<公認会計士 特別インタビュー>「クライアントの経理担当」に移って見えてきたこと
公認会計士のキャリアとして意外と多いのが、「もともと監査法人のクライアントだったところに転職する」というパターンだ。かつて会社の外側からクライアントを批判的に評価していた人が、会社の指揮命令系統下に入るのは、果たして居心地がいいものなのか。
クライアントへの転職を果たし、見事に社内での居場所を勝ち取っている加藤さんに、話を伺った。
プロフィール
加藤 純(仮名) 30代女性公認会計士
高知県出身。大学卒業後、システムエンジニアを経て2008年に公認会計士試験に合格、大手監査法人の地方事務所で国内上場企業の監査やコンサルティング業務に従事。2016年に、当時監査クライアントであった上場企業に転職し、経理担当者として主に連結会計や子会社の業績管理等の業務に従事。
プログラマーから監査法人、そしてクライアントへの転職
眞山:まずは略歴を紹介してもらえますか。
加藤(敬称略):もともとシステム会社でプログラマーをやっていました。その後公認会計士試験に合格して、大手監査法人の地方事務所に就職して、その監査クライアントに転職しました。
眞山:ありがとうございます。今回は「クライアントへの転職」というテーマを掘り下げてみたいんですが、転職する前にクライアントのことをどう思っていたか…仮名なので遠慮なく話しちゃってください。
加藤:はい、話します(笑)。ただ、あらかじめ言っておきたいのは、当時の私がある意味「偉そうに外側から色々見てたつもりで、実はそれほどクライアントのことを見れてなかった」ということです。監査法人にいると、どうしてもクライアントのことを横並びで比較して「あの会社はいい」「あの会社はだめ」っていう評価を下しがちじゃないですか。私はまさにそれでした。
眞山:複数のクライアントを担当する以上、どうしても比較したくなりますよね。
加藤:そうかもしれないです。でも反省している点があって、それは会社をとことん「減点方式」で見ていたっていうことです。監査である以上仕方がないといえばそれまでですが、「ここに改善の余地があります」ということだけ指摘して満足してしまっていた。それを本当に改善しようと思った時に、クライアントがどれほどの制約条件を抱えているかを想像しようともしていませんでした。
クライアントに対する想い
眞山:そういう中で、今の職場のことを、ぶっちゃけ、どう評価していましたか?
加藤:「業績が良いくせに内部統制いまいち」です(笑)。私がいた地方事務所のクライアントでは、リーマンショックの後に業績をしっかり回復して成長軌道に乗っていた稀有な存在でした。
でも、いま言った通り内部統制がザルに見えることも多くありましたね。そして監査法人にいる以上、内部統制や経理の方の姿勢がほぼ唯一の評価の物差しになってしまうわけで、「儲かっているのにもったいない会社だな」という見方をずっとしていました。
眞山:それなのに最終的には転職先に選んだ、と。そのクライアントに対する思いが変わったきっかけはありますか?
加藤:当時、監査クライアントにも一定の条件で監査じゃないサービスを提供することがあって。東京の事務所にいるコンサルタントと組んで今の会社の業務改善に取り組んだんですよね。その時に恥ずかしながら、会社が5年後にどうなっていたいか?という話を初めて聞いて。
当然そこには「監査法人の指摘に耐えうる体制づくり」なんていう言葉はなく(笑)「売上〇〇億円、店舗数〇〇」といった目標値が並んでいました。
その時にものすごく月並みですが、「ああ、この会社の人たちって頑張っているんだな」という視点を、やっと持つことができて、クライアントに対する愛着が一気に湧いたんです。
転職の決め手、現在の働き方
眞山:なるほど。監査の仕事は既に終わった期間が対象になりますし、将来のことを聞く機会って結構限られますもんね。
加藤:そうですね。その限られた機会というのも、あくまで監査の一環で聞くわけじゃないですか。全然観点が違ってました。
眞山:転職の決め手になったのはどんな点ですか?
加藤:そんな経緯ですっかり愛着を抱いてしまったクライアントが、人手不足の状態にあることを知ってしまったから(笑)。今の会社ってM&Aを繰り返して大きくなっているんです。だからその都度DDをサポートしたり、M&Aの後に業務フローを整えたりする人材が必要だという話を聞いて、この会社のために働きたいという気持ちになったんです。
そうなると、クライアントを掛け持ちする働き方よりも、このクライアントの内側に入るのが一番じゃないですか。
眞山:なるほど。そうなると、今まで監査で応対していた相手が上司になったり、同僚になったりするわけですが…ぶっちゃけやりづらさはないですか?
加藤:いや、そっちのやりづらさよりも、「今まで上司や同僚だった人が監査で応対する相手になる」ことのほうが気を使いました(笑)あの人たちにダメ出しされる立場なのか…と思うと、妙に緊張したこともありました。
でも、おかげさまで今の職場に落ち着いて4年ほどになるのですが、そもそも経理の仕事って「及第点」というものがあって、「満点」を目指さなくていいんだ…ということに気づいてからは気が楽になりました。
眞山:及第点…面白い表現ですね。
加藤:もうとことんぶっちゃけてしまいますけど(笑)、監査法人にいた頃って、なんなら無理やりダメ出ししてたところがあったんです。「何も指摘できないようじゃ会計士として舐められる」みたいな思いがあったから。
でも、それって、99点の会社に、残り1点のダメ出しをするようなもので…。私はもうクライアントの立場に変わったんだから、無理に満点に向けて躍起になるよりも、他の色々な制約条件を踏まえて、及第点、例えば80点を確実にとれるようにすればいいんじゃないか?という気持ちを持てるようになったんですよね。
もちろん、新たに子会社が増えたときにはその及第点を目指して業務フローを改善したりするわけなので、そういうバランス感覚を持てたのは、同じ会社を「監査人」と「経理担当者」という両方の立場から見たからこそ、だと思います。
眞山:とても興味深い話をありがとうございます。最後の質問ですが、「クライアントへの転職」の魅力について、教えてください。
加藤:魅力、いっぱいありますよ。すでに監査をしている先だから、中にいる人も顔見知りで、経営的に安定しているかどうかも分かってしまっているし(笑)、退職した監査法人の人たちとも引き続き顔を合わせられるので、今の職場の人間関係に悩みがない人にとっては良いと思います。
それでいて、自分は思った以上に視点の転換が求められたり、その分新たな気づきがあるので成長できたという手ごたえもあります。
私のようにひょんなことからクライアントに惚れてしまった人は、転職するかどうかはさておき、「この会社で働くとしたら…」という視点を持つだけでも、仕事が楽しくなるんじゃないかと。
※記事内容などは取材時のものになります。
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