公認会計士のキャリアプランを考える自己分析法&転職先の選び方
公認会計士の資格を取得する場合、大手監査法人で業務補助に従事しながら資格取得の条件を満たし、資格試験の合格を目指すのが一般的です。しかし、資格取得後のキャリアは、会計系コンサルティングファームや会計事務所、一般企業など、公認会計士ごとに異なります。もちろん、大手監査法人に勤め続ける人もいますが、「専門分野を極めたい」「独立したい」「ワークライフバランスを整えたい」など、さまざまな理由で転職する人もいます。
しかし、目的がはっきりしないまま転職してしまうと、転職先で「こんなはずじゃなかった」と後悔することになります。ここでは、公認会計士が転職に失敗しないために、どのようにキャリアプランを考えるべきかをご紹介しましょう。
マイナビ会計士編集部
マイナビ会計士は、公認会計士・試験合格者・USCPAの方の転職サポートを行なう転職エージェント。業界専門のキャリアアドバイザーが最適なキャリアプランをご提案いたします。Webサイト・SNSでは、公認会計士・公認会計士試験合格者・USCPAの転職に役立つ記情報を発信しています。
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現状の自己分析を行い公認会計士としてのビジョンを見つけるには?
転職を考える際、最初に「なぜ転職したいのか?」を考えましょう。転職したい理由が「給料が安い」「仕事がきつい」「上司が嫌い」など、ネガティブな要素ばかりだと、「将来のビジョンを見据えて転職する」のではなく「勤めている会社が嫌だから転職する」ことになります。
このような場合、転職先でも同様のことがあれば、再度転職するしかなくなってしまうでしょう。将来のビジョンを踏まえたキャリアプランを見つけるためには、現状の自己分析が必要です。
まずは、多くの転職を成功させてきたマイナビ会計士のキャリアアドバイザーが、転職希望者におすすめする自己分析法をご紹介します。
公認会計士を目指した理由を考える
マイナビ会計士のアドバイスとして、最初にすべきことは「そもそも公認会計士を目指した理由を考える」ことです。一度、自分自身の公認会計士としての原点に立ち返ることで、公認会計士の仕事に興味を持ったきっかけや、好きなことなどを洗い出します。「給与が高い」「計算が好き」など、ポジティブな理由を思い出すことができるでしょう。
公認会計士としてのやりがいは何かを考える
次に、公認会計士として、これまでの業務で「やりがいを感じたこと」をリストアップします。これは、最初に公認会計士を目指した理由とは異なるかもしれません。しかし、将来的に続けていくキャリアを見つけるには、実際にやってみて「良かった」と感じた業務も重要です。
反対に、「やりがいを感じない」または「やりたくない」仕事もあるかもしれません。例えば「監査業務は嫌」「税務には向いていない」「大手ばかりでクライアントの成長を実感できない」といったことが明確な人もいるでしょう。
やりがいを感じることと感じないことをリストアップして、自分のキャリアプランを考える材料にしていきます。
現在の仕事環境で改善したいことはあるかを考える
最後に、「現在の仕事環境で改善したいこと」をリストアップします。どれほど好きな仕事でやりがいがあっても、仕事環境に改善したいポイントがあるかもしれません。
例えば、「残業が多い」「会社の歯車になりたくない」「クライアントワークがメインでプライベートの予定を立てにくい」などが考えられます。
転職先別に見るメリット・デメリット
ここまでの分析で、「自身が公認会計士の仕事に何を求めているのか」が見えてきたのではないでしょうか。しかし、希望する条件をすべて満たす求人を探すのは簡単ではありません。そこで、「何が一番重要なのか」という優先順位を考えることも大切です。
ここでは、転職先におけるメリットとデメリットをご紹介しますので、自身にとってベストな転職先を考えてみてください。
監査法人から事業会社(経理、内部監査、経営企画、CFO候補)への転職
監査法人から一般の事業会社に転職した場合、公認会計士の仕事としては、経理や財務の部門で予算編成や調整などを行うことになります。公認会計士としての専門知識を活かせるだけでなく、経営戦略などのコンサルティング業務を担うケースもあります。また、経験やスキルが高い場合、CFO(最高財務責任者)候補として転職できるかもしれません。
メリット
事業会社内の当事者として業務を遂行できるため、クライアントにスケジュールを左右されません。そのため、ビジネスとプライベートのワークライフバランスを整えるには最適な選択です。
デメリット
デメリットとしては、年収が下がる可能性があります。公認会計士としての専門性が上がる場合もありますが、経理担当者として終わるケースもあります。
ただしCFO候補の場合、メリットとデメリットはその会社により異なります。
