会計士の仕事はなくなる?なくならない?AIに業務代替される可能性

今後、公認会計士の仕事はAIに取って代わられるのか、不安に感じている方は多いかもしれません。たとえDXやAIが進んでも、公認会計士の仕事がなくなるということに怯える必要はないでしょう。公認会計士の仕事といっても、監査のように比較的定型的な業務だけではありません。ここで詳しく解説します。

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マイナビ会計士編集部
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公認会計士の業務
公認会計士の業務は、一般的に会計監査業務となっています。しかし、それ以外にもアドバイザリー業務やコンサルティング業務などのサービスを提供可能です。
税務関連業務を行う会計士も多く、比較的活躍の幅が広い資格職と言えるでしょう。経験を積んだ会計士であれば、税務関連業務の中でも簡単な確定申告から組織再編税制や国際税務、移転価格税制といった専門的な内容も行えます。
税務、財務、ファイナンスといった数字周りの仕事は、会計士のカバーできる業務範囲になるでしょう。
監査業務
監査業務は会社法337条において、会計監査人は公認会計士または監査法人がなることができるものであるとされています。これが監査法人における会計監査業務です。監査業務は、公認会計士試験に合格した会計士が最初に関与する業務となるでしょう。
監査法人での監査業務は監査ツールや効率化されたものを使うため、単純な業務なら会計士でなくてもできるのではないかと思われるかもしれません。つまり思っていたより、定型化された業務であるという懸念点があります。
そのため、ある程度シンプルな監査手続きであれば、AIを利用した監査手続きで効果的かつ効率的に運用できる可能性はあるでしょう。
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監査以外の業務
監査以外の業務では、財務に関するコンサルティング、税務に関するコンサルティング、投資銀行におけるM&Aアドバイザリー業務、プライベートエクイティファンドにおける投資業務などで活躍できます。
財務や税務に関するコンサルティングは、監査法人系のFAS(ファイナンシャルアドバイザリー業務)で行うことが可能です。会計士から転職することは少ないですが、戦略コンサルティングファームに転職する人もいます。
一方、投資銀行での資金調達やM&Aアドバイザリー業務、プライベートエクイティファンドでの業務は監査法人外での業務のため、実際には外部に転職してそのような業務を行う人がほとんどです。監査以外の業務は会計監査の業務に比べて非定型的かつクライアントサービスが多く、AIにより代替されない可能性が高いでしょう。
AIが得意な分野と会計士の仕事に代替する分野
AIが得意な分野は、単純な作業や定型的な数値チェック、違和感チェックといったところでしょう。この点でいえば、会計士が監査法人で行っているような前年度の数値チェック、残高確認、償却費の計算チェックといったような内容は、AIの方がエラーもなく定型的に正確にできる可能性が高いと言えます。
その意味で、会計監査においてスタッフが入社数年で行う簡単な監査手続きは、AIに代替されてしまうかもしれません。あるいは固定資産の実査や棚卸資産の現物確認も、将来的にAIやロボットに任せた方が効率的と思われます。
AIにより代替されない可能性が高い分野
AIによって代替されない可能性が高く会計士が関与できる仕事は、先ほど述べたアドバイザリー業務やコンサルティング業務等のサービスです。具体的には投資銀行におけるM&Aアドバイザリー業務、プライベートエクイティファンドにおける投資業務が挙げられます。これらの業務に関連しているのは、会計の知識のみならずファイナンスや税務、経営など複雑な知識を複合的に使用すること。
また、経営陣やクライアントとのコミュニケーションが必要とされる点です。このように複雑な内容を含む業務は、当面AIに代替されないと考えられます。
もちろん、AIそのものが人間と同じようなレベルにまで進化すれば話は別でしょう。しかし、クライアントのニーズを把握して投資検討の際に仮定を立てたり、各専門家と調整しながら進めたりする過程は、経験を積んだ会計士やプロフェッショナルでなければ対応できないものです。
そのため、知識や経験の蓄積がなければできない業務になりますので、AIがゼロからできる業務でないことは確かでしょう。
会計士の仕事がなくなるといった漠然とした不安におびえる必要がない理由
会計士の仕事がなくなるといった主張は、会計士の仕事の中でも定型化されたルーチンワークであれば可能性が考えられます。
しかし、特にM&Aなど法令や規制、クライアントのニーズ等が複雑に絡み合って高度な判断が求められるような業務なら、AIに代替される可能性は当分低いでしょう。
税務に関しても単純な確定申告は自動化されますし、電子申告制度もあるので細かい申告上の悩み以外はAIやデジタルに代替される可能性があります。しかし、それ以外の組織再編税制や国際税務などエッジの効いた分野で専門性を磨いていけば、制度の改定もある分野ですし代替される可能性は低く、むしろ武器にできる分野でしょう。
そのため、会計士でも非定型的な業務や高度な判断が絡むような分野であれば、会計士の仕事がAIにとって代わられるという危機感をそこまで持たなくても良いはずです。その意味では、会計士試験に合格しても定型的な業務に甘んじることなく、リスクを取って他業界やプロフェッショナルファームに転職し、キャリアを積み上げていくことが重要と言えるでしょう。
まとめ
会計士の仕事は、AIに代替されるというメッセージが一人歩きしがちです。しかし、テイラーメイドの側面が強い職種や人とのコミュニケーションが多いような仕事では、AIによる代替の可能性が低いでしょう。
具体的には、自身の専門性や対人のリレーションを築いて人間の感情で判断されるようなプライベートエクイティファンドでの投資、あるいはM&Aアドバイザリー業務などの投資銀行業務が挙げられます。
独立して仕事する会計士であれば、確定申告や決算対応のような定型的かつAIにより安価で代替されるようなサービスではなく、案件により業務範囲や論点が異なるようなファイナンシャルアドバイザリー業務(FAS)で財務デューデリジェンスや企業価値評価業務は価値があります。
相応の経験を積んだ後、取り組んでみると良いのではないでしょうか。ただし企業価値評価は、ある程度ならシステマチックにできてしまうことがあります。例えばエクセルのシートに入れれば計算できてしまう等、その点は留意しておいてください。
将来的に、AIの技術も加速度的に進んでいくことが考えられます。会計士にかかわらず、10年前は若手のアナリストやスタッフが行っていたようなシンプルな業務(会社概要の作成等)であれば、今後AIや自動化によって省力化されるでしょう。
付加価値の低い業務は高い報酬を得ることが難しくなりますので、顧客に対して付加価値の高い業務を常に提供し続けるマインドセットが大事だと思います。
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