省庁から大手監査法人へ。子育てママ会計士が考えるプロ意識とは

前職がある状態で公認会計士にキャリアチェンジをした人の中には、前の職場で培ったプライドを引き裂かれる経験をしている人もいるだろう。特に監査業界は年齢や職歴が度外視されたキャリアパスが用意されていることが多いため、なおさらそのようなケースは多い。元国家公務員の岡村さんが監査法人に入ってプロ意識に目覚めた瞬間の話を伺った。
プロフィール
岡村 晴美(仮名)40代女性 公認会計士
神奈川県出身。国立大学在学中に公務員試験を受験し、中央省庁にて政策立案等に携わる。在職中に公認会計士試験に合格し、大手監査法人に転職。現在も同監査法人にて国内企業の監査業務に携わる。大学を卒業後、中央省庁に就職するも公認会計士を志す
眞山:岡村さんのキャリアでひときわ目を引くのは、なんといっても中央省庁での経歴だと思います。安定感という意味でも、あるいは女性の働きやすさという意味でも抜群の職場だと思うのですが、どうして公認会計士になろうと思ったのでしょうか?
岡村(敬称略):私の場合、当時の呼び方で国家Ⅱ種の試験に合格して省庁に入ったので、基本的にキャリア官僚の補佐をするのが役割でした。自分なりに使命感を持って仕事を始めたのに、なかなかイニシアチブをとれない歯がゆさがありました。確かに給与も安定しているのですが、なんだか退屈だと5年ほど働いてみて思うようになりました。
でも、役人が転職するのって結構大変なんですよね。転職って今までの給与水準をあきらめるか、一芸で給与アップを狙うかのどちらかだと思うんですけど、公務員から事業会社に行くのに一芸があるはずもなく、そうすると相当の給与ダウンを覚悟しないといけない。だったら、資格を取ってみようと思って公認会計士にしました。
眞山:そして、試験に合格したのが2008年ということですが、その後はどのようなキャリアを進んでいらっしゃいますか?
岡村:いったん大手の監査法人に就職して、監査業務を中心に仕事をしていました。主に国内製造業の監査です。
眞山:前の職場と比べてみて、どうでしたか?
岡村:大手の監査法人って、たとえ前職があろうとなかろうと、試験合格者は皆横一線にスタッフとしてキャリアをスタートすることが多いじゃないですか。だから私は既に30代だったのに対して、大学にまだ在学中の人もバイト採用されたりして、年齢にばらつきがある中でのキャリアはそれなりに楽しかったんですけど、結構プライドを傷つけられる場面もありまして(笑)。
眞山:プライドを…差し支えなければ、その話も聞かせてください。
岡村:ある日の監査現場で先輩と一緒に往査に行って、2人で作業をしていて、作業方針を相談してみたんですけど、説明の仕方が少し乱暴で。「手続書見ればわかるでしょ」とか「見て分からなければ昨年の調書見れば?」とか、手取り足取り教えてくださる感じじゃ全然ないんですよね。しかもその人私より5歳も年下なんですよ(笑)一応私だって中央省庁で、〇〇大臣が国会で読み上げる資料を作ったりとかしていたのに、この扱いはなんだ!と(笑)プンプンしているのがわかるようにしながらPCに向かって作業をしてたんですけど、向こうは素知らぬ体で仕事を進めてて。嫌な感じだな~と思ってました。
本当のプロ意識に触れた瞬間
眞山:「思ってました」ということは、今では少し違う印象を持っているわけですか?
岡村:はい。最初の1~2日は本当に気分が悪かったんですけど、何日か作業していると、不思議なことが立て続けに起こるんです。例えば、部屋の中をキョロキョロしているだけで、内線電話の番号表をサッと出してくれたりして、「なんでこれ探してるのわかったんですか?」って聞くと、「え、だって〇〇課長に明細頼むんでしょ?」と言われる。なんでこの人は私がやろうとしていることまでお見通しなんだろう、と思って。
ある日、作業を終えて一緒に飲むことになった時に、思い切って「先輩はどういうスタンスで私と向き合ってくださってるんですか?」と聞いてみたら、「お互いプロなんだし、教えたり教わったりするよりも、サポートしあう形にしたいんだ」と言われました。確かにその先輩は教え方こそ雑でも、サポートのタイミングがすごく絶妙だよなーと思って、なるほどプロっていうのは自分なりの仕事の哲学らしきものを持っているんだな、と思い知らされました。
そのあと「なんで内線電話のタイミングまで分かるんですか?」って聞いてみたら、監査スケジュールを見れば誰がどのタイミングでどんな作業をすべきかはある程度分かるでしょ?と教えてくれて、さらに「サポートしたい相手に注意を向けるのは当然のことだって、僕も上司から教わったんだ」と言われました。
もっというと、あの先輩のそういう観察眼は監査現場でもいかんなく発揮されていて、棚卸の現場に行ってもあっさり不良在庫を見つけてしまうんですよね。そういう意味でも本当にプロでした。
伸び伸びと働けるチームを作りたい
眞山:その先輩の存在は、今のキャリアにどんな影響を与えていますか?
岡村:今、当時の先輩よりも立場が上になって、いわゆる主任業務をやるようになっているのですが、あの先輩の考え方はいまだにお手本にさせてもらっています。スタッフの人たちが「自分なりに考える」ということを伸び伸びやれるようなチームをこれからも作りたいと思っています。
ちなみに、いま私3歳の娘がいるんですが、あの先輩の見守り方は実は子育ての参考にすらなってます(笑)何でもかんでも教えるんじゃなくて、ひたすら見守るスタンスって難しいなぁ、と子どもと接して日々感じています。
眞山:これからの岡村さんの展望を聞かせてください。
岡村:子育てのことを考えると、これから先、監査法人でどこまでキャリアを積み上げるべきか、正直悩んでいます。独立したほうが時間の融通が利くような気もするし、利かない気もするし(笑)
ただ、公認会計士という資格をせっかく持ったからには、どこの組織に属するか、属さないか、という問題ではなく、自分がひとりのプロとしていかに自分らしく働くか?ということが一番大事だと思っているので、色々な選択肢を持ちつつも、しばらくは今の仕事をエンジョイしてみようかな、と今のところは思っています。
※記事内容などは取材時のものになります。
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