日本公認会計士協会、東芝不正会計問題のPwCあらたに「問題なかった」

2015年に発覚した東芝の不正会計。
約3年が経過した現在、この問題はどのような経緯をたどっているのでしょうか。これまでの流れと最新情報をまとめ、あらためて振り返ってみたいと思います。

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マイナビ会計士編集部
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事の発端は2015年2月
事の発端は、2015年2月。証券取引等監視委員会から工事進行基準案件に関する開示検査を受けたことから、不正会計が発覚しました。
同年7月には第三者委員会による調査報告が発表され、それによると、不正会計の額は2008年度から2014年度第3四半期までの期間で1,500億円以上。同月に、東芝の経営陣が会見を開き、全取締役16人のうち8人が引責すると発表しました。
不正会計の手口はさまざまで、1つは証券取引等監視委員会から開示検査を受けた「工事進行基準」。工事原価総額を少なく見積もり、原価が収益を超過した分は計上していなかったことがわかっています。また、買収した米ウエスチングハウス (WH)の案件では、発電所の追加工事に伴う原価増額について、東芝はWHの見積もった3億8,500万ドルを認めず、6,900万ドルで処理していたといわれています。
最も金額が大きかったのは「パソコン事業の取引」。仕入れたパソコン部品を台湾の組立会社に有償で支給し、その額を仕入れた部品メーカーに明かさずに調達価格の4~8倍で売ることもあったといわれています。東芝はこの差額をマイナスで利益計上していましたが、結果的には一時的に利益をかさ上げすることになりました。
そして、当時、監査を担当していた新日本有限責任監査法人には、契約の新規の締結に関する業務の停止(平成28年1月1日から同年3月31日まで)、業務改善命令、約21億円の課徴金納付命令にかかる審判手続開始、以上の行政処分がくだされました。
<ココまでのまとめ>
・2015年に不正会計が発覚した東芝。額は1,500億円以上にのぼっている。
・監査を担当していた新日本有限責任監査法人は行政処分を受けた。
PwCには「問題がなかった」
新日本有限責任監査法人が厳しい行政処分を受け、2016年1月には東芝の監査担当がPwCあらた監査法人へと変更されました。
PwCあらたは、東芝の2016年4~12月期決算において、米原子力発電事業の会計処理などについて、東芝側と見解の違いが平行線をたどったことから意見不表明としました。意見不表明とは、日本公認会計士協会のホームページでは「監査報告書において監査意見を表明しないこと。(中略)この監査報告がなされると、『不適正意見』と同様に『その決算書は信用できない』ということになり、上場会社は上場廃止基準に抵触することになる」と定義されています。
2018年2月中旬、日本公認会計士協会は2016年1月から東芝の決算を担当しているPwCあらた監査法人が2017年、東芝の決算に関して「意見不表明」としたことに対して、処分しないことを発表しました。
今回の「処分しない」という判断の理由について、日本公認会計士協会は、法令違反などがなく監査の手続きには支障がなかったためとしています。
ちなみに、日本公認会計士協会は新日本有限責任監査法人に対しては2017年7月に「2ヵ月間の会員権停止処分」を出しています。この処分は、監査業務に支障はありませんが、協会への提言ができないなど会員としての活動に制約が与えられるというもの。同協会の関根会長は「強制加入である会計士協会の監査法人が処分を受けているのは、物理的な意味はなくとも、私自身は重い処分と考えている」とコメントを発表しました。
<ココまでのまとめ>
・東芝の監査担当は2016年1月に新日本からPwCへ変更された。
・PwCは「意見不表明」としたが、日本公認会計士協会は「処分しない」と発表。
3年経過しても吹き続ける逆風
PwCあらたが東芝との見解の相違を埋められずに「意見不表明」を出したことで、2017年には東芝が再び担当監査法人変更に向けて動いていました。候補に挙がっていたのは、準大手の太陽監査法人。
ただ、これは金融庁や東京証券取引所からの指摘や準大手には大きすぎる負担などがあり結実せず、結局、PwCあらたが継続して担当することが決まりました。
気になる東芝の現在ですが、2018年2月に2018年3月期連結純損益予想を上方修正し、1,100億円の赤字から5,200億円の黒字になる見通しであることを発表しました。ただこれは傘下のWHの関連債権の売却益や税負担軽減効果が利益を押し上げた結果です。
不正発覚が判明してから約3年が経過した現在も東芝には逆風が吹いているのは事実で、不正会計で損害を被ったとして個人投資家から36件目、3,855万円の損害賠償を請求をされたと発表しています。請求額は合計で約1,740億円にものぼります。
また、マイボイスコムが白物家電ブランドについて調査した結果(2018年1月1日から5日、インターネットで1万978人から回答)を見ると、「信頼性・安心感があると思う」ブランドの項目では、東芝が15年1月の62.9%から38.7%と、20ポイント以上も減少していることがわかります。ここから信頼を取り戻し、今後、東芝はV字回復を見せることができるのでしょうか。
<ココまでのまとめ>
・2017年以降もPwCが東芝の監査を担当している。
・投資家から賠償請求されているほか、ブランドへの信頼性や安心感への影響もみられる。
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