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「CPA TALKs 2018」 第1回イベントレポート|会計士の可能性を探る【前編】
2018/04/06
イベント
「CPA TALKs 2018」 第1回イベントレポート|会計士の可能性を探る【前編】

監査法人や一般事業会社の経理部門などで活躍する公認会計士ですが、若手会計士の皆さんの中には、「10年後、20年後の未来、どのようなキャリアを築いていけるのだろうか」と模索している方も少なくないことと思います。日本会計士協会東京会青年部では、若手会計士が価値ある未来を築いていけるよう、さまざまな活動を行っています。プレゼンテーションイベント「CPA TALKs」もその一つですが、2018年3月17日に「CPA TALK 2018s」が開催され、196名の会計士・学生が参加しました。テーマは、「会計士の可能性」。「CPA TALKs 2018」の模様を2回にわたってお届けいたします。

宇賀伸二さん:人生は一回きり。自分を信じて新しい世界に飛び込もう

 
「CPA TALKs 2018」 第1回イベントレポート|会計士の可能性を探る【前編】

宇賀伸二さん サイバーダイン 取締役CFO コーポレート部門責任者
公認会計士・MBA。東京大学卒業後、総合商社で海外営業に従事。28歳の時に公認会計士の仕事を知り、受験を決意。試験合格後、自身の世界を広げるために、自転車で世界を一周。帰国後、監査法人を経て、PEファンドで事業再生に従事。さらに、社会貢献できるフィールドを求めて、サイバーダインに入社。サイバーダイン社では、わが国初の議決権種類株式による株式情報に成功し「IPO of the year」受賞。その後、CBと新株を合わせ400億円超を資金調達し「Innovative Equity Deal of the year」受賞。日本の代表的ベンチャーのCFOとして、今後は新たなベンチャー支援も視野に。

イベントの前半「CPA TALKs」では、4名の会計士が壇上に立ち、その「生き様」を語りました。一人目の登壇者は、サイバーダイン株式会社のCFOを務める宇賀伸二さんです。

私の人生は、常にチャレンジの連続。『人生は一回きり。短い人生だからこそ、とことんやり抜いてみよう』という思いで、これまでの人生を歩んできました。総合商社で経験を積み、28歳の時に退職。貯金を崩しながら勉強を続け、二度目の挑戦で公認会計士の資格を取得しました。すぐに就職せず自転車で世界を一周し、監査法人に就職した頃には31歳になっていました。やがて、『審判でなく、プレイヤーになりたい』という思いが高まり、投資ファンドに転職。買収先企業のバリューアップを担うようになったのですが、会計基準に則って判断する会計士とは真逆の発想が求められ、その点では大変苦労しました。

マインドリセットの必要性を感じていたとき、先輩会計士が『世の中を変える素晴らしい技術をもったベンチャー企業がある。きっと宇賀君に向いているよ』と顧問先を紹介してくれました。これが私のキャリアにおいて、最大の転機となりました。そのベンチャー企業とは、現在勤務しているサイバーダイン。創業者から直接話を聞き、”人や社会の役に立つ”という信念に共感。CFOとして、新たなキャリアをスタートしました。

ベンチャー企業のCFOの役割は、数値の集計や資金調達だけでなく、事業そのものを創っていくことにあります。既存のレールがないため、毎日が新規の事業開拓。そこにCFOの仕事のおもしろさがありますね。

前職に比べて年収は半分近くになりましたが、後悔は一切していません。『今、取り組んでいる事業が新しい未来を切り拓き、必ず社会の役に立っていく』という実感があるからです。何よりも、人の役に立ち、社会の役に立つことで、自分自身も成長できます。若い会計士の皆さんも自分を信じて新しい世界に飛び込んでください。人生は一度きりですよ。

