公認会計士・監査審査会が発表した「平成29年モニタリングレポート」を読み解く
公認会計士・監査審査会は今年7月、「平成29年モニタリングレポート」を作成し、公表しました。
モニタリングレポートは、より多くの人々に監査事務所における監査品質が適正に評価されることが重要となっていることから、監査及び会計の専門家だけではなく一般利用者に対しても監査事務所の状況などについてできるだけわかりやすい形で情報提供することを目的としてつくられたものです。
それでは早速、その中身を詳しく見ていきましょう。
マイナビ会計士編集部
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公認会計士の状況
「公認会計士の状況」の項目をみると、公認会計士登録者数は平成25年から29年にかけて緩やかに増加していることがわかります。
具体的な数値では、平成25年3月:24,964人、平成26年3月:26,260人、平成27年3月:27,313人、平成28年3月:28,286人、平成29年3月:29,367人となっています。
監査法人所属者数も公認会計士の数と同様に、12,799人、13,266人、13,467人、13,566人、13,811人と緩やかに増加していますが、「割合」(公認会計士登録者のうち監査法人に所属している人数)を見ると、平成25年3月時点では約51%でしたが、平成29年3月時点では約47%と減少していることがわかります。
つまり、年々、監査法人に所属する割合が減っており、おそらく民間企業やコンサルタント企業に就職する会計士が増えていると推察することができます。
また、公認会計士が首都圏に集中している状況が報告されています。平成29年3月時点で、最も会計士の少ない地域は沖縄で68人なのに対して、東京は17,290人と約254倍の会計士がいることがわかります。じつに東京や神奈川などに全体の7割を占める会計士が集中している状況があります。
続いて、「監査法人の推移」を見てみましょう。
監査法人の数は平成25年から平成29年まで、214、216、219、214、222法人と推移し、数に大きな変化はありません。平成 28 年度は、4法人が解散及び合併によって消滅したのに対して、12 法人が設立されたため、結果的に8法人の純増となりました。
平成28年度には、法人規模や業務提供エリアの拡大を目的として、明治アーク監査法人(聖橋監査法人)と清陽監査法人(九段監査法人)が合併を行っています。
<ココまでのまとめ>
・公認会計士の人数は平成25年以降、緩やかに増加を続けている。
・一方で、監査法人に所属する会計士の割合は減少傾向にある。
被監査会社の状況
次に「被監査会社の状況」を見ていきます。
平成29年3月末時点で、上場被監査会社の約7割を大手監査法人が担当していることがわかります。数値を見ていくと、上場被監査会社の合計が3,652社で、そのうち大手監査法人が2,653社(73%)、準大手監査法人が429社(12%)、中小規模監査事務所が570社(15%)で、大手監査法人の強さが現れています。
監査人の規模別上場被監査会社の時価総額も発表されています。
大手監査法人が5,386,707億円、準大手監査法人が301,067億円、中小規模監査事務所が225,271億円で、すべてを合計すると5,913,045億円になります。割合は大手が91%、準大手が5%、中小が4%となっています。
続いて、最近増加傾向にあるIFRS適用会社を担当する監査法人を見ても、ほぼ大手の独占状態にあることがわかります。IFRS適用会社で見ると、平成29年6月末時点では大手監査法人が118社、準大手が5社、中小が2社、IFRS適用を予定している会社の担当監査法人を見ても、大手が24、準大手が1、中小が2となっています。
この状況について、モニタリングレポートでは、「IFRS 適用会社のほとんどは東証1部に上場しており、監査人は大手監査法人に集中している」、「IFRS 適用会社はほとんどが海外展開を行っているため、大規模な国際的なネットワークと提携している大手監査法人に監査が集中している」と分析しています。
新規上場(IPO)の監査の状況も見てみましょう。
新規上場会社の数は平成24年12月期から平成27年12月期にかけて毎年、46、54、77、92社と増加していましたが、平成28年12月期には83社と減少に転じました。ただ、水準は高いまま移行している状況です。
担当監査法人を見ると、大手監査法人が多くを占めていますが、平成28年12月期は準大手がシェアを伸ばしていることがわかります。
<ココまでのまとめ>
・上場被監査会社の約7割を大手監査法人が担当している。
・IFRSやIPOも大手監査法人が多くの割合を占めている状況。
合併など再編も
最後に「会計監査人の異動状況」を見てみましょう。
監査法人を変更した上場国内会社数の推移を見ると、平成25年6月期から平成29年6月期にかけて、109、103、97、134、133と推移していて、ここ2年は過去の水準よりも高い数値になっています。
あわせて監査法人の規模別の異動状況を見ると、平成 28 年6月期および平成 29 年6月期は、大手監査法人から準大手監査法人や中小規模監査事務所へ変更している傾向が現れています。
最近、監査の世界には少し変化が出てきており、2017年10月、準大手監査法人の太陽監査法人が優成監査法人と合併に向けた基本合意を締結したことを発表しました。来年7月をめどに合併を進め、合併が成立すると、大手を追う体制ができあがると見られています。
今後さらに業界の再編やシェアの変動に注目をしていく必要があるでしょう。またトピックがあれば、このコラムで紹介していきます。
<ココまでのまとめ>
・最近、大手から準大手または中小に担当を変更する企業がみられる。
・業界再編、シェアの変動がさらに起きる可能性がある。
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