<公認会計士 特別インタビュー>30代子育てまっただ中の常勤監査役な会計士
公認会計士にとって「若手」とはいつまでなのだろう、と時折思うことがある。そして、近年公認会計士のキャリアがますます多様になったことを受け、その境目は極めて曖昧になっているのではないか。
常勤監査役という、ベテラン(という言葉の定義も曖昧なのだが…)が選びがちなキャリアに進んだ広澤さんの話を聞くと、そんな疑問がますます強まってくる。そして、そのことこそが、公認会計士という資格の持つ懐の深さを示すのかもしれない。
プロフィール
広澤 智之(仮名) 30代男性公認会計士
大学卒業後、大手監査法人に入社。スタートアップ企業や複数の上場金融機関などの、監査業務や保証業務、アドバイザリー業務に従事。マネージャー時には半年間の育児休暇を取得した。その後、監査法人を退職。現在は独立開業し、スタートアップ企業にて常勤監査役を務める。はじめに
私は大学卒業後、十数年間監査法人にて働いたのち、1年ほど前から、スタートアップ企業で常勤監査役として働いています。常勤監査役、というと、企業の役員の中では公認会計士にとって接点が多い立場ですが、そのイメージとして真っ先に思い浮かぶのは、長年会社に勤めた末に役員に就任した経験豊富な方の姿ではないでしょうか。
実際、私が所属している監査役協会で出会う方々も、ほとんどすべてが大ベテランの方々ばかり。50代ではまだまだ若手と言われ、私の父と同じくらいの年齢の方も珍しくはありません。
そんな常勤監査役の世界に、30代の私がなぜ飛び込んだのか。振り返れば、監査法人時代に「監査役」「スタートアップ企業」「働き方」について考えた結果が、このチャレンジにつながったと考えています。
監査法人時代
十数年間の監査法人時代には、上場企業の監査業務を中心に様々な業務を経験することができました。
その中で興味をもったものの一つに、「監査役」がありました。クライアントの監査役との面談を通じて様々な常勤監査役の方と出会いましたが、そのスタンスやバックグラウンドは十人十色。その会社で何十年も経験を積んだベテランもいれば、親会社や重要取引先から最近来た方もいる。内部監査の経験豊富な方もいれば、営業一筋だった方もいる。きわめて厳正に一つ一つの監査手続を進める方もいれば、何事にも鷹揚な方もいる。
もちろん、どんな仕事でもその人の個性が現れるとは思いますが、同じ監査業務ということで似通った仕事となりそうな監査役にもいろいろな姿があることに、そこはかとない面白さを感じました。
そのほか、刺激的だった経験は、外資系の「スタートアップ企業」を担当したことでした。日を追うごとに爆発的に成長する売り上げ。毎日数十人採用するけれど退職者も多数で出入りが激しい職場。若者ばかりが集まり活気あふれるオフィス。しかし内部管理はそれほどで、ちょっとした事件は日常茶飯事。
スタートアップ企業というものがどういうところか、はっきりと目にすることができました。業務自体は通常の業務と違い大変さもありましたが、この世界には強い魅力を感じました。
そしてもう一つ、監査法人時代には「働き方」についても深く考えました。中でもかけがえのない経験は、マネージャー時代、2人目の子供が生まれたことをきっかけに、半年間の育休を取得したことです。
今でこそ、男性育休の話題が毎日のようにニュースをにぎわしていますが、当時は全くそのような状況になく、男性マネージャーで長期間取得した事例もゼロ。上席のパートナーに申し出た際には「なんで男性が育休を?」と当初は疑問を呈されました。
ですが、脳裏に残っていたのは1人目の子供が生まれたてのころ、育児が本当に大変で、妻とともに深く悩んだということ。妻1人に任せることなく子供としっかりと向き合いたいという思いを伝え、結果的には長期の育休を取得させていただきました。
育休期間中は、下の子のお世話もしつつ、上の子の幼稚園の送り迎えをしたり、帰りがけに公園遊びに付き合ったりなど、それまでの生活にはなかった家族との豊かな時間を過ごすことができました。子供たちだけでなく、妻との関係もそれまでにない、良い関係になれたと思います。
