公認会計士試験 合格のための勉強法とスケジュールの立て方

公認会計士は、会計・監査・経営に関する高度な専門知識と実務の知識が求められる国家資格であり、合格までの道のりは決して楽な道のりではありません。しかし、適切な戦略と継続的な努力を積み重ねることで、社会人でも学生でも合格を目指すことが可能です。
公認会計士試験について最短合格を実現するためのスケジューリングや勉強法、合格者の体験などをもとに実践的な取り組み方について詳しく紹介していきます。
目次
公認会計士試験の合格までの全体像
公認会計士試験の合格を目指すなら、まずは試験の制度や科目構成、必要な学習時間を理解することが重要です。全体像を掴むことで戦略的に勉強が進められ、計画的な学習の第一歩が踏み出せます。
公認会計士試験の仕組みと科目構成
公認会計士試験は短答式試験(年2回)と論文式試験(年1回)で構成されており、短答式試験では財務会計論、管理会計論、監査論、企業法の4科目が出題されます。これに加えて、短答式試験合格者が進む論文式試験では、上記4科目に加え、租税法および選択科目(経営学、経済学、民法、統計学から1科目選択)が出題されるという内容です。それぞれの科目では、知識だけではなく応用力や論述力が問われるため、総合的な力が必要になります。
合格までに必要な学習時間と期間
公認会計士試験の合格に必要とされる学習時間は、一般的に3,000〜4,000時間とされています。これは、毎日4〜5時間の勉強を、2年程度継続してようやく達成できる時間です。学生の場合は集中して勉強できるため、1.5〜2年での合格を目指す人が多くみられます。一方、社会人は仕事との両立を図るため、2〜3年かけて合格を目指す人が少なくありません。ご自身の置かれた環境により、どのように勉強を進めるか戦略を考えるといいでしょう。
合格ルートの違い
短期集中型での合格は学習開始から1年半程度を目安として、短答式試験と論文式試験の一括突破を目指します。このルートでは、高い集中力と綿密な計画、そして時間の確保が必要です。一方、段階型では短答式試験を複数回に分けて目指し、その後論文式対策に専念するスタイルとなります。これは、多くの合格者が実践している方法です。どのようなルートで合格を目指すのか、自分にとっての進めやすさや状況に応じて決めましょう。
公認会計士試験の最短合格までのスケジューリング
次に、最短合格を実現するためにどのような年間計画を立て、1日の学習時間をどう配分するべきかを紹介します。理想を求め過ぎず、現実的なスケジューリングを行うのがキーポイントです。
年間スケジュールのイメージ
最短合格を目指すのであれば、最初の6ヶ月で授業やそれに付随する問題演習で基礎力を固め、7〜10ヶ月目に答練や過去問を活用したアウトプット中心の学習へ移行し、11ヶ月目ぐらいに短答式試験に挑戦します。そのあとはすぐに論文対策に移行し、記述練習や模試を重ねながら総仕上げを行うスケジュールが一般的です。
このスケジュールには余裕がないため、社会人であれば仕事を退職して集中することになるでしょう。それ以外の場合であれば、もう少し余裕を持ったスケジュールをおすすめします。
1日の時間配分
社会人であれば通勤や終業後の時間を活用し、平日は朝1時間+夜2時間、週末や休日は1日10〜12時間の学習が理想です。平日に時間が取りづらい分、週末に時間をとって勉強することになります。一方、学生なら授業があるので、平日は週末に比べ減りますが6〜8時間、多い日は10時間程度を確保すると、コンスタントに学習を継続できるはずです。
教材と取り組み方の戦略
TACやCPA会計学院などの大手予備校の講義をベースに、答練や模試などを活用して自分の実力を測りつつ、過去問で出題傾向を掴むことが王道です。模試や答練は計画的に組み込み、その結果をもとに自分の苦手なところの克服、復習を図ることが重要になってきます。
公認会計士試験の最短合格が難しい理由
公認会計士試験は最短合格が可能であったとしても、実際には多くの受験生が途中で躓いてしまうものです。なぜ短期合格が難しいのか、現実的な課題が何なのかなどを中心に見ていきましょう。
圧倒的な学習ボリューム
公認会計士試験の最大の壁は、圧倒的な学習量にあります。各科目でそれぞれボリュームが多く、それを4〜6科目を並行して学ぶことになるため、継続的に集中する体力と精神力が必要です。特に財務会計論と管理会計論はボリュームが多く、そこに時間をかけながら、他の科目にも取り組まなければいけません。
