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育児と仕事の両立に悩んでいる会計士へ伝えたいこと

育児と仕事の両立に悩んでいる会計士へ伝えたいこと
マイナビ会計士編集部

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プロフィール

柴田千尋

2005年に公認会計士試験合格。2006年に大学卒業後、監査法人トーマツ横浜事務所入所し、会計監査業務・IPO支援業務等に従事。2011年よりアクサ生命保険株式会社の内部監査部に勤務(現職)。2013年公認内部監査人、2017年公認情報システム監査人合格。0歳~5歳の3児の母。

監査法人~アメリカ留学

大学生時代から両立について考える

私が大学生になって公認会計士を志した理由は、「資格を持っていれば将来育児をしながらでも、やりがいのある仕事ができるのではないか」と考えたからです。大学のゼミでは人材マネジメント論を研究している教授に師事し、成果主義やモチベーション理論について学びつつ、「働くとは何か」を学生の時から考えていました。

将来の両立に不安を感じ始めた

会計士の第2次試験(当時)には大学4年の2005年に合格し、監査法人トーマツの横浜事務所に入所しました。監査法人では、会計監査だけでなく、内部統制監査が始まる前のアドバイザリー業務、IPO支援業務等、幅広い経験や大変やりがいのある仕事をさせていただきました。また40人規模の事務所で先輩方には丁寧に指導していただきましたし、とてもアットホームな雰囲気で、退職して8年経った今でも当時の所長を含めて毎年食事会をしています。

しかし「会計士補」から晴れて「公認会計士」となった25歳頃、会計士を志した理由をふと思い出し、「このままこの業界にいて、将来育児をしながらやりがいのある仕事はできるのか」と考えましたが、成果物(会計監査報告書等)の提出期限が法令で決められている以上残業は避けられない職種であり、育児をしながらやりがいのある仕事をするのは極めて難しいと判断しました。

気持ちを伝えたその先に

勤務していた監査法人の所長に、上記のような気持ちと「30歳までに結婚したいと(付き合っている人すらいないけど)思っているのだけど、高校生のころから憧れていたアメリカ留学を結婚前にしたい」という気持ちを伝えたところ、「育児と両立しやすい系列の税理士法人に転籍することも考えてみれば」とアドバイスしていただき、さらにその税理士法人で育児をしながらマネージャーとして活躍している女性を紹介して下さいました。

それでも「アメリカ留学するなら今しかない」と思った私は退職して渡米し、半年間語学学校に通った後、4か月間カリフォルニア大学バークレー校のExtensionコースでファイナンスを学びました。ファイナンスクラスの生徒12人中、半分がブラジル人で、私は唯一のアジア人でした。ファイナンスだけでなく、異文化やアイデンティティを学んだことは人生の糧となりました。

事業会社への再就職、そして結婚

帰国後、再就職をするにあたり、英語力を活かしつつワークライフバランスの取れる仕事という条件で、事業会社の経理を中心に面接を受けました。その中であるエージェントに「アクサ生命保険株式会社の社風はあなたに合っているからぜひ受けた方が良い」と言われたのが、今の勤務先になりました。保険業界も内部監査も特段興味がなかったのですが、ワークライフバランスを維持しながら英語力を活かした仕事ができるという私の希望を満たしていたことに加え、入社の決め手となったのは監査部門担当役員の人柄でした。
私生活では、転職して1か月後に起きた大震災で一人暮らしが怖くなり、同年結婚しました。俗に言う「震災婚」でした。

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現在の働き方

柔軟性が高い会社でも落ち着くまでには紆余曲折を経験

入社当時は経理、投資、リスク管理の業務を対象とした監査を中心に担当していましたが、業界知識が増えてきた今では保険の引受・保険金の支払等のカスタマーサービス業務、営業本部における業務、マーケティング業務等を対象とした監査を中心に担当しています。上司の受け売りではありますが、内部監査部は「会社のお医者さん」だと考え、日々仕事をしています。被監査部門には定期的に健康診断として監査を受けてもらい、重大な病気(=内部統制の欠陥による大きな不正等)になるリスクがある場合は監査で発見し、治療を行うことで会社の健全な存続に貢献し、ひいてはお客様のためになると考えています。

仕事のやりがいだけでなく働き方の柔軟性が高いという点でも満足していますが、今の働き方に落ち着くまでには紆余曲折がありました。

ついに育児と仕事の両立へ

1つの監査プロジェクトは2~3ヵ月と長期に渡るため、子供の風邪などで急に1日休んだりしても他のチームメンバーに迷惑をかけずに別日に自分でキャッチアップできるという点では、大変有難い環境にあります。週2回までの在宅勤務も育児中の社員に限らず推奨されており、仕事の進捗が思わしくない日は通勤時間分を仕事に充てることもできますし、仕事に余裕があれば子供の通院予定を入れることもできます。

また所属している内部監査部は、監査のプロとして裁量労働制が適用されている社員がほとんどで、勤務時間の長さは関係なく成果で評価されます。育児のために17時には退社しなければならない私にとっては有難い制度ですが、三度の妊娠中はつわりや頭痛に悩まされ、自分自身プロとして納得のいく成果が出せず、悔しい思いもしました。

家族をはじめ、周囲のサポートがあるから

また2013年に1人目を出産した後、「監査以外もやってみたい」と思い、自分から希望してコンプライアンス部門に異動しました。様々な業務を担当しましたが、法令対応のためのIT開発プロジェクトの管理は「監査よりも向いているかもしれない」と思えるくらい楽しく、またやりがいも感じました。しかし想定外の事象(開発ミス等)への対応等、緊急の仕事が多く、子供を寝かしつけた後に仕事をしたり、子供の風邪で仕事を休んだ時は他のプロジェクトメンバーに迷惑をかけたりし、育児との両立に苦労しました。その部門で2年弱勤務した後、2人目の産休・育休に入りましたが、「このままコンプライアンス部門に復帰しても2人の育児と仕事の両立は厳しいかもしれない」と考えていた際、前の上司である内部監査部部長からお声掛けいただき内部監査部に復帰することとなりました。

実は、この記事を執筆している現在は、3人目がいつ産まれてもおかしくない時期ですが、元気な子が産まれれば生後4か月で仕事に復帰しようかと思っています。そういう風に思えるのも、上司や職場環境に恵まれていることに加え、家族をはじめ、周囲のサポートがあるからです。

育児と仕事の両立を考えている皆様へ

家族以外のサポートとしては、一人目出産直後から、川崎市のシルバー人材センターが派遣してくださる近所の主婦の方に家の鍵を預け、私が出勤している平日に毎週2日間×1回4時間の家事をお願いしています。5年間同じ方に来ていただいているので、今では家族のような感覚です。この方に家事をお願いしてからは、「どちらが皿洗いをするのか」というような夫婦喧嘩も減り、また私の睡眠時間も増え心の余裕ができたことは、子供にもプラスの影響を与えていると思います。

周りには会計士になったにもかかわらず、過労・出産などを理由に仕事を辞めてしまう女性がいらっしゃいますが、会計士という資格を武器に時短や非常勤でも働ける職種も増えているようですから、もし仕事が好きであれば諦める前に、異動・転職・独立、家事のアウトソーシング等、様々な手段を試していただきたいと思います。

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