【公認会計士キャリア】監査法人からAI/ICT系ベンチャーCFO

昨今のAI・ICT等の新しい技術の発展を受け、高い成長が見込まれるベンチャー企業で働く公認会計士が増えてきている。国家試験を突破して安定性の高い職に就いたはずの彼らは、どのような思いで今のキャリアを選んだのか。大手監査法人から国内IT企業を経てベンチャー企業でCFOをしている木田さんの話を伺った。
プロフィール
木田 和義(仮名)40代男性 公認会計士
大学卒業後、公認会計士第2次試験(当時)に合格し、大手監査法人のIPO支援部門に配属。国内新規上場支援業務に携わったのち、大手IT企業に出向・のち転職。現在、都内のIT系ベンチャー企業にてCFOとして管理体制の構築や資金調達を手掛ける。
英語だけでは生きていけないと思い、資格を取得
眞山:木田さんが公認会計士を志した背景を教えてください。
木田(敬称略):高校時代英語が得意だった僕は、都内の私立大学に進学しました。授業を全部英語で行う先生も珍しくないような学校です。あの頃は、英語ができるだけで就職も簡単になるし、普通よりも裕福な人生が送れるような気がしていたのですが、大学3年生くらいになると、ゼミの先輩の就職活動の苦労話とかも聞かされるようになります。英語ができるということは、社会人に求められるスキルの中の一部分にすぎないんだな…と実感するようになった時に、自分は英語以外に何もない存在だということに気づいたんですよね。今から強みを持とうとするともう資格を取るしかない…と思って、公認会計士を選びました。
眞山:へぇ…ちょっと話が横道にそれますが、今仕事で英語を使うことはどれくらいありますか?
木田:ビジネスの場面で英語を使うことは全くないですね。ただ、ベンチャー企業にいると海外の新しいビジネスやサービスのことにアンテナを張ることも大事になってくるので、海外のニュースサイトとかクラウドファンディングのサイトを見たりすることは多いです。テック系の業界は日進月歩なので、海外の情報が日本語になってから僕らの目に留まるまでのタイムラグがあると、それだけで一歩遅れてしまうこともあり得ます。そういう意味では、英語はやっておいてよかったと思っています。もっとも最近は翻訳ソフトも普及してますけどね。
目の前の仕事に夢中だった監査法人時代
眞山:なるほど。木田さんは大学を卒業した年に公認会計士試験に合格されたわけですが、その後はどういったキャリアを積んでこられたのでしょうか?
木田:御多分に漏れず、大手監査法人に就職しました。主にIPOを手掛ける部門に配属になって、監査人として新規上場を見届ける経験も2回ほどさせていただきました。
眞山:その頃から、今のようなキャリアを想像していましたか?
木田:いや、決してそんなことは無いですね。仕事そのものには没頭できていたし、組織にもなじんでいたので、このままこの部門で働きとおすんだろうな、と何となく思っていました。今でも当時の同僚や上司の方とは連絡を取り合っていますし。
眞山:そこに転換点が訪れたのはいつ頃だったんでしょうか?
木田:リーマンショックを経て、日本の市場環境が一変したことが遠因にはあると思います。大手監査法人がリストラを立てつづけに発表して、それを機に独立したり転職する人もたくさんいましたが、監査法人にとどまる決断をした人にとっても、内部的には色々な変化があったと記憶しています。そのひとつに、人事制度の変革があります。昇進のための要件が少し厳格になって、パートナーになるためには複数の部門に配属された経験がないといけない…と言うルールになったんです。
眞山:それで、配置換えを希望されたわけですか?
木田:いや、希望はしてないです。本当に当時いた部門には愛着があって、異動したい部署が全然思いつかなかったんですよ。ただ、その時たまたま、上司が事業会社への出向の話を持ってきてくれたのです。出向先はとても有名なIT企業で、経営者の手腕にも興味がありました。また、その会社は比較的多国籍な風土もあったので、英語力も活かすことができました。さらに言えば、その上司を含めたチームメンバーとその会社の経理グループとで定期的に意見交換ができる機会もあるので、ホームシックにならずに済む(笑)。もちろん将来的な昇進のための一つの要件もクリアできる…ということで、自分にとってはとても大きなチャンスだと思い、話をお受けしたんです。
出向先で垣間見た、急成長企業の光と影
眞山:出向先ではどのような仕事をしたのでしょうか?
木田:経理部門の立て直しです。その会社は知名度や事業規模がすさまじい割に、経理の体制に足りない部分が沢山ありました。いわゆるIT企業で急激に成長した会社は、経理などのバックオフィス体制の整備が成長速度に追いついていないことが多いんですよ。最初の1年は、月次業務を一部受け持ちながらほかの経理スタッフの仕事をレビューして業務フローを作りなおしたり、問題点を整理して監査法人側のチームと改善の方向性を探ったりしていました。特に経理のバックボーンがないまま配属されてしまった若手スタッフには、一から簿記を教えたり、なんてこともしてました。2年目に入ってからは新しい業務フローを実務にインストールしていくことを地道にやっていました。
眞山:ここで企業名が出せないのが残念ですが、それほどの企業でも経理体制に脆弱さがあるということは、ほとんど知られていないことですよね。
木田:そうですね。でも、あの会社と同じように、今までなかった技術やビジネスモデルで急激に市場を席巻していくようなIT企業は今たくさんあるわけで、それらの企業が、出向していた会社と同じような問題点をおそらく共通に抱えることになるんだろうな、という思いはありました。
ベンチャー企業がスムーズに成長できるように
眞山:ベンチャー企業に転職したのはそう言った思いがあったからですか?
木田:まさにそうです。出向期限が切れてから、当時の会社に社員として採用してもらっていたのですが、2019年に、知人の仲介で今の会社を紹介してもらい、転職を決断しました。技術力をはじめ、コンピテンシーを持っているベンチャー企業では、バックオフィス体制がおざなりになりがちです。しかし、その部分をしっかり整えることができれば、後の急拡大に耐えうる体質を手に入れることができます。CFOという立場でその体制を作り上げるのが今の自分のミッションです。
眞山:大手監査法人から有名IT企業に移った経験は、今どのように活きていますか?
木田:うーん、正直今は、自分が手を動かすのに忙殺されてしまっていて、「体験が活きる」と言えるほどのことができていないのが実情ではあるのですが、今後売り上げ規模が拡大していけば人を増やしていくこともできる。その時に、スムーズに仕事を引き継げるような形を今のうちに作ろうという風に思っています。
※記事内容などは取材時のものになります。
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