監査法人でパートナーになるには? その後のキャリアについて
監査法人の組織体制は株式会社とは異なり、事業会社では聞きなれない「パートナー」という職位があります。監査法人におけるキャリアアップの大きな目標といってよいでしょう。監査法人のパートナーは、どのようなポジションで、どのような役割を担っているのでしょうか。その仕事内容やパートナーを経験した後のキャリアなどをご紹介します。
マイナビ会計士編集部
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監査法人のパートナーについて
監査法人におけるパートナーとは
監査法人は5名以上の公認会計士が出資して設立される法人であり、パートナーとは監査法人への出資者をさします。パートナー以外のスタッフ、マネージャーは「職員」と呼ばれます。
英語圏にならって「パートナー」という呼称が定着していますが、そこには共同経営者という意味合いが含まれ、出資者として債務に対する無限連帯責任があります。
また、パートナー=(イコール)経営者、役員という認識を持つ方もいますが、正確ではありません。大手、準大手監査法人では所属する公認会計士の10~12%(600~700人)がパートナー(社員・代表社員)となっていますが、そのすべてが経営者、役員ということではありません。実際に経営に携わるのは、パートナーの中から選任された理事長、理事などの役員です。ただし、ごく小規模の監査法人では、パートナー全員が経営者、役員の場合もあります。
パートナーの仕事内容、待遇
パートナーは、管理職として監査に代表される業務執行にあたり、人事・総務など間接部門の責任者を兼務することもあります。その中でもっとも重要な仕事は、監査意見の責任者として監査報告書に署名することです。監査法人の代表として、クライアントの財務諸表の内容が正確、公正であることを担保するという社会的責任を負うことになります。大変な重責ではありますが、国内外有数の大企業の監査報告書に自分の名前が記載されているのを見ることで、大きな達成感を感じられるのではないでしょうか。
監査の実務はマネージャー、スタッフが担当しますので、現場に出ることは少なくなりますが、パートナーにはクライアントとの関係構築、契約獲得などの役割が期待されます。
パートナーの年収はあまり公開されていないのですが、基本給の相場は1500万円程度からといわれ、契約獲得のインセンティブ(成果給)などが加算される場合が多いようです。そのため個人差も大きく、大規模案件の受注によって数千万円の年収を得る人もいらっしゃいます。
<ココまでのまとめ>
・パートナーは監査法人の出資者でもある管理職。
・パートナーのもっとも重要な仕事は監査意見の責任者。
監査法人のパートナーになるには
パートナーになるための道のり
日本では監査報告書に監査人の氏名を記載する習慣があるため、多くのクライアントを抱える大手、準大手監査法人では、多数のパートナーが必要になります。海外と比較すると日本の監査法人ではパートナー昇格が容易といわれるのは、そうした背景があります。実際に、過去には年功序列で昇格できた時代もありました。
現在は在籍年数によって昇格することはありませんが、公認会計士試験合格後に入社した場合、入社15~18年程度がパートナーに昇格する時期といわれています。つまり、早い方であれば30代後半でパートナーになる可能性があります。
また、マネージャー昇格の前後で転職する方が多いこともあり、30代の半数程度がパートナーになれるともいわれています。年収などの面で同程度と考えられる上場企業の部長職と比較すると、かなり昇格しやすいといってよいでしょう。
パートナーになるための条件
パートナーになると監査の実務からは離れ、公認会計士としての知見や監査のスキル以外の能力や資質を求められるようになります。
万が一、粉飾決算などの不正を見逃すことがあれば、刑事事件や社会問題に発展する可能性もあります。社会的な責任を負う立場であるパートナーには、そうした重責に耐えるメンタルの強さは必須条件です。
また、パートナーとしての重要なマター、担当案件に、クライアントとの関係構築や新規契約の獲得があります。一般的な営業職よりは経営者によるトップセールスに近く、社交性やホスピタリティといった人間的な魅力で、クライアントの信頼をかちとるスタイルが多いようです。
業務においてはマネージャーを通じて管理することになりますので、高いコミュニケーション力やチームを統率するリーダーシップが必要です。大規模案件では、中小企業の従業員より多くのスタッフを抱えることもあります。人間的魅力は対クライアントだけでなく、監査チームのとりまとめにもプラスとなるでしょう。
パートナーとしての大切な心得
パートナーは監査全体に責任を負います。現場の業務管理はマネージャーの役割ですが、マネージャーを通して統括管理すること、チーム全体に意思を伝えていくことがパートナーの役割です。そのためには知識やスキルだけでなく、リーダーとして、監査業務のプロフェッショナルとして、尊敬や信頼を寄せられることが大切です。そのために必要と思われる心得を例として挙げさせていただきます。
パートナーの心得
・監査業務の社会的責任や倫理観を監査チームに浸透させる。
・部下から寄せられる尊敬や信頼に値する社会人であり続ける。
・ホスピタリティを発揮し、クライアントに信頼される存在となる。
・監査業務のプロフェッショナルとして誇りをもつ。
<ココまでのまとめ>
・監査実務からは離れ、チームの統括管理と対外的な責任者としての役割となる。
・クライアントとの関係構築や新規契約の獲得も重要である。
パートナー経験後のキャリア
パートナー経験後、事業会社に転職
事業会社への転職では、財務会計部門や監査部門の管理職としてというケースが多いでしょう。キャリアや転職先の規模にもよりますが、部門責任者やIPOをめざすベンチャーのCFOのほか、監査役や相談役、顧問など役員待遇で迎えられることも珍しくありません。そうした転職では監査業務の経験だけでなく、幅広い人脈も同時に期待される場合が多いです。
パートナー経験後、コンサルティングファームに転職
コンサルティングファームで監査業務の経験が活かせるのは、IPOやM&A、投資判断などのデューデリジェンスが中心です。コンサルティングファームでの人材ニーズは30~40代くらいまでになります。監査法人のように公認会計士が多く在籍していないため、若手の場合は、実務を求められる可能性やコンサルタントに転身するチャンスがあります。
パートナー経験後、会計事務所に転職
会計事務所では監査ではなく、会計業務が中心になります。キャリアや年齢によって求められる役割が異なると考えられます。管理職を含む会計業務の実務に携わる職位では30~40代がニーズの中心となり、人脈を活かした顧客開拓に重きが置かれる職位では年齢が高めの方でも歓迎される場合があります。
その他
監査法人での経験と公認会計士の資格を活かして、コンサルタントや会計事務所などの形で独立開業することができます。5名以上の公認会計士が集まれば、監査法人を設立することもできます。IPOやM&A、ベンチャー支援など何らかの強みをもっておくとよいので、監査法人での経験だけで足りない場合は、段階をふんで準備するとよいでしょう。
<ココまでのまとめ>
・管理職や部門責任者のほか、役員待遇での転職もあり。
・キャリアや年齢によって人材ニーズが異なる。
・年齢が高くなると、実務とあわせて人脈を期待される可能性が高くなる。
まとめ
監査法人におけるパートナーは管理職としての役割だけでなく、監査報告書の責任者でもある重要なポジションです。監査法人の中でパートナーをめざす一方、ご自身にとっての理想のキャリアを模索されている方もいらっしゃるでしょう。また、現在パートナーとして働いている方の中には、退職後のキャリアについて考えはじめている方もいらっしゃるのではないでしょうか。マイナビ会計士は、あなたにとって理想のキャリア形成をサポートさせていただきます。
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転職された方の声
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