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ITの技術革新で広がる会計士の可能性
2018/11/09
業界トピックス
ITの技術革新で広がる会計士の可能性

爆発的なスピードで進化を続けるITの世界。

以前は“手作業”が当たり前だった仕事も、いまではITが“自動”で行ってくれます。AIやIoTの技術革新も進んでいますし、少し前には「雇用の未来—コンピューター化によって仕事は失われるのか」という海外の論文からの「20年後の将来には47%の仕事がなくなる」というショッキングな内容も話題になりました。

でも、それは本当なのでしょうか? ネガティブな面ばかりがクローズアップされている印象があるので、今回は逆の観点から「ITの技術革新で広がる会計士の可能性」について探ってみたいと思います。

平成30年版「情報通信白書」

総務省が発表した「平成30年版 情報通信白書」には、「世界と日本のICT」、「ICTによる新たなエコノミー形成」といった章が設けられています。

ちなみにICTとは「Information and Communication(s) Technology」の略で、IT(Information Technology)とほぼ同じ意味をもちますが、より通信を明確にした用語として使われています。

「世界と日本のICT」の章を見てみると、日本はアメリカと比べてICTに対する投資額が少ないことがわかります。アメリカは1994年以降、ほぼ右肩上がりで投資額が増加していますが、日本はほぼ横ばいの状況です。

そんな日本の状況は“さておき”といわんばかりに、世界ではAIやIoTの普及が加速的なスピードで進んでいます。2017年にはデバイス数が約270億個だったのに対して、2020年には約400億個まで増えると予想されています。

「ICTによる新たなエコノミー形成」では、AIやIoTの進化によって世の中にも大きな変化や新たな創出が生まれています。

その1つにFinTechがあります。Finance(金融)とTechnology(テクノロジー)を組み合わせた造語です。「クラウド型会計ソフト」がまさにその1つで、以前は紙ベース、またはオフライン上のデータベースで処理していたものが、いまではクラウド上で、どこでもデータを管理、編集できるようになっています。

「ICTによるインクルージョン促進」を見ると、働き方にも変化が生まれていることがわかります。遠隔でも仕事ができるテレワークは、2017年時点での利用率は13.9%とまだ低いものの、テレワークを導入した企業に対するアンケートでは「(非常に)また(ある程度)効果があった」と回答している企業が8割を超えているので、今後さらに増えていくかもしれません。

<ココまでのまとめ>

・世界ではAIやIoTの普及が急速なスピードで進んでいる。
・ITの進化により、エコノミーや働き方にも変化が生まれている。

バックオフィス業務をITが代替

ここからはITの進化が会計業界に具体的にどのような変化をもたらすか、というところに着目していきたいと思います。

会計業務に関しては前述のとおり「クラウド会計ソフト」が出てきており、最近は領収書を撮影またはスキャンすることで自動データ化することができるものもあり、入力業務は以前と比べると効率化されています。

手書きの時代は転記や計算があり、煩雑な作業でしたが、いまはクラウド会計ソフトが短時間でやってくれます。そのため、いわゆるバックオフィス業務は以前と比べて圧倒的に効率的、かつ短時間で行えるものになっています。

ここでちょっと視点を変えて、ITに対する投資額の少ない日本の未来を頭で想像するのではなく、IT化が進んでいる海外の事例を見てみるとよいでしょう。たとえば、ヨーロッパの小国「エストニア」は近年“IT先進国”として有名になりました。

エストニアでは行政サービスの大半がIT化されています。日本のe-taxをさらに簡略化したようなシステムもあり、現在では法人、個人ともにほぼ100%がオンラインで申告をしているそうです。これ、すごいことですよね。

では、自動化されているから「エストニアには会計士も税理士もいないのか?」というと、まったくもってそんなことはありません。会計士や税理士は日本と変わらずにエストニアにも存在します。

存在しても「日本とは別の業務をしているのでは?」と思うかもしれませんが、そんなことはなく書類作成やコンサルティング業務などをしているそうです。つまり、どれだけシステムが自動化されたとしても、会計業務を行うためには、間に「プロフェッショナル」が確実に必要だ、ということを証明しています。

<ココまでのまとめ>

・日本の会計業界ではクラウド会計ソフトによってバックオフィス業務が効率化されている。
・行政サービスがほぼIT化されているエストニアにも会計士は“普通に”存在する。

 

IT化が進むからこそ「人対人のコミュニケーション」がポイントに

さらに未来のことを考えてみると、将来はこのようになっているかもしれません。企業は会計に関するデータを領収書やレシートを撮影またはスキャンして、OCRを使って自動入力。それをビッグデータにより精度が高まったAIが確認する。

そして最後に人間が確認してデータを完成させる。AIが進化していけば、いまよりも人間がデータチェックに関わる時間と手間は減っていくと考えられています。会計監査においても多くの部分が自動化されるかもしれません。

つまり、将来は「会計士の手間がいまよりも減る=持ち時間が増える」可能性があるのです。

それでもエストニアの事例を見てもわかるように、会計士という“人”は必要とされるでしょう。会計士の仕事は機械が相手ではなく、経営者や個人事業主を相手とする「対人間」の仕事です。人間はコンピュータのように正確無比ではなく、感情やそのときの状況に左右される不完全なものです。

そこに寄り添いながら、ITやAIを駆使して、そのときの状況に合わせて的確な会計上のコンサルティングをすることは、より重視されていくかもしれません。

また、「持ち時間が増える未来」に何をするかを独自に考えて、差別化を図ることも大切でしょう。そこにこそ会計士という“人”だからできる「新たな可能性」が隠れているのではないでしょうか。

<ココまでのまとめ>

・将来は会計士の持ち時間が増える。
・そのときに何をするかを考える。そこに新たな可能性が隠れているかもしれない。

           
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