公認会計士は不足している!人手が足りない理由や売り手市場がいつまで続くかを解説
昨今、公認会計士の不足が深刻化しているといわれることが多くありますが、その背景には公認会計士の業務のあり方やキャリアパスの変化が挙げられます。この記事では、公認会計士が不足している理由や今後の見通し、今後公認会計士に求められる能力を解説します。

岩波 竜太郎
公認会計士
2000年、公認会計士2次試験合格。2004年公認会計士登録。
大手監査法人ではマネージャー・シニアマネージャーとして、主として世界有数のグローバル企業の会計監査に従事。その後ベンチャー企業へ転職し、執行役員・管理本部長として人事や労務なども含めた管理業務全般を幅広く経験。
2015年5月に岩波公認会計士事務所を設立し独立。2016年10月にはアイプラスアドバイザリー株式会社を設立。決算支援や管理会計構築をはじめとする財務会計・管理会計のアドバイザリー業務に従事する傍ら、上場会社の社外役員としても活躍。
目次
監査法人に所属する公認会計士の人数の推移
近年、監査法人では公認会計士が不足しているといわれています。しかし、監査法人に所属する公認会計士の人数は、ここ5年ではむしろ増加している傾向です。(※1)実際、公認会計士・監査審査会のデータによると、監査法人に所属する会計士の数は、以下の一覧表のように推移しています。
| 比較年次 | 監査法人に所属する公認会計士の人数 |
|---|---|
| 2020年 | 13,851人 |
| 2021年 | 13,834人 |
|
2022年 |
13,685人 |
| 2023年 | 13,980人 |
| 2024年 | 14,427人 |
※出典1:公認会計士・監査審査会,1.監査業界の概観
(最終確認:2026年2月18日)
上記の一覧表から分かるように、監査法人に所属する公認会計士は特に減少していないものの、監査法人で公認会計士が不足しているような印象があるというのが現状です。
監査法人で公認会計士が不足している理由

監査法人に勤める公認会計士の人数は増加しているにもかかわらず、公認会計士が不足しているといわれる理由は、監査上の要求事項が年々増加傾向にあるためです。特に、以前より業務時間が増えている一方、監査法人以外に就職する公認会計士が増えた影響で、リソースの確保に苦労しています。ここからは、監査法人で公認会計士が不足している主な理由について、詳しく見ていきます。
- 監査業務の増加
- 公認会計士のキャリアの多様化
監査業務の増加
公認会計士の人手が不足している理由の1つとして、監査法人での業務量が増加し、以前よりも1社あたりの監査の範囲や工数が増加していることが挙げられます。監査業務が増加している背景には、大企業の会計不正の影響を受けて監査の要求水準の厳格化が進んでいることがあります。
また、昨今は日本でもIFRS(国際財務報告基準)の導入が進んでいる状況です。グローバルな基準であるIFRSは、具体的な数値基準を定めない「原則主義」を採用しています。つまり、企業に一定の裁量を与えたうえで自主的な対応を求めているため、会計処理の検討に時間がかかりやすい傾向があるのです。そのため、IFRSを採用している会社の監査には、より時間がかかることもあるでしょう。業務量の増加や、日本でのIFRSの普及などの要因により、監査にかかる時間は2010年ごろから10年間で約2割増えたともいわれています。
公認会計士のキャリアの多様化
公認会計士の就職先が多様化し、監査法人以外の企業への就職が増えたことも、監査法人で公認会計士が不足している理由です。公認会計士試験に合格した後は、まず監査法人に就職する人が多くいますが、ある程度監査法人で経験を積んだ後は、自身の成長やワークライフバランスの改善を目指して、各種コンサルティングファームや事業会社といったほかの業界に転職するケースもよく見られます。
公認会計士業界の売り手市場はいつまで続くのか
監査法人は近年、転職市場において求職者の数を企業の求人数が上回る売り手市場になっていますが、この傾向は今後もしばらく続くと考えられます。監査は公認会計士だけが行える独占業務ですが、近年顕著な公認会計士のキャリアの多様化によって監査法人で働く公認会計士の割合は、減っている傾向にあります。また、監査法人のなかでも企業の財務コンサルティングやM&Aを行うアドバイザリー部門が拡大されており、監査を行う公認会計士のニーズは今後も高いままで続くでしょう。
公認会計士業界は今後どのように変化していく?
今後、起こり得る具体的な変化として、以下のようなことが予想されます。
- AIの導入による監査の効率化
- 監査法人での働き方の改善
- 国際基準への対応
公認会計士の不足や国際経済の変化に伴い、公認会計士業界でも、業務内容や業務時間、対応するべき基準に変化が見られます。特に、AIの導入は公認会計士の仕事を部分的に担い、仕事の負担軽減に期待が持たれていますが、一方で、現時点においては、AIが抱えているさまざまな問題により、導入に時間がかかる可能性があります。これからは、業界における変化を見据えたうえで、適切な対応を行うのが重要になるでしょう。
AIの導入による監査の効率化
監査法人では、人手不足によって業務が滞ることもある状況のなかで、AIの導入や利用により監査業務の効率化が行われる可能性があります。具体的には、会計上の異常の検知や監査を受ける会社のリスク評価などをAIが請け負う可能性があると予想されます。ただし、AIが誤った情報を出力するハルシネーションのリスクや、データのセキュリティ面での不透明さなど、AIの利用にはさまざまな問題が伴うのも現実です。これからの監査法人には、AI導入に伴うリスクに対処しつつ、適切な範囲や方法でAIを利用していく必要があるでしょう。
監査法人での働き方の改善
従業員の離職や公認会計士の他業界への就職を防ぐため、監査法人ではワークライフバランスを改善する動きが起こっています。実際、リモートワークを導入して通勤の負担をなくしたり、補助スタッフの採用によって従業員1人あたりの仕事量を減らしたりしている監査法人も既に存在します。
国際基準への対応
近年では経済のグローバル化が進み、外国企業をクライアントに持つ企業や海外に子会社がある企業が増えています。そのため、企業の会計を確認する監査においても、IFRSのような国際基準への対応が求められるケースもあるでしょう。サステナビリティ分野においても基準の国際化が進んでおり、こうした新しい基準への対応は今後も増えていく可能性が高いと考えられます。
公認会計士が多過ぎ・余っているといわれることもある?
監査法人では、公認会計士の人手が不足しているのが現状です。しかし、転職市場では、「公認会計士が多過ぎる」「余っている」といわれることもあり、売り手市場だからといって、必ずしも転職できるとはいえません。なぜなら公認会計士であれば、基本的に会計の知識があるのは当たり前だと見なされ、ほかの人材と差別化が図りにくくなるためです。そこで、会計士が持つ専門知識に加えて、自分の強みとなる実務経験やスキルをアピールする必要があります。
つまり、会計士が転職する際は、会計士を専門とする転職エージェントを通じて、自身のアピールポイントになる要素を把握したり、非公開の求人を紹介してもらったりするのがおすすめです。
人手不足といわれる会計士に今後求められる能力

