むことです。単なる暗記ではなく、監査人としての判断力や実務的な対応力が問われます。より詳しくは、以下のページをご覧ください。
REG(税務・ビジネス法)
REG(Regulation)は、米国の税法とビジネス法に関する幅広い知識を問う必須科目です。個人税務、法人税務、パートナーシップ課税、会計士の職業倫理、ビジネス法などが主な出題範囲となります。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 試験時間 | 4時間 |
| 選択問題(MCQ) | 72問 |
| 総合問題(TBS) | 8問 |
| 必要学習時間 | 約225〜300時間 |
新制度ではより基礎的な税法に重点が置かれ、応用的な内容は選択科目のTCPに移行しました。基本を重視する傾向から暗記要素が強い科目であり、細かな数値や規定を正確に覚えなければなりません。
BAR(ビジネス分析)
BAR(Business Analysis and Reporting)は、2024年の新制度で新たに導入となった選択科目の1つです。ビジネス分析と報告に関する幅広い知識を問われ、経営分析や財務分析の実務的なスキルを評価します。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 試験時間 | 4時間 |
| 選択問題(MCQ) | 50問 |
| 総合問題(TBS) | 7問 |
| 必要学習時間 | 約275〜330時間 |
主な内容には、財務分析、予算管理、原価計算、管理会計、データ分析、企業価値評価、KPI分析などが挙げられます。BARは旧制度のBEC(ビジネス環境と諸概念)の内容を含み、新規の学習範囲はほかの選択科目と比較して少なめです。
事業会社の経理・財務部門やコンサルティング業界で直接活用できる実践的な内容を取り扱うため、目指すキャリアにマッチしているならぜひ選びたい選択科目といえます。
ISC(情報システム)
ISC(Information Systems and Controls)は、BARに引き続き2024年の新制度で導入された選択科目の1つです。IT監査やサイバーセキュリティの分野で求められる情報システムと統制に関する専門知識を問われます。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 試験時間 | 4時間 |
| 選択問題(MCQ) | 82問 |
| 総合問題(TBS) | 6問 |
| 必要学習時間 | 約210〜270時間 |
ISCの出題範囲には、情報システム監査、データガバナンス、サイバーセキュリティ、SOC(Service Organization Control)報告書、クラウドコンピューティングなどが含まれます。ISCは新規の出題範囲をメインとしており、IT関連の実務経験や知識がある方に有利な科目となっています。
DX(デジタルトランスフォーメーション)が進む現代のビジネス環境で高い需要があるほか、IT関連の知識を持つ受験者にとってはキャリアアップの武器となる科目です。
TCP(税務実務)
TCP(Tax Compliance and Planning)も、2024年の新制度で導入となった選択科目の1つです。主に、税務コンプライアンスと税務計画に関する実務的な知識を問われます。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 試験時間 | 4時間 |
| 選択問題(MCQ) | 68問 |
| 総合問題(TBS) | 7問 |
| 必要学習時間 | 約200〜270時間 |
出題範囲は、個人税務計画、法人税務計画、パートナーシップ・信託の税務、国際税務、税務コンプライアンス、税務研究などが挙げられます。必須科目のREGで学ぶ基礎的な税法をベースに、より実務に近い応用の内容を扱う科目です。
TCPで学んだ知識は、税理士法人や国際税務を扱う会計事務所、多国籍企業の税務部門で直接活用できます。税務の実務経験がある受験者や、将来税務の専門家を目指す方ならぜひ選びたい科目です。
USCPA試験の科目構成
これまで、2024年1月以前まですべての受験者が同じ4科目(AUD・FAR・REG・BEC)を受験していました。新制度に変更となってからは、必須3科目(FAR・AUD・REG)+選択1科目(BAR・ISC・TCP)の計4科目での構成です。
ここまでのおさらいとして、USCPA試験の科目構成を以下の4つにわけて解説します。
- 必須科目
- 選択科目
- 出題形式
- 有効期限
必須科目
USCPA試験の必須科目は、FAR(財務会計)、AUD(監査)、REG(税務・ビジネス法)という3科目です。各科目の有効期限は州によって異なり、約18〜36か月です。
毎月受験できる仕組みを採用しており、年間を通じて柔軟に受験スケジュールを組めます。そのため、まずは科目合格を目指したいという方や、働きながら学習を進める方にとって受験しやすくなっています。
