USCPA試験に独学で合格することは可能? 予備校が無難?
USCPA(米国公認会計士)は日本の公認会計士の資格と異なり、英語圏の多くの国で高い評価を得られることが特徴です。グローバル化が進む現在、ますます注目度が高くなっている資格の1つといってよいでしょう。
そこで今回は、USCPAを取得するためのプロセスに着目し、独学で合格することは可能なのか、予備校に通ったほうがよいのか、というところをチェックしていきます。
マイナビ会計士編集部
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USCPA試験の概要
USCPAは日本人も受験することが可能で、アメリカ人以外では日本人が最も多く受験しています。過去のデータによると、日本人受験者はアメリカ人以外の受験者の約20%を占めており、具体的な合格者数は公表されていないものの、年間で数百人の日本人がUSCPA試験に合格していると考えられます。
日本国民または日本の永住者および長期居住者が受験可能で、年に数回、東京と大阪の試験会場で試験が行われています。ただし、試験の言語は日本語ではなく、すべて英語です。
試験内容は下記のとおりです。
①監査と証明(AUD)、4時間
監査契約書の作成/内部統制/情報の取得と文書化/監査契約書のレビューと情報の評価/監査報告書の準備
※この科目は、4択問題からなる3つのテストレット(問題群)と、7問のシミュレーション問題からなる1つのシミュレーション・テストレットで構成されます。
②ビジネス環境と諸概念(BEC)、3時間
ビジネス構成/経済的概念/財務管理/情報技術/企画および測定
※この科目は、4択問題からなる3つのテストレットと、3問の記述式コミュニケーション問題からなる1つのシミュレーション・テストレットで構成されます。
③財務会計(FRA)、4時間
財務諸表の概念と基準/財務諸表の基本的項目/取引および事象の具体的種類/政府系機関の会計処理および報告/非政府系機関および非営利団体の会計処理および報告
※この科目は、4択問題からなる3つのテストレットと、7問のコミュニケーション問題からなる1つのシミュレーション・テストレットで構成されます。
④諸法規(REG)、3時間
倫理と会計士の責任/事業法/連邦税の手続きと会計処理上の問題/不動産取引の連邦課税/連邦課税-個人/連邦課税-法人
※この科目は、4択問題からなる3つのテストレットと、6問のコミュニケーション問題からなる1つのシミュレーション・テストレットで構成されます。
<ココまでのまとめ>
・日本人受験者はアメリカ人以外の受験者で最も多く、約20%を占めている。
・試験内容は4科目に分かれている。
独学で合格は可能?
ここからは本題の「独学で合格は可能なのか?」というところに入っていきましょう。
先に結論から書いてしまえば、独学で合格することは「可能」です。ネット上にも「独学でUSCPAに合格した」という人が実際に複数います。
一般的に、USCPAに合格するために必要な勉強時間は「1,000時間」と言われています。英語でこれだけの時間を勉強するのはハードなことに違いありませんが、USCPAは「75点以上で合格」というフェアな内容のうえ、「1科目ずつの受験が可能」です。
つまり、4科目すべてに一度で合格する必要がないため、1科目ずつ着実に攻略するという方法を使うことができます。ただし、科目合格の有効期限が定められていて、その期間は「18ヵ月」なので、この点は注意が必要です。
また、USCPA試験はほとんどが「選択式試験」のため、論文式試験のある日本の公認会計士試験と比べて、準備期間が少なくて済み、「正しい勉強を行っていれば合格できる」と言う人もいます。実際の合格率も、2018年度の第3期は各科目48~60%程度であり、日本の試験に比べると高い合格率を示しています。
選択式試験であり、ひっかけ問題やマニアックな問題はあまり出ない傾向があるので、主要論点をしっかり学習することが重要です。2017年度から試験制度が変わり、文章題のシミュレーション問題も出るようになりましたが、数値や選択式の回答のため、難易度は大きく変わっていないと考えてよいでしょう。
独学で合格された方は、過去問やテキストをひたすら解いて、主要論点をしっかりと押さえていったという人が多いようです。
<ココまでのまとめ>
・USCPAに独学で合格することは可能。実際に独学で合格している人はいる。
・1科目ずつ受験、合格して、最終的に4科目合格すれば資格を取得できる。
独学するための「条件」
USCPAに独学で合格することは「可能」ですが、誰もが独学で合格できるかというと、それは「Yes」ではないかもしれません。
理由はいくつかあります。その1つは、過去問やテキストを手に入れることはできるものの、USCPAはアメリカの試験のため、これらはすべて「英語」です。日本語の独学用のテキストは売られていないことがネックになります。
また、USCPAは日本国民であれば受験できますが、実際に試験を受けるためにはさらに「条件」が設けられています。その条件は州によって異なりますが、たとえば「4年制大学卒、総取得単位150単位(そのうち、ビジネス単位24単位、会計単位24単位)」などとあり、これは日本の4年制大学を卒業していても満たせない場合があります。
独学で勉強して受験する場合、この条件を満たすことのできるアメリカの大学に留学するなどの方法を検討する必要がありますが、予備校に通うと、アメリカの大学と提携していて、講義を受ければ単位が取得できるという仕組みがあります。これは独学にはないものです。
こう考えると、独学だけでUSCPAの試験を受けて、資格を取得できるのは、「アメリカの大学に通っていた」「英語で会計の知識を理解している」など、勉強をはじめる前にある程度の経験が必要になるといえるかもしれませんね。
<ココまでのまとめ>
・独学はすべての人が可能な方法ではない。たとえば、日本語の独学用テキストが存在しないなどの理由がある。
・日本の4年制大学を卒業していても、受験資格を得られない可能性がある。
最近では監査トレーニー制度の利用も要検討
最近では一部の監査法人で「監査トレーニー」と呼ばれる制度があります。
監査トレーニー制度とは、公認会計士や米国公認会計士(USCPA)の資格取得を目指している方が、実際に監査法人等で働き、試験勉強等に関するサポートを受けながら試験合格を目指せる制度です。
特に大学卒業後に試験に受からなかった場合には、今後目指すべき業種内での定職に就きながら試験勉強ができる点は経済的・精神的にも大きなメリットがあります。
監査トレーニーについて詳しくは以下の記事で解説しています。
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