「平成30年版 モニタリングレポート」から会計業界を読み解く!

「平成最後の年」である平成30年も残り4ヵ月弱となりました。
世の中のさまざまなことが変化しているなか、会計、監査業界も変化を迎えています。そこで今回は、最近発表された資料「平成30年版 モニタリングレポート」をもとに、現在の業界の状況を見てみましょう。

監修
マイナビ会計士編集部
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平成30年版 モニタリングレポート
金融庁の公認会計士・監査審査会は7月に「平成30年版 モニタリングレポート」を発表しました。平成28年から毎年発表されているこのレポートには、金融庁が前年に公表した金融モニタリング基本方針に基づき、1年間の金融モニタリングの成果がまとめられています。
金融庁のホームページにPDF形式でアップされていて、誰でもWeb上からダウンロードして閲覧可能です。98ページにわたる詳細なレポートで、会計、監査業界で働く会計士にとって必見の資料といってよいでしょう。
それでは早速、内容を確認してみます。
まず注目すべきは「公認会計士登録者数」の推移です。公認会計士の人数はここ数年、「緩やかに増加」している状況で、詳しく見ると、平成26年3月:26,260人、27年3月:27,313人、28年3月:28,286人、29年3月:29,367人、30年3月:30,350人となっており、今年初めて登録者数が3万人を突破しました。
会計士のうち「監査法人所属者数」と「大手監査法人所属者数」は、ここ数年、ほぼ変化がなく、「微増」という状況です。
続いて、「公認会計士の地域会別の所属人数」を見てみましょう。最も多いベスト3は、東京:7,831人、近畿:3,477人、東海:2,031人で、東京だけで全体の約25%(4人に1人)を占め、首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)に全体の約7割が集中しています。一方、少ないのは沖縄:69人、南九州:212人、四国:233人で、地域により差があることがわかります。
ちなみに、現在の公認会計士協会の会長は女性ですが、女性会計士の割合は、平成25年末:12.8%に対して、平成29年末:13.9%と少し上昇しています。しかし、それでもアメリカでは40%、イギリスでも35%の割合を占めていると考えると、「まだまだ女性が少ない」といえるでしょう。
<ココまでのまとめ>
・公認会計士の登録者数は微増している。
・アメリカやイギリスと比べると、日本は女性の占める割合が少ない。
大手監査法人に集中
続いて、監査事務所の状況です。
このモニタリングレポートでは、監査事務所のカテゴリを次のように定義しています。
「大手監査法人」
上場国内会社をおおむね 100 社以上、被監査会社として有し、かつ常勤の監査実施者が 1,000人以上いる監査法人。本レポートでは、有限責任あずさ監査法人、EY 新日本有限責任監査法人、有限責任監査法人トーマツおよび PwC あらた有限責任監査法人の4法人をさします。
「準大手監査法人」
大手監査法人に準ずる規模の監査法人。本レポートでは、仰星監査法人、三優監査法人、太陽有限責任監査法人、東陽監査法人及び PwC 京都監査法人の5法人です。
「中小規模監査事務所」
大手監査法人および準大手監査法人以外の監査事務所のことをいいます。
平成29年3月末時点の状況では、全体の数が2,021事務所で、そのうち、大手監査法人が4法人、準大手監査法人が6法人 、中小規模監査事務所が2,011事務所となっています。監査法人の数は、平成28年から「増加傾向」にあります。具体的に数字を見てみると、平成26年3月末:216、27年3月末:219、28年3月末:214、29年3月末:222、30年3月末:229です。
常勤公認会計士の人数で見ると、5人以下の事務所:65、6から9人:82、10から24人:56で、合計が203となり、じつに全体の9割を「25人未満の法人で占めている」という計算になります。
その一方で、「仕事・人材・収入は4つの大手監査法人に集中」していることがわかります。大手監査法人における監査業務 収入の占める割合は84.8%、同様に所属公認会計士は76.3%、監査証明業務数は63.7%という結果になっています。
<ココまでのまとめ>
・監査法人の数は、ここ数年で増加傾向にある。
・大手監査法人に仕事・人材・収入が集中している。
IFRSやIPOは?
最後に、最近さらに存在感を増している「IFRS」と「IPO」関連のデータも見てみましょう。
東証1部におけるIFRS適用会社およびIFRS適用予定会社は増加しています。前者の推移が、平成28年6月:77、29年6月:111、30年3月:125で、後者が同時期の推移で、27、22、28となっています。
IFRS適用会社の監査を担当する監査法人は、大手監査法人に集中している状況があります。平成30年3月時点で、大手監査法人の担当社数が135社に対して準大手が8社、中小が4社です。
続いて、IPO(新規上場)の会社数の推移を見ると、平成24年12月期:46、25年:54、26年:77、27年:92、28年:83、29年:90となっており、昨年は過去6年間で2番目に多いという状況でした。
IPOの監査を担当する監査法人も、IFRSと同様に大手監査法人に集中していて、平成29年12月期は合計90社のうち、大手監査法人:71、準大手:13、中小:5、外国監査法人等:1でした。
<ココまでのまとめ>
・IFRS適用会社の監査業務は大手監査法人に集中している。
・IPOの監査も同様に大手監査法人に集中している。
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