監査法人から会計系コンサルティングファームへの転職
会計系コンサルティングファームに転職した場合は、会計コンサルタントとして「経営や資産管理」「組織再編」「システム導入の是非」「事業再生計画の策定」など、課題の解決のためのアドバイスをします。
メリット
会計コンサルタントとして専門性が上がります。そのため、ほかの公認会計士との差別化も可能。また、給与がアップする可能性が高くなります。
デメリット
クライアントの都合で業務スケジュールが組まれるので、ワークライフバランスとしては、仕事の比重が大きくなります。
監査法人から会計事務所への転職
会計事務所へ転職した場合、税理士として税務に携わります。仕事内容としては、「納税者の代わりに税務申告を行う税務代理」「税務書類の作成代行」「税務全般の指導およびアドバイス」などを行います。
メリット
独立開業につながる経験が得られます。また、クライアントとの距離が近いので、会社の成長に寄与している実感も得られます。
デメリット
監査法人から会計事務所に転職した場合、一般的に年収が100万~200万円下がってしまう可能性があります。
大手監査法人から中堅・中小監査法人への転職
監査法人の業務は、公認会計士の基本ともいえる監査です。全国に活躍の場がありますので、転職先は豊富にあります。元々いた監査法人から、別の監査法人に行くケースもあるでしょう。
この場合、監査法人の企業規模によって、メリットとデメリットが表と裏の関係になります。大手監査法人から中堅・中小監査法人に転職するメリットとデメリットは、次のとおりです。
メリット
企業規模が小さくなると、ワークライフバランスを整えやすくなります。また、一人でこなす業務が増えるので、監査だけでなくアドバイザリー業務も行うことがあります。従業員は少ないので、出世のチャンスも広がるでしょう。
デメリット
クライアントの企業規模も小さくなるため、監査内容に大手監査法人のような品質を求められなくなり、人によってはやりがいが低下する可能性があります。また、給与は大手監査法人よりも低くなることが多いです。
中堅・中小監査法人から大手監査法人への転職
公認会計士の最初のキャリアは、資格取得のため大手監査法人で働くのが一般的ですが、リーマンショックなど社会情勢が不安定な時期の場合、中堅・中小監査法人から公認会計士の道をスタートさせていることもあります。この場合、中堅・中小監査法人で経験を積んだ後に、大手監査法人への転職を希望するケースもあります。
メリット
クライアント規模が大きくなるので、監査の品質を求められてやりがいが上がります。また、中堅・中小監査法人に比べて給与がアップします。
デメリット
組織が大規模になりチームで業務を行うため、担当する業務が限られます。また、従業員が多く出世コースもある程度決まっているため、大勢の中で出世できるかどうかはその人次第です。
■転職先別のメリット・デメリット
転職ケース | メリット | デメリット |
---|---|---|
監査法人から 事業会社 |
・当事者として業務を遂行できる ・ワークライフバランスが良い |
・経理担当になる ・給与が下がることもある |
監査法人から 会計系コンサルティングファーム |
・専門性が上がる ・給与が上がる |
・ワークライフバランスが 悪いこともある |
監査法人から 会計事務所 |
・独立開業などへの経験が得られる ・会社の成長に寄与できる |
・給与が下がることもある |
大手監査法人から 中堅・中小監査法人 |
・担当業務の幅が増える ・出世の可能性が高まる ・ワークライフバランスが良い |
・人によってはやりがいを感じられなくなる ・給与が下がることもある |
中堅・中小監査法人から 大手監査法人 |
・やりがいを感じられる ・給与が上がる |
・担当業務の幅が狭まる ・出世の道が限られる |
公認会計士の資格は市場価値がある!自信を持って転職に臨もう
大手監査法人で働いていると、当然ながら周りは公認会計士ばかりですから、その資格の価値を実感することは少ないかもしれません。しかし、転職市場から見れば、日本の三大国家資格のひとつである公認会計士の有資格者です。公認会計士の経験やスキルを求める企業はいくらでもあります。自信を持って転職に臨みましょう。
ですが、ご紹介したように、すべての企業が転職者にとって最適な企業とは限りません。マイナビ会計士のキャリアアドバイザーにご相談いただければ、さまざまな目的に合致する求人をご紹介することが可能です。自分にとって、ベストな転職先を探してみてはいかがでしょうか。
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転職された方の声
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