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2017年度に不適切な会計を開示した上場企業は64社と過去最多を記録
2018/06/08
業界トピックス
2017年度に不適切な会計を開示した上場企業は64社と過去最多を記録

「不適切会計」という言葉をよくニュースで見るようになった現在。

以前にも増して、世の中からの「企業の会計」に対する視線は厳しさを増しています。こうした世相を反映して、東京商工リサーチは『2017年度全上場企業 「不適切な会計・経理の開示企業」調査』を発表しました。

今回は、その内容に着目したいと思います。

不適切会計問題から3年。現在の東芝

2015年に発覚した東芝の不適切会計。

約3年が経過した現在も東芝の屋台骨は揺らいだままで、今春予定していた中期経営計画の発表を見送ることにしました。あわせて、来年度からの経営再建に関する「変革プラン」を年内に示すとしています。

東芝の営業利益の約9割を占めるという「東芝メモリ」も債務解消に向けて売却を検討していますが、スムーズには進んでいません。4月中の売却を目論んでいたものの、中国における独占禁止法の審査が進んでおらず、東芝は5月中に承認を得られなければ売却は見送る方針と見られています。

ただ東芝も変革に向けて、行動を起こしているのは確かです。4月1日には元三井住友銀行副頭取の車谷暢昭氏を会長兼最高経営責任者(CEO)として迎え、これまでの延長路線ではなく、復活に向けて新たな戦略を立て、実施していくことを社内外に示しました。

「変革プラン」では、車谷氏は「売上高原価率が他社に比べて非常に高い」と分析しています。これは簡単に言えば、製品をつくるためのコストが高く、販売価格が安くなっていて、利益が出にくい構造になっているということ。「極端な人員余剰はない」と述べていますが、この体制をどのように改善していくかに注目が集まっています。

また、根本のビジネスモデルの変革も実施する予定で、これまでの製品をつくって販売するという方法だけでなく、AIなどを用いたビジネスソリューションを確立し、課金型による継続的な収益モデルも考えているようです。

今後、“新たな東芝”が誕生することになるのでしょうか?

<ココまでのまとめ>

・2015年に不適切会計が発覚した東芝。いまもなお、苦しい道のりが続いている。
・今後は変革プランをもとに、ビジネスモデルの変化や体制の改善を実施していくという。

2017年度全上場企業 「不適切な会計・経理の開示企業」調査

「不適切会計」と聞くと、東芝のイメージが強烈ですが、実際は東芝に限った問題ではありません。

東京商工リサーチは4月下旬に『2017年度全上場企業 「不適切な会計・経理の開示企業」調査』という資料を発表しました。そこには、2008年度以降の「不適切会計開示企業推移」が掲載されていて、見てみると次のようになっています。

2008年度:27社(27件)、2009年度:21(21)、2010年度:24(24)、2011年度:32(32)、2012年度:27(27)、2013年度:37(38)、2014年度:40(42)、2015年度:60(60)、2016年度:42(43)、2017年度:64(64)。

2017年度が過去最多の64社、64件にのぼっています。この背景には、2015年に東芝の不適切会計が発覚して以降、開示資料の信頼性確保や企業のガバナンス強化の取り組みを求める声が浸透しはじめたことが背景にあるとみられています。

東芝という超大手企業のニュースのかげに隠れているものの、これだけの数の企業に不適切会計が発覚しているのです。その影響は小さくなく、たとえば愛知県の中堅食品スーパーであるドミーは、店舗の固定資産の減損処理方法に関して仕入先からのリベートや協賛金を不適切に傾斜配賦していた不正会計の疑いが今年1月に発覚し、3月27日付で上場廃止になっています。

東京商工リサーチが調査をスタートした2008年度から、2017年度には不適切会計が発覚した企業数が2.37倍に増加している状況です。背景に目を向けますと、複雑な決算処理に対応できずに現場が混乱している、または売上や利益など業績目標などに対するプレッシャーから不適切会計に手を染めるケースも浮かび上がっているそうです。

どうしたら不適切会計を根絶することができるのでしょうか? その共通した答えはわかりませんが、まずは、現存するデータに関係者全員が目を向け、分析する必要があるのではないでしょうか。

<ココまでのまとめ>

・東京商工リサーチが『2017年度全上場企業 「不適切な会計・経理の開示企業」調査』を発表。
・2017年度は過去最多となる64社の不適切会計が発覚した。

 

不適切会計は他人事ではない

同資料の「不適切会計 内容別」を見てみると、「誤り」29社(45.3%)、「粉飾」22社(34.4%)、「着服横領」13社(20.3%)となっていて、経理や会計処理のミスによる「誤り」が理由のトップになっています。

「発生当事者別」では、2017年度は「子会社・関連会社」30社、「会社」23社、「従業員」6社、「役員」5社となっています。ちなみに、前年の2016年度は「子会社・関連会社」17社、「会社」22社、「従業員」1社、「役員」2社で、子会社・関連会社が前年比プラス13社と、圧倒的に増えていることがわかります。2017年度は、子会社による売上原価の過少計上や架空取引という不正経理がめだちました。

「市場別」では、「東証1部」34社(53.1%)、「ジャスダック」17社(26.5%)、「東証2部」7社(同10.9%)と続き、東証1部が過半数を占めています。2013年までは新興市場がめだちましたが、2014年からは国内外に子会社や関連会社を展開する東証1部が増加している傾向にあります。

「産業別」では、最多は「製造業」27社(42.1%)で、国内外の子会社・関連会社による製造や販売管理の体制不備に起因するものが多くみられています。また、「卸売業」では子会社が不明瞭な外部取引で売上架空計上や循環取引などがめだつ結果になりました。

グローバル化の名のもとに、海外に子会社・関連会社を置く企業が増えている現在、ガバナンスの機能、徹底は企業にとって大きな課題になっています。徹底されなければ、すべての企業が「不適切会計の可能性がある」という自覚をもつことが大切なのかもしれませんね。

<ココまでのまとめ>

・子会社・関連会社による不適切会計が増えている。
・すべての企業が不適切会計を起こす可能性があるという自覚をもつことが大事。

           
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