福祉分野に貢献する公認会計士

公認会計士のキャリアの一つとして「組織内会計士」はだいぶ浸透してきた感がある。転職市場を見ても公認会計士の有資格者を対象としたり、資格を有していることで優遇されたりする求人を見かけることが随分と多くなった印象がある。だが、株式会社のみならずいろいろなタイプの法人が、公認会計士に対するニーズを持っていることはあまり知られていない。社会福祉法人の監事として活躍する島谷さんに、その仕事のやりがいを伺った。
プロフィール
島谷 賢(仮名)40代男性
2005年公認会計士第2次試験合格後、大手監査法人に入社。パブリックセクター部門にて国立大学法人や公立病院、社会福祉法人等の監査に従事したのち、大手社会福祉法人の監事に就任。同時に独立して個人事務所を開所し、事業会社の監査役や顧問を複数務める。
大手監査法人で公的部門の監査に従事
眞山:島谷さんは現在社会福祉法人の監事として活躍されていますが、社会福祉法人の監事のポストって、かなり珍しいですよね?そもそもそういったキャリアを志向するようになったきっかけはどの辺にあったのでしょうか?
島谷:監査法人時代、いわゆるパブリックセクターの部門に配属されたのがそもそものきっかけなのですが、その中で医療法人だとか社会福祉法人に対する監査の仕事を受けることが多かった…という至って平凡な理由です。公的な組織の監査って、一般的な企業会計の監査よりもブラックボックス的な部分が多くて、少しマニアックな玄人の世界という印象を勝手に持っているのですが、そういうちょっとオタクっぽい仕事が自分にはすごく向いていました。
眞山:オタクっぽい仕事というのが、確かに島谷さんらしい気もしますが、一方で独立を志したのはどういう理由があったのでしょうか?
島谷:公認会計士をしていると、実務補修なりCPEの研修なりで同じ資格の持ち主と否応なく顔を合わせるじゃないですか。自分の畑のことは決して嫌いではないけど、それでもベンチャーで活躍している人や、独立して自由に働いている人の話を聞くことが多くなると、自分なりのキャリアを歩んでみたいという気持ちになったりするわけです。でも、残念ながらパブリックの畑の住人である私がいきなり独立しても、たぶんうまくいかないのもわかっていて…そんな中で社会福祉法人の監事のポストがあいているという話を聞いたので、その話をお受けすることにして、同時に自分の会計事務所を立ち上げることにしたのです。
社会福祉法人に、会計士ならではの視点を
眞山:社会福祉法人の監事の仕事というのは、具体的にはどのようなものになるのでしょうか?
島谷:まずは通りいっぺん法令上の話をすると、「理事の職務執行の適法性を監査する」のが監事の役割です。一般企業でいうところの監査役と、そういう意味では全く同じ位置づけだと思っていただいて大丈夫です。取締役に相当するのが理事で、株主総会に相当するのが評議員会ですね。私の場合は公認会計士という立場でジョインしているので、社会福祉法人の経理プロセスがスムーズに流れているかどうかだとか、出来上がった決算書がしっかりと実態を反映したものになっているかというところを主に見ていくことになります。
眞山:社会福祉法人の決算書は、一般企業と比べるとやはり特殊なのでしょうか?
島谷:確かにフォーマットは異なりますが、いわゆるBSやPLを作るという意味では同じです。ただ、社会福祉法人がいくつかの事業を並列して営んでいる場合は、それぞれの事業ごとに収支を計算して開示することになっていたり、特有の事情もあったりします。ただ、個人的には決算書が正しく作られるか?という財務会計的な話よりも、理事たちが各事業の採算性をタイムリーに把握できるか?といった管理上のポイントを重視しています。社会福祉法人を経営している人って、儲けたくてやっているわけじゃないことが多いのですが、そのせいでお金に対する感覚がすこしのんびりしていたりするんですよね。その辺の手綱を取るのが自分の役割です。
会計士の武器はキャリアの複線化だ
眞山:公認会計士として社会福祉法人のガバナンスに加わることのメリットって、ほかに何かありますか?
島谷:私の場合、一般事業会社の監査役も兼任しているのが実は大きいと思っています。一般事業会社では当たり前のスピード感、当たり前のコスト感覚が、業界を変えて福祉の世界にいるとそうじゃない、ということがやはり多い。そして、私自身も監査法人時代はパブリックの畑にいたので、実はその辺のスピード感には疎かったのですが、幸い事業会社の監査役というポストを得ることができ、じかにその感覚に触れることができた。やっぱり公認会計士の最大の強みは、キャリアを容易に複線化できることじゃないかと思いますね。必ずしも一つの仕事に打ち込む必要がないというのが、オタク気質でありながらもいろいろな仕事をつまみ食いしたい自分にはぴったりだと思っています。
眞山:島谷さんの歩んだキャリアは特殊ではありますが、それでも、自分らしいキャリアを模索しているほかの会計士の方にとってみるべき点もいろいろある気がするのですが、島谷さんがそんな方たちにアドバイスをするとしたらどのような点でしょうか?
島谷:僕なんか、偉そうなことを言える立場ではないのですが、公認会計士の良いところを改めて考えると、先ほど申し上げたキャリアの複線化が容易である点と、実は業界仲間へのアプローチが容易である点も大きいと思います。会計の専門学校時代の仲間、補修所時代の仲間、監査法人の同期やアルムナイといった仕組み…そういった人脈を疎かにせずに自分に与えられた仕事を地道にこなしていくことで、ある日ひょんなことからやりたかった仕事が降ってきたりする…会計士ってそういう職業だと思うんですよね。だからアドバイスとして言えることは、自分の好きなフィールドを模索しつつ、人と人とのつながりを大事に生きること、ってことになるのかな…あまりびしっと決まっていませんが(笑)。
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