選択科目
USCPA試験の選択科目は、BAR(ビジネス分析)、ISC(情報システム)、TCP(税務実務)の3科目から「いずれか1科目」を選択して受験します。有効期限は必須科目と同様で約18〜36か月(州によって異なる)、各専門分野から将来のキャリア目標に応じて選ぶのが基本です。
必須科目と明確に違うのが、各四半期の特定の期間(通常1か月程度)のみ受験が可能な点です。基本的に年間4回の受験機会のうち、自らのスケジュールに合わせて受験のタイミングを選びます。
なお、どの選択科目に合格しても、USCPA資格としての価値に差はありません。また、最初に選択した科目で不合格になった場合、別の選択科目に変更しての受験も可能です。
出題形式
USCPA試験の出題形式は、以下の2つです。
- MCQ(Multiple-Choice Questions)
- TBS(Task-Based Simulations)
MCQは、選択肢から正解を選ぶ形式ですので馴染みがあるかと思います。TBSは、電卓での計算や資料の選択、数値の入力などの複合的な出題形式となります。
USCPAの各科目における出題形式の割合は、以下のとおりです。
| 科目名 | MCQ数(Testlet 1+2) | TBS数(Testlet 3~5) |
|---|---|---|
| AUD(監査) | 78 | 7 |
| FAR(財務会計) | 50 | 7 |
| REG(税務・ビジネス法) | 72 | 8 |
| BAR(ビジネス分析) | 50 | 7 |
| ISC(情報システム) | 82 | 6 |
| TCP(税務実務) | 68 | 7 |
試験は5つのテストレット(問題群)に分かれており、テストレット1・2がMCQ問題、テストレット3〜5がTBS問題となっています。一度次のテストレットに進むと、前のテストレットには戻れません。
有効期限
USCPA試験の科目合格の有効期限は州によって異なり、18か月から36か月の幅があります。最初に合格した科目の受験日から起算され、この期限内に残りの科目すべてに合格しなければなりません。
なお、有効期限の延長措置として、2024年1月1日時点で有効だった科目合格については、特定の州で2025年6月30日までの延長を実施しています。各科目の受験スケジュールを慎重に計画し、期限切れにならないよう注意深く進めてください。
合格発表(スコアリリース)
USCPA試験の合格発表は、スコアリリースという名前で定期的に行われます。通常、必須科目が年16回(約1か月に1〜2回)、選択科目が年4回(3月・5月・9月・12月)の発表スケジュールです。ただし、2024年は新制度への移行に伴い、一時的に7月のスコアリリースを追加した年5回となっています。
スコアリリースは多少前後しますが、受験日によって発表日が決まっており、受験前に確認しておけば合格発表日を把握できます。より詳しい日程と日本時間での確認方法については、以下のページをご覧ください。
USCPAの試験科目別の合格率
USCPA試験の科目別の合格率は、以下のとおりです。2024年も同様の水準で推移しており、実施年度による変動は大きくありません。
| Section | Q1 | Cumulative |
|---|---|---|
| AUD | 44.30% | 44.30% |
| FAR | 41.67% | 41.67% |
| REG | 62.03% | 62.03% |
| BAR | 37.64% | 37.64% |
| ISC | 61.23% | 61.23% |
| TCP | 74.94% | 74.94% |
参照:Learn more about CPA Exam scoring and pass rates|AICPA & CIMA
USCPAの科目の合格率に差がある理由は、「正解数+難易度」で点数を調整するスケールドスコアを採用しているからです。合格ライン(75点)は固定となっており、合格率は「75点を超えた受験者の割合」となります。
つまり、「75点を超えた人が全体の何%いたか」の数値であり、合格率が高く見えるだけです。合格率が高いとはいえ、難易度が低いということではありません。
科目ごとの勉強時間の目安
USCPA試験の各科目における勉強時間の一般的な目安は、以下のとおりです。こちらは、受験者の会計知識や英語力によって変動します。
| セクション | 難易度・範囲感 | 推定勉強時間 |
|---|---|---|
| AUD | 基準値(実務色強) | 250〜300時間 |
| FAR | 最難関。計算多、範囲広 | 300〜390時間 |
| REG | 税法中心。暗記重め | 225〜300時間 |
| BAR | FAR系+分析寄り | 275〜330時間 |
| ISC | IT系。知識中心 | 210〜270時間 |
| TCP | 実務経験者向き | 200〜270時間 |
