会計士は副業できる?独立事務所と企業で「絶妙に」パラレルに働く会計士
働き方改革やテレワークの普及に伴い、副業を行う人が増えている。特に公認会計士の場合、本業と副業という主複関係があいまいで、単に2つ以上の職場に身を置く「複業」の形がとりやすいのではないかと筆者は考えている。大道さんの話を聞くと、それは単に有資格者だからというよりも、監査法人での働き方に特徴があるのではないかという気持ちになる。
プロフィール
大道 さやか(仮名)40代女性 公認会計士
公認会計士第2次試験に合格したのち、大手監査法人に就職。国内監査部門にて大手企業の監査業務に従事したのち、リスク管理部門に転属し内部統制監査制度の社内ツール構築や研修業務を担当。2019年に独立し、会計事務所を設立するとともにビジネススキル研修を手掛ける会社に経営参画。
大手監査法人で内部統制関連業務に従事
眞山:大道さんはかなり長い間大手監査法人にいらっしゃったんですよね?
大道(敬称略):はい。1997年に入所してからずっと一つの監査法人にいましたが、2年ほど前にいったん独立しました。いちばん長い間在籍していたのがリスク管理の部門です。これ…今の若い人に話しても通じないんじゃ?という気もしますが(笑)エンロン事件などでアメリカを中心に企業のディスクロージャーの姿勢が問われるようになり、SOX法が制定されてそれが日本にJ-SOXという名前で持ち込まれたころ、ちょうど私はマネージャーとしていろいろなクライアントの監査をしていたのですが、せっかくだから新しいものを扱おうと思って転籍させてもらいました。
眞山:リスク管理の部門というのは、そのJ-SOXを担当する部署、と言ってしまっていいですか?
大道:うーん、実際にはITを含めたもっと広範な概念で仕事にあたっている部門なのですが、私が従事していたのはまさにJ-SOXの部分でした。大手監査法人のJ-SOX部門ですから、個別にクライアント対応する時間よりも、内部統制を実際に仕組みとして企業にインストールして運用できるようにするためにはどうしたらいいか?ということを考えて、それを社内のツールとしてまとめるような仕事が多かったですね。その流れもあって、社内研修でJ-SOXに関する講師を務めることも何度となくありましたし、各地の事務所に出向いて相談に乗ることもしていました。
眞山:クライアントは担当していなかったのですか?
大道:とびきり大きなクライアントを1つ~2つ担当してました(笑)。結局、監査法人の中で机上でノウハウを組み立てることなんてできないし、すべきでもないので、大手クライアントにJ-SOXを導入した時の試行錯誤や、そのときに作成したシートなどをベースにして、方々に展開できるようなツールに仕上げていくという手順を踏んでいました。
今は会計事務所と企業との「2足の草鞋」
眞山:いわば、日本の内部統制の仕組みを作り上げるという役割の一翼を担われていたということですよね。同じ会計士としてはその辺の話をどんどん掘り下げたくもなるのですが(笑)、今日はそのあとに踏まれたキャリアについて話を伺いたいと思います。今、大道さんはいわゆる「2足の草鞋」で仕事をされていますよね?
大道:はい。一つが自分の公認会計士事務所です。そして同時に、知人が立ち上げた研修会社の手伝いをしています。どちらに軸足を置いているか?とよく聞かれるのですが、絶妙に半々のバランスで仕事をしています。
眞山:いわゆるパラレルキャリアということだと思うのですが、どうしてそういうスタイルをとろうとしたのでしょうか?
大道:色々なことに取り組んでいる眞山さんも共感してくれることだと思うんですけど、そもそも会計士って、たった一つのことをずっと取り組むタイプの仕事じゃない、ですよね?もちろん監査をずっとやるというのは一つのキャリアですが、それにしたって伺うクライアント先も毎週変わるわけだし。そもそも私たちって、組織に居ながらにしてパラレルに仕事をしていたわけですよ。
眞山:そうですね。場合によってはリクルーティングもしますしね。
大道:そうそう。だから独立した後にパラレルに仕事をしようと思ってたというよりも、パラレルな状態で独立した…といったほうが近いですね。会計の仕事はもちろん自分のアイデンティティの一つではありますが、さっき申し上げたように内部統制に関するノウハウを研修やセミナーを通じて「教える」という仕事をずっとしてきてもいたので、研修会社でいろいろな研修を企画するのも自分にとってはわりとしっくりくる仕事です。
働き方は「働かされ方」ではない
眞山:さきほど「絶妙に半々」とおっしゃいましたが、何をもって絶妙と思ってらっしゃるんですか?
大道:会計事務所の仕事って季節性があって、繁忙期と閑散期がくっきりしてますよね。私の企画する研修も結局会計士・税理士や経理担当者向けだったりするので、実は会計事務所としての繁忙期にはそもそも研修をやるべき時期じゃない。じゃあいつやるかというと、例えば8月~9月あたりの決算・税務系のタスクが少ない時期だったり、1~2月など次年度に向けていろいろ準備をしたくなる時期だったり。片方の繁忙期はもう片方の閑散期…という形での分担が絶妙なんです。
公認会計士がいくつかの仕事を掛け持ちするパターンって色々ありますよね。例えば、身の回りの会計士でも非常勤の役員をやっている人がいたりしますけど、彼らはどうしても会議に参加するために特定の曜日のスケジュールを確保しないといけないという事情はあるみたいです。私はそういう配慮を全くしなくても、結果としてコンスタントに仕事ができているという意味で、絶妙って感じです。
眞山:おっしゃる通り会計士の仕事のほとんどは繁閑の差が結構ありますよね。それをうまく平準化している大道さんのキャリアは非常にうらやましい気もします。大道さんが考えるパラレルキャリアのコツは、どの辺にありますか?
大道:パラレルにやりたいのであれば、せっかく会計士という資格を持っているのだから、それを活かしてフレキシブルに働くことを志向するのが一番だと思います。世にいう働き方改革って、実は「働かされ方改革」という側面のほうが大きいけど、公認会計士は雇用される生き方から抜け出すことも容易にできる。自分の働き方を自分で設計しようと思ったときに、有資格者ゆえの自由度の高さを存分に生かしてほしいな、と。私みたいな女性会計士は特にそうだと思います。
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