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<公認会計士 特別インタビュー>言い訳を、力に変える

<公認会計士 特別インタビュー>言い訳を、力に変える

子育て中の女性の活躍は、総じて容易なものではないと思われる。公認会計士として社会で活躍している女性には、時には社内の制度を活用して、時には環境の合う職場を得ることによって、その壁を乗り越えている人が多いようだ。松本さんもその一人。彼女の言葉から、しなやかな生き方の内側にある強い芯を感じ取ってもらえたらと思う。

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プロフィール

松本里香さん(仮名) 30代女性 公認会計士

福岡県内の製造業にて総務の仕事に4年間従事したのち、公認会計士を目指して寿退社。合格後、大手監査法人で国内企業監査業務に従事する。出産後復職を果たすも4年後に退職し、現在は税理士事務所に勤務。現在、1児の母。

結婚を機に公認会計士を志す

眞山:松本さんのこれまでの経歴を簡単に振り返ってみたいと思いますが、もともと社会人経験がおありで、キャリアの途中から公認会計士を目指されたんですよね?

松本(敬称略):そうですね。もともとは福岡にある製造業の会社で総務の仕事をしていました。収入も安定していたし、不満はなかったのですが、結婚を機に公認会計士を目指すことになって。

眞山:結婚がきっかけ、というのも珍しいですよね。

松本:確かに変わっていると思います(笑)。でもいわゆる「家庭に入る」ということもこのご時世では難しいじゃないですか。と言って、女性が産休や育休を経て会社に戻ったとしてもその組織で立派なことを成し遂げるのは大変だろうな、と思って、それならいっそのこと資格を取ってやろうと(笑)。

眞山:公認会計士を選んだのはなぜですか?

松本:私が合格したのは2007年なんですが、2006年から試験制度が変わったことで「今がチャンス」という宣伝をどの予備校もしていたんです。合格したら大手監査法人への就職もしやすいのでしっかりと収入が得られる。しかも今までより難易度が下がったとなればねらい目なんじゃないかと思いました。

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出産を機に、個人の会計事務所へ

眞山:そして、見事に一発合格されて大手監査法人に入所するわけですね。松本さんから見て、監査法人は女性にとって働きやすい環境と言えますか?

松本:一概にはそうともいえないかもしれませんが、少なくとも私は監査法人の環境をだいぶエンジョイできたと思います。女性にとって働きやすい職場…というと、女性には女性のポストがあって、その中で働くことができる、っていうイメージが私の中では先行してしまうんですよね。

ただ、監査法人の場合は男女関係なく「スタッフ」という立場からキャリアをスタートできる。ある意味では公平だけど、ある意味ではシビアだから、女性として「甘やかされたい人」は向いていないんじゃないかと思います…でも、繰り返すようですが、私自身はそういうシビアな環境は望むところでした。

眞山:なるほど、女性の活躍という言葉のもう一つの側面を見た気がします。その後、産休を取ってから転職をされるわけですが、その時はどういう思いがあったんでしょうか?

松本:先ほどと矛盾する発言をするようなんですが、ハード面…つまり人事制度上は男女平等というのが私のいた職場の特徴であった一方で、ソフト面…男性スタッフたちの気持ちがとっても優しかったんですよね(笑)。

産休を終えて帰ってきたら、何だかすごく甘やかされているぞ、と感じることが多かった。もちろんサクッと定時にあがって子どもの迎えに行きたいという意思は伝えておいたのですが、それを見越して易しめの業務が割り当てられたり、夕方くらいにちょっと手待ち時間が生まれても「早めに帰って良いんじゃないですか?」と気を使ってくれたり、そういうのに最初のうちは有難く甘えていたんですが、いつの間にかそれを言い訳に、向上心を持てなくなっている自分に気が付いてしまったのです。

その頃ちょうど監査法人はどこも経営不振の状態で、リストラをやったり、人事制度の引き締めをやったりしていた時期でした。私みたいなマインドの人がいたら、きっと迷惑をかける。そう思って転職を決意したわけです。

眞山:気を使ってもらっている時点で、プロとして同じ土俵に立てていない、というような感覚があったのでしょうか?

松本:そういうことです。だったら土俵を変えようと思いました。もともとの土俵から下りたという意味では、逃げたといってもいいのかも。でも、私らしく働ける場所に出会えたのはとても良かったと思います。

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言い訳を力に変える

眞山:今の職場も、子育てなどへの理解は十分ありますか?

松本:ありますね。その上で、私のやりたい働き方への理解もすごくあると思います。単に早帰りさせてもらえるだけではなく、可能な範囲で仕事を持ち帰らせてもらったり、急に子どもが熱を出したらそのまま在宅で作業をさせてもらったり、私なりの工夫をして組織に貢献できるような環境だと感じています。

眞山:ありがたいような、言い訳が許されなくなったような…そんな感じでしょうか。

松本:あ、まさにそれですね。前職はたくさんのメンバーがフォローしてくれているのに甘えて自分が言い訳しやすかったんですが、その言い訳の向こう側で「だったら仕事のやり方をこういう風に変えようかな」って思うようになれれば、その言い訳は意味があるんだと思います。

眞山:ちなみに今の職場ではどういった業務を担当されているんですか?

松本:今は税理士事務所にいるのですが、クライアントの記帳代行をベースに経営改善のためのアドバイスをする仕事をしています。大手監査法人にいた頃のような高度な会計判断はあまりなくなっていますが、経営者に直接感謝される手ごたえがあって、すごくやりがいを感じています。自分の都合のいい時間の範囲で社長さんとアポを取るので、結果として子育てとの両立もしやすいんです。

眞山:なるほど…自分が仕事を主導することで、逆にライフワークバランスを勝ち取るということですね。とても面白いお話を伺えました。ありがとうございました。

※記事内容などは取材時のものになります。

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眞山徳人

眞山 徳人

合同会社フォルケCEO

2005年12月公認会計士第2次試験合格後、大手監査法人にて国内監査業務、各種コンサルティング業務等に従事。2016年3月に退職、独立。現在は公認会計士としてコンサルティング、執筆、講演等を行いつつ、人材育成企業のCEOとして小中学生から経営者層までを対象に様々な教育コンテンツを開発・提供している。2019年4月にはフリースクール「フォルケ学園」を開校予定。著書に「江戸商人勘助と学ぶ 一番やさしい儲けと会計の基本」「スピーチ・ツリー どんな場面でもブレずに話せる技術」などがある。

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