FARに勉強時間を要する理由は、出題範囲が広く、ほかの科目の基礎となる内容を含むためです。一方、TCPは実務経験者にとって馴染みやすい内容のため、ほかの科目と比較して短時間で合格圏内を狙えます。
USCPAの試験科目の失敗しない選び方
ここからは、USCPAの選択科目の失敗しない選び方を、以下の3つのポイントにわけて解説します。
- 合格率だけを見ない
- 自らの英語力を正しく把握する
- 将来のキャリアから逆算する
合格率だけを見ない
繰り返しとなりますが、USCPA試験の選択科目は合格ラインを超えた受験者の「割合」を示した数値です。合格率が高いからと科目を選んでは基準点を満たしにくくなるだけでなく、将来にも役立ちません。
例えば、BAR(ビジネス分析)よりTCP(税務実務)が高いのも、会計士に密接に関係した問題で合格者が増えるからだと考えられます。合格率の数値ではなく、自らの学習背景や将来のキャリア目標に合わせて科目を選んでください。
自分の英語力を正しく把握する
2024年の新制度でライティング問題(記述問題)は完全に廃止となりましたが、USCPA試験の科目はすべて英語での出題となりますし、実際の実務でも英語力を求められます。
英語力が不足していると、計算中心のFARやREGよりも、文章理解が求められるAUDやBARで以下の問題が起きやすいです。
- 文章が読めない・時間が足りない
- 選択肢の意味が曖昧でミスする
- 時間が足りない
- TBSの資料を読む時間を確保できない
英語が苦手な方は、科目のなかでも読みやすく実務寄りなISCやTCPを選ぶといった方法も検討できます。どの程度の英語力を求められるのかについては、以下のページもご覧ください。
将来のキャリアから逆算する
USCPA試験の科目を選ぶ際に、もっともおすすめしたいのは将来のキャリア目標から逆算して考える方法です。選択できる科目で得られる知識とスキルは、異なる業界や職種に対応しているためです。
| 科目 | 合格後のキャリア領域 | 求人市場での価値(例) |
|---|---|---|
| TCP | 税理士法人・国際税務・Big4 Tax | 税務求人は高ニーズ・高報酬 |
| BAR | 経理・FP&A・M&A会計分析 | 経理/財務求人と直結(事業会社・PE) |
| ISC | IT統制・内部監査・システム監査 | DX/ITガバナンス市場と強く連動中 |
合格は入口でしかなく、真の価値は実務での活用にあります。採用企業は「業務に直結する資格・知識」を評価するため、「どの科目が自らのキャリアでもっとも武器になるか」という視点で選ぶのが合理的です。
「まだキャリアプランが明確ではない」、「今のスキルでどのようなキャリアを目指せるかわからない」という方は、ぜひマイナビ会計士のキャリアアドバイザーへご相談ください。スキルの棚卸しから目指せるキャリアの提案までサポートいたします。
USCPAの試験科目に関するよくある質問(FAQ)
最後に、USCPA試験の科目に関して、受験者から寄せられる代表的な質問へ解答します。
USCPAは科目合格でも就職できる?
USCPAの科目合格でも、就職は十分に可能です。会計事務所や監査法人では、将来性を評価してUSCPAの科目合格者を積極的に採用するケースが見られます。
ただし、全科目合格者と比較すると選択肢に制限を受けやすいため、科目合格を活用した段階的なキャリアアップを検討してください。より詳しくは、以下のページでお伝えしています。
USCPAの科目は日本で受験できる?
USCPAの科目は、日本国内でも受験可能です。東京と大阪にプロメトリック試験センターを設置しており、現地まで行かなくても受験できる環境が整っています。そのほか、専用の予備校に通うと準備してもらえるケースもあります。
USCPAの科目は独学で合格できる?
USCPAの科目は、独学での合格も可能です。ただし、日本語の学習資料が限られているため、英語の教材を使用する必要があります。また、受験資格の単位要件を満たすために、追加の学習を要するケースもあります。より詳しくは、ぜひ以下のページもご覧ください。
まとめ
USCPAの試験科目は、2024年の新制度により必須3科目(FAR・AUD・REG)と選択1科目(BAR・ISC・TCP)の計4科目構成に変更となりました。選択科目の選び方では、合格率だけでなく、自らの英語力、学習背景、将来のキャリア目標を総合的に考えてください。
また、科目合格でも十分な市場価値があるため、段階的なキャリアアップを目指すのも一案です。昨今では、人材の確保という観点から働きながら資格を取得するといった道を選べます。
マイナビ会計士では、スキルの棚卸しから目指せるキャリアの提案までサポートいたします。「まだキャリアプランが明確ではない」、「今のスキルでどのようなキャリアを目指せるかわからない」という方は、ぜひご相談ください。
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