企業の不祥事をきっかけに独立した公認会計士のキャリア
企業の様々な不祥事や、企業トップのスキャンダルが取り沙汰されることが決して少なくない世の中になっている。不祥事には少なからずお金がついてまわるわけで、そこに経理や会計が介在する可能性は、当然高い。図らずも企業の不祥事を目の当たりにした宮崎さんのキャリアは、スリリングでとても面白かった。
プロフィール
宮崎 正晃(仮名)40代男性 公認会計士
大学在学中に公認会計士第2次試験(当時)に合格し、大手監査法人の国内監査部門に配属。早期退職制度の実施時に同法人を退職し、国内大手製造業の経営企画部門に転職。転職先の企業不祥事の発覚をきっかけに、新しい予算制度の考案を志し、独立。現在国内上場準備企業にて常勤監査役として活躍中。
仕事を楽しみたくて、公認会計士に
眞山:宮崎さんのお話を、このサイトでどこまであけっぴろげに書くべきか、実はインタビューしながらも迷っているのですが(笑)、まずは公認会計士を志すまでの話を簡単にお願いします。
宮崎(敬称略):そうですね…身バレしないか心配ですが(笑)差し支えない範囲でお話します。もともと、自分の父はとある会社の経営をしていました。今では一線を退いているのですが、いわゆるサラリーマン社長というやつですね。サラリーマンというと、日々の仕事に疲れているイメージが作り上げられてしまっていますが、たまに聞く父の話からは会社なり仕事を本当に愛しているのが伝わってきていました。自分もどうせ仕事をするなら、充実した仕事をしたい、あるいは、そういう人たちに囲まれて仕事をしたいと思い、経営者のそばにいられる資格ということで、公認会計士を選びました。
眞山:宮崎さんは最終的には独立して、今は上場準備企業の監査役をしていらっしゃるわけですが、これまでのキャリアで「充実した仕事」というのはどの程度実現できているとお考えですか?
宮崎:鋭い質問ですね。正直、監査法人に入ってからしばらくの間は、仕事に対する充実感はあまりなかったように思います。特に入社間もないころは、監査マニュアルが厳格に運用されるようになっていて、よく言えば監査の品質が保持されていたし、悪く言えば会計士が思考停止していても監査ができてしまう様な時期だった、ということもあって「仕事ってこんなもんなのか?」と時折疑問も抱いていました。
ただ、少しずつ仕事を覚えて、監査主任としてチームを率いるようになってからは面白かったですね。先方の経理責任者や経営者ともお話ができるようになって、だんだんとやりがいを覚えるようになっていました。
一般企業で見てしまったもの
眞山:そんな宮崎さんが監査法人を辞めることになるわけですが、どんなきっかけがあったのでしょうか?
宮崎:リーマンショックの影響で、自分がいた監査法人で早期退職を募ることになったのが直接的なきっかけですね。それまで、製造業を中心に色々な会社を見させてもらっている中で、いつか経理のプレイヤーとして企業に所属してみたいと思うようになっていたので、早期退職がきっかけを与えてくれたことになります。
眞山:宮崎さんはその後大手製造業に転職されましたが、そこではどんな仕事をしていましたか?
宮崎:主に経営企画です。世界のどの地域でどのような方針で売上を上げていくか?といったことを考えたり、各拠点との予算の調整をしたり…という仕事を主にやっていました。日本人なら誰もが知るグローバル企業だったので、自分の考えが世界につながっていくといった手ごたえはものすごくありました。同時に、一般企業のエリート社員たちの意識の高さやプライドの高さも垣間見ることができ、とてもいい勉強になったと思います。
眞山:いよいよ話が核心に迫るのですが、その会社では残念なことに企業トップの不正が明るみに出てしまったわけですよね。
宮崎:本当に残念ですね。経営企画という仕事はトップが目指す方向性を可視化していく作業と言っても過言ではありません。どんなに大きな企業でもそれは同じだと思います。経営企画という立場はそういう意味でトップの思いに寄り添う面が大きいので、不祥事が発覚した時は裏切られた気持ちでいっぱいでした。
眞山:その時どんなことを考えましたか?
宮崎:一般的な会計士なら、「経営者不正」という監査用語が浮かんできたり、「ガバナンス」「内部統制」という話題を想像したりするのかもしれませんが、自分が思ったのは「予算や経営計画が企業をダメにすることが多々あるのではないか?」ということでした。経営企画の仕事をすることで、売上や利益と言った指標を過度に追及することで生まれる社内の軋轢や、予算ゲーミング(目標を達成しやすいように予算を低めに設定する行為のこと)などの行為をたくさん見てきてしまっていたので、トップによる不祥事をその成れの果てだと自分は解釈したんですよね。
企業が追及すべきものは何か
眞山:極論を言うと、会社が営利団体だから不祥事が起こるというようなことですか?
宮崎:そう。ひとまず、そういう前提を立てて考えてみたんです。そうすると、たまたま今まで不祥事が起こっていない会社は、トップが聖人君子のような素晴らしい人であるか、ガバナンスをきっちり固めて不祥事が起こらない体制になっているか、のどちらかだろうということになる。監査業界では後者のガバナンスに注目されることが多いですが、プレイヤーの立場になってみたときに、実は前者の発想を持つことこそが大事なんじゃないかと思うようになったのです。
眞山:面白い話のような、雲をつかむような話のような気もします。
宮崎:わかります(笑)自分でも十分に言語化できていないところが多いのですが、ともかく不祥事がきっかけとなって、退職をすることになり、いったん自分の名前の会計事務所を立ち上げました。そこで有志の勉強会を開いて、「予算管理の正しい在り方」のようなことを定期的に喧々諤々と議論するようになってから、会社が何を追及することが望ましいのかということを何となく掴みかけた気がしています。
その勉強会は今も続けているのですが、1年ほど前にとあるメンバーに「宮崎さんのような理想を掲げた人を探している会社があるよ」とつないでくれたのが、今の会社です。常勤監査役としてガバナンスを担う立場についているのですが、利益だけでなく、従業員満足度や顧客満足度、CSRといった多方面に配慮したバランスの良い会社を作りたいという社長の思いがとても共感出来ていて、とても充実した仕事ができています。
眞山:気づけば、お父上のような充実した仕事をする立場にご自身もいらっしゃる、ということですね。
宮崎:本当ですね(笑)
※記事内容などは取材時のものになります。
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