会計士×ITという転職市場で強力な強みを得た女性会計士の軌跡
働き方改革というキーワードがそこかしこで用いられるようになったが、多くの場合この言葉には、バリバリ働く従来の働き方に対するアンチテーゼのようなニュアンスが含まれるものだ。
しかし、木下さんの話を聞くと、バリバリ働いたその先に自分なりの働き方改革が待っているようにも思える。多彩なキャリアを経て内部監査室のポジションに落ち着いた彼女の考え方に、ぜひ触れてみてほしい。
プロフィール
木下 和佳子(仮名) 40代女性公認会計士
京都出身。大学卒業後、金融機関のSE、北欧放浪を経て2004年公認会計士第二次試験合格。大手監査法人等で監査経験を積み2010年独立。外資系ERP企業の会計顧問や外資系内部統制マネージャーなど務めるほか、講師としても活躍。上海に拠点を移したのち帰国し、現在は一部上場企業の内部監査室長を務める。英語・中国語・スウェーデン語が得意。内部監査の仕事を始めるまで
眞山:木下さんは、今は一部上場企業で内部監査の仕事をされていますよね。それまでにいろいろな経歴を経ているわけですが、どうしてそのポジションに落ち着いたのか教えてください。
木下(敬称略):働きやすさですね。自分が女性ということもあり、キャリアを積むことと働きやすさとどちらを取るか?みたいなことをずっと考えていました。
内部監査の仕事は、基本的に年間を通じた業務の忙しさが読みやすくて、よほどの不祥事がない限り残業もしなくて済むので。
眞山:経歴を聞く限りでは、そもそも会計士になる前に金融機関に勤めていたり、独立後も外資系の企業と関わりを持っていたり、さらにはご自身も上海で事務所経営に参画した時期があったり…キャリア志向がすごく強いのかな…と思っていたので、今のお答えはちょっと意外でした。
木下:そうかもしれないですね。でも実は、今の働きやすさの源泉が、今まで築き上げたキャリアから来ているんじゃないかと思ってるんです。海外経験があるから、ITに詳しい会計士だから、今の働き方が得られている。だから自分にとってはあまり不自然な点はないんです。
例えば、SEとして働いていたころは、保守系のトラブルがあったら徹夜で対応する…なんてことも当時はありましたが、内部監査室にいる分にはそういった前線に立つ必要もない。でも、あの頃色々な経験をしていなければ、今のポジションで十分なバリューを出すことなんてできなかったと思います。
眞山:なるほど…面白いですね。いま、海外経験というキーワードが出てきたのですが、どういう面でご自身の海外経験が活きていると感じますか?
木下:うーん、特定の局面で活きるというより、もっとふわっとした感じです。日本以外の場所に暮らしたり、働いたりした経験があるから、普通の人と視点が良くも悪くもずれている、と言えば分かりますか?そこが内部監査をやるときに、クリエイティブな視点を持つことにつながっている気がします。
もちろん上海の税制だとかそういうことは知ってはいるけど、知っていることって一度アウトプットしたら共有知になってしまうわけだし、あまり価値があると思っていないです。
チャレンジをして気付いたこと
眞山:今の話ってある意味とても心強いですね。海外に飛び出してみることとか、いろいろな業種や職種を経験してみることって、具体的に「これ」というものがなくても、自分の糧にちゃんとなっているということになるんじゃないでしょうか。
木下:確かに。私、転職する前に北欧で放浪してたんですけど、周りからは反対されたりしました。「そんなことして何の足しになるの?そんなことしてないでちゃんと転職したり資格とったりしたら?」みたいな。…まぁ事実その後に公認会計士になったわけだから、ある意味では彼らの言うとおりにしたんですけど(笑)
眞山:北欧に行こうと思った時、ご自身は何かを得られる勝算があったんですか?
木下:いや、ないですね(笑)SEとして忙しく働いていたから、しばらくのんびりしたいだけだったので。でも、一度飛び出すことで、二度目に飛び出すことのハードルは下がるでしょ。それだけでも意味はあったんじゃないかと思います。
眞山:ああ、わかる気がします。最初の海外旅行って緊張するけど、何度かやっているとイミグレーションも慣れてきますもんね。
木下:そう、そういう意味もあるし、例えば日常の仕事でも、自分が何らかの「枠」にはまっているという感覚が良い意味で希薄になってくることはありますね。いざとなったら飛び出せばいいという気持ちが、安心感につながったりするんです。
2つの強みで自分バリュー
眞山:ITに詳しいという側面についても掘り下げてみたいのですが、会計とITの両方に強みを持っていることって、転職市場ではものすごくバリューがあると言われていますよね?ご自身でそれを実感することはありますか?
木下:あります。会計もITも、自分にとっての当たり前な知識が、他人にとって価値を持つ…という分野だと思っています。もっとも、それってどの分野でも当てはまるのかもしれないけど、2つの分野で強みを併せ持っているというのはレアですよね。しかも会計とITって共有点が多いので、片方しか詳しくないがために困っている、っていう人も多いから。
眞山:そういうことって、公認会計士になる前から分かってました?
木下:多少は感づいてましたね。簿記とか勉強しているときは当然手作業で問題を解くじゃないですか。そういう時も「これってシステムでこうやって動くのかな」とか想像したりしてました。でも、先見の明があったとかそういうつもりはないですよ。自分がITの畑にいたから、たまたまそういう思考回路だっただけで。「これは稼げる!」とかまでは計算してなかったです(笑)眞山:面白いですね…そういった経験を踏まえて今は内部監査の仕事をされているわけですが、プロフェッショナルにとっての働き方改革という点で、木下さんの思うところをお聞かせいただけますでしょうか。
木下:プロフェッショナルのまま働き方改革を達成したいなら、自分の持つバリューをとことん高めるのが一番だと思います。私はたまたまうまくいっただけなので、成功談を話すつもりはないのですが、特定の分野で抜きんでたり、あるいは複数の分野の組み合わせで独自性を出したりすることが、自分の市場での希少性を高めることになる。
例えば、キャリアチェンジをする時にAとBのポジションのどちらを取ろうか迷うときには、「次の次」を想像して、どちらのほうが将来的にバリューを高められるキャリアになるか、という点から選ぶことも一案かな。
いっぽうで、自分の身の回りの会計士さんには事務所や会社を大きく成長させて、仕事をスタッフに任せることで自分自身は自由を勝ち取っているタイプの人も少なくないです。そういう人はプロフェッショナルというよりも起業家として優れているイメージがあります。
どちらが向いているかは人によって違うので、まず自分を知ることから始まるんじゃないでしょうか。
※記事内容などは取材時のものになります。
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