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令和5(2023)年度公認会計士修了考査合格発表速報!結果考察と合格発表後にすべきこと

令和5(2023)年度公認会計士修了考査合格発表速報!結果考察と合格発表後にすべきこと

例年、4月上旬に行われている公認会計士修了考査の合格発表。令和5(2023)年度は2024年4月5日(金)に合格発表が行われました。

令和5年度の今年は受験願書提出者数2,146名・受験者数1,958名に対して、合格者は1,495名。前年度より合格者が103名増加し、対受験者数合格率76.4%という結果になりました。本記事では、過去10年の修了考査の結果を振り返りながら、「合格発表から公認会計士名簿登録までの流れ」と「修了考査合格発表後に転職活動をする際のポイント」について解説します。

マイナビ会計士編集部

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令和5(2023)年度公認会計士修了考査の受験者数と合格者数

令和5(2023)年度公認会計士修了考査の受験者数と合格者数

合格者は前年比較103名増の1,495名

皆さんもご存じの通り、短答式試験・論文式試験に合格後、3年間の実務経験と3年間の実務補習を経て、修了考査に合格することで「公認会計士」の資格を取得することができます。

修了考査は、例年12月中旬に実施されます。試験科目は「監査」「会計」「税務」「経営・IT」「法規・職業倫理」の5科目。合格発表は翌年の4月上旬に行われます

令和5(2023)年度修了考査は、2023年12月16日・17日に実施。本日4月5日に合格者の発表がありました。結果は以下の通りです。

【受験願書提出者数】2,146名
【受験者】1,958名
【合格者】1,495名
【対受験願書提出者数合格率】69.7%
【対受験者数合格率】76.4%

令和5(2023)年度の受験者数は1,958名と、前年度の2,000人から42人減少しました。合格者は1,495名で、対受験者数合格率は前年度の69.6%を大きく超えて76.4%となっています。

修了考査に合格した皆さん、おめでとうございます。皆さんは公認会計士名簿に登録することで、晴れて公認会計士として第一歩を踏み出すこととなります。

残念ながら不合格となってしまった方も、監査業務と並行して試験勉強に励んでこられたことと思います。その経験を生かして、次のキャリアに向けた準備をスタートさせましょう。

合格率は、69%に回復した前年度を超えて76%に

では、過去10年にさかのぼって、修了考査の受験者や合格者数の推移を見ていきましょう。

■公認会計士修了考査 受験願書提出者数・受験者数・合格者数・対受験願書提出者数合格率・対受験者数合格率の推移

年度 受験願書提出者数 受験者数 合格者数 対受験願書提出者数合格率 対受験者数合格率 前年比(対受験者数合格率)
平成26(2014)年 2,201人 2,030人 1,438人 65.3% 70.8% +3.2ポイント
平成27(2015)年 1,954人 1,811人 1,301人 66.6% 71.8% +1.0ポイント
平成28(2016)年 1,785人 1,649人 1,147人 64.3% 69.6% -2.2ポイント
平成29(2017)年 1,653人 1,536人 1,065人 64.4% 69.3% -0.3ポイント
平成30(2018)年 1,618人 1,495人 838人 51.8% 56.1% -13.2ポイント
令和元年(2019)年 1,896人 1,749人 854人 45.0% 48.8% -7.3ポイント
令和2(2020)年 2,126人 1,936人 959人 45.1% 49.5% +0.1ポイント
令和3(2021)年 2,366人 2,174人 1,404人 59.3% 64.6% +15.1ポイント
令和4(2022)年 2,181人 2,000人 1,392人 63.8% 69.6% +5.0ポイント
令和5(2023)年 2,146人 1,958人 1,495人 69.7% 76.4% +6.5ポイント

ここ10年のデータを見てみると、平成26(2014)年から平成29(2017)年までは大きな変動がなく、対受験者数合格率が70%前後で推移していることがわかります。

しかし、平成30(2018)年は対受験者数合格率が56.1%と、前年の平成29(2017)年より13.2ポイント減少。令和元(2019)年は48.8%と、50%を切る結果となりました。

この状況を鑑みて、日本公認会計士協会は「令和2年度修了考査受験に向けて」と題したメッセージ動画を公開。後進育成担当の後藤常務理事が「出来が悪い、勉強不足だという声もあるが、現場で学んでいる方々を見ると、決してそんなことはない」とし、修了考査の出題趣旨を公表したうえで、各試験分野のポイントについて詳細に解説しています。

後藤常務理事は動画メッセージの最後で、「しっかり勉強すれば、7割が通る試験。しかし、(何度も挑戦すれば)そのうち通るとは思わないでほしい。複数年受験者は年々合格率が下がる傾向にある」と警告しています。

「今年だめだったら、来年がある」と先延ばしにせず、覚悟を決めて業務と試験対策を両立させ、早期合格を狙うことが大切です。

なお、平成28(2016)年より、合格発表における氏名の非公表を選択できる「氏名非公表制度」が開始されました。

■修了試験の合格者数と氏名非公表申請者数(受験地別)

東京都 愛知県 大阪府 福岡県
合格者数 氏名非公表申請者数 合格者数 氏名非公表申請者数 合格者数 氏名非公表申請者数 合格者数 氏名非公表申請者数
令和元年(2019)年 617人 61人 60人 4人 154人 6人 23人 1人
令和2年(2020)年 706人 67人 49人 7人 170人 10人 34人 3人
令和3年(2021)年 1,023人 184人 100人 22人 222人 27人 59人 5人
令和4年(2022)年 1,018人 146人 80人 10人 241人 23人 53人 8人
令和5年(2023)年 1,059人 158人 105人 14人 266人 33人 65人 4人

