資格の強みより、自分の強みを考える

公認会計士であることは、それ自体が労働市場で高い価値を持っていることが多い。転職をするときに有利であったり、高い待遇を得られたり、といったことがあるのは、その資格を持っているからにほかならない。しかし、いざその職場に身を置いてみると「公認会計士であること」だけでは社内で十分に価値を発揮できないことも多い。小柳さんのキャリア観を聞くと、転職後のふるまい方に大きなヒントを得られることと思う。
プロフィール
小柳 健太郎(仮名)40代男性
2001年公認会計士第2次試験合格後、大手監査法人に入社。国内上場企業等を中心に監査業務に従事したのち、2009年に一般事業会社に転職。経理リーダー、経営企画リーダーを経て、現在は経理部長として管理本部の業務を全般的に主管している。
監査法人のキャリアに限界を感じて転職へ
眞山:小柳さんは、今一般事業会社で経理部長という立場で仕事をされていますが、公認会計士を目指したころから経理の仕事には興味をお持ちだったんですか?
小柳:いいえ、そんなことはないですね。会計士を目指していたころは、それこそ資格って何かカッコいいというくらいのイメージしかなくて、勉強をしながら監査の全体像を知るにつけ、「ああ将来はこういう仕事をするんだな」と後から知っていったというのが実態です。
眞山:なるほど。ということは監査法人にいたころに何か思うところがあって転職を決意した、と。
小柳:そうですね。あまり前向きなきっかけではなかったのですが、自分が望むキャリアを監査法人では積めないと感じたのです。やはり監査法人の中にはとびぬけて優秀な人がいたりして、限られたポストにたどり着ける人は結局一握りで、僕がそこを目指すのはきっと無理なんだろうな…と仕事をしながら漠然と感じていたのです。そんな中、こんな仕事があるよ、と声をかけてくれた人がいたので、これはもういいチャンスなんじゃないかと思って仲間に入れてもらうことにしました。
「尚可」はプラスアルファの価値を出せない
眞山:今回は匿名でお話しいただいているので差し支えない範囲でいいのですが、今のお仕事の内容を教えてください。
小柳:今は経理部長という立場になっていますが、ここでは単なる経理だけでなく、いわゆる経営企画のような仕事もさせてもらっています。業種としては小売関係の会社で、海外にも拠点があってある程度の規模はあるのですが、上場しているわけではありません。
眞山:なるほど…そういった会社で公認会計士であることの価値はどの辺にあるとお考えでしょうか?
小柳:実はそこがなかなか難しいところです。上場してないし、IPOも考えていないという今の会社では、公認会計士が当然知っているような新しい会計基準の話とか、細かい連結の手順とかはほとんど使い物にならないというか、宝の持ち腐れに近いものです。ここに転職した時の求人票でも公認会計士は必須条件ではなくて、いわゆる「尚可」の条件でしたから、無理もないところです。この「尚可」というのがなかなかくせもので、あったらあったで邪魔にはならないけど、だからと言って大して役にも立たないんですよね…少なくとも、うちの会社の場合は。そうなった場合、じゃあ自分のどこに価値があるかというと、監査業務を通じて経理の仕事を俯瞰してみることができるようになっていたことと、重要性の乏しい業務を、いい意味で手抜きするという発想だったと思います。
眞山:つまり、資格に価値があるというよりも、監査法人で得た経験というか、知見のほうが役に立っているということですか?
小柳:そうですね。偉そうに言えば自分の強みであって、公認会計士という資格の強みではないんだな、と思います。
人を率いることの難しさ
眞山:そんな中、転職先では順調に出世されて今では経理部長というお立場になられているわけですが、そこにたどり着くまでに何か壁にぶち当たったりということはありませんでしたか?
小柳:ありますね。ズバリ管理職として人を率いていくことの難しさを強烈に感じました。監査法人でもいわゆるインチャージ、監査の現場責任者という立場を経験して、曲がりなりにも監査チームを率いる経験をしていたのですが、あそこでは監査マニュアルが整っていて、共通の監査ツールを持っていて、しかも働いている人のレベルもマインドも一様に高かったので、「〇〇さんは現預金と借入金の監査をお願いね」と言えば、あとは任せておけばよかった。でも、事業会社の経理の担当者は、会計士試験はもちろんのこと、簿記の経験もなく、ただ会計ソフトを表面的に触るだけ、という人もいたりしますから、根気強く教えないといけないし、自分が望む水準の仕事をこなしてくれる人は、むしろ少数派なんだ、ということを思い知りました。
眞山:そういった壁をどのように乗り越えられたのでしょうか?
小柳:取り組んだことは大きく2つありますね。1つ目はメンバーとのコミュニケーションの機会をできるだけ多く持って、その時に自分が壁を作らないように、とにかく腰を低くして接するということです。もう一つはもっと具体的なもので、業務の手順をフロー図やガントチャートといった形で可視化して、皆が協力して仕事を進められるような形を整備したということです。
眞山:そういった手法も監査法人で培われたということでしょうか?
小柳:確かにそうかもしれません、監査法人にいたころに当たり前のように作っていたツールが、実はこういう場所では思わぬ価値を持っているということでもありそうですね。しかし、コミュニケーションを綿密にとること、というのはどちらかというと転職してからの上司から教わったことです。監査法人では調書に付されたレビューコメントを通じてメンバー通しがコミュニケーションをとれるようになっていて、お互いプロとして仕事しているからそれでも成り立つ部分が少なくなかったわけですが、転職先では「どう?順調?」と丁寧にケアしてあげることが大事になっています。
眞山:転職を経て、小柳さんの強みがまた一つ増えたんだな、という思いを持ちました。これから小柳さんが目指すキャリアについて、よかったら教えていただけますか。
小柳:今はこの経理部長というポジションが自分にとてもマッチしていると思うので、自分が職場を変えるということよりも、組織の成長を支えていくことにこれから注力できたらと思っているところです。上場を考えているわけでもなく、一般的なベンチャーのような急成長は難しい業種ではあるのですが、だからこそ、ヒトモノカネをバランスよく成長させられるように、経理部長という立場から尽力できればな、という思いです。
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