スターバックスコーヒージャパンで、1千店舗体制を見据えた仕組・手続・システム構築を主導
1988年にサンワ・等松青木監査法人(現 有限責任監査法人トーマツ)に入社し、IPO専門部署であるトータル・サービス2部配属され、以後、約9年間、一貫して、上場準備会社の会計監査やコンサルテーションに従事された麻生博文氏。創業間もないスターバックスコーヒージャパン株式会社での度重なる苦難を乗り越え、株式会社ユビキタスのCFOも勤めた麻生氏は現在フリーランスのIPOコーディネーターとして活躍されています。
ファーストキャリアとなる監査法人からIPOコーディネーターとして独立するまでのエピソードと共に、これからのキャリアに悩んでいる会計士に向けたメッセージを語っていただきました。全3回からなる連載の第2回目はスターバックスコーヒージャパンの上場におけるご経験を伺っています。
マイナビ会計士編集部
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プロフィール
麻生 博文氏IPOコーディネーター(公認会計士)
1964年大阪生まれ。1988年サンワ・等松青木監査法人(現 有限責任監査法人トーマツ)に入社し、IPO専門部署であるトータル・サービス2部配属。以後、約9年間、一貫して、上場準備会社の会計監査やコンサルテーションに従事した。1997年に創業間もないスターバックスコーヒージャパン株式会社に入社し、2001年オフィサー・管理部門長。2005年株式会社ユビキタス取締役最高財務責任者(CFO)。現在、フリーランスのIPOコーディネーターとして活動している。
産声を上げたばかりのスターバックスコーヒージャパンへ
トーマツ時代は「クライアントと一緒に上場会社にふさわしい会計などの制度を作っていく」という仕事をしていましたが、事業会社寄りではあるものの、所詮それは外部から手伝っている仕事に過ぎません。実際に事業会社に入って仕事をしてみたいという気持ちが、30歳過ぎから大きくなりました。
そんなとき、私の仕事上の師匠だった人が、スターバックスコーヒージャパンの初代社長と懇意だったことから紹介を受けることになりました。正直、外資系企業は選択肢にありませんでした。
また、スターバックスコーヒージャパンは、アメリカのスターバックスと株式会社サザビー(現 株式会社サザビーリーグ)の50対50の合弁会社で、両方の親会社が上場会社だったことから、IPOはまったく予定されていません。それまで私が培ったIPOという武器は必要ないわけで、逆に英語力が求められ、「困ったなぁ」という感じでした。
初代社長の角田雄二さんにお会いし、スターバックスコーヒーインターナショナルの社長との面談が、あれよあれよという間に通訳付きでセッティングされ、さらにサザビーの役員たちとの面談が設定され、入社するような雰囲気になってしまったのです(笑)。
当時はドトール全盛期で、スターバックスは日本に2、3店舗。アメリカへよく出張に行くような人以外、誰も知らないブランドでした。私自身、流されるように入社してしまいました。その後に「会計士として」という以上に激動の4年半が来るとは想像もしていませんでした。
プロジェクトチームを統括しビジネスの体制づくりに奔走
経理と財務の責任者としてスターバックスに入社し、部下が3名、本社機能のサポートセンターに25名ほどのスタッフがいました。私が在籍していた期間は、1週間に1店舗のペースでオープンしていた時代です。きちんとしたシステムの受け皿が整わないうちに、どんどんトランザクションが増え、それを後追いで何とか処理しながら、一方で将来の1千店舗体制を見据えた、仕組み作りをしなければなりません。
特に会計はビジネスプロセスの「最後」の業務です。プロセスのスタートはPOSレジや倉庫の受け入れ、あるいは発注ですよね。プロセスが整った会社であれば、上流からの情報が精査されているので、黙って会計処理をすればいいのですが、その体制が整っていない状態では、流れてくる情報は玉石混交、というよりは石ばかりで、会計部署がいくらがんばっても、適切な処理はできません。
だから私は攻め上らざるを得ませんでした。POSレジ、販売・購買・在庫管理システムから店舗の事務管理マニュアルの整備まで、関連するプロジェクトチームをどんどん立ち上げました。最盛期は10チームあり、全てのリーダーを務めていましたよ。朝から晩までプロジェクトミーティングをやり、夜、自分の席に着くと未読のメールが100通あって、そのうちの20通は英語という具合でした。
実はスターバックスに入社して2~3ヶ月がたった頃、うつ病になりました。経理・財務の仕事を受けたものの9年間トーマツで培った経験がまったく活かされません。大病院の心臓外科医がある日突然、町医者になって風邪の患者を診ても、治し方がわからないといったイメージです。
具体的には出店資金を借りるために銀行と交渉をするのですが、そのやり方がわからない。金利を引き下げてもらうためにどう交渉するかなどの経験はなかったのです。それでも徐々に、自分がやってきたことを応用することができると気づいたときに立ち直り、以降は申し上げたようにアグレッシブに打って出ました。
スターバックスコーヒーに在籍していた4年半のうちほとんどの期間、会社から50歩の場所に部屋を借りていました。住んでいたというよりはシャワールーム兼仮眠所です。過重な残業を強要されることなどはまったくありませんでしたが、「このままでは大変だ!」という気持ちで突き進んできました。
私のケースは特殊ではありますが、私自身は「若い時期はがむしゃらに仕事をする一時期を持ったほうがいい」という考えを持っています。今ではこの考え方を部下などに押しつけると「ブラック」ということになってしまいますね……。
最後の1年間はIPOプロジェクトリーダーとしての仕事が加わりましたが、その頃はスターバックスコーヒーといえば、各証券取引所から「うちに来て欲しい」と綱引きがあるほどで、IPOの仕事はむしろスムーズに進みました。それ以上に1千店舗体制を見据えた仕組み・手続き・システムの構築を主導したことが私の大きな誇りです。
そして2001年、NASDAQ Japanへの上場承認の日に社長に辞意を伝えました。上場という明確な区切りをつけられたというのが大きな理由です。 現在、スターバックスコーヒーは全国に1,200を超える店舗があります。これだけ拡大しているのに、ブランド劣化が起きず、日本のカフェ文化に大きな影響を与えていることは高く評価していいと思います。
【次回】ユビキタス上場を経てフリーランスにIPOコーディネーターの草分け的存在
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