昨年の令和4(2022)年度修了考査合格発表では、187名が氏名非公表を選択しました。令和5(2023)年度は、209名が氏名非公表を選択しています。

修了考査合格発表後に行うべきこと

修了考査合格発表後に行うべきこと

合格したら公認会計士名簿に登録する

これまで申し上げてきたように、修了考査に合格後、公認会計士名簿に登録することで、晴れて「公認会計士」を名乗ることができます。公認会計士名簿に登録するまでの流れは以下の通りです。

1. 日本公認会計士協会のサイトで、登録申請に必要な書類を確認
2. 必要書類を用意
3. 日本公認会計士協会に必要書類を提出
4. 登録審査会による審査
5. 公認会計士名簿に登録・官報に公告

■公認会計士名簿登録に必要な書類

書類等名称
① 公認会計士開業登録申請書
② 登録免許税領収証書(6万円)
③ 履歴書
④ 写真
⑤ 公認会計士試験合格証書の写し
⑥ 実務補習修了証書の写し
⑦ 業務補助等の報告書受理番号通知書の写し
⑧ 身分(身元)証明書(原本)
⑨ 住民票(原本)
⑩ 宣誓書
⑪ 勤務証明書(原本)
⑫ 会計士補登録のまつ消に関する届出書 ※申請者が会計士補である場合。
⑬ 準会員退会届出書 ※申請者が会計士補以外の準会員である場合。
⑭ 入会届出書
⑮ 開業登録等に係る緊急連絡先
⑯ 入会金等振込控え
⑰ 写真付き本人確認書類

履歴書や写真のようにすぐに用意できる書類もありますが、住民票や勤務証明書、業務補助等の報告書受理番号通知書の写しなどは、自治体や勤務先、財務局などに申請して取得する必要があります。取得までに時間がかかる書類もあるので、合格後、速やかに申請しましょう。

なお、公認会計士名簿登録までの流れは、日本公認会計士協会の「公認会計士開業登録の手引」に詳しく書いてありますので、ぜひご参照ください。

■公認会計士開業登録の手引

名簿登録後、継続的専門研修を履修する

日本公認会計士協会では、「公認会計士としての使命及び職責を全うし、監査業務等の質的向上を図るため」に、「継続的専門研修制度(CPE)」の履修を義務付けています。

そのため、公認会計士名簿に登録後、日本公認会計士協会主催の集合研修会への参加、自己学習、著書の執筆、セミナー講師としての活動などを行い、3年間で合計120単位以上のCPE単位を取得する必要があります。

不合格だった場合に行うこと

修了考査は、短答式試験のように免除期間を「2年」と限定していません。たとえ不合格しても、何度でもチャレンジすることができます。しかし、前述の通り後進育成担当の後藤常務理事が動画メッセージで「複数年受験者は年々合格率が下がる傾向がある」と警告しています。

複数回のチャレンジは、決して得策ではありません。「次が最後のチャレンジ」と覚悟をもって受験する意気込みで、受験の準備を進めましょう。

再度チャレンジするのであれば、勤務先に相談して、次年度の受験に向けた計画を練り直しましょう。勤務先の協力が得られない場合は、他の監査法人に転職することも検討してみましょう。

次の項では、修了試験合格発表後の転職を検討している方に向けて、コロナ禍での転職市場の動向や、転職活動をする際のポイントについて具体的に解説します。

修了考査合格発表後の今こそ、転職のチャンス!

修了考査合格発表後に転職を考えている方のなかには、「このタイミングで転職活動をしても良いのだろうか」と不安に感じている人も多いのではないでしょうか。

確かに、企業の業績悪化などがニュースで取り上げられることもあります。しかし、公認会計士の転職市場においては、その限りではありません。

まずは、監査法人への採用動向について、規模別にみていきましょう。

大手監査法人では人材獲得の動きが若干鈍化しています。通常の監査ポジションでの転職は、これまでよりも難しい状況と思っておいた方が良いでしょう。

一方、中小の監査法人では積極的に採用している傾向にあります。未経験者でも積極的に採用している法人が多いので、このタイミングで転職活動を行うのであれば、中小監査法人を中心に応募することをお勧めします。

また、監査法人以外にも、さまざまな活躍先があります。

■会計事務所・税理士法人

新型コロナウィルス感染症の影響により、これまで拡大傾向にあったM&Aや組織再編、インバウンド支援、日系企業の海外進出支援などは案件自体がストップしている傾向がありますが、経営が芳しくない企業に向けた「再生支援」や「事業承継」が増加傾向にあります。

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■コンサルティングファーム

コンサルティングファームは近年、人材確保の必要性から選考のハードルが緩和されつつあります。コンサルティングファームでの経験がある20代から30代前半の公認会計士や、監査法人で監査経験をもった公認会計士が、歓迎される傾向にあります。

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■事業会社

経理・財務部門への転職が一般的ですが、経営企画やファイナンス部門で活躍する公認会計士も少なくありません。また、企業のスタートアップに参画したり、ベンチャー企業に転職してCFO(最高財務責任者)に就任するケースもあります。M&Aや企業再編などの専門職として公認会計士が採用されるケースもありましたが、新型コロナウィルス感染症の影響により、これらのニーズは停滞傾向にあります。

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修了考査合格は、これまでの努力が実った「証」

短答式試験、論文式試験、その後の実務経験と実務補習を経て、修了考査に合格する――公認会計士になるまでの道のりは長く、時にはプライベートの時間を犠牲にして勉強に励んできた方もいらっしゃることでしょう。

修了考査の合格は、長く続けてきた努力が実った「証」です。ぜひ自信をもって、今後のキャリアを歩んでいっていただければと思います。

マイナビ会計士では、修了考査合格発表後のタイミングで転職を考えている皆さまのことを全力でバックアップいたします。ぜひお気軽にご相談ください。

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