公認会計士における人手不足に伴い、監査法人での公認会計士を取り巻く状況も変化しています。変化のなかで、公認会計士に求められる能力も変わっています。具体的には、以下のような能力があれば、変化する環境のなかでも優秀な人材として扱われるでしょう。
- AIについてのリテラシー
- データの分析力・コンサルティング力
- 語学力・国際基準の知識
それぞれについて、詳しく見ていきます。
AIについてのリテラシー
AIの利用が推進されるなかで、監査法人が業務効率を上げるためには、正確かつ安全にAIを利用することが必要です。そのため、高精度なプロンプトを作成して、こちらの要望に沿った作業をAIに行わせたうえで、出力された結果が正しいかどうかを判断し、それを適切に利用する能力が会計士にも今後は特に求められてくるでしょう。
データの分析力・コンサルティング力
AIの普及に伴う影響として、これまで公認会計士が行っていた単純作業の負担が大きく軽減されることも挙げられます。そのため、これからの公認会計士の仕事は、財務諸表の確認や監査報告書の作成、データ分析といった比較的単純な業務よりも、コンサルティングといったAIには代替しにくい業務の割合が多くなるでしょう。公認会計士は個々の企業の状況を念頭に置いたうえで、AIから得られた膨大な情報を整理して会計上の問題点を見つけ出す必要があります。さらに、そうした問題点に対し、将来を見据えた適切な解決策を提案できる力が重要になるでしょう。
語学力・国際基準の知識
グローバルな事業を展開する会社も増えているなか、会計士には英語をはじめとする語学力や、IFRSのような国際基準についての知識が必要とされています。実際、公認会計士・監査審査会は2025年12月16日の発表で、2027年第1回短答式試験から、一部科目において英語による出題を導入するとしています。そのため、USCPAをはじめとする海外の会計士資格の保有者やTOEICのハイスコア獲得者などは、今後の転職市場でも評価されるでしょう。
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まとめ
公認会計士は、今後も高い需要が続くと見込まれており、より評価される人材になるためには、これからの公認会計士業界の変化を踏まえて、求められる能力を身に付けておくことが重要です。また、需要のある職業だからこそ、転職を検討する際は自分との相性や希望条件といった自己判断のみで全てを決めるのではなく、会計士業界に知見の深いエージェントと連携することをおすすめします。職場環境や業務内容、年収やスキルの向上など、あらゆる側面から転職先を見極めることが大切です。
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