<公認会計士 特別インタビュー>キャリアの掛け算で希少価値を生み出せ

100人に1人と言われる価値を出す人材になるためには、それなりの努力が必要だ。しかし、仮にそれを2つの分野で成し遂げれば、10000人に1人の価値を出すことも不可能ではない。プロフェッショナルと呼ばれる職業がコモディティ化していく中で、「プロの中のプロ」になるためにはどんなキャリアを積めばいいのか。佐々木さんの話を伺った。
プロフィール
佐々木 浩市(仮名)30代男性 公認会計士
東京都出身。大学付属高校時代から簿記の授業を受け、在学中に公認会計士試験に合格。大手監査法人のIT関連部署で内部統制の評価を担当したのち、グループ内のコンサルティングファームで、リスクマネジメントの支援業務に従事。
キャリアのスタート
眞山:佐々木さんのご実家は、税理士事務所をされているんですよね。
佐々木(敬称略):そうです。そういうこともあって高校時代の選択科目では簿記を選択していましたが…正直最初はたいして楽しくありませんでした(笑)。でも、せっかくだからということで公認会計士試験を目指すことにしました。
眞山:最初は監査法人でキャリアをスタートされたのですよね?どのような新人会計士だったか、ご自身で振り返ってみていただけますか。
佐々木:当時は公認会計士試験の合格者も就職氷河期と言われる時期でして、正直「どこでもいいや」という気持ちがあったのですが、大手監査法人の中で無事アドバイザリー業務をメインで行うところに配属してもらうことができました。ただ、自分が配属されたチームがITリスクを中心としたところでして…最初は不安でいっぱいでした。ITはおろか、Excelだってこれから覚えようという段階でしたから。
仕事の内容は主にIT内部統制の評価です。よかったと思うのは、2つの意味で「俯瞰」する視点を持てたことです。
IT内部統制で培った「俯瞰」する視点
眞山:俯瞰。どういうことでしょうか?
佐々木:前提として、IT内部統制の評価って、たくさんある監査手続の中のほんの一部でしかないじゃないですか。それでありながら、会社の業務のほぼ全体に横たわっている領域を担当することになります。そうすると自然とマクロ的な見方というか、葉っぱよりも森を見る考え方が身に付くなぁ、と思います。
同年度の合格者と飲みに行ったりすると、当初彼らは現金預金とか販管費と言った科目を担当していて、細かい手続の仕方や調書の取りまとめ方に終始している印象があったのですが、私はそうではなく、全体像を常に意識せざるを得なかった立場として仕事をしていたので、良くも悪くも独自の道をすすんでいるんだな、という手ごたえがありました。
眞山:なるほど。会社の業務全体を俯瞰できるということですね。もう1つの意味合いについても聞いてみたいです。
佐々木:監査手続のごく一部だけを担う部署ということもあり、業務がとことん「広く・浅く」だったということが言えます。眞山さんって新人のとき1年間で何社のクライアントを見てましたか?
眞山:私は、最初の1年間で、6社+その子会社たち、って感じでした。
佐々木:それでも、多い方ですよね。人によっては巨大企業1社をずっと見ているということもあるじゃないですか。私は1年目だけで30社のクライアントを担当しました。IT内部統制という限られた領域だけでも、数々のクライアントを横並びで見る癖がついたことで、ひとつの会社を客観視できるようになったことも大きいです。
眞山:なるほど。自分も地方銀行の自己査定を監査していたので、融資先の決算書を毎年延べ100社以上は見ていましたが、おかげで決算書の分析はかなり自信がつきました。その感覚に近いですね。
佐々木:たぶんそうです。眞山さんの銀行の話も、融資できるかどうかという判断って銀行の側に立たないと見えないでしょう。私の場合はそれがITでして、当時そのことを語れる人材は多くなかったので、そういう意味ではレアな存在になれたと思っています。
もうひとつのキャリア
眞山:その後、佐々木さんはグループ内のコンサルティングファームに移籍されるわけですが、どういった思いで移籍を決められたのでしょうか。
佐々木:私が前に読んだ本で「100人に1人の人材になることを2つの分野で繰り返せば、10000人に1人の人材になれる」という言葉があって、何か別のフィールドで仕事をしてみたいという想いがあった中で、誘ってもらったので移籍しました。
最初はすごく緊張しました。公認会計士っていうだけで、無駄に高い期待値を持たれている気がして、でも自分は監査、つまりは会社の業務プロセスにダメ出しすることが仕事であってソリューションを考える立場にいなかったので、自分が本当にやって行けるかあまり自信はありませんでした。
ただ、それって、そもそも最初にIT部門に配属された時も同じだったし、やってみないと分からないという気持ちもありました。
眞山:結果、どうでした?
佐々木:締め切りのタイトさとか、チーム内のコミュニケーションとかに戸惑ったことはありましたが、何とかやれています。先ほどの「俯瞰」の視点というのが、コンサルティングでよく言われる仮説思考のベースになっていると思いますね。
眞山:仮説思考、せっかくなので佐々木さんなりの説明をお願いして良いですか?
佐々木:会社が抱える問題点って、おそらく山ほどあります。そして、それらの問題点って、おそらく隣の会社でも似たことが起こっているものです。ということは、事前に「おそらくここが問題のはずだ」と予想することができるはずで、その予想のことを仮説と言うわけです。効率的に会社の問題点を見つけるために必須の考え方なのですが、さきほどの「俯瞰」の観点があると、「ああ、あの時みたあの会社に似てるな…」というところをフックに色々な仮説を立てることができて、非常に良いんですよね。
高め続けていく境地
眞山:そういう意味では、監査法人時代の経験が大いに役立っているといえそうですね。これから、佐々木さんは公認会計士として、あるいはITの専門家として、どういう存在になっていきたいですか?
佐々木:ものの本で「2つの分野で100人に1人になれば、10000人に1人になれる」みたいなことを聞いたことがあります。これって結構大変だと思うんですよね。仮に現時点で会計士であること自体が100人に1人の人材と言えるものなのだとしても、ITの道を突き進んでいるうちに、1つ目の分野の会計士の人数がじわじわと増えていくわけで、その希少価値は下がっていく。ましてや自分が知識をアップデートし続けないといけない。
自分にとってはキャリアのゴールがあるというよりは、自分がその〇人に1人というポジションを高め続けていく姿勢をずっと持ち続けていたいな、と思います。漠然としてて申し訳ないですが、そういう境地が自分の目指すところです。
※記事内容などは取材時のものになります。
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