公認会計士試験合格者増加の背景にある「働き方の多様化」
近年、「会計士の雇用ニーズは増加している」と言われています。その影響から昨年の公認会計士試験にも“変化”が見られるようになりました。今、会計士業界に何が起きているのでしょうか?
マイナビ会計士編集部
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昨年は「9年ぶりに公認会計士試験の合格者が増加する」という、会計業界にとっては明るいニュースがありました。前年度との試験データ比較が金融庁のホームページにアップされているので、詳しく見てみましょう。
<平成28年度> | <平成27年度> | |
願書出願提出者数 | 10,256人 | 10,180人 |
短答式試験受験者数 | 8,644人(10,011人) | 8,620 人(9,918 人) |
短答式試験合格者数 | 1,501人(2,868人) | 1,507 人(2,805 人) |
論文式試験受験者数 | 3,138人 | 3,086 人 |
最終合格者数 | 1,108人 | 1,051 人 |
合格率 | 10.8% | 10.3% |
※( )の数値は、前年又は前々年の短答式試験合格による短答式試験免除者を加えて算出。
前年比で、願書出願提出者数は76人増加、受験者数(論文式)は52人増加、合格者数は57人増加、合格率は0.5%アップという結果でした。受験者は若者世代を中心に増加したと言われており、合格者の平均年齢は26.2歳でした。
受験者、合格者ともに増加した背景には、大手監査法人を中心に採用数を増やしたことが一因と言われています。かつては公認会計士試験に合格しても就職できない「会計士浪人」が社会問題になっていましたが、その問題は解消されています。
さらに、現在は監査法人や会計士事務所に就職しなくても働くことができる、また、監査法人でも在宅勤務を認めるなど“働きの多様化”が進んでいることも、若者世代が会計士を目指す要因になったと考えられています。そこで今回は、“会計士の働き方”がどのように変化しているのか見ていきましょう。
国際キャリアの選択肢が拡大 U.S.CPA
近年、若年層を中心にした会計人に注目されている資格に「U.S. CPA」があります。U.S. CPAとは「米国公認会計士(USCPA)」のことで、この資格を取得すると、財務分析やフィナンシャルプランニングなど、会計以外の分野でも国際的なキャリアを築くチャンスが生まれると期待されています。
U.S. CPAの試験がアメリカ以外の国にオープンになったのは2011年のこと。日本ではどうかというと、2011年以降5年間で約8千人の日本人が受験しているそうです。
とはいえ、U.S. CPAは海外の試験なので、資格取得後のメリットはわかっていても、挑戦に尻込みしてしまう人も多数いると思います。そんな方に朗報です! 最近になってAICPA(米国公認会計士協会)とNASBA(全米州政府会計委員会)の2団体が「日本語版ホームページ」をリニューアルしたため、試験関連の情報をスムーズに取得できるようになりました。
ホームページには試験手続の方法や試験の内容に関する情報、FAQなどが充実しているので、以前と比べて“海外の試験”というハードルも低くなったと言えるでしょう。
ただ、日本語版ホームページがリニューアルしたとはいえ、試験内容は「英語」です。日本で資格を取得するためには、東京または大阪で行われる試験を受け、合格する必要があります。U.S. CPAは、「英語」と「会計」という2つの武器を持っている人にとっては、取得することで他者との差別化を図れるチャンスと言えます。海外を中心にグローバルに活躍したいと思っている会計士の方は、一度ホームページをチェックしてみてください。
在宅勤務を認可する監査法人が増加
組織に所属する会計士の働き方も変わってきています。以下の2つがその象徴的なニュースでしょう。
<大手監査法人を中心に在宅勤務を許可>
あずさやトーマツが週1~2日の在宅勤務制度を導入したことがニュースになりました。BIG4と呼ばれる他2社のPwCあらたと新日本は既に導入済みのため、これで大手監査法人は全て在宅勤務制度を導入していることになります。
公認会計士は顧客の機密情報を扱う仕事なので、データを家に持ち帰って仕事をするというスタイルは実現不可と思われていましたが、在宅勤務を導入した法人はPC環境に条件をつけるなど情報管理を徹底することでこの問題をクリアしています。
在宅勤務制度が導入される以前は、出産・育児と仕事の両立は難しく、優秀な女性が多数退職するケースがありました。在宅勤務を認めたことで、この流れは変わっていくでしょうし、若者世代にとっても「働きながら子どもを育てられる仕事」というプラスのイメージをもたらしたと思います。
<組織内会計士のニーズが増加>
監査法人や会計士事務所に就職するだけが会計士の生きる道ではありません。「組織内会計士」という働き方もあります。日本公認会計士協会のホームページによると、その定義は「日本公認会計士協会の会員及び準会員のうち会社その他の法人(監査法人、税理士法人及びネットワークファームに該当する法人を除く。)又は行政機関に雇用され、又はその業務に従事している者(役員に就任している者を含む。)をいいます」とあります。
おおざっぱに言えば、監査法人や会計士事務所以外の組織で働く会計士ということですが、近年、組織内会計士の雇用ニーズは増加していると言われています。データを見てみると、2012年には約700人だった組織会計士ネットワーク会員数は2015年末の時点で約1,400人と3年で倍に増えていることがわかります。
「一般企業が会計士を雇う」ということがさらに今後は“普通のこと”になっていくのかもしれません。
いかがでしたか?
日本の社会ますますグローバル化が進んでいるため、今後はさらに会計士の働き方が多様化するでしょう。監査法人や会計士事務所だけでなく、誰もが“自分に合った働き方”を模索する時代が来ていると言えるのではないでしょうか。
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