<特別インタビュー>公認会計士を名乗らない公認会計士、という道
プロフィール
齋藤和也 プルタイム株式会社 代表取締役
2008年公認会計士試験合格後、2009年あらた監査法人(現 PwCあらた有限責任監査法人)に入所、主に金融機関に対するアドバイザリー業務に従事。2015年に退職し、IoT・AIの開発会社にて財務、経営企画、経理、上場準備の担当を経て2016年に独立。ベンチャー企業の起ち上げや上場準備の支援を専門とする事務所を設立。2018年に株式会社化し、現職。
現在は10社を超える会社の上場準備を支援しているほか、2019年からベンチャー企業の経理やCFO人材の育成事業を開始。個人として4社の非常勤役員も兼任している。
公認会計士のネームバリューについて
眞山:齋藤さんって、名刺に公認会計士って書いていないですよね。資格を名乗ることに、何かデメリットを感じたりしたのでしょうか?
齋藤(敬称略):独立して様々な人と出会う中で受けてきた質問の中でも多かったもの。それは「公認会計士って税理士と何が違うんでしたっけ?」「公認会計士の仕事って何ですか?」というものでした。
おそらく、他の公認会計士の方も訊かれたことのある質問だろうと思いますし、このこと自体は公認会計士の認知度はそれほど低いということを裏付けるようなエピソードです。ただ、私にとっては、それは逆にチャンスだと考えていました。
眞山:なるほど、せっかく資格を書いても仕事の中身が伝わらないわけですね。独立してから、どのような仕事をしていたのでしょうか?
齋藤:独立した当初は、ご多分に漏れず会計事務所と銘打って活動していました。すると、「確定申告やってもらえますか?」や「税金について相談に乗ってください」などの依頼がやっぱり多い。そして二言目には、「顧問料は月3万でいいですか?」と言われることも多かったです。
眞山:依頼がたくさん来ること自体は良いとしても、値段まで決められてしまうのですね。
齋藤:はい、会計事務所と言えば税務の仕事を任せる場所である…という世間のイメージが、良くも悪くも定着しているのでしょう。そんな中で、公認会計士という資格のもつ価値についてはとくにイメージが浸透していない、もしくはイメージ自体がない。だからこそ、税務業務の相場に沿った価格でオファーが来てしまう、ということなのだろうと思いました。
齋藤和也、という価値の見せ方
齋藤:そういった経験をしてからは、いっそのこと公認会計士の齋藤です、と名乗るのはやめて、ベンチャー支援、IPO支援をしている齋藤です、と名乗るようにしました。
仕事のほぼ100%が知り合いからの紹介で成り立っているのですが、紹介していただく際にも、単に公認会計士の齋藤さんです、と紹介されることよりも、「税務をやらない公認会計士」の齋藤さん、もしくは、「ベンチャー専門の公認会計士」の齋藤さん、などといった言葉でもって紹介されることが多くなりました。
眞山:そうなると、仕事の内容も変わってきますよね?
齋藤:そうですね。それからはお客さんからの相談も、税金や会計の相談よりも、ビジネスモデルや戦略、事業計画、業務フロー、組織運営やリーダーシップについての相談が多くなりました。逆説的ではありますが、会計を軸にしながら、いかに会計以外の領域でプラスアルファの価値を提供できるか?という点が公認会計士としての腕の見せ所だと思います。
眞山:会計プラスアルファで価値を出す。これは多くの独立会計士にとって良いヒントになりそうですね。名乗るのを辞めてから業績はどう変わりましたか?
齋藤:自分が何をしているかを明確にしてからは売上も増えてきて、そのタイミングで個人事務所から株式会社に法人成りし、肩書も公認会計士から代表取締役に変更し、名刺から公認会計士という記載も消しました。
公認会計士の仕事の良さは、公認会計士だから会計の仕事をする、ということではなく、会計や経営を軸に、自分の得意分野で仕事を決めることができることだと思います。
公認会計士の可能性
眞山:さて、斉藤さんが肩書として名乗り出るのを辞めた公認会計士という資格ですが、齋藤さんから見て今後、公認会計士の可能性をどのように感じていますか?
齋藤:私の周りで活躍している公認会計士の人たちは、税務はやらず、M&Aや財務、業務改善をメインとしている人が多いように思います。活躍している公認会計士全員に共通することは、公認会計士として活躍しているというよりも、ビジネスマンとして、経営者として活躍していると思います。
公認会計士のキャリアは基本的に監査法人でスタートするものですが、その業務の過程で様々なビジネスに触れ、様々な人にお会いできることが、とても貴重な経験になると考えています。ビジネスパーソンとして、経営者としてどのような矜持を持てばよいのかということを学ばせてもらえる職場として、監査法人は恰好のステージでした。
公認会計士の資格は、会計面での専門性を宣言する意味合いだけでなく、そういった人間的魅力を磨けるプラチナチケットとしての意味合いも持っているような気がします。
眞山:プラチナチケット、良い言葉ですね。最後に、齋藤さんご自身の展望をお聞かせください。
齋藤:今、私は新しい仕事を手掛けています。それは、ベンチャー企業のCFOになるような人材を育てる「会計の学校」の事業です。
会計関連の仕事(に限ったことではないかもしれませんが)では、担い手の二極化が進んでいます。公認会計士のような専門家が就くことが多いCFO的な立場と、淡々と手作業をしていくオペレーターの立場です。前者は慢性的に人が足りない状態が続いており、AIやRPAが進化したとしても究極的には無くならない仕事だろうと思います。
そして、後者に従事しているオペレーターの方にとっては、そういったプロフェッショナルな役割を担うまでのキャリアパスが必ずしも用意されていないという問題点がありました。
そこで、CFOとしてどんな知識、どんな経験、どんな心構えを持つべきかということを教える学校を作ろうと思ったのです。公認会計士として、自分自身が専門性をより高めていく一方で、専門的な領域の担い手のすそ野を広げてあげることで、ベンチャー企業の手助けができるのではないか、と考えています。
※記事内容などは取材時のものになります。
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