当たり前の水準を上げる存在になりたい

プロフェッショナルにとっては当たり前の知識であっても、一般的なビジネスパーソンにとっては決して容易なものではない、というのはよくある話である。だからこそ、プロフェッショナルは存在価値があるわけだが、一方で、非専門家にとっての「当たり前」のすそ野を広げることも、決して意義のないことではない。
若くして事業会社に転職したNさんの話を聞くと、そういった当たり前の水準が上がった向こう側にこそ、本当のプロフェッショナルの存在意義があるように思われてくる。
プロフィール
Nさん 20代男性 公認会計士
大手監査法人で監査業務に1年従事したのち、上司の勧めでコンサルティングチームに転身するも、3年で挫折し大手製紙メーカーに転職。当初は内部監査業務を行っていたが、前職の経験を買われ経営企画の業務に携わる。現在公認会計士としてのキャリアは8年目。僕は今のままでいいのか?
眞山:Nさんは大学在学中に公認会計士試験に合格されたとのことですが、その後のキャリアを簡単に教えていただけますか?
N(敬称略):はい、ごく普通に大手の監査法人に就職しました。そして最初の1年は、ごく普通に監査の仕事を続けていたのですが、2年目になって衝撃的な出会いがあって、キャリアを少しずつ変えるようになっていきました。
その人は、公認会計士でありながら、会計以外の領域のコンサルティングを手掛けていました。私よりも7年ほど先輩だったかと思います。初めて会った時、その人はマネージャーに上がる前のシニアスタッフという役職だったのですが、コンサルティングのチームでは彼よりランクが上のマネージャーやシニアマネージャーが加わっていて、すごいな…と。
眞山:職制上は部下でも、プロジェクト上は上司ということですか?
N:そうです。当時、監査法人の中でも監査周辺業務の案件を増やそうという動きがあって、彼は事実上その動きの陣頭指揮を執っているような存在でした。
だから、管理職の人でも彼からノウハウを学ぶために、敢えてプロジェクトメンバーとして補佐をするということがあったわけです。今考えてもすごいことだな、と思います。
眞山:それが、Nさんのキャリアにどういう影響を与えたのでしょうか?
N:単純に「僕は今のままでいいのか?」という思いに突き動かされるようになりました。私だけがそうなのかもしれませんが、公認会計士の仕事、とりわけ監査の仕事は、変わりゆく会計基準にしっかりキャッチアップすることで、最新の論点を把握していることが重要視されていると思っていたので、そういうことしか勉強していなかったんですよね。
でも、色々なタイプのプロフェッショナルがいるということを、彼を見て知ってしまって。自分はどう生きるべきなんだろう?ということを考えるようになりました。
自分のコンプレックスが、原動力になった。
眞山:なるほど。その後Nさんは監査法人を退職して一般事業会社に転職するわけですが、そこに至るまで、どんな経緯があったのでしょうか?
N:一度、彼みたいなコンサルを目指そうと思って、彼のプロジェクトにできるだけ混ぜてもらうようにしました。周りはベテランの方ばかりだったので可愛がってもらえたし、充実感はあったんですけど、どうしてもコンサルタントらしい頭の使い方がうまくなりませんでした。
いわゆるロジカルシンキングとか、資料づくりがなかなかうまくいかない。監査調書は専門家同士で見るものだからあまり見た目とか言葉遣いとか気にしなくていいというか、本当にクリティカルな用語はむしろコピペで済んじゃうじゃないですか?監査報告書だってほとんど同じ文章だし。でも、コンサルティングの仕事はそうじゃない。その部分がどうしても上達せず、コンサルタントはあきらめようと。
眞山:それまではコンサルティングファーム等への転職も考えていたんですか?
N:はい。別の先輩が大手のコンサル会社に転職したこともあって、それも良いかな、と思っていたんですが、そういう経緯があってあきらめました。それで、一般事業会社に行くことにしました。キャリア5年目くらいだったので、未だベテランともいえないような段階ではありましたが、とにかくアクションを起こしてみたいな、と思って。
眞山:一般事業会社に行ってみて、どうでした?
N:たとえが少し無礼なのですが、プロ野球選手で一軍に入れなかった人が、草野球チームに入団したような感じです。
眞山:ああ…何か分かるような気がしますが(笑)もう少し詳しく教えてください。
N:結局、私が転職したのは、監査法人にいて優秀な人…特にそのコンサル会計士の先輩のようなキラキラしている人に対するあこがれがあったというより、どう足掻いてもそういう人には敵いっこない、っていうコンプレックスが原動力だったのです。せっかくとった会計士の資格だけど、僕なんて全然プロじゃなかったんじゃないか…という。
でも、一般事業会社に入って、しかも単なる経理の仕事ではなく経営企画の仕事を担当するようになって、曲がりなりにもコンサルタントとしてしばらく鍛えてもらった事や、そもそもの公認会計士としてのバックボーンがしっかりと残っていることに気づいて、「ああ、ここが僕の居場所だ」と実感するようになりました。
自分から飛び出したことで、芽生えたプロ意識
眞山:今の職場で居場所を見出したわけですね。監査法人って研修も多くて、人材をしっかり育成しているイメージがありますが、事業会社に入ってそういった機会は持てていますか?
N:いわゆるCPE(継続的専門教育)は当然しっかり受けていますし、今いる製紙業界のことも自分なりに勉強しています。思えば、前職時代は凄い先輩たちに囲まれていて、それが成長要因にもなっていた反面、自立した気持ちで学んだり、目的意識をもって仕事をしたりといったことができていなかったんだと思います。
でも、今の職場では自分が頼られる立場という意識もあるので、しっかりしないと…という気持ちがすごく強いですね。
眞山:Nさんの話を聞いて、自信を失いかけている若手の会計士の方などはすごく勇気をもらえるのではないかと思うのですが、Nさんは今後の会計士業界がどのように移り変わっていくと思っていますか?
N:公認会計士のキャリアがどんどん多様化していって、色々な形の「プロ」が現れるんじゃないかと思っています。会計の分野に強い、という共通項を軸足にして、他にどんな強みを持って社会で活躍したいのか…ということをますます自由に考えられるようになるんじゃないかな、と。
私自身はとりたてて強みがあるとは思っていないですが、それでも会計士としての軸足があるからこそ、新しい業界で伸び伸び自分なりの強み…というか、まだ強みの「芽」みたいなものですが…を伸ばせているわけで。
なので私と同世代かもっと若い人たちには、若いうちに色々な方向転換をすることを、あまり恐れなくていいんだよ、ということを伝えたいですね。
※記事内容などは取材時のものになります。
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