太田悠介さん:人生の岐路では視点を上げ、ワクワクする選択肢を選ぶ

 
「CPA TALKs 2018」 第1回イベントレポート|会計士の可能性を探る【前編】

太田悠介さん マイクロアド 取締役CFO
1983年生まれ、横浜国立大学工学部卒、公認会計士。監査法人トーマツを経て、SCS Global Consultingにてアジア展開を目指す企業へ企業運営/成長のために必要なサービスを包括的に100社以上に提供、中華圏統括として自社も経営。現在はデータプラットフォーム事業を展開する株式会社マイクロアドにCFOとして入社し上場に向けて準備中。

二人目の登壇者は、株式会社マイクロアドのCFOである太田悠介さんです。

監査法人に就職した頃、私は先輩についていくので精いっぱい。仕事は楽しいけれど、『自分に何ができるだろうか』というモヤモヤした思いが常にありました。そんな時、リーマンショックが起こります。先進国の多くの企業が経営破綻し、日本企業にも影響が波及し業績が悪化、後処理に追われました。やがて私は『この先、世界はどうなっていくのだろうか』と自問するようになり、これからは先進国ではなく新興国――中国をはじめとするアジア各国――が世界経済を牽引するようになるのではないか、と思うようになりました。

アジアに行きたい。世界の“エンジン”を見てみたい。そんな思いから海外に旅立ち、さまざまな経営者と話す機会を得ました。そして、シンガポールのコンサルティングファームに入社。『せっかくならマネジメントがしてみたい』と社長にかけあい、中国に現地法人を設立したのです。一人で経営、営業、コンサルタントとすべてをこなし、『やりきった』と思えるまで働きました。帰国後はアジア展開している企業の上場支援を手がけ、その中の1社であるマイクロアドのビジョンに惹かれて同社に転職。CFOに就任しました。

人生の岐路に立ったとき、私は常に視点を上げてきました。視点を上げると、心がどんどんワクワクします。ワクワクした状態で興味あることを勉強すると、瞬く間に知識を吸収し、高度な専門性が身につきます。そうした状態の中では、成功しても失敗しても、学べることが必ずあります。

経済や金融業界を見渡してみると、フィンテックやブロックチェーンなど新しい技術や概念が次々と誕生しています。資本主義も、大きく変わろうとしているのかもしれません。会計監査を担う会計士の価値も変わっていくかも知れません。改めて、『監査の本質とは何か?』を会計士自身が見直す必要があるでしょう。若き会計士の皆さんにも、まずは視点を上げて欲しいですね。それは、やりたいことが見えた時、“後悔しないほう、ワクワクするほう”を選ぶことでもあります。視点を上げ、小さなことでもアクションをしていくことが大切なのだと思います

 

緒方憲太郎さん:環境を自ら変え、自分にしか生み出せないバリューを創り出そう

 
「CPA TALKs 2018」 第1回イベントレポート|会計士の可能性を探る【前編】

緒方憲太郎さん Voicy 代表取締役CEO
大阪大学基礎工学部卒業後、経済学部卒業。2006年合格、新日本監査法人に入所し、国内監査業務に従事。その後、2011年バックパッカーとして世界中を1年間30カ国放浪。放浪中にEYニューヨーク事務所に直接応募し、現地採用で勤務。2年後に日本に戻り、トーマツベンチャーサポートにてベンチャー支援家として多くのベンチャー企業の経営顧問や戦略デザインをする。2016年株式会社Voicyを起業し、CEOとしてITスタートアップを経営。平行して複数ベンチャー企業の取締役・監査役・顧問に就任。

次に登壇したのは、緒方憲太郎さんです。

株式会社Voicyの代表取締役CEO。これが現在の私の肩書きです。私の持てる力のほぼすべてを、Voicyの経営に注ぎ込んでいます。精力的に活動する私を見て、”意識の高い人“と感じる方もいるかもしれません。ですが、実は監査法人に入社した頃の私はその逆で、誘惑に弱く”おいしく生きること”を考えていたのです。