一方で、改めて育児と家事の大変さ、多忙さを実感。家事をしながら生まれたばかりの子供を含む2人の世話をするのは本当に大変で、マルチタスクや家事の効率化をこなせないと厳しいものでした。この感覚は、仕事の場面に活かすことができました。
育休を通して、感じたのは、視野が広がったな、ということ。父親育児や、ワークライフバランスを推進する方たちとの距離も近くなりました。そこで得た様々な情報を監査法人内にも発信したためか、身近な男性で長期間の育休を取るケースも何件かでてきました。
育休取得にあたっては監査法人内の様々な方にご支援、ご協力いただきましたが、いまでも大変感謝しています。
こうして過ごすうちに、徐々に、新しい働き方をしたい、新しいことにチャレンジしたいという気持ちが芽生えてきました。そこへ、友人からスタートアップ企業の常勤監査役のポストへの誘いの連絡が飛び込みました。「スタートアップ企業」において、役員として柔軟に「働き方」を決められる「監査役」として働けることはそれ自体が魅力でした。
また、若い男性がほとんどいない監査役業界に飛び込むことで、新しい監査役像を作りたい、という思いも生まれました。こうして、十数年働いた監査法人を卒業することを決断しました。
監査役としてのいまと将来
実際にスタートアップ企業で働いてみると、やはり刺激が溢れる毎日が待っていました。ほんの少しの間に、様々な出来事がおき、状況もどんどん変わります。
監査役は、業務執行にこそ携われないものの、関わろうと思えばどんな業務にも関わることができる立場です。その意味で、監査の義務があるとはいえ自由な働き方ができると言えます。時折スピードの速さに戸惑いも感じますが、様々な業務に関わり、学び、会社の変化に立ち会えること、そして社員の仲間たちとともに前に進めることに、日々楽しさを感じています。
一方で、監査役として、監査法人の職員であった頃とは比べ物にならないくらい重い責任を負っていることも日々感じます。監査役にとって最も重要な業務の一つに、情報収集があります。情報を預けるに足るだけの信頼できる存在となることを忘れないよう、日頃の行いや守秘義務には特に気を付けるよう、常々自身に言い聞かせています。幸い、社員の皆さんには温かく協力していただいて、本当に助かっています。
ですが、重い問題に対しては深く悩むこともままあります。そうしたときに、心強い味方になってくださるのが、監査役協会で出会った監査役の先輩方です。
監査法人時代から、監査役がよく話題に出すことで監査役協会には興味を持っていましたが、実際に所属してみると思いのほか新鮮で興味深い場となりました。
会計士や弁護士で同年代の方も少数いらっしゃいますが、ほぼすべてはベテランの方ばかり。当初は気後れする場面もありました。しかし、(息子や孫に近い世代ということもあってか?)皆さん気さくに話しかけてくださるので、すぐに溶け込むことができました。
監査役協会の部会にいらっしゃるような方は、勉強家も多く、これまでのキャリアもあいまって想像以上に色々なことをご存知です。課題解決のための知識も豊富で、ためになると感じています。
普通に暮らしていたら接することのないような方々に会うことができるということも、監査役になることの醍醐味ですね。
将来的にはこの先も、常勤監査役としての経験、またスタートアップ企業での経験を軸に、ワークライフバランスについても研鑽を重ねることで、キャリアを積んでいきたいと感じています。
そして、若い会計士の皆さんに、若くして常勤監査役になるという選択肢もあるということ、スタートアップ企業の魅力、働き方の考え方の大切さなど、伝えていけたらと感じています。
※記事内容などは取材時のものになります。
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