また、短答式試験と論文式試験があり、それぞれの対策が必要になります。科目だけではなく、試験ごとに対策が求められるのです。
モチベーション・体力の維持が困難
公認会計士試験は学習期間が1年以上に及ぶことが多く、途中でモチベーションが低下したり、スランプに陥ったりすることも少なくありません。特に、社会人は仕事の繁忙期や私生活の変化も影響しやすいため、常に自分をコントロールし続けることが求められます。また、学生であっても、モチベーションを維持することは容易ではないでしょう。勉強仲間を作るといった工夫で、最後までモチベーションを維持できる環境を作っておくことが重要です。
理想的な学習計画が崩れない
たとえ最初に完璧な計画を立てても、実際にはその通り進まないことは珍しくありません。基本的に、計画というものは必ず順調に進むものではないと考えましょう。特に、公認会計士試験では思ったより復習に時間がかかる、答練の難易度が高いなど、計画の微調整が頻繁に必要になります。その中では、状況に応じた柔軟な対応力が重要です。
効率的な学習法と集中力の維持
公認会計士試験の合格には、ただ時間をかけるだけではなく、効率と集中力をいかに高く維持できるかが重要です。ここで、継続できる仕組みづくりについて解説します。
学習効率を高める工夫
例えば以下のようなものから、自分に合った学習方法を見つけることで学習の質と継続力が向上します。
- 朝型の学習習慣を取り入れる
- ポモドーロ・テクニック(25分集中+5分休憩)を実践する
- 学習内容や進捗をアプリや手帳などで可視化する など
ただし、実際のどの方法が自分に合っているのかは、やってみなければ分かりません。取り組めそうなものを実践し、もっとも適した方法を早めに見つけましょう。
アウトプット中心の反復戦略
短答式試験・論文式試験ともにアウトプットを重視した学習が欠かせません。答練や過去問を繰り返すことで問題に慣れ、間違えたところや弱点などをノートなどにまとめて克服していくことが大切です。試験では得意分野を伸ばすことより、いかに弱点を減らすかが重要になります。
集中できる環境づくり
カフェや図書館、予備校の自習室など、自分が集中できる場所を探すことで学習効率を上げることができます。また、SNSや勉強仲間との交流を通じて情報共有や励まし合いができると、孤独感を防ぐ効果も期待できるでしょう。公認会計士試験では、いかに勉強を継続する環境を構築できるかがポイントです。場所や周辺の環境などを整えると、合格に近づくことができます。
試験対策の具体的な取り組み方
公認会計士試験に合格した人の意見などを参考に、実際に行われた効果的な取り組みを紹介します。勉強のやり方など掴むための参考にしてください。
答練を軸に学習を回す
答練は学習のペースメーカーです。毎回の答練を模擬試験として位置付けて真剣に取り組むことで、試験本番における実践力が養われます。復習する際には間違えた原因を丁寧に分析し、弱点克服に直結させましょう。また、答練は何度も解いて、できる問題を確実に解けるようにしておくことが大切です。
論文対策は「早期着手」が命
論文式対策は、なかなか手が回らない人が多いでしょう。そのため、短答式試験の学習と並行して、論文の構成練習や記述力養成を早期から始めることが重要です。そうすれば、短答式試験の合格後に論文式対策を始める人と差を作れます。各科目の理解を深めながら、自分の言葉で理論を説明する練習することが、論文式試験の得点を獲得することの鍵になります。
学習記録の習慣化で改善サイクルを作る
学習内容、時間、感想、成果などを毎日記録することで学習の質を上げ、進捗の可視化が行えます。週単位でも振り返りを行うことで、学習方法やペースの見直しということにもつながり、より効率的な学習が可能になるでしょう。
仮に試験に落ちたとしても、記録に残しておくことで振り返りができ、次にむけた改善に活用できます。そうすれば、より合格に近づけられるはずです。
まとめ
公認会計士試験の合格は、明確な戦略と日々の積み重ねによって実現できます。全体像の理解から学習計画の立案、効率的な学習法、そして合格者に共通する習慣の実践まで、ひとつひとつの取り組みが結果につながっていくものです。焦らず自分のペースで進めながらも、定期的に学習を振り返り、改善する時間を作ることで、合格の可能性は確実に高まっていくでしょう。
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