仕事がおもしろいかおもしろくないかも考えず、収入を安定させることだけを考えていた日々。それでも、薄々気付いていました。『会計士の勉強をしたわずか2年間の経験だけで、人生を決めてはいけない』ことにです。悩んでいた私は会社の休職制度を活用し、1年間かけて30カ国を旅行しました。そしてアメリカの監査法人で経験を積み、『自分がバリューを生み出さなければならない』と実感するようになりました。

帰国した私は、次の挑戦として『ベンチャー企業の支援』を選びました。『1日5社訪問する』と決めて、年間300社を訪問。専門性がどんどん磨かれていき、それが”私だけのバリュー”となったのです。いつしか私の人生の目標は、『社会に対して、圧倒的なバリューを築くこと』になりました。こうして、2016年秋、『新たなマスメディアの創造』を目的にVoicyを立ち上げました。

自分たちだからこそ実現できるバリューを築き、多くの仲間の賛同を得ながら追求していくこと。『私たちの一歩が、社会の一歩につながる』というエキサイティングな実感があります。この思いを、ぜひ若き皆さんにも味わってほしいですね。全力で楽しんで挑戦をして、どんどん動いて成長していきましょう。環境を自ら変え、自分にしか出せないバリューを生み出せるようになりましょう。テイクすることを考えず、ギブをし続けていけば、社会のパイが増えていきますし、皆さんを助けてくれる仲間が自然と増えていくはずですよ

      

青島信吾さん:独立の魅力は計り知れない。信頼できる仲間とチャレンジを

     
「CPA TALKs 2018」 第1回イベントレポート|会計士の可能性を探る【前編】
 

青島信吾さん センクサスグループ 代表社員
1978年6月10日生まれ。2001年一橋大学経済学部卒業。その後、金融機関に入社。1年間勤務後退社し、公認会計士試験を受験。2003年公認会計士2次試験合格後、監査法人に入所。7年間監査業務に十時後、顧客0の状態から独立。同期等と共にメンバーファームCenxus Groupを創設。同時に税理士法人を立ち上げる。その後中堅監査法人の代表社員にも就任。理想の生活と理想の組織を実現するために現在も奮闘中。

最後の登壇者は青島信吾さんです。

会計士のキャリアの一つに、独立があります。多くの会計士が目指す道ですが、その”実態”をよく知らない方も多いでしょう。私は監査法人で7年経験を積んだ後に独立しましたが、その道は決して平坦ではありませんでした。

仲間の会計士と三人で独立した時、私には何もありませんでした。大手監査法人のようなブランドもないし、何の地盤も看板もありません。給与はゼロ。税務はほとんど経験がなく、営業も未経験でした。そんな私たちにも”策”がありました。組織力をもって安定的にサービスを提供すること。ブランド力を築くこと。ワークライフバランスの取れた組織にしていくこと。そして、継続的な仕事を得ること、を目標に掲げました。

最初は、レンタルオフィスからスタート。この時期は、監査の非常勤バイトでなんとかしのいでいました。その後、2LDKのマンションに移りましたが、まだまだ生活は厳しかったですね。新規の案件を受注できるようになったのは独立して4年目、虎ノ門のオフィスに転居した頃。ここでようやく、生活水準が監査法人時代を上回りました。そして8年目、現在のオフィスに移転。ゼロからスタートした私たちは、自分たちの力で案件を取得できるようになりました。

独立の魅力は計り知れません。自由度が一気に増し、時間を調整して家族と過ごす時間も十分にもてるようになりました。また、専門学校時代に出会った仲間や、監査法人時代に同じチームを組んだ先輩や後輩など、多くの会計士が、独立した私たちを支えてくれました。

もし、皆さんが独立を目指すのなら、一生涯の信頼関係を築ける仲間を見つけてください。そして、チャレンジすることを忘れないでください。常にチャレンジをし続ける会計士のことを、必ず周囲の人間が認め、助けてくれるからです。勇気をもって一歩踏み出す時に、皆さんの仲間が必ずサポートしてくれると